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書評として、お見苦しいところもありますが、ご了承ください。また、ロクスノ夏号にて、米山悟氏の書評が書かれていますのでそちらの方を参考にして頂ければと思います。
まず、角幡氏の本をいくつか読みましたが、『極夜行』は読んでおらず、この本を手に取る前に読んでおくべきだったなと感じております。
この本では、現代の冒険の本質を脱システムであると指摘しており、現代の「冒険」の行き詰まりを角幡氏が抗うさまを感じることができるのではないでしょうか。現代ではシステム化が進んでおり、そのシステム化となっている過程の一つとして、「ジャンル化」を挙げています。その例として、百名山ブームや山ガールブーム等でしょう。私はこの「ジャンル化」について少し言及させていただきたいと思います。この「ジャンル化」が進んでいることにより、脱システム的登山が失われているということを指摘されています。私としても、登山の「ジャンル化」というものには、少し疑問を持つところがあります。また、アルパインクライミングでも同じような傾向があるという指摘もされていますが、全く持ってそうではないかなと思います。確かにバリエーションの有名ルートや氷瀑ルートは週末になると多くの人が群がっていますが、不安要素の含むルートは人がほとんど入りません。角幡氏も指摘しているように、死を避けなければならない、遭難して多くの人に迷惑をかけてはならないをという理論が働くため、こういった「ジャンル化」を進めているのではないでしょうか。また、最近の遭難が多くなっているのも「ジャンル化」による弊害ではないかと私は考えています。まだ、アルパインをやり始めて、それほど日は立っていませんが、アルパインに対するちぐはぐした気持ちを代弁してくれるものでした。
最後に今まで見ていただいた通り、冒険論とはかけ離れたようなものになってしまいましたが、この本はもちろん現代の冒険についても考えさせられますが、登山においても同じように考えさせられる一冊ではないでしょうか。
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