傍聞き（かたえぎき）

表題作で日本推理作家協会賞受賞の「傍聞き」の他、「迷走」、「８９９」、「迷い箱」の全４編の短編集です。

どの作品も一捻り加えられていて甲乙付けがたいのですが一番気に入ったのが「迷走」です。

交通事故で車椅子生活になってしまった娘の父親とその結婚相手の職業は救急隊員。
事故の加害者を不起訴にした検察官からの救急要請を受け病院に向けて搬送する。しかし車は病院で止まらずにサイレンを鳴らしながら周囲を走り続ける。
検察官に対する復讐なのか･･･走り続ける真意を巡るミステリーです。
救急隊員のプロフェッショナルな行動に胸を打たれました。