でも世の中的に単独行はよくないと言われている。遭難者のほとんどは単独行者だ、怪我をして動けなくなっても助けを呼べないし、道に迷っても気がつきにくくリスクが高いという。たしかにそうだけど、でも本当にリスクが高いのはリスクを知らずに山に入っていることなのでは?と思っている。山登りは地上の遊びとは全然違う危険の伴った遊びだということ、ただ転んでも地上ではかすり傷で済むことが、山では谷に落ちて死ぬことがあるということを知っているかどうかだと思う。
以前「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」という本を読んで低体温症の怖さを知り、著者の羽根田治さんのドキュメント〇〇遭難シリーズの本を全て読んだ。その中にも単独行遭難というのがあって、単独行はいかにリスクが高いかがわかりやすく書いてある。それから色々な本を読んだが、どれも1人で行くなと書いてあるものばかり。遭難者を減らすには単独行をやめさせるしかない、という考え方がほとんどだ。
それでも山に入れば単独行者は少数派じゃない。私が選ぶ山域なんて会う人はむしろ単独行者ばかり。皆が静かな雰囲気を自由に楽しんでいる。遭難するからやめろといっても誰もやめないと思う。人間関係の煩わしさから一時離れるために山に入る人もいると思う。ストレス発散、気分転換、明日の活力。やめられるわけない。
色々な本を読み、単独行で一番危険なのは具体的な行き先を誰にも告げず山に入ってしまうことだと知った。奥多摩とか秩父とか、漠然とした地域名だけじゃ万が一遭難しても捜索は不可能。行方不明のままになってしまう。せめて山の名前とルートだけは口頭だけじゃなくメモを残してくる、メールで送っておく。山に興味がない人は軽く言われても覚えていられないから必ず何かに残してくる。登山ポストがあればちゃんとした書式じゃなくてもとりあえず入れてくる。そして計画外のルートには行かない。
遭難してもすぐ見つかればまだマシだけど、行方不明というのが一番家族を苦しませる。そうならないために最低限それだけは徹底する。あとは少しずつだけど地図読みの勉強、気象の勉強、セルフレスキュー等の講座などに行ったりしている。使わなくてもツェルトやバーナーはザックに詰めておいたり、水や食料は多めに持ち歩く。多機能ウォッチで方角と標高をこまめに確認する。極度に疲れたり今日は調子が悪そうだと思ったら無理をしないで撤退する。道が不明瞭になる積雪期や残雪期に歩いたことのないルートには行かない。
やれることはやってそれでももし事故を起こして遭難してしまったら、それは地上で交通事故に遭うくらいの確率なんじゃないかと思う。不運だったと思うしかない。
最近「すぐそこにある遭難事故 奥多摩山岳救助隊員からの警鐘」という本を読んだ。その本の中に一杯水避難小屋での強盗事件の話があり、そんな所まで犯罪者が登ってくることに驚いた。1人の登山者を狙っていたらしい。こういうリスクもあるのかと勉強になった。
この本は歩いたことのあるルートばかり出てきて、あんな所で事故が?という事例も多く本当に身近に起こる危険だと身につまされた。文庫ではなく、ちょっと値段が高くて一瞬買うのに躊躇したけど買ってよかった。
なんだかんだでやっぱり思うのは、たぶん単独行者だけが遭難のリスクが高いわけではない。パーティーでも初心者だけだったり、周りに心配掛けたくないから体調不良なのに無理をして登ったり、ただ人にくっついてボーっと歩いていたり、地上のハイキングの延長で山に入ることが一番危険なのだと思う。どんなに低山でも山は非日常の世界。私は初心者だし、ついこの前までかなり危なっかしいこともしていた。でもリスクを知った今は楽しいことだけに思いを馳せるのではなく、ちゃんと最悪のことも考えてそうはならないように準備してから山に入っている。
「行き先を告げよ」「山では転ぶな」「迷っても沢に下りるな」これだけはいつも頭に置いて、これからも自由に山を楽しみたい。
yokokさん、こんばんは。
単独行や遭難についてとても良く研究されていますね。
私も羽根田治さんの本や奥多摩交番の金邦夫さんの本、その他たくさんの山の遭難に関する本を、繰り返し繰り返し読んでいます。
これまで、さまざまな遭難事例や失敗談を読んで、頭の中に叩き込んできました。おかげさまで、最近は殆ど山で失敗しなくなりました。初めの頃はかなり危険な事をしていましたが・・・。
私も単独行についての考察を、日記に書こうと思っていましたが、先を越されました。素晴らしい内容でした。あっぱれ!です。
fgacktyさん、はじめまして。コメントありがとうございます。山へのきっかけは人に連れて行ってもらったことですが、その後は誰かと予定を合わせる間もなくどんどんはまってしまい、気づけば気軽に誰かを誘える山は物足りなくなり、単独で山に入ることが多くなっていました。でも女性ということで周りに話せば心配されます。実際に事故を経験したときでは手遅れなので、まずは知ることから本で事前に勉強させてもらっています。ドキュメントなので引き込まれますね。あっという間に買い揃えてしまいました。私も何度も読んでいます。
yokokさん、こんばんわ。
単独行。できれば避けたいですが、
仲間も友達もいないので仕方ないです。
鈍足の人を待てるほど余裕はないし、
健脚の人に待たれても疲れるだけですし、
願わくば同じ足回りと価値観と休みを
持ってる人で、気の置けない仲間がいると
いいんですが。。。
登山届をきっちり出して、ビバーク装備や
予備食料を持っていても、誰にも知られず
滑落してたら。。。と考えると
やっぱり単独は怖いです。
k-yamaneさん、はじめまして。コメントありがとうございます。私も同じペースの山仲間ができたらいいなと思っていますが、もしできたとしても単独行をやめることはないと思います。1人でもパーティーでも山の危険は変わらないので情報収集と準備は欠かせないですね。
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