登山口から雪道でラッセルが厳しいかと思われたが、積雪は少なく大石茶屋までは然程苦労もせずに登る事が出来た。天候は曇りのままで眼の前の富士は凍てついたまま青白く聳えており、可也の威圧感を与える。先行のソリストは豆粒大に遠くなり宝永山の丁度取り付き付近を登っているのが確認できた。
大石茶屋の少し先でアイゼンを装着し歩き始めると、ブッシュ帯を出た所をスキー登山の二人が登って来る姿が認められた。この頃から穏やかに見えた冬富士が一変し、強風が捲きだすと毛糸の帽子や眼鏡が吹き飛ばされそうになる。
遂に来たか!覚悟はして来たが凄まじいブリザートに暫したじろいでしまった。何処から来るか分らない突風に身をかがめて一歩一歩確実に登り詰めて行く、宝永山と二ッ塚の鞍部から吹き降ろしてくる猛烈な風に時々身体が浮き上がる感じで次第に怖くなってきてしまい、ピッケルを盾にバイルを取り出そうとするがザックが飛ばされそうでなすすべが無い、急遽ルートを双子山に転進し風の通り道を避けることにした。
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