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この道が2000年3月、地主である山中氏の意向により通行禁止となった。2005年、山中氏は白井差新道を作道した。これにより登山者は山中氏に通行料千円を収める事で通行が可能となった。
さて、白井差登山道が通行禁止となり、新道が出来た経緯について、当時は登山雑誌等でわりと話題になったようだが、私が登山を始めたのはもっと後であり、経緯をよく知らない。なので、ネットで検索して解った事を下記に纏めた。なお、あくまでもネットにある情報の為、真偽は各自で判断してください。
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■廃道とその後の流れ
・1979年、山中倉次郎は両神村の村長に当選した。その後5期20年間村長の座を維持した。白井差登山道一体の地主は山中倉次郎であった。山中倉次郎は両神山白井差登山道の登山口に白井差小屋を建て、運営した。
・1999年、山中倉次郎は6期目をかけた村長選挙で落選した。同年、山中は白井差登山道のある土地について今後50年間で年500万円を支払うよう行政に要求した。行政側は要求を飲まなかった。
・2000年4月、山中は登山者が白井差登山道を通る事を禁止した。山頂から白井差登山道への看板は破壊された。白井差登山道との分岐には通行禁止のロープがはられた。行政側は山中を説得したが、山中は説得に応じなかった。
・2000年10月、行政側は白井差登山道の扱いを廃道とした。
・2003年4月27日、両神村の村長選挙に山中倉次郎の息子、山中豊彦が出馬した。白井差登山道の再開も公約として掲げたが落選した。
・2005年、山中豊彦は有料の白井差新道を作道した。
・2005年10月1日、両神村は小鹿野町に吸収された。
・2013年10月13日、山中豊彦は小鹿野町議会議員選挙で初当選した。
・2017年10月3日、山中豊彦は小鹿野町議会議員選挙で当選した(2期目)。
■山中氏側の言い分
・両神山が国立公園に指定された1952年当時、山中氏と国との間で、頂上付近の森林の伐採をしない代わりに相続税を減免するとの約束がなされたのに、その約束が守られなかった
・国立公園に指定された事で、自分の山なのに自由に木の伐採も出来ない状態が続いた。一方で、固定資産税はかかり、相続税もかかる。所有する山の登山道を解放してもお金は入らず、道やトイレの整備に手間もお金もかかる。
・百名山ブームで質の悪い登山者が増えた
■清滝小屋の管理人は白井差登山道の通行禁止に憤慨していた。通行禁止として張られたロープを見ると態々ロープを外すくらいだった。
■両神山山頂から落合橋に下山中に滑落して重傷を負った登山者がいたのだが、この登山者は埼玉県に対し損害賠償の民事訴訟を起こした。この事に山中氏は思うところがあるようだ。(登山道があるだけで訴訟を起こされるリスクがあるということを気にしている?)この道も白井差登山道廃道と同時期に廃道となった。(しかし今も結構歩かれている)
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下記は私の感想です
「大昔に相続税減免を国と約束したのに、約束を守ってくれなかった」「山中氏が今後50年間で年500万円を支払うよう行政に要求した」は関係者同士の話であり、それを第三者が聞いて、書いたり伝えられたりしていったものなので真相は解らない。もし、真であったとして、国が山中氏の要求を突っぱねたのは当然と思える。
一方で登山道を開放しても登山者から金を集める仕組みが無ければ、登山道を管理する地主が損をするだけである事は理解出来る。まして、昭和の登山は今ほど行儀のよいものではなく、ゴミは持ち帰らず山に捨てるのが当たり前であった。これについては白井差小屋を運営する事で、どれほどの金額になってたかは不明だが徴収出来ていたと考えられる。又、両神村村長でもあったから、選挙対策や立場的な物もあったと考えられる。事実として、山中倉次郎の村長選挙落選と登山道通行禁止は時期的に合い、落選が通行禁止の引き金になった事が考えられる。加えて、山中倉次郎の息子、山中豊彦が出馬した際に白井差登山道の再開も公約として掲げた事からも、白井差登山道が選挙対策になっていた事が解る。(さらに加えて、ネットの情報を信じれば、という前提付にはなるが地元民もそう感じていたように思える)。
村長では無くなり、白井差小屋も壊したとなれば、登山道を開放しても地主が損をするだけである事から、登山道保守を理由として白井差新道通行に料金を徴収する事は理解が出来る。電話による事前予約と料金徴収によって質の悪い登山者が新道を歩く事態を避ける事が出来、登山道保守にも好都合と考えられる。
結論として、今のような状況になったのは已むを得ない事と考える。
■参考にしたウェブページ
https://www.yamareco.com/modules/diary/207575-detail-209211
http://www.jade.dti.ne.jp/~akoubou/omosirojyouhou.htm
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~tamu/49ryogamisan.htm
http://homepage.obunko.com/yama58/ryogami.htm
http://ttc.moo.jp/activity/%E2%97%86%E5%A5%A5%E7%A7%A9%E7%88%B6%E4%B8%A1%E7%A5%9E%E5%B1%B1%E7%99%BD%E4%BA%95%E5%B7%AE%E6%96%B0%E9%81%93%E3%82%B3%EF%BC%8D%E3%82%B9%EF%BC%89%E5%B1%B1%E8%A1%8C%EF%BC%882016-10-02%E5%9C%9F/
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/6.html
https://naturecruise.at.webry.info/200605/article_1.html
https://www.daiwa.com/jp/fishing/be_earth/genryu/content2/1254876_11186.html
私は2016年11月7日(ヤマレコにUP済)と2017年6月3日に2年連続で季節を変えて白井差新道を歩きました。2016年に登った際には、丁度、登山道修復作業中の山中豊彦さんにお会いして、言葉を交わしたことを記憶しています。確か下山後に環境整備料として1人1000円支払い、両神山のバッジをいただきました。それにしても、私設有料登山道に至る、複雑で長い経緯を良くお調べになりましたね。頭が下がります。有難うございました。
山行記録拝見しました。白井差新道は紅葉が綺麗な道ですね。私はまだ両神山には行った事がないのですが、行くときは両神山荘からにするか白井差からにするか迷いますねえ。外から見て解る範囲ではこんな経緯ですが、実際の経緯はさらに複雑かもしれませんね。
山に行けない時節柄、山行記録だけでなく「日記」も大変勉強になります。ご丁寧に、ご返信いただき有難うございました。
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