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自己満足のために一、二度…と思って行ってみた能登地震のボランティア活動が20回近くになりました。
金沢駅や富山県庁からのバスで行ったり直接現地に行ったり行き方は様々です。
ある時のバス…その時のボランティアは20〜30人だったと思いますが、その中で誰かがマラソンのシャツを着ていたために「俺も俺も」という具合に5、6人がマラソン愛好家と判明して盛り上がってました。
私も広義ではマラソン愛好家と言えるかも知れませんが、狭義ではしがない10kmランナーです(´〜`)
会話には加われませんでした><
その話を後日登山仲間に話すと「そりゃマラソンや登山しとらんかったらボランティアなんて務まらんちゃ。マラソンも登山もしとらん人ちゃ休日家でゴロゴロしとるだけだろ。身体動かんわ」と言いました。
うーむ、そうなのか。
彼の言葉が正解なのかはともかく、登山とボランティアは相性がいいと私も思っています。
7年前に嵌まった登山と同様、嵌まってしまったボランティアについて少しだけ書いてみます。
*****
ボランティアの活動を割り振ってくれるのは社会福祉協議会の方です。
私が行き始めた5月〜6月に行った自治体では県外からの応援社協の方に説明を受けました。
彼らの指示に従っていくつかの班に分かれ、被災者宅に伺いボランティア活動をするのです。
社協の方には毎回「写真は撮らないで下さい。SNSにアップしないで下さい」と言われました。
ところが6/29に初めて輪島市に行った時に説明してくれた社協の人は地元の方でした。
彼は「写真はどんどん撮して下さい」「どんどんSNSで発信して下さい」「忘れられるのが一番辛いことです」と仰りました。
前述しましたが、これまではいつも「写真はNG」と言われていたのです。
地元社協の方なので胸に響きました。
彼がOKと言ってくれたので多少詳しく書きます。
その時は班が15人という大人数でした。
1つ目の作業はアパートの2階からの廃棄物の搬出でした。
金沢から今日やってきたという男性家主さんの指示を貰いながら箪笥、棚、洗濯機、冷蔵庫などを階下へ下ろしました。
15人がバケツリレーのように荷物を下ろします。
大方下ろし終わったあと、私は部屋に入りました。
するとおばあさんがいました。
男性は息子さんで、アパートはおばあさんが独りで住んでいたのでしょう。
床はホコリだらけで、土足で上がることになります。
おばあさんを前に、土足で上がることが申し訳なかったです。
残った大物の家具をバールで崩します。
廃棄するとは言え、思い出の詰まった家具でしょう。
これも辛い作業でした。
その後掃除して作業は終了です。
おばあさんが新たな住まいで落ち着いて暮らしていることを願うばかりです。
2件目は11時から40歳くらいの御夫婦のおうちの片付け、廃棄物出しでした。
築20年くらいでしょうか、古くはない立派なおうちで、左半分は残っていて右半分が崩れていました。
崩れている側は壁が落ちて外から家の中が見えていました。
見た目は左側が大丈夫そうとは言え、全て壊して立て直す必要があるでしょう。
個人商店を営んでいるらしく、商売用具用のお部屋は大きな金属棚が6つ倒れていて凄まじいことになっていました。
また、もう一部屋は奥さんが営む子供塾の部屋で、天井に穴が空いて床には水が溜まっていました。
濡れていないものはもう持ち出してあるようで、残っている書籍や書類などはほとんど水びだしです。
全て捨ててよいとのことです。
その他のお部屋も物が散乱していましたが、この日はこの二部屋だけを作業対象とします。
どちらも途方に暮れてしまうような惨状でしたが、我々は15人もいます。
個人商店部屋は金属棚の中身を出し、棚を立ち上がらせました。
塾の部屋の廃棄物も全て駐車場に出し、炎天下の中、書類は紐でくくり、その他は土のう袋やゴミ袋に詰めました。
14時半くらいに作業が終了しました。
玄関を出たところがコンクリートの駐車スペースになっていて、そこで廃棄物の仕分け作業を行なったのですが、片隅には見事なラベンダーが咲き誇っていました。
我々15名には女性が2人いて、彼女らが中心になって奥さんとお話をしながら作業しました。
作業が終わると奥さんは感謝の意を表してくれ、ラベンダーに似せた手作りの可愛らしい造花を我々に一つ一つ手渡してくれました。
いい匂いがしました。
造花の花の部分には実際に庭に咲いていたラベンダーが入っているとのことです。
そして、その本物のラベンダーが匂いを放つようです。
匂いは一年は持つとのことでした。
お調子者の男性が「記念撮影しよう!」と言いました。
奥さんは私達に打ち解けてくれ、確かに記念撮影したくなるような和気あいあい感がありました。
とは言え、いくら社協の方が「写真はどんどん撮して下さい」と言ったにせよ、それは言っちゃいけないだろと私は思いました。
なんてKYなのかと。
でも御夫婦は笑顔で乗ってきて、15名と一緒に写真に収まってくれました。
さらに「自分も写真が欲しい」と奥さんのスマホでも記念撮影しました。
奥さんもiPhone、ボランティアメンバーもiPhone使いが多く、AirDropでそれぞれが写真を貰い、Androidの人はラインで交換したようです。
今も手元にある、頂いたラベンダーの造花の匂いを嗅いでみました。
いい匂いがします。
そして涙がこぼれます。
*****
ボランティアセンターには15時に戻りました。
1台のバスで来た40名のボランティアがいくつかの班に分かれたわけですが、班によっては派遣先が遠かったり近かったりします。
区切りが早く付いたり長くなったりとまちまちです。
1つの班が遠くて遅くなるとのことで、冒頭の地元社協の方が「50分ほど待ち時間があるので希望者は町を案内します」と言いました。
愚かな私は観光と受け取りました。
9人乗りのワゴン車と普通乗用車で第一陣が出発、私は第二陣で案内してもらいました。
運転手は「写真を撮して下さい」と仰った地元社協の方です。
…観光なんかじゃなかったです。
横倒しになって今もそのままのビル、崩れた家屋が連続する町並み、焼けて消失した朝市、…。
復興なんて全くしてないのです。
道幅が狭い住宅地を通ったとき、「今のが自宅です」と仰りました。
どのおうちがそうだったのかは分かりませんでしたが、「寝る分には大丈夫」と仰ったので被害がないわけではないようです。
彼は地震の日からほとんど休んでないと仰りました。
「休むとむしろ色々考えてしまう。仕事してこのようにボランティアの人と接している方が精神的に良い」とのことでした。
家屋は全壊/大規模半壊/中規模半壊/半壊/準半壊/一部損壊と、被害認定によって公的支援金が異なります。
その認定もなかなかスムーズには進まないようです。
認定が終わらないと家屋の修復はできません。
ボランティアは半壊(?)以下の家屋しか手伝えないようです。
なのでお手伝いする家屋は割と損傷が少ない場合が多いし、我々はボラセンターとボラ先のお宅を往復するだけなので、酷い家屋を目にしない場合が多いのです。
この日初めて酷いおうちを目にし、また車で案内してもらい、復旧が進んでないことを目の当たりにしたのです。
*****
それから3ヶ月経ちました。
悪夢の9/21、私は珠洲にいました。
登山の時の癖で、前日の各天気予報をメモしていたので披露します。
気象庁 石川能登、前日17時発表、降水確率30/60/50/60、曇昼前から時々雨所により雷雨
日本気象協会 珠洲市、前日18時発表、降水確率100/100/100/100 雨
ウェザー 輪島市、前日20時発表、降水確率100% / 100% 大雨・嵐
ウェザーの予報が酷く、日本気象協会がややマシ、気象庁は大した事がなさげな予報でした。
ウェザーの予報が当たらないことを祈りながら珠洲にバスで向かいました。
…残念ながらウェザーの予報が当たってしまいました。
9時の到着時から豪雨でした。
すでに浸水した道もあったようです。
到着後すぐに警戒レベル5が出てボラ活動は中止になりました。
社協の1階の和室で待機しました。
行きと帰りのバスは別なので、行きのバスはもう帰ってしまったのです。
帰りのバスは野々市からこちらに向かっていて、14時になるとのこと。
14時までは何もすることがなくて持ってきた本を読んで過ごしました。
豪雨はさらに勢いを増し、待機場所は二階に変更になりました。
社協の横には若山川があり(氾濫した川です)物凄い勢いで流れていました。
ひっきりなしにタイヤや木が流れて行きました。
帰りのバスは桜峠というところで土砂崩れのため進めず、海沿いに変更したところこちらは警察が通行を止めていて、更に別のルートを探しているということでした。
そんな中「古川商店」さんからパンの差し入れが届きました。
大変美味しく、大変ありがたかったのですが、ボランティアでこうして来ているのに逆に世話をされて申し訳ない気持ちが強かったです。
15時20分にバスが到着し、何とか帰ることができました。
翌週は小矢部市でのボラ活動でした。
そこで豪雨の日に輪島市に行っていた人と話しました。
珠洲市は社協の建物があり、私達はそこで待機することができましたが、輪島市のボラ拠点は小さなプレハブとテントだけなのです。
彼らはバスで待機し、さらに移動することができずバスで夜明かししたそうです。
私が当日バスで帰る時にはまだ惨状は把握してなかったです。
あとで知って、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
*****
冒頭に書いた通り、登山とボランティアは相性が良いと思います。
ちなみにボランティアに参加すると、簡単な手続きで高速代が往復無料になります。
一度足を運んでいただくのも良いかと思います。
二、三日の幅を持たせて貰えるので、前日か翌日に観光して帰る場合も無料になります。
珠洲市や輪島市へは金沢からボラバスが出ています。
例えば家族と土曜日の早朝に金沢に行き、アナタだけがボラに参加、家族は金沢観光。
翌日は家族全員で白山登山。
日曜の晩に高速で帰るというのもアリです。
高速代は往復とも無料になるのです。
何て充実した週末でしょう!
家族とでなくても構いません。
お一人で土曜はボラ活動、その後馬場島に移動し早月尾根から剱岳に登り、試練と憧れを実感した上で下山後高速で帰るのもアリです。
但し被災地側の高速ICは限られているので注意が必要です。
石川県でのボラ活動の場合は白山IC、金沢西、東、森本IC、小杉IC、小矢部東本線になります。
なので石川ボラの翌日剱岳に登ったら、小杉ICから高速に乗る必要があります。
富山県にもボラを募集している自治体があるのでそちらも宜しくお願いします。
山形県も豪雨災害のボラがあるようです。
こちらも高速代が無料になります。
このように観光が主目的で、ついでにボランティアする、というスタンスでも全く問題ないのです。
聞きたいことがあれば聞いて下さい。
分かる限りお答えします。
豪雨の日に珠洲市で一緒だったボラの方と2週後の10/5に再び珠洲市で一緒になりました。
東京の方とのことで、今度は十代の息子さんと一緒でした。
息子さんは浪人生とのことでしたが、親子でボラ活動されたのです。
良い親子の姿を見ました。
大変ありがたいことです。
押し付けがましい日記になりました。
ボランティアは無理としても、今後も被災地のことを気にかけていただけると幸いです。
おっしゃるとおり、登山とボランティアは相性を感じますね。
災害があったった時に山ヤとして真っ先に思うのは、重い荷物も担いで歩きにくい道でも行けるよ。寝る所も用意してもらわなくても自分で何とかするよ。寒いとか我慢できるし。・・けど個人の力って大したものにはなれず、組織で動かないと逆に迷惑をかけてしまう・・ジレンマが溜まりましたね。
私もこれまで十数回能登へ入らせていただきましたが、珠洲が中心で輪島も一回行ったので書かれているボラセンのイメージは分かります。(福井県がずっと支援バスを出していて、関西人なのでよく便乗もさせてもらいました)
それにしても、あの豪雨当日に能登におられたとは驚きですね。paosukeさんも大変な経験された事お察しします。
公費解体が始まりやっと片付けが動き出したので片付けボラの需要も減ってきたようなので、私も最後のボラにしようかなと思い、けどその前に楽しんでからと白山に登ったところ山頂付近で転倒し骨折、結局翌日のボラをお断りしないといけない羽目になってしましました。
そこへあの豪雨が発生したので行きたくてうずうずした思いがずっと。
やっと骨折から2か月、あと1か月弱で完治なので(お医者さんから活動していいよなんて許可出ないだろうけど)期待して計画練ってます。
そうなんですよね、登山との相性を感じるんですよね。
軽トラへの荷物の積み方が手慣れていたり、ロープの掛け方がプロさばきだったりする人を見ると、登山のエキスパートの人のように見えてきたりします。
相性ではないですが、ボラの人たちの服装が登山者のように見えるのもあります。
ちなみに私は登山とボラの服装が同じです。
また、私は自分と関わりのない人との交流がほとんどない生活をしてきた中、7年前に登山を始め、その登山で時々知らない人と話すことがあり新鮮さを覚えました。
それと同様のことがボランティア活動でもあるので、そこにも近いものを感じます。
cyuusanさんも能登に十数回入られましたか。
珠洲には福井のビブスの方が多くおられますが、あの中にcyuusanさんもおられたかも知れないんですね。
6月、7月と毎週のようにボランティアをしたあと、8月は暑さにやられると思いお休みしました。
そうすると、登山に行けない週が続くと登山不足にうずうずするように、ボランティア不足にうずうずしちゃいました。
そうですか、白山で怪我されましたか。
2ヶ月経ったとのことで、登山とボラ不足にうずうずされていることでしょう(笑)
…該当の山行記録を拝見しました。
怪我はもちろんですが、鍵も大変でしたね。
通常の生活では鍵を手放すことは考えにくいですが、登山時は誰もがザックに入れていると思うので、不測の事態には鍵ごと預けてしまうことは大いに有り得そうですね。
私も肝に銘じて置きます。
3ヶ月で完治しますか。
自分は怖がりなので、半年ほどは大人しくしてそうです(笑)
でも骨折した部分を使わないのは逆に良くないとも言いますね。
大阪からいらしてらっしゃるのですね。
北陸の者として感謝します。
ボランティアには遠くからいらしている方が多くて頭が下がります。
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