その人は基礎技術を教えても何のためにそのセットをしているのか理解している様子もなく、個人装備のロープも買わないし、トップロープを張ってもらっても満足に登れない。登れなくても1時間でも2時間でも、ビレイヤーや他の人の登る順番などおかまいなしにぶら下がっている。岩場への行き帰りも人の車に乗せてもらい、みんなで飲み会になっても自分は飲まないからツマミの差し入れもしないし、甘いものを差し入れようとも考えない。奢ってもらう時は当然という顔だった。もちろんいろいろ面倒を見ているメンバーに労りの言葉もない。退会する時も「ありがとうございました」の一言もなかった。
この人の数多いミスの極めつけは、リーダー部がトップロープを張るのに、「このロープを取りつきに用意しておいて」と指示したら、何をどう考えたのかわからないのだが、同じ色のやや短い別のロープにわざわざ差し替えてしまった。ビレイは必ずもう一人見張りをつけるので、リードをロウアーダウンしている時に別のメンバーが気づいたから大事にはいたらなかったが、間違いやミスを指摘されても真摯に受け止めている様子はなく、必ず言い訳になるか、私のせいではない、と口では言わないまでも顔にでる。ルートの長さとロープの長さの組み合わせも考えられないような人なのに、「習った技術をすぐに山行で試されたら」同行者は何人犠牲になるか考えただけでもゾッとする。その他、この人は自分のセルフビレイを解除せず他の人のセルフを解除してしまったり、次に何をするのか理解していない場面が多かった。もっとも、トレーニングを始めて数ヶ月だと慣れていなかったり、理解して覚えていられなかったりするので、経験者がつきっきりでトレーニングして、必要な技術を身につけるのにやはり1年は必要なのではないかと私たちは考えている。アルパインの訓練では、たとえ練習であってもミスをすれば重大な結果につながりかねない。当会ではかなり丁寧な説明をしている。さんざん説明はしたが、配布した資料を読んで理解している様子もなく、この人はお互いにロープを結ぶことの重大性を理解できていないのではないかと思う。
ダブルロープでの登攀の手順がゲレンデでスムーズできるようになって初めて本チャンに挑戦できる基礎が整う。昨今、本チャンルートで手順を確認しているがためにテロ行為になってしまっているパーティーがあるが、そういう人たちは「習ったことをすぐに山行で試す」理想の学びを実践されているのだろうか?
今回やめた人は、入会以来、個人山行が一度もなく、普段ハイキングででも山を歩いている様子はなかった。地図も用意しないし、計画書に指示してあるコンパスも持ってこない。他の人の後をついていくことはできてもルーファイができるのかわからなかった。学生時代ワンゲルだったというのだが、今どきの大学山岳部ですら低レベルなので、ワンゲルは推して知るべしだと思う。はっきり言って、ワンゲル程度の登山技術なら本やネットで十分身につく。その程度の技術なら山行で教えて実践しても、たいして身についていなくても、誤魔化しはいくらでも可能だ。失敗しても、登攀のように死んでしまうことは滅多にない。
会では月に2回4日間のアルパインクライミングのトレーニングを提供してはいるが、やはり自分でも破線ルートを地図読みしながら歩いたり、テント泊山行を計画するくらいの自主性がないとアルパインの山岳会ではやっていけないのではないかと思う。団体で行動するワンゲルとは違って、アルパインクライミングの登攀は二人一組が基本なので、一人一人の責任と技量が大きくモノをいう。しかし、この人は「この会では私の自主性が発揮できない」と言う。いやいや、地図読みとか地図読みとか、自主的にやることはたくさんあるでしょ。登攀で自主性を発揮するのは、基本技術を身につけてからにしましょうよ…
さらに、この人は冬山はやらないとのことで、冬靴ピッケルはもちろんアイゼンも持っていなかった。夏に使うアプローチシューズもなく、夏の縦走用の重い靴しか持っていない。当会ではアルパインで必要な道具のリストと購入する順番も資料で提示しているが、きちんと確認している様子はなかった。長期休暇で山登りではない国内旅行や海外旅行には行く余裕があるのに、高価な道具は借りればいいと思っているのか、ロープどころか必要最小限のカラビナすらなかなか揃えなかった。アルパインでは夏山でも雪渓歩きがあるので、無雪ハイキングに毛の生えた程度だとアルパインクライミングに移行するためにはまだまだクリアしなければならない課題は、クライミング以外にも多い。
この人は山岳会に入れば道具も与えてもらえてすぐ本チャンルートの計画に次から次へと「連れていってもらえる」と考えていたのではないかとも思う。自分でロープ一本買わずに、人のフンドシならぬ人のロープで自分の「理想の学び」を追求するのだろうか?他会に潜りこんで、登攀手順の理解もせず、いきなり本チャンルートに出かけて行くのだろうか?さすがにガイドでも、何も理解していない客をいきなり本チャンルートに連れて行きはしないと思うが。
この人は女性なので、よからぬ下心のある人に引っかからないとも限らない。もっとも、ミスの多い人なので、下心が満載の人でもまずは怖さが先に立つとは思うが。
それにしても他会の皆さんは、登攀のイロハもできていない人をすぐに本チャンルートに連れて行くのだろうか?後続を1時間も2時間も待たせて、その場で手順の練習をさせているのだろうか?当会のように日和田や三ツ峠、小川山のマルチの基礎トレーニングに1年かけるのが古いのだろうか?
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