私の職場は穂高駅から程近い自動車関係のお店です。
先日、一人のお客様が自動車を持ち込まれ、廃車にしてほしいとお申し出になりました。
その車は県外ナンバーで、普段は関東方面で使われていたらしいのですが、ご来店のお客様ご本人は北海道から来られたとの事。
車検証名義も違うお名前でしたので事情を伺うと、この夏に北アルプスで遭難し亡くなった弟さんが穂高駅近くの登山者用駐車場に残された車とのことでした。
見れば年数は経っているものの状態は良く、大切に乗られていたのは見てすぐ判りました。
車内も荷物はまだそのまま、ゴミ箱にはスタート前に食べたのでしょうコンビニおにぎりのビニールやお茶のペットボトル。下山後温泉に行くつもりだったと思われる着替えの入った袋など。
この車の持ち主ご本人は、数日後にまたこの車に戻り、近くの温泉で汗を流した後ご自宅へ帰るつもりだったはずです。
安曇野警察署で荷物と車のキーを受取り、ネットで提出された計画書から判明した駐車場所まで車の処分に出向かれたお兄さんは、事後整理の為に実の弟さんを亡くされた現実を見つめ直す余裕も無さそうな様子で、車の手続きが終わると急いで電車で松本に向かわれました。
残された車は本来であればまだまだ元気に走れる状態でしたが、ご親族でも譲り受けて乗られる方もおらず、僅かばかりの金額で買取りとなりました。
車内の荷物もお兄さんが北海道まで持ち帰る訳にもいかず、こちらで処分させていただくようになりましたが、その後この車を眺めながら、当日この車を駐車し腹を満たし、登山靴に履き替え、素晴らしい縦走路を思い浮かべながら登山口に向かわれたであろうご本人の無念さを考えると、何ともいたたまれない気持ちとなりました。
お兄さんは悲しみを押し殺し淡々と車の手続きを済まされましたが、最後弟さんの残された物を一品お持ち帰りになりました。
言葉には出されませんでしたが、事後処理が終わり落ち着いてから弟さんとの思い出を振り返るのでしょう。
まとまりの無い長文になってしまいましたが、これは山を趣味とする我々誰にでも起こり得る事かと思います。
無事帰る。登山の最終目的地は自宅ということを、あらためて肝に銘じる出来事でした。
悲しく残念なお話ですね。
ご親族の心情を思うと・・・
その車を駐車場に停めたときのご本人の思いを考えると・・・
私も車で登山口へ向かうことがほとんどです。
遭難死の話は記録などでよく目にするのですが
残された車の話までは・・・
行方不明者の車が発見されたという話も時々聞いたり目にしたりしましたが
想いは遭難された方やご親族の方々の方へいってしまって
持ち主がいなくなった車のその後まで思い至りませんでした。
亡くなった方は残念ですが、それだけでは終わらないということを感じました。
あらためて、「その後」を考えさせられました。
todora5502さん、こんばんは。
初めまして。
私も今まで、ニュースやネットで見るだけの遭難という事柄。
どこか他人事のように感じてしまっていましたが、
今回直接ご親族の方や車と接して考えさせられた気がします。
ご主人様を亡くした車や車内の物は、
先日まで元気に走ったり使われていた愛用品もすっかり魂が抜けてしまったように思え、
持ち主が居なくなることでその周りすべてが時が止まったような感じがしました。
これから山に入る時、この事を忘れないようにしたいです。
コメントありがとうございました。
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