以前の記事では、リスク管理の観点から必要装備の検討を行いました。リスク管理で目指すものは及第点で、あくまで生還することが目的です。リスクの備えが済んだら、あとは快適性を求めていくことになります。快適に行動できるということは、体力的余裕を生み、行動範囲を広げ、楽しみを増やします。また疲労が軽減されるため、疲労による停滞や誤判断を回避し、遭難リスクを下げます。
基本装備が整ったら、次はウェアリング、シューズ、バックパック…つまり、服と靴とカバンが良いでしょう。私がこれらを選ぶ時の条件は、雨に強く、雨や汗は早く乾き、軽く、動きやすいものを、手が届く価格で手に入れます。3シーズン(春、夏、秋)で考えてみましょう。
【ウェアリング】
真冬に水着で外出する人はいませんし、真夏にスキーウェアで海に現れる人もいないでしょう。安全を確保しながら、かつ荷物を必要最低限の重さに抑えるには、行く先の気象がどうであるか想像し、情報収集することから始まります。その上で、私は下の中から適当な組み合わせを選び、持って行きます。
・インナーウェア
木綿の肌触りは快適です。しかし、山では欠点となる性質があります。それは、一度水を吸うと乾きにくいことと、肌に張り付いて伸縮性がなくなることです。行動中にかいた汗を吸収し、歩くのが大変になります。標高が高い場所で停滞(休憩)すると、冷たい風に吹かれることも多くあります。汗で濡れた衣類は急速に冷えます。歩いてもきつい、休んでも寒いで地獄です。化繊で伸縮性があり、汗を素早く乾かす素材が、清潔で体温を不要に下げず、運動しやすく、良いと言われています。山専用の服でも良いですし、その他のスポーツ用の衣類も山向きです。
・アウター
なるべく長袖長ズボン(orタイツ)など、皮膚が直接露出しないようにします。怪我、虫刺され、日焼けの対策です。山用のパンツはジャージのように伸縮性があり、運動しやすくできています。山に適さないのはジーンズや綿のチノパンで、経験上とても疲れます。ジャージの方が適しています。最近は男女ともサポートタイツの人も多く見かけます。
・防寒着
標高が1000m高くなると、気温は7℃低くなります。例えば、平地が30℃だったとしても、3000mだったら2℃です。(ちなみに富士山は3776mなので、もっと寒い!)
夏でも登る山によっては、防寒着が必要です。寒さを防ぐには風をシャットアウトし、なるべく乾燥した状態を保ち、中に空気の層を作ることで暖かさが保てます。風のシャットアウトはレインウェアで行います。ウインドブレーカーを別に持ちたくないからです。空気の層は、羽毛(ダウン)が最強です。小さくなる上に軽いのですが、とても膨らみ暖かいです。しかし、ダウンには、水にとても弱いという欠点があります。濡れると羽毛がくっつき、寒いことこの上ありません。そのため、化繊のダウンやフリースを持つ方も多いようです。ユニクロのでも無いより良いです。私はウルトラライトダウンをよく突っ込んでいます。
・レインウェア兼ウインドブレーカー
日本は雨が多くいつ降られるか分からないので、雨具は必須です。しかし、山では傘をさしません。両手が使えないと危険だからです。代わりにレインウェアを着用します。レインウェアは、透湿生地がお勧めです。透湿でない生地は、運動に伴って出る汗が内部で結露し、体を濡らして冷やします。とても不快ですし、天候によっては命に関わります。透湿素材は水蒸気が抜けるので結露しにくく、運動中でも濡れにくくなっています。高額なものが多いですが、ミズノなどは上下で12000円ぐらいと廉価でまずまずの性能のものを出しています。レインウェアは風にも強いので、1着入れておけば、ウインドブレーカーと兼用できます。防寒着の上に羽織ると、暖かいです。
ヨドバシ.com - ミズノ mizuno A2JG4A0125 [ベルグテックEX・ストームセイバーVレインスーツ L ブルー]【無料配達】
http://www.yodobashi.com/ec/product/100000001002352557/index.html?gad1=&gad2=g&gad3=&gad4=56278881131&gad5=896837506363902815&gad6=1o4&xfr=pla&gclid=Cj0KEQjwwMi7BRDGptbvwOCDj8oBEiQAIALyDFf3K7vC0GQDvgkyVOUKou3gmYp5EQcJxMZQbA3yceMaAj2o8P8HAQ
・帽子など
時に森林限界を超えた稜線に出ると、日光を避ける場所がなくなります。日焼けも本当に火傷になってしまいますので、熱中症と日焼けを予防するために、夏季はつばの広い帽子があると良いでしょう。男性は首の後ろが良く焼けます。
【フットウェア】
・シューズ
私は低い山ならランニングシューズで行ってしまう時もあります。軽くて行動しやすいです。ただ、普通の靴では歩きたくない環境があります。ぬかるみ、水たまり、残雪、雨です。普通の靴では濡れるし、滑ります。そうしたフィールドでトレッキングシューズを履いていると安心します。シューズにも防水透湿生地を使用した商品があります。多少湿潤なフィールドを歩いても平気ですし、下りでも普通の靴より滑りにくい気がします。足首が固定されるのでくじきにくいと言われますが、それはしっかり紐が結べていればの話です。6000円から20000円以内ぐらいで大抵はこなせると思います。
モンベル | オンラインショップ | ワオナブーツ Men's
http://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1129305
・靴下
登山では靴擦れが起きやすいので、登山用の厚手の靴下を履きます。重ね履きするより、専用の方が良いと思います。1足2000円ぐらいです。
【バックパック】
・リュック、バックパック
山の人はザックとも呼びます。選定基準は、容量、軽さ、便利さ、耐候性です。日帰りハイキングだと容量25Lぐらい、1泊小屋で30Lぐらい、冬季の1泊で45Lぐらいが目安でしょうか。夏のテント泊なら45Lで2泊ぐらいは行けます。私は大は小を兼ねるということで、最近はどこでも40Lで行ってしまいます。
荷物が重いと、体力に響きます。中に入れるものもそうですが、バックパック本体の重さは、最後は自分の背中に返ってきます。内部が2部屋に分かれていると荷物が取り出しやすかったり、ポケットがたくさんあると重宝するのですが、高機能だと意外に1kgぐらい重かったりします。1kg軽くしたら水1L余計に持てると思うと、私はシンプルに雨蓋のついたバックパックで十分だと思います。なお、雨に降られるとバックパックも濡れてしまうので、濡れては困るものは極力防水バッグに入れておくことにしています。バッグはたくさん担ぎ上げる時は重くなります。背負い心地が悪いと歩くのが大変になるので、実際に背負ったりして選ぶと良いでしょう。
モンベル | オンラインショップ | グラナイトパック 40
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1223349
私が使っているものをリンクしてみましたが、男性用なので女性は女性用の一回り小さいものの方が良いかもしれません。また、商品が廃盤になった場合リンク切れになることもあります。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する