９月２４日の山カフェ（NHKラジオ第一）のゲスト・松田宏也さんのお話を聞いて詳しく知りたくなって、中国領ミニヤコンガから奇跡的に生還した松田宏也さんの遭難顛末記（ミニヤコンガ奇跡の生還）を読みました。
ラジオのお話と大体同じですが、文章で読むと遭難脱出行の壮絶さが増して伝わってきます。文章表現が上手く読み物としてもぐいぐいと引き込まれました。そういう意味でも名著であると思います。
山カフェで聞いた時には、生還を諦めない松田さんは、意志が強く生への執着が非常に強かったので生還できたのかなと思っていましたが、本を読んでいくうちに生へ執着だけではこれだけの壮絶な事態を切り抜けられなかったのではないかと考えるようになりました。前の日記「もう、下に降りるしか選択肢がない」で、生か死かの考えは浮かばず、ただ頭には「下に降りるしか選択肢がなかった」と語られたことを深読みすると、それは松田さんの意志を離れたところで生かされたのではないか考えるしかありません。松田さんは、潜在意識より深いアーラヤ識（大乗仏教の唯識の考え方）によって五感が研ぎ澄まされ時に麻痺させて身体が動かされていたからこそ、奇跡の生還ができたように思います。私ならとっくに諦めて間違いなく凍死となったでしょう。
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