11月3日、武奈ヶ岳山頂近くの細川越にて午後2時前になり、午後2時までに山頂に登頂できない場合は細川越から広谷・イブルキノコバへ迂回するという計画を立てていたため、山頂をあきらめて迂回ルートを歩いていた時です。ヘリのプロペラ音が聞こえてきました。周辺をぐるぐる回っていたので、誰か要救難者が出たかなと思いつつ、足を進めておりました。ヘリは何度も私の前方の上空を右から左へ横切って行ったので、旋回しつつ救難者を探していたようです。
やがて発見したのか、「直ちに登山を中止してください」というヘリからの呼びかけが聞こえました。その後ホバリングしていたのか、それからしばらくヘリの音は動かなくなり、広谷に到着する直前でヘリの音は遠ざかって行きました。登山を中止してくださいという呼びかけも変だなと思いつつ、無事収容されて搬送されたなら良かったなとその時は思っていました。
その後イブルキノコバの手前ですれ違った女性二人に話を聞いてみたところ、やはり救助隊員が垂直降下し、その後ヘリに戻って行かれたとのことでした。救助された人は見ていないとのことです。隊員の呼びかけが明瞭に聞こえたので、イブルキノコバ周辺だとするとなかなか狭い場所なので苦労されたことと想像します。
私も今の季節ですから4時過ぎには下山したいなと思いつつ道を急いでいたのですが、カラ岳から釈迦岳、イン谷口に下山中にたまたま2回すれ違った人と話が弾み、一緒に下山していたところ、先ほどのヘリの話になりました。
その方は救助の一連を見ていたとのことで、顛末を教えてくださいました。救助されたのは若い女性二人組だったとのことでした。今日は天気も良かったので遭難とかも考えにくかったのと、せっかく見つけてもらったのに「登山を中止してください」と呼びかけられていたのが引っかかっていたので、話を聞かせていただきました。
すると、別に怪我をしていたわけではなく、ただ疲れただけだった様子だったとのことでした。その二人の会話に、「もうちょっと先に歩こうか」「え、もう救助呼んじゃったよ」というものがあったとのことです。当時はまだ2時過ぎですから、歩けるなら十分下山できる時間です。周りには携帯で写真を撮る登山者がいる中、ヘリに引き上げられていったとの話でした。
なるほど、救助を呼んだにもかかわらず歩いていたので登山中止を呼びかけられていたのかと腑に落ちたものの、歩ける状態なのに平気でヘリの救助を求めていたという状況に驚きました。タクシーじゃあるまいし。
この出来事の少し前、釣瓶岳の頂上手前で一人の男性とすれ違いました。どこから登って来たか聞かれたので、朽木スキー場とお話しすると、地蔵峠まではまだ距離があるかということを聞かれたので、男性の疲れ具合から「ちょっとありますね」と答えました。午後4時前のバスを逃すと次は1時間半先になりますが、そのバスを目当てに歩くと途中で暗くなってしまう心配もあります。すると「地蔵峠から畑に降りる予定が、とても自分の足では行けそうにないのでイクワタ峠から下山します」と言われました。しかしイクワタ峠から降りると国道367号線に出ますが、そこからの交通手段は朝のバスしかありません。なのでそれをお伝えすると、「それは大丈夫。もうタクシーを手配しましたから」とのことでした。今からなら細川越まで戻ってガリバー旅行村に下りれば4時過ぎのバスに間に合うかもとも思いましたが、この男性の判断を尊重し、山行の無事を願わせていただくのみで、余計な提案は慎むことにしました。
山は無事に家まで帰ってなんぼです。この男性の判断は素晴らしいものだったと思います。またチャレンジするチャンスはいくらでもありますから。
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