今日をもって京都バス10番の運行が年内終了となるので、乗っておくことに。出町柳のいつもの行列は、寒くなってきたためかだいぶ短くなりました。今日は座席の心配はいらなそうです。外国の方も多い。よくこんなバスを知っているものですね。何年か前、運行終了を知らずに出町柳で呆然と立ち尽くしていた馬鹿垂れは私でございます。
さて、バスは出発。大原方面に進むと白いものがちらほら。今日は雪を楽しめそうです。数年前は寒くなっても窓を開けての運行でしたが、今日は暖かく向かえます。だんだんうとうとしてきましたが、寝てしまっても平あたりでガサガサして目が覚めるだろうと、努めて寝ようとしていました。
盗み聞きをしていたわけではありませんが、そのうち後ろの席の方の話し声が聞こえてきました。いろいろと隣の方に山のレクチャーをされているようです。多分一緒に登られるんでしょう。ヤマップの話、道迷いに陥った場合の話なんかが時折耳に入ります。まあ教えてくれる人がいるというのはありがたいことでしょう。うとうととしつつ勝手に耳に届いていたのですが、ちょっとした単語が引っかかって意識が冴えてきてしまいました。
「手袋がないというは・・・何か巻くものでも・・・汗はかかないから・・・道を歩いて戻って堅田に向かえば・・・」などなど。まあ一緒に歩かれるならこの人が何か持ってきてあげているのでしょう。先輩が教えてあげているような雰囲気でした。ちなみに堅田方面へは狭い路側帯を何時間も歩くことになるのでまず無理だと思いますが、余計な水を差さずにまたうとうとします。
バスは平に到着。外国の方々はみんな下車され、バスの乗客も半分ぐらいになったなと思ったら、後ろの方も「色々教えていただきありがとうございました」と言って一人だけ下車されようとしています。えっ?と思って降りる人を見ると、まだ少年。とても登山用具というものもなさそうな雰囲気で、長い杖を1本素手で持っている状態。えっ?おじさんのほうは一緒に降りないの?一人で行かせるの?一緒のグループじゃないの?思わず二人をまじまじと交互に見てしまいました。
覚醒していなかった頭に届いていた単語が一気につながります。つまり、少年が一人でほぼ山の知識もなく手袋もなく、杖一本でこの季節に平から権現山方面に登ろうとしているということ。飲み物もなかったということのような。おじさんはたまたまバス停で会ったのか、お話しされていたらしい。しかしそんな状況で送り出します?山は自己責任ではありますが、知ってしまったからには心配でたまらなくなりました。
余計なお世話は重々承知ですが、もし私が隣であればすぐさまスマホにヤマレコかヤマップをインストールさせ、最短になるであろう権現山から和邇へのルートを引き、予備の手袋を押し付けたのに。知ったタイミングによってはもっと手前でバスを降りて引き返すことを勧めたかもしれません。繰り返しになりますが、余計なお世話ということはわかっています。しかし今日は日が悪い。予報によると雪山になってしまっていますから。
窓から下車した少年を見ていると、おそらく登山口がわからないのか、グループ登山の方々に話しかけている姿が見えました。無事を祈るとともに、陽気にレクチャーしていた後ろのおじさんにも何とも言えない感情が湧いてきました。天気が良さげなのが救い。そして坊村で私も下車すると、おじさんを乗せたバスは去っていきました。
山行中も、思い出すとあの少年が気になる。無事であれば良いけれど。そして本日の終盤、ダケ道を下っていると外国の方の6名ぐらいのグループとすれ違いました。もう午後1時を過ぎているのにどちらへ?にこやかに日本語で「こんにちは」と言ってくれましたが、もう数時間で暗くなるというのに、普通の服に普通の靴で、手袋も付けておらず、この雪なのに足のすべり止めも付けておらず、ザックも持たずにタバコを吸いながら登って来ている。突っ込みどころが多すぎて返す挨拶も出て来ない。言葉を失うというのはまさしくこういうことかと呆然と見送りました。
望む人には存分に山の良さを味わっていただきたい。でもそれは安全であってのこと。余計なお世話であるでしょうし、私が臆病なだけかもしれません。偉そうなことを書いて恐縮です。
初めてのコメントです。
バスから下車した”少年”がとても気になり、本当に無事であって貰いたいですね。
また、状況から、少年はおじさんと同じグループと予想されるため、やむ負えないですね。
以前、高齢の方が登山中に亡くなられたレコを読んでからは、気になる方には時々大丈夫そうか声を掛けています。
山での声がけは色んな意味で先人の知恵かと。お互い安全に山を楽しみましょう(^^)!
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