羊蹄山という山

先日、生まれて初めて羊蹄山に登りました。何十年も北海道に住んでいながら、何故今まで登らなかったのか...夫婦ではタイムコントロールがキツイと感じていたからです。しかし初心者だった女房が約三年の山行を積み重ね、大抵のコースを山岳アプリの平均時間で登頂下山するようになったのを機に、一番無難そうな比羅夫コースを選択しました。羊蹄山をトレーニングに使っている自衛隊員の意見を参考にしました。因みに彼らは京極コースを二時間半で登ります。私たちなら五時間はかかるでしょう。実際、比羅夫コースの往復でも十時間を少し切るくらいでした。天気にも恵まれ、比羅夫はとても登りやすいコースでした。前日の山の日に登った人の情報では、下山中に百人以上とすれ違ったという人気の山です。かつて阿倍比羅夫が北海道の政治的中心地に定めようとした場所なだけあり、人々を呼び寄せる魅力がある場所です。あそこの空気に触れるだけで、人は祓い浄められるのかもしれません。しかし人々が神々と崇める存在すら不在の静謐な山であるが故に、不健康な人は命を落とすかもしれません。そんな山だと、私は思います。