1.ヌンチャクとは
ヌンチャクとは、英語でクイックドローQuick drawといいます。
壁にボルトが打ちこまれたスポートクライミングのルートにおいて、素早く支点にロープを確保する為に用いる道具です。
通常、カラビナ2枚をスリングで繋げた物を総称して、その姿形から日本ではヌンチャクと呼びます。
アルパインクライミングや、トラッドに関しては説明を省きます。
ビレイやリードクライミングの流れに関しては以下の参考動画を参照して下さい。
壁にボルトが打ちこまれたスポートクライミングのルートにおいて、素早く支点にロープを確保する為に用いる道具です。
通常、カラビナ2枚をスリングで繋げた物を総称して、その姿形から日本ではヌンチャクと呼びます。
アルパインクライミングや、トラッドに関しては説明を省きます。
ビレイやリードクライミングの流れに関しては以下の参考動画を参照して下さい。
リードクライミングの流れについてわかりやすい動画
※英語です。
※英語です。
ペツルの公式解説動画。
普通に面白いですが、少し趣向が違うかな?
普通に面白いですが、少し趣向が違うかな?
2.カラビナの種類について
カラビナには多数の種類がありますが、説明すると長くなるのでリンクを張ります。
通販サイトなのでNGくらうかもしれませんが、恐ろしく分かりやすい解説ページですので、こちらをご覧ください。
3.ヌンチャクの構成
ヌンチャクは、基本的にアンカーに入れやすいように、ストレートゲートのカラビナを使い、ロープをクリップする側は、クリップしやすいようにワイヤーゲートか、ベントゲートを使用します。
ベントゲートをアンカー側に使用すると、アンカーから外す事が難しくなり、ストレートゲートはクリップし難いですので、原則としてこの構成になります。
軽量化には有効ですが、アンカー側をワイヤーゲートにする事は、外れるリスクを含む事にもなるので、
個人的にはお勧めしません。
ベントゲートをアンカー側に使用すると、アンカーから外す事が難しくなり、ストレートゲートはクリップし難いですので、原則としてこの構成になります。
軽量化には有効ですが、アンカー側をワイヤーゲートにする事は、外れるリスクを含む事にもなるので、
個人的にはお勧めしません。
4.ヌンチャクの種類について
基本的に実際の岩場でのヌンチャクの使い分けは、ゲートの種類よりもスリングの長さによります。
一般的にスリングの長さは、10cm前後、20cm前後、25cm前後の3種類用意されています。
基本的にセットで販売されているものは、10cmのスリングで、ジムで主に使用されているものと同じ長さとなります。
上の写真では、一番右の3本が10cm、真ん中が12cm、一番左の3本が25cmとなっています。
一般的にスリングの長さは、10cm前後、20cm前後、25cm前後の3種類用意されています。
基本的にセットで販売されているものは、10cmのスリングで、ジムで主に使用されているものと同じ長さとなります。
上の写真では、一番右の3本が10cm、真ん中が12cm、一番左の3本が25cmとなっています。
5.クイックドローの禁止事項
●その1.上下を必ず使い分ける。
先ほど申し上げたように、アンカー側とクリップ側ではそれぞれの利点を生かしたカラビナを選択する事を上げました。上下同様のカラビナを使用していた場合についても、上下は必ず決めておかなければなりません。
先ほど申し上げたように、アンカー側とクリップ側ではそれぞれの利点を生かしたカラビナを選択する事を上げました。上下同様のカラビナを使用していた場合についても、上下は必ず決めておかなければなりません。
上の二枚の写真は一つのクイックドローのクリップ側(上)とアンカー側(下)ですが、見てわかるように、アンカー側は支点の金物によって傷ついています。この状態でロープを通すと、ロープが痛みます。
クイックドローのスリングは、アンカー側は回転するように、ロープ側は回転しないように固定してあります。
もし、ロープ側が回転した場合、上の写真のように岩に引っかかりゲートが下に向いて外れたり、カラビナの弱点である横方向での力が墜落荷重に耐えれずに破断する恐れがあります。
逆に、アンカー側のスリングを固定した場合は、ロープに引っ張られて動く事で回転し、カラビナが
破損する。または外れる恐れがあります。
もし、ロープ側が回転した場合、上の写真のように岩に引っかかりゲートが下に向いて外れたり、カラビナの弱点である横方向での力が墜落荷重に耐えれずに破断する恐れがあります。
逆に、アンカー側のスリングを固定した場合は、ロープに引っ張られて動く事で回転し、カラビナが
破損する。または外れる恐れがあります。
山岳ガイドの方の解説ページ。正直ここを見てくれれば何の説明もいらない。
アンカー側を固定する事で起こる弊害の検証を行っている。
アンカー側を固定した事によって起こる危険を解説。分かりやすい。
●その2.ヌンチャクをカラビナで連結しない。
先ほど説明したようにヌンチャクの種類とはスリングの長さによります。
25cm以上のスリングが必要な場合、もしくは長いヌンチャクが足りない場合に、連結しているケースが見られますが、上で説明したようにロープ側のカラビナはデリケートなので基本的に他の金属との干渉を好みません。また、ヌンチャクを実際に連結してみるとわかるのですが、基本的に壁面と平行の向きになるヌンチャクが垂直方向に向くことになり、ロープの動きによる捻じれも増大し、外れる事もありえます。
実際に事故が発生した例もあるようです。
25cm以上のスリングが必要な場合、もしくは長いヌンチャクが足りない場合に、連結しているケースが見られますが、上で説明したようにロープ側のカラビナはデリケートなので基本的に他の金属との干渉を好みません。また、ヌンチャクを実際に連結してみるとわかるのですが、基本的に壁面と平行の向きになるヌンチャクが垂直方向に向くことになり、ロープの動きによる捻じれも増大し、外れる事もありえます。
実際に事故が発生した例もあるようです。
上のようにカラビナを外して予め連結しておけば、長さは短くなりますが、上記のような危険性は回避できます。
6.アンカー側を安全環にするという選択肢
上記の禁止事項を守っていても、アンカーからヌンチャクが外れて起きた事故が度々発生しています。
絶対に外れてはならない1ピン目や、蛇行する難しい場面においては、アンカー側を安全環にするという選択もあります。
アンカーの位置が時々危険な状況になりえる位置に打ちこまれている状況があります。その場合は、長いヌンチャクを使用する事が前提だったり、そもそも開拓時にそこまで考えられていないケースなど、さまざまですが、安全を優先したら安全環を使用する事は決して恥ずかしい事ではありません。
例として小川山のマラ岩にあるブルースパワーではアンカー側のヌンチャクからスリングが外れた墜落事例が発生しており、安全環を使う事が推奨されています。
絶対に外れてはならない1ピン目や、蛇行する難しい場面においては、アンカー側を安全環にするという選択もあります。
アンカーの位置が時々危険な状況になりえる位置に打ちこまれている状況があります。その場合は、長いヌンチャクを使用する事が前提だったり、そもそも開拓時にそこまで考えられていないケースなど、さまざまですが、安全を優先したら安全環を使用する事は決して恥ずかしい事ではありません。
例として小川山のマラ岩にあるブルースパワーではアンカー側のヌンチャクからスリングが外れた墜落事例が発生しており、安全環を使う事が推奨されています。
KONGのFROGという素早くアンカーに取り付けられるものも発売されています。
7.ヌンチャクを買う
これからヌンチャクを買うに当たり、ヌンチャクは最低10本は揃えたい所です。
最初の内は先輩クライマーがヌンチャクを掛けて、トップロープまで誂えてくれるでしょうが、対等なパートナーと岩場に出かける場合は、それぞれにやりたいルートがありますので、自分がトライするルートには
自分のヌンチャクを使いましょう。
基本的に10cmスリングの6本セットで販売されていますので、それを買うのが良いでしょう。
モデルチェンジなどで旧モデルなどがセール品でよく出ていますので、そういう機会に買った方が個別にカラビナを揃えるよりも安く済ませます。
基本的にアンカー側のストレートゲートカラビナはそこまで違いがありませんので使い続けます。
しかしスリングは一番最初に痛む箇所であり、ルートの難易度が高くなってくると、長いヌンチャクが必要になってきますので、順次交換するようになります。
また、スリングは太い方が回転しにくく、逆クリップになり難いという利点があります。
クリップ側のカラビナはそれぞれのクリップの仕方により好みが分かれてきます。
最初の内は先輩クライマーがヌンチャクを掛けて、トップロープまで誂えてくれるでしょうが、対等なパートナーと岩場に出かける場合は、それぞれにやりたいルートがありますので、自分がトライするルートには
自分のヌンチャクを使いましょう。
基本的に10cmスリングの6本セットで販売されていますので、それを買うのが良いでしょう。
モデルチェンジなどで旧モデルなどがセール品でよく出ていますので、そういう機会に買った方が個別にカラビナを揃えるよりも安く済ませます。
基本的にアンカー側のストレートゲートカラビナはそこまで違いがありませんので使い続けます。
しかしスリングは一番最初に痛む箇所であり、ルートの難易度が高くなってくると、長いヌンチャクが必要になってきますので、順次交換するようになります。
また、スリングは太い方が回転しにくく、逆クリップになり難いという利点があります。
クリップ側のカラビナはそれぞれのクリップの仕方により好みが分かれてきます。
上の写真のようなベントが強いハイエンドモデルはクリップがスムーズで快適です。
各メーカーのハイエンドモデルはとても高いので、カラビナだけ買って交換すれば今のヌンチャクが無駄になりません。
限界グレードをトライするようになってくると、クリップの1、2秒が明暗を分ける場合もあります。
各メーカーのハイエンドモデルはとても高いので、カラビナだけ買って交換すれば今のヌンチャクが無駄になりません。
限界グレードをトライするようになってくると、クリップの1、2秒が明暗を分ける場合もあります。
8.最後に
各ヌンチャクのレビューでも書こうかと思いましたが、実際に外岩での危険行為なども見る機会が多かったので、こういった形になりました。
ジムで育った強いクライマーが案外初歩的な知識を持っていないまま外に出てくるケースも多くなっている気がします。自分の命を委ねる技術なだけに、現場ではその事でトラブルになったりするケースもありますが、こうしたSNSで登攀記録を載せている立場から、少しでも技術の共有できればと思い書きました。
ご指摘等ございましたら、忌憚なくご意見を頂戴し、このレポートの質を更に向上できたらと思いますので、よろしくお願いします。
ジムで育った強いクライマーが案外初歩的な知識を持っていないまま外に出てくるケースも多くなっている気がします。自分の命を委ねる技術なだけに、現場ではその事でトラブルになったりするケースもありますが、こうしたSNSで登攀記録を載せている立場から、少しでも技術の共有できればと思い書きました。
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こんばんは。質問ですが、カラビナの傷で、ロープが傷むというのは、本当でしょうか?ロープは、岩との摩擦でも傷つかないのに、カラビナの微小な傷で傷むとは思えないのですが。
こんにちは。
カラビナの傷についてですが、直ちに切れるという事はないにしろ、小さなささくれでも傷つく可能性があります。
当然岩でも傷ついていますし、ロープの表皮が使用を重ねるに従ってゴワゴワになるのは、表皮の繊維が切れているからです。
クイックドローのクリップ側は、テンションをかけて引っ張り上げる事も多く、一番ロープが通る場所にささくれがあれば当然ロープは傷つきます。
ロープの末端から2メートル前後が痛みやすいのは、フォールの影響ももちろんありますが、クイックドローによる摩耗が原因と思われます。
何にせよクイックドローは、上下分けて使用しなければならない状況が構成上あるなかで、わざわざ使いにくい様に使い、ロープを傷つける事はないと思いますよ。
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