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更新日:2020年06月24日 訪問者数:304
クライミング/沢登り 技術・知識
沢登り/遡行技術編(NACCメンバー用)
wakatakeya
「準備編」、「遡行の流れ編」に続いて、実際の遡行時の歩き方や確保技術などについて見ていこう。
河原を歩く
基本は猫足・忍び足のように前足着地だ(ここで言う前足は土踏まずより先、足底爪先寄りを指す)。ふくらはぎの筋肉を使い、足首を柔軟に前足から猫の様に着地する。街歩きの様に踵から着地して浮石を踏んだら足首をくじく事になる。
また、身体全体が上下に動かないよう、重心の位置を保ったまま移動する。軽く中腰になって膝の屈伸を使いながら歩くイメージだ。つまりドシンドシンと歩かない。
更には、後ろ足を蹴りださない。蹴りだした足が滑ると転ぶからだ。静かに前足を置き、なめらかに体重移動をし、スッと後ろ足を抜く。これら静荷重・静移動を意識して歩こう。みんなも山道の下りではそう歩いているはずなので、河原でも同じように歩けばいいのだ。
 
 
ゴーロを歩く
ゴーロ歩きの基本は岩稜歩きと同じだ。ただし、山と違って苔ているので、岩の上を歩くよりもむしろ沢に足をつけた方が滑らない場合が多い。浮石のない水流の中では、足裏全体をフラットに置く(フラットフッティング)と良い。

 
フラットフッティング
岩は滑らない向きに足裏全体を置くのがコツだ。画像の様に前傾している岩には、直角方向へ押さえるように足を置く。この画像の場合、岩の頂点に足を置くと靴底の接地面積が少なくなり、前後に滑りやすくなる。また、腰が引けると滑る。岩面の角度に合わせて、接地面積を最大にしてフリクションを得たら岩に静かにぐっと乗り込んで(静荷重・静移動)いく感じだ。それにしても丁度良い画像があったもんだ。僕の足元はTX-3じゃないか。

 
ナメ床を歩く
スラブ上を水が流れるナメ床は苔ていて滑りやすい。フラットフッティングで、しっかりとフリクションを効かせながら歩こう。スリップが怖くて腰が引けると、余計に滑りやすくなる。置いた足と体の重心(ヘソの上あたり)を結ぶラインが重力方向(鉛直)になるように踵を下げて立つのがコツだ。もちろん静荷重・静移動で歩く。後ろ足を蹴りだせばスリップ転倒しかねない。

 
ナメ滝を登る
ナメ床よりも角度が急なナメ滝は、ホールドがないと登攀は難しい。画像の僕はフレーク状のクラックをアンダーで持って、足元のフリクションを稼いでいる。スラブのクライミングと同じで、岩の弱点を探して登ろう。

 
登攀時のホールドについて
沢の岩はいつもの整備されたクライミングエリアのそれとは別物だ。水流で磨かれ苔でぬめり、いつ動いたり剥がれてもおかしくないのが沢の岩だ。
従って、ホールドはガツンと引いてはいけない。むしろ押さえ込むように登る意識が良い。
フットホールドは飛沫や水流で特に分かりづらい。なので手で確認したり、ぬめっていればタワシで磨く。シューズタイプのフェルトソールは底が厚く足裏感覚が掴みづらい。沢足袋タイプのものは底が薄く柔らかいので、掻き込みをより意識する。スメアリングとエッジングを使い分け、確実にホールドを保持しよう。

 
小滝を登る(水流に足を置く)
滝を越える場合、流心(水流の中心)にも良いホールドがあったりする。そんなホールドをしっかり保持して水を浴びながら登るシャワークライムは楽しいものだ。その時の足や膝は、水流に対してなるべく真っすぐに置いて、水の抵抗を減らすことだ。画像を見ても分かるが、流れが白く飛んでいる箇所は良いホールドがある可能性が高い。

 
小滝を登る(カッコ悪くてイイ)
いきなりカッコ悪い事例に出してスマン、イオタン(笑)。彼女は「鯉の滝登り」の名人である(笑)。普段のクライミングではヌンチャクや木を掴むと「ズル」になるが、沢は落ちない事が最重要なのだから何でもあり、カッコ悪くてイイのだ。ただし、鯉滝は水の抵抗が大きいのであまりお勧めしない。お腹のフリクションを活かせる彼女ならではの技とも言える(爆)。

 
小滝を登る(アシスト)
文字通り手を貸してハラさんが秋ちゃんのアシストをしている。先行メンバーはお助けヒモを出したり、後続はスポットやショルダーをしてこのように積極的にアシストをしよう。自力で登りを楽しみたければ、出された手を取らずにそのまま登ればいいのだ。

 
小滝を登る(お助けヒモ)
先行メンバーはスリングやロープを持って行こう。この画像ではスリングを出してアシストしている。こう言ったモノを「お助けヒモ」と呼ぶ。





 

 
小滝を登る(肩がらみビレイ)
お助けヒモも、6メートル程のロープを出す場合もある。ロープの先端にあらかじめカラビナを結んでおり、ハルちゃんのハーネスに接続している。僕は肩がらみと呼ぶ方法で彼女の滑落を防いでいる。
こう言ったビレイ(確保)では、ロープのテンションを常に張っておくのが大事だ。ロープがたるんだ状態で滑落したら、衝撃荷重でビレイヤーの身体が持っていかれる。この場合のロープも、クライミング用のダイナミックロープ(伸びて衝撃吸収する)よりも、伸びないスタティックロープの方が良い。

 
小滝を登る(肩がらみ2)
この斜面は草付きで滑落の危険がより高い。そしてクライマーは体重の重いチャリンコだ。なので僕のビレイも、よりフリクションが高くなるよう肩から股を通している。腰がらみビレイの方が有効な場合もある。また状況によってビレイヤーも自己確保を取るべし。それにしてもチャリンコよ、面倒なのでもっと体重を落としてくれ。

 
小滝を登る(ショルダー)
上部のホールドに届かない場合は「ショルダー」も後続ができる有効なアシストだ。腰を落として壁に手をついたメンバーの膝や肩にクライマーが乗り上がるアシストを総称してショルダーと呼ぶ。この場合、クライマーは優しく足を置いてあげるべきだし、体重も軽い方がいい。ね、イオタン?(笑)。

 
小滝を登る(水流を避ける)
画像は僕の師匠・タカちゃん。空手キックで水流を避けて対岸のホールドを取りに行っている場面だ。水量が多く、しかもハングしている場合は流心のホールドを保持しづらいので、こうした形になる。この後、白メットのハラさんもトライするが、足が届かなくて敗退してた(笑)

 
大滝を登る(セカンドビレイ)
10m滝にトライするラララの場面だ。ここではマルチピッチでやるようにセカンドビレイをする。滝上では支点構築がしづらい場合もあるので、十分なスリングやカム、スカイフック等があると良い。ここでは先行者は滝を高巻きして支点確保した。
複数人がここを登る場合は、人数が少なければ一人が登り切ったらロープを投げおろす。人数が多ければ、終了点を固定してアッセンダーを使う、等と様々な技術がある。

 
大滝を登る(支点構築)
セカンドビレイする場合は、支点構築が最大のポイントになる。滝上は開けていて支点構築がしづらい場合がある。岩や立木、クラック等を利用して分散荷重させる。こんな場面では宙ちゃんが一番イキイキしている気がする(笑)。ちなみに、ビレイセットの合図などは笛が無いとクライマーまで届かない。

 
大滝を高巻く
「高巻き」は遡行の最重要技術だ。これが出来ないと先に進めないし、事故が多い場面でもある。泥付き草付きのスリッピーな壁を登ることもあるし、高く登り過ぎると沢に降りれなくなる。よって高巻きの基本は、「なるべく小さく巻く」そして「壁の弱点を見つける」ということになる。
僕らが遡行する1級(初心者向け)の沢では、高巻くルートに赤テープがある場合も多いので、ルートファインディング能力はあまり問われない。が、壁の弱点を見つけて小さく高巻く、というルーファイ能力こそが沢を安全に楽しむ最も必要なものなのだ。

 
大滝を高巻く2
画像はハルちゃんが高巻きでトラバースをしている場面だ。トラバースが最も滑落事故が起きやすい。ここではロープを出してヌン掛けさせている。泥壁や草付ではフェルト底は特に滑りやすい。滑らない技術は冬山のアイゼンワークとも共通する点が多いので、ぜひ学んで欲しい。キックステップや踵の踏み込み、バイルの使い方などがある。
それらの基本は「鉛直に立つ」ことだ。滑落を恐れて腰が引ける、または山側に身体を倒しすぎると重心が足元からずれてフリクションが低下し、滑る。スラブ登りでもよく言うが、身体はなるべく重力方向(鉛直)に立てること。どうも女子メンバーはトラバースが苦手なようなので、また八女津媛スラブで特訓しような。


 
ゴルジュを突破する(へつる)
ゴルジュとは画像のような両脇を岩壁に挟まれたV字状の谷を指す。ゴルジュは沢の景観として美しく特徴があるので、こいつが出てくるとテンションが上がる。さて、ゴルジュ突破の基本は、「泳ぐ」か「へつる」かだ。へつりとは画像の様にトラバースすることを指すが、これにもコツがある。それは「出来るだけ水面に近くへつる」だ。
高巻きと同様で、どうしても登りやすい上方へとトラバースしがちだ。すると降りれなくなって進退窮まってしまう。よって、水際や水面下にあるホールドを見極めラインを探すことだ。仮にドボンしても、水流が弱ければ大した事にはならない。マキがへつりでドンドン上がって行ってドボンした時は少々焦ったがな。

 
ゴルジュを突破する(泳ぐ1)
上記と同じ滝川谷のゴルジュを泳ぐラララ。背中のザックに体重を預ける「ラッコ泳ぎ」の見本だな。流れが緩ければ、へつるより泳いだ方が早い。
ゴルジュを突破する(泳ぐ2)
立松谷のミニゴルジュを泳ぐチャリンコ。流れが速くても泳力があれば泳いで突破できる。沢泳ぎの基本は平泳ぎだが、さすがトライアスロンで鍛えているだけの事はある見事な泳ぎっぷりだ。
ゴルジュを突破する(ステミング)
上記と同じミニゴルジュを僕はステミングで抜けた。チャリンコには泳がせておいて、水に浸からない僕に非難の視線が浴せられた。足が長いという利点を活かしただけのコトですけどナニカ?
ゴルジュ突破を失敗した場合、下流に滝があると非常に危険だ。しかし高巻きもへつりも出来ない、そんな場合はロープを出そう。また泳ぎのある遡行では「ラッコ泳ぎ」を流れの緩い場所で習得しておきたい。それも自信が無ければ、フローティングベストを買うと良い。泳力のない人は、「流される勇気と安心感」を手に入れる事が大事だ。

 
釜を泳ぐ
滝壺や甌穴など丸く流水が溜まっている所を「釜」と呼ぶ。ゴルジュと同様にへつるか泳ぎで突破する。ただし水流がゴルジュのように直線で流れず、渦巻いている場合も多いことに留意。ミーボーは釜の中でグルグル回って溺れそうだった(笑)。水量が多く深い滝壺に落下したら、水中でグルグル回って浮かんでこれない場合もあるので注意したい。

 
沢登りの魅力
沢登りは、アルパイン登山としての総合力が問われるものだろう。そしてピークを目指す登山とは一味違う、つまり山頂や稜線からの眺めにはない渓相美やシャワークライムの爽快感などを楽しめる独特な山行形態だと思う。
その遡行技術としては、ここに記した他にも急流渡渉や藪漕ぎ、雪渓の突破や沢の下降、沢でのビバークから渓流魚やキノコを肴に担いできた酒を飲む焚火宴会などなど(笑)、まだまだ奥深いものが多くある。

現時点での我々は、まだ中級上級の沢に行く技術も経験もないのだけれど、まずは今回記した基礎編といえる遡行技術を確実なものにしておきたい。
ボルダリングからマルチピッチまで、いま楽しんでいるクライミングのスキルは沢登りと共通していることは多いし、これからもトレッキングから縦走登山、冬山も含めて大いに大自然の恵みを楽しめる我々メンバーでいられるようにこれを記したつもりです。

さあ、それじゃ(前泊で飲みすぎないようにしてww)沢に繰りだそうか!

 
 
藤河内渓谷の絶景、ラストの大滝に感動した
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この記録へのコメント

登録日: 2010/7/27
投稿数: 1714
2020/6/24 5:34
 気がついたこと
> 流れが白く飛んでいる箇所は良いホールドがある可能性が高い。
ここの写真で、水の流れの中で岩と水流の白い気泡の濃淡、それを見極めることで順層と逆層がわかる。
逆層は白い気泡が下に見えて、 順層は気泡が目立つのではなく水流が盛り上がるはず。
言葉でうまく表現できてないです、、、


「肩がらみビレイ」
濡れたロープを服と体に半分でも巻き付けるとクライミングと違いかなり安心して確保出来る。
あと岩に半回転巻くのもあり。

「支点構築」
> ビレイセットの合図などは笛が無いとクライマーまで届かない。
逆にクライマーの登ります!の合図も届かない、上下の双方が笛を持つべきである。

「大滝を高巻く2」、「ヌン掛け」
危険度合いを見てより危ないトラバースではヌンチャクより、アッセンダーや登行器(漢字あってる?)、フリクションヒッチを使いたい、トラバースのヌンチャク掛けとアッセンダー、フリクションヒッチ、滑った時のリスクの違いはヌンチャクは支点まで滑るがそれ以外はすぐ止まる、スピード、リスク回避で使い分けたい。この写真はヌンチャクで充分でした。

「ゴルジュを突破する」、「流される勇気と安心感」
ここで落ちたら岩に当たるのか?ドボンですむのか?、ここで流されたら下流の滝に落ちるのか?落ちずに止まるのか?安心感は事前の観察が欠かせない。

まぁ総合的に俺もわかさんも遊んでる、いや勉強してるなぁってのがよくわかる。
登録日: 2013/7/21
投稿数: 1842
2020/6/24 8:30
 宙ちゃん>Re: 気がついたこと
コメントありがとう。
こうやって意見や知見を出し合うのって大事よね。時間があればリスク編も書きたいです。
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