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更新日:2013年12月22日 訪問者数:9053
ジャンル共通 技術・知識
山行計画書の書き方~ヤマケイオンライン配布版を例に~
minislope
山行計画書の必要性
山行計画書は緊急時にあなたを見つけ出すための大事な情報です。
また、計画書を書くことで行動に具体性が生まれ、
イメージが湧き、リスクを回避できる可能性も高くなります。

このノートでは実際の計画書を見ながら、どんなことを記載すべきかを書き出しています。
計画書はヤマケイオンラインのものを利用しています。

※画像の○に番号はWEB上では環境依存により表示できないので()に番号となっています。
(1)提出先
家族や友人、同僚、山岳会メンバーなどに1枚、登山口にポストがある場合はそちらにも1枚がベターです。
積雪期の場合は登山口のある警察署にメールか郵送で送ります。
(2)所属・団体等
山岳会に所属している場合に記入します。
所属というのは自身の所属している会名、
団体は自身の会が所属している日本山岳会、岳連、労山のいずれかの支部名を。
その代表者の氏名や連絡先も記入します。
(3)緊急連絡先等
緊急連絡先は下山連絡先・留守宅本部とも呼ばれます。
提出先とした家族や友人、同僚、山岳会のメンバーを通常設定します。

緊急連絡先へは計画中止時や下山時に必ず連絡をとります。
緊急連絡先として計画書を受け取った相手には、
下山予定時刻を過ぎても下山連絡がない場合、参加者へ連絡を入れてもらいます。
連絡がつかない場合、警察などへ救助要請してもらうことになります。

行程が遅れてしまい、携帯電話での通話エリアに出れていないだけということもあるので、
緊急連絡先の相手とは救助要請を入れてもらう時間をよく相談しておきましょう。
行動不能となりやすい日没後とか夜7時を過ぎたらなど具体的に。

そういった点を踏まえ、緊急時連絡先はできるだけ決まった相手にお願いするのがベター。
山岳会のメンバーに依頼する場合は緊急連絡先の相手が山に入るのはNGです。
連絡可能な場所にいる方に必ずお願いしましょう。

救助体制の有無ですが、これは山岳会に所属の場合、
遭難時に山岳会メンバーが現地に入り、捜索協力できる体制にあるかないかという意味です。
(4)山域・山名
山名を記載します。
日本には同じ名前の山が多く存在しますから、どの山域にある山なのかも必ず書きましょう。
自身で山域が判断つかない場合は登山口から山頂(目的地)に至るまでの行動範囲にあたる市町村名などを。
(5)登山形態
通常の登山の場合、同じルートを往復利用するピストン、いくつかの山頂を通っていく縦走などがあります。
宿泊もある行程であれば、テント泊、小屋泊なども記入しましょう。

その他、登山のジャンルとして沢登りやアルパインなどであれば必ずその旨の記入を。
(6)役割
チーフリーダー(CL)、サブリーダー(SL)、車(運転手)、食事担当(食担)などがあります。
行動中の判断の最終権限を持つ人を決めるという意味で、必ずCLは決めましょう。

CLは感情をきちんとコントロールでき、パーティーの技量を客観的に判断できる人や、
あえて臆病な人、慎重な人が向いているかもしれません。
また、毎回同じ役割を当てず、ローテーションしてゆくことも経験値になります。
(7)氏名
難読漢字であればフリガナを。
(8)生年月日・年齢
(9)性別
(10)血液型
RH(−)の方は是非記入しましょう。
(11)現住所・電話番号・携帯電話
(12)緊急連絡先(間柄)・電話または住所
参加者個人の緊急連絡先を記入します。
未成年であるお子さんや身体のご負担があるような高齢のご両親などは避けるほうがいいかもしれません。
(13)山行期間
山行の期間、日時を記載します。
縦走や雪山などは荒天等の停滞を考慮し、予備日を入れるようにしましょう。
(14)行動予定
どの登山口から、どこを経由して、どの山頂(目的地)に向かうのか、またどこに宿泊するのかを記入。
登山地図や登山ガイドなどからコースタイムを検討し、通過予定時刻も記載しましょう。
自身やパーティーの歩行ペースが客観的に判断できない場合は、
コースタイムに2〜3割ほど時間を上乗せしておくといいと思います。
(積雪期のタイムは無雪期のコースタイムは別物となりますので安易に流用しないこと)
登山や運動に慣れていない人は、ガイドブックなどに初心者・中級者・上級者などの区分がるので参考に計画します。

行動予定は緊急時エスケープルートを利用する場合や、撤退しピストンする以外は守りましょう。
予定にないルートをとれば、緊急時に捜索が簡単に及ばなくなります。
安易な現場でのルート変更はオススメできません。
(15)エスケープルート
天候が悪化しそうで山を下りたほうがいい場合や、体調が思わしくないメンバーがいるなどの場合、
行動は可能だが下山したほうがよいという状況で、本来の行動予定コースをやめ、
山岳地帯から安全圏に降りるために設定しておくのがエスケープルートです。

ただし、コースタイムが短い=安全とは限りません。
基本的には下るルートというのは迷いやすくまた急こう配であれば転倒などの危険もあります。
メンバーがそのルートを把握していればいいですが、
例えば危険箇所や迷う可能性が示唆されているのであれば、コースタイムが多少長くなっても、
一番安全と考えられるルートを検討しておきましょう。
同じルートを引き返すピストンが最良の場合もあります。
既に一度は歩いているルートなので自分たちの中に情報があるからです。
(16)基本食料・予備食・非常食
山行に必要な食料が何食必要か書き出しておきます。
予備日を設定した場合はその分も。
非常食は緊急時以外手をつけないので、準備の際も他の食料と別で扱うといいでしょう。
調理いらずのものを用意します。

また、入山時に何リットルの水を携行するかを記載してもいいと思います。
(17)共同装備
共同で持つ装備品を書き出しておきます。
誰が何を持つかなどを書いておくと山行初日分配する時や山行中誰が何を持っているか把握できます。
(18)備考
※書きたしておくとよさそうなこと

<概念図>
概念図と呼ばれる、略図が登山の世界にはあります。尾根や谷を山頂描き、歩くルートを描いたものです。
沢登りやアルパイン、積雪期は一般登山道を通らないケースがあります。いわゆるバリエーションです。
その場合はどこから沢に、尾根に取り付いているかおおよそどのあたりを通る予定かなど、
概念図を必ずつけましょう。文字による行動予定だけでは伝わりません。

<個人装備>
この計画書テンプレートにはないのですが、個人で必要な装備も書き足しましょう。
遭難時、ビバーク可能な装備があるかなどを元に捜索計画を練る場合もあるはずですから。

<天候不良時の判断>
この時点でこんな天気・こんな予報であれば中止などの情報を書きます。
入山前の中止連絡は○時などを書き込む人もいます。

<既往歴等>
山でのリスクが考えられる病気がある場合や内服・インスリン注射などをしている場合、記入しておくといいでしょう。
血液型のRH(−)情報なども。

<山岳保険への加入の有無>
山岳保険へ加入している場合は保険会社名なども記入しておくといいでしょう。

<アクセス情報>
公共交通機関を利用する場合などは、ここにバスや電車の時刻、アクセス経路、必要経費を書いてもいいかも。
まず、書いてみましょう
どんな人もはじめてやることは完璧とはいきません。何度もやって上達するのは計画書も同じ。
はじめは要領を得なくてもまず書いてみましょう。

また、実際山行をしたら、コースタイムをとり、記録を書きましょう。
計画書の予定コースタイムと比べ、時間をオーバーしすぎたりしていませんか?
荒天などの悪条件以外でオーバーしすぎているなら、
それはメンバーの体力や技量、また性質を把握出来ていなかったということです。
そういった経験や記録を重ねることで、次のより安全な計画書に生かせるといいですね^^

一番よくないのは、あなたを大切に思う誰かを悲しませることです。
誰かに「書いて提出するのが当然」と言われたからでなく、
自分のため以上に、大切な誰かのために、書くことをオススメします。
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