四賀五常・サンコウチョウライン
- GPS
- --:--
- 距離
- 4.2km
- 登り
- 59m
- 下り
- 307m
過去天気図(気象庁) | 2007年06月の天気図 |
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アクセス |
感想
サンコウチョウを探して・・,四賀里山の会,探鳥ハイク
天平の森付近に車を置き、四賀・豊科境界線の林道を歩いてサンコウチョウの棲む谷に向かう。
天平の森の遊歩道を烏帽子と呼ばれるピークまで登ると、そこから南進する古い道がある。かつては矢の沢や清水,吐中等の集落の人達が白牧を経て豊科や田沢方面に往来した道だが、天平から城山に至る林道が出来てその大半が重なることとなり、山中の古道は殆んど失われてしまった。
一旦林道に出た後、再びその道を辿って薮道に入ると、ベニバナイチヤクソウの小群落のある場所に出る。境界線に拘って敢えて薮の中に潜り込まない限り、この花を見ることはなかった。従って、そのような酔狂な者か、境界線を見廻る必要のある人しかその花の存在を知る者はいないはずで、それゆえ、花は4年前とまったく変わりなく今年もひっそりと咲いていた。
その年,この場所でこの花の名を教えてくれたTさんの冥福を祈る。病気を抱えながら精力的に行動する人で、野草に詳しく、花の名前をよく教えてもらった。ピンボケの写真で反って雰囲気が伝わるかもしれない。
20分で子ノ神に着く。ここから大口沢・中谷地区へ通ずる林道に入る。周辺はアカマツの林で日光が適度に遮られ、ひんやりと心地よい。30分ほど歩くと左手(東側)が開けて四賀村を取り巻く山々の稜線がよく見える場所に出る。そこから東側を見下ろすとはるか下方に1軒の家が見える。林道の東側法面から下はすり鉢状の斜面で、以前は眼下の景色がよく見えていたのが、法面に植えられたイタチハギが背丈より高く繁ってしまったために見えにくくなっているが、そこは蟋蟀(こおろぎ)と呼ばれる地区で、四賀側にずっぽりと入っているにも関わらず、豊科の一部なのである。
それを説明しようとイタチハギを掻き分けて覗き込むと、電気ポットや洗濯機などの家電製品が大量に投棄されているのが見えた。わざわざ覗き込むのではなかったと思ったがもう遅い。この林道は以前から指摘されていた不法投棄ラインなのだ。
15分休んで出発。20分で『進入禁止』の看板のある場所に着く。この林道の中谷地区側の入り口にも『一般車進入禁止』の看板があり、この区間は一般車が入ってはいけないかのように装ってはあるが道交法上の進入禁止ではなく、地域の人達もしくわ行政が不法投棄に耐えかねてやむを得ず看板を掲げているものと思われた。道の西側には投棄を防ぐネットまで張ってあるが、そのネットも所どころ破られてゴミが投げ捨てられているのが見える。
そこから左に分岐する林道を見送って50mほど進んだ所から左手の谷底に向けて斜面を遮二無二下るのが今日のコース。義経のひよどり越えよろしく,鹿も滑り落ちそうな斜面を谷底まで慎重に下ると、そこは細い沢の源頭部に当たる場所で、沢に沿って東に下って行くと小さな溜め池に出るのである。
沢の左右には山が迫り、狭い谷間の中ほどを更に細い流れの跡がえぐり、そこにびっしりと埋まる落ち葉の下はぬかるみで、うっかり踏み込むとずぶずぶと足をとられて歩きにくいことこの上なく、上は上で生い茂った潅木の枝や縦横に伸びる藤蔓に頭を打たれながらそれをかいくぐり、あるいは横たわる倒木に向こう脛をぶつけながらそこを乗り越え、四苦八苦しつつ下るとやがて階段状の平地が現れてくるようになる。
それはかつてそこが畑であった名残りで、おそらく狭い谷のわずかな平地に桑を植えていたものと思われた。今は桑の木の痕跡さえなく、さながらジャングルの様相を呈しているが、このような地形はこの地方ではよく見かけられる。
一帯はおびただしい鹿,イノシシの足跡のあるヌタ場でもあり、彼らがのた打ち回ったその滑りやすい泥道を、枯れ枝や倒木,藤蔓と格闘すること20分ほどでようやく目指す溜め池にたどり着く。
ため池に近づくと2羽のカモがバタバタと飛び立ち、少し離れた所に舞い降りて浮かんだ。いつものことながら、一応驚いて見せておこうか・・・,と言う感じの律儀さが可笑しい。
うるさかったセミの音がその周辺でだけは聞こえなくなり、代わりにカエルの鳴き声が聴こえるが、それはセミほど連続的ではなくうるさくもなく、それらの音に覆いかぶさるように鳥の声が入る。
わずかな音の隙間から聴こえた声の前半の部分はハッキリしなかったが、後半は『ホイホイホイ!』と聴こえ、一同は耳をそばだてて顔を見合わせた。
そのままその緊張がしばらく続き、ヒヨドリやカラスの声に混じってセンダイムシクイらしい『ショウチュウイッパイ グィー』の鳴き声やオオルリらしい声も聴こえたが、『ホイホイホイ』はそれっきりだった。
間の悪いことに今日は上の方にある学校林の手入れが行われていて、大勢の地元の中学生達が下刈りをしているらしく、先ほどまで賑やかなその声が聞こえていたし、自分達も結構大声で話しながらズカズカと歩いて来たので警戒されたのも致しかたないと諦め、一声でも聞くことが出来たことを収穫としてその場を後にする。
ため池を出て数分の後,やはり前半がハッキリしなかったが、前以上に明瞭な『・・・ホイホイホイ!』の声が聴こえて立ち止まる。鳴き声が遠くなったり近くなったりして移動しているらしいことが伺えるが姿は見えず、10分余りその場所に佇んで声とその主を探す。
一行の中にサンコウチョウの姿を見た者はなく、それらしい声を聞いたのも私だけで、その私は鳥のことは殆んど分からないと言う怪しい探鳥会である。その上,沸き立つような緑の中で姿を見つけるのは至難のことで、声を聴くことが出来ただけでもよしとすべきであろうか・・。
ようやく開けて道らしくなった草深い踏み跡を辿るとしばらくして田圃が現れ、里が近くなったことが分かったが、里に出てしまう前の、山々の緑に抱かれた中で休もうと言うことになり、草の上に腰を下して昼食を摂り、出発点に戻って散会。
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