遠上山 真っ白な鳥海山を東側から眺める
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 771m
- 下り
- 759m
コースタイム
天候 | くもり時々晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
鳥海山の東側、秋田と山形の県境沿いには,1,000m前後ながら険しい山々が連なる。遠上山はその丁(ひのと)山地の一角、秋田県側に立つ標高1,008mの山である。登山道は無いようだ。 |
写真
装備
個人装備 |
登山靴+ワカン
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感想
以前、鳥海山を東側から眺める展望台・丁岳に登った際、地蔵岩からゆっくりと西側に広がる山々を眺めたことがある。もちろん、圧倒的存在は鳥海山だが、その手前には、稜線が幾重にも重なりあい、いくつか個性的な山が顔を出していた。特に印象に残ったのが遠上山で、いつか残雪期に登ってみたいと思っていた。
この日はちょうど一年前からの宿題だった雁唐山に登るつもりで出かけた。ところがなんと採石場の手前、丁川の右岸側へ渡る橋の所で通行止め、「こりゃダメだ」。雪も降ってきたし、眠気にまかせて仮眠。
7時半頃目を開けると、青空が見えている。せっかく来たのだから、このあたりの里山を歩いて帰ろうと地図を見た時に、遠上山を思い出した。遠上山へは西側の尾根から登るのが良さそうだ、上玉田川沿いへ移動しよう・・
古いデータの車載ナビや道路マップを見ながら、よく知らない道を移動する。ところが目星を付けた道路はまだ雪で通行止め。遠上山へ西側から登るのは諦め、北側・東側からアプローチすることに。
遠上山山頂部は、二万五千図では「丁岳」に入っている。だが北側から登るには、「中直根」(なかひたね)が必要だ。その地図は持っておらず、半ば諦め状態。しかし、遠上山と思われる目立つ山が青空を背景に立っている。北側から眺めても、いかにも登りたくなるような山容だ。
百宅地区高野台の除雪終了地点に車を止める。両脇の雪壁は背丈を越える高さだ。地図も持たない無謀とも言える登山だが、行けるところまで行き、自分のトレース通りに戻るのなら、それもまたいい里山歩きと言えるだろう。
長い林道歩きを嫌い、早めに尾根に取りついた。この尾根は結果的にいいルートだった。杉林から間もなくブナ林に変わり、時折手を付くような急な登りが現れるものの、程よい幅の尾根にはまだ雪たっぷりで、藪に邪魔されることも無い。登るにつれて展望も開けてくる。尾根の形状や周囲の状況から地形図をイメージしながら登るのも、また楽しい。
P781に上がると雪面も締まってきて、見晴らしのいい尾根歩きとなる。西側にドーンと鳥海山が現れた。朝は雪が降る天気だっただけに、うれしい予想外。次第に垂直に切り立つ東面を見せるP913が迫ってくる。急斜面で立ち上がる釣り鐘状の遠上山、その手前右にはP913の壁、なかなかいい構図である。そして右手(西側)には、沢を挟んで、とても雰囲気のいい、たおやかな尾根が見える。その向こうには、真っ白な鳥海だ。左手(東側)は立木も無く、里山がどこまでも広がって見える。なんていい尾根なんだろう・・と、掘り出し物を見つけたようでうれしくなった。
P913は雪庇を避けて西側を通過するが、こちらも急斜面で気が抜けない。その後はいよいよ遠上山山頂へ急登。ブナ林の中を手を付きつつ登る。
遠上山山頂からは、木立の上に丁岳がわずかに見える。数十メートル北側に移動すると、個性的な山の全体がよく見えた。そして三滝山をはじめとする県境の山並み・・もちろん鳥海山が美しい。
下山は往路を戻った。雪崩の危険のある林道をズボズボ沈み込みながら歩くより、展望を長く楽しみながら帰るのがいい。ただ、鳥海山にスノーモービルと思われる形跡が付いているのを見つけて、複雑な気持ちにもなった。
麓の百宅地区は、県内でも屈指の豪雪地帯と言えるだろう。以前、鳥海山へ百宅口から登った際、遠く深い山の中にぽっかりと出現するこの村は、桃源郷と表現できるのではないかと思った。この日は下山すると同時に、また雪が降りだした。まだまだ雪深い村である。その村を、遠上山は鳥海山とは別の姿で見下ろしていた。
コメント
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kamadam さん、こんばんは。
(旧)鳥海村(町)の百宅に行かれましたか。
そうですね・・・中直根の県道から分かれて峠を上って見える百宅の集落は「新日本紀行」のオープニングを連想する風景です。
阿仁の根子に似ています。
そうですね・・・「桃源郷」ですね。
丁山地は標高の割にどこも急峻で・・・
山は標高ではないことを教えてくれますね。
林道歩きを嫌って尾根に取り付く辺りはさすがkamadam さんですね。
アプローチもなかなか厳しくて山頂までは大変だったと思いますが・・・
その達成感はまた格別だったと思います。
さすがです。
それに鳥海山・・・やはり丁の「兄」ですからね。
その姿はどこから眺めても最高ですね。
この山域には・・・
このような無名の名峰・・・まだまだたくさんありそうですね。
そうですか・・・
鳥海山にもスノーモービルの形跡ですか・・・
なんとかならないものでしょうか・・・
彼らにはモラルは無いのでしょうか。
750RSさん、おはようございます。コメントありがとうございます。
丁山地はなかなか面白い山域だと思います。ただ、我が家からだと神室に行くよりも遠い感じがします。行くときは、時間を節約するために、秋田自動車道を雄勝まで行って、それから108号を旧鳥海町方面へ向かうのですが。
鳥海山の白い斜面に見えた筋は、唐獅子平小屋に伸びているようでした。最初なんだろう・・とわからなかったのですが、スノーモービルの形跡で間違いないと思います。
それ以上に複雑で考えさせられるのは、鳥海山ダムが建設されることによって、百宅地区が湖の底に沈んでしまうことですね。平家の落人伝説の残るあの桃源郷が永遠に失われることになりそうです。
我が家からは遠いのですが、せめて足繫く訪れたいものだなと思っています。
なんとまだ法体の滝も見ていないもので
Kamadam さん、おはようございます。
今回もまた素晴らしいピークハントでしたね。これまで何度こんな素晴らしい体験を繰り返してこられたことか、Kamadam さんも飽きることなく続けられるのは、きっとその都度新たな感動を得られるからでしょうか?
鳥海山東部の県境山域は丁岳や甑山、加無山等魅力的なピークが林立する魅惑ゾーンですね。地図無しで取り付くとは流石にKamadam さんらしく、日頃からつぶさにこの山域を調べておられるからでしょう。(特にP781に乗る迄)
今回も魅力的な奥深い山並みを拝見(再会)させて頂きました。
tonkaraさん、おはようございます。返事が遅くなりましてすいません。
tonkaraさんには地図無しで入山したことを怒られると思っていたのですが
お褒めをいただき恐縮です
杉林からすぐにブナ林に変わったので、このまま小さなピーク止まりということになっても、少しは楽しんで帰れるかな・・という気持ちでおりました。
その尾根が小さな尾根を集めつつ先に伸びていくので、これは主尾根につながると確信できました。
やはり沢沿いの林道にまで張り出している長い尾根は、長くはなりますが主尾根につながっていることが多いですね。アップダウンはあるにしても。
地図無しで登るのは、いつも以上に山を見る山登りでした。
でもやっぱり下山ではチャレンジできないですね。林道歩きを避けたいこともあって、往路を戻りました。
丁山地は標高こそ低くて小粒なものの、少し会越の山と似たところもあるでしょうか。でもブナ林が低いところから始まって、その点は優しさがありますね。
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