ルート違いで薙刀山は諦め! 野伏ケ岳のみ
- GPS
- 07:34
- 距離
- 16.2km
- 登り
- 1,054m
- 下り
- 1,066m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
通常ルートは、危険はなし。 薙刀山へ行くつもりで、道を間違えて、野伏ケ岳のルートに合流したルートは、極めて危険。 |
その他周辺情報 | 桧峠に満天の湯 |
写真
感想
<失態>
前日は、大満足で終えたが、今日のツアは、大大大・・・失態だった。
無事に帰還できたことに感謝し、これからに生かしたい。
当初、薙刀山に向った、牧場跡から、野伏ケ岳へゆく方々と別れ、単独、広い低地の原を横切って、薙刀山へ野伏ケ岳の下を巻いて移動した。
野伏ケ岳へのアプローチの山が丘のように前に見える。
右ては沢になった。
この辺りから、沢越えと沢を越えずに行く二通りのログがある。
見ると沢の向こうから下山中の3人組があった。
声をかけた。
多くの方が通るのは、沢を越えるルートなのだろうが、ここで、ついミスをした。「できるだけ沢を越えたくない」という意識が心に隠れていた。
まっすぐあがる。50mぐらいだろう。一旦、平らになった後、また50mぐらい上がった。普通なら、途中途中でgpsで予定のルートとの差異を確認する。雪の急傾斜を這い上がる。安心はできない。ピッケルを刺して、アイゼンで穴を作り、這い上がった。
気持に余裕がないことが、失策につながった。
100m上がって、尾根が左に曲がったことに気づかなかった。
そのまま、50m、また50mというように、必死の思いで上がる。
この辺りでgpsを見た。なんと、薙刀山方面とは全く違う方向に行っている。拡大してみると、野伏ケ岳方向に上がっている。
上がりすぎた。最初の数十mなら下ればよかった。
危険を感じながら上がったなかで、もう一度、怖さを味わう気になれなかった。戻った方が正解だったかは今も分からない。
上を見ると、笹の尾根が見える。半分以上は上がっている。
ところどころで笹や樹木が生えているところがある。滑っても止まるように極力、植生の辺りをめがけた。目標を決めると、ひたすら下をむいて、ピッケルを前にだし、差し込む。小さく一歩前にアイゼンを蹴り入れる。
ピッケルを抜いて、また前方に差し込む。繰り返しているっと、目標の植生に到達する。次の目標を決める。
途中、1m以上の雪の塊が多数あった。こういうのをデブリというらしいい。界面が溶けて滑り落ちてくると、事故になる。
その下には、長くはとどまらない様にした。
この日は、暑くなる予報だった。
斜面が北側だったのも幸いした。
南側斜面だったら、融雪でずるずる滑り、アイゼンが利かない。
それに、雪崩が起きやすい。
斜面は雪が固かった。
幸だった。
<反省>
特段、危険を目指したわけではなかった。
偶然だった。
山は趣味。趣味に命を掛ける気はない。楽しいだけでいい。
危険や恐怖は、レベルや感性によって個人差がある。
実際、滑落も雪崩に会うこともなく済んだのだから、危険ではなかったともいえる。それでも私にはリスキーに感じた。
生と死に中間はない。偶然と些細なことで死側に転ぶ。
出来るだけ、その環境には身を置きたくない。
それでも、冥界に入ってしまった。
じっくり、反省してみたい。
<暗から明へ>
尾根に到達した。やれやれだった。笹が前方を遮る。それでも50mぐらい、アイゼンのまま笹をこぐ。雪の原が前に広がった。ほっとした。
gpsを見ると、野伏ケ岳の正規のルートに近い。
声がする。声の方を見ると、上から降りてくる登山者が見えた。
「ピッケルを 差込みちじに 這い上がる 先に声聞く 人姿みゆ」
70mぐらいで、合流した。
登山者は、朝に一緒に石徹白をでた方々だった。
「いつまで待っても来ないからどうしたのかな」
そう思ってたということだった。
gpsを見せて、薙刀山への道からの失態を説明した。
登山者は、山頂で休憩して戻ってきていることを考えると、1時間以上遅れているだろう。
野伏ケ岳の山頂が目の前、100mぐらいにあった。
時間はまだ十分ある。
野伏ケ岳を目指す。山頂直前でも男女ペアにあった。
ペアも牧場跡まで前後する間柄だった。
山頂は360度の展望だ。
今回で2度目。
北に薙刀山とその奥に白山、白山から別山に続く、禅定道が見える。
昨日上がった銚子ケ峰も見えた。
一昨年に行った赤兎山・大長山が北西に、西には、荒島岳、東に丸山、
大日ケ岳、水後山、毘沙門岳、奥に木曽御嶽山、穂高連峰が見えた。
暗愚の穴からやっと這い上がってきた。山頂は、安堵感で満ちていた。
遥かに薙刀山まで稜線が伸びている。
「稜線の 踏み跡先に 薙刀の 先に君みゆ 手振りてまねく」
短歌の世界の君が微笑んでいた。
「こないの!」
まだ十分時間はある。
それでも、安堵の輪の中から出る気にならなかった。
山頂で食事をし記念写真をしたあと、通常ルートで戻った。
南に面する斜面は、溶けてずぶずぶだった。
あの登りの傾斜面が北側でよかった。
失態のなかでも、いろいろなことで助けられた思いだった。
「闇抜けて 人の声する 笹越しに 野伏ケ岳の 安き山あり」
(g)
コメント
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こんにちはgさん!
前レコの石徹白・白山禅定道と併せて拝見しました。
春の良いお天気に、残雪たっぷりの稜線を歩くのは本当に気分爽快ですね。レコ写真からその素晴らしさが伝わってきました。こんな世界に躊躇無く飛び込めるgさんの気力体力に今さらながら脱帽です。
ご自身ではどう思っていらっしゃるか解りませんが、私と比べてgさんが危険を感じるレベルは高い所にある様に思います。そんなgさんが危ないと感じたという事は、実際危険な斜面だったに違いないし、結果オーライだったということでしょう。
”趣味に命を掛ける気はない” おっしゃるとおりです。私もそのつもりで歩いていますが、趣味の山でもほんのちょっとした判断が生死を分ける事になるかもしれない。いかに早く”おかしい”と気が付くかどうか?それに尽きますよね。
このレコを教訓に、今後山へ向かう時は気を引き締め直そうと思います。ありがとうございました。
teppannさん、こんばんわ!
私は怖がりなので、できるだけ、危ないと思う環境は避けたいのですが、うっかり入り込んでしまいました。コラボでゆくときは、実績のあるところしか行かないのですが、単独だとたまにはこんなこともあります。雪崩なくて助かりました。ちょっとした具合でダメになることもあるので、極力安全確率高いことをやるように気を付けます。(g)
gさん、こんにちは
緊張した現場だったようですね。ヒシヒシと伝わってきました。
少しネジ緩んでいる位がこいうゆう所にいかれる場合はちょうどいいと
思いますよ。
雪山は何処からでも上がれちゃうので楽しいですね。
現場の状況は刻々と変化しますし、
この時期融雪も絡んでデリケートだったのかな?
野伏ケ岳、私も行ってみたいところでしたが
私は早々に雪山シーズン終了してしまいました。
大いに反省して次の機会に活かしてくださいね。
higurasiさん、こんばんわ!
15m先に目標を決めて、移動するにも、前を見ると怖さを感じるので、足元とピッケルを見て進むことになりました。下ばかり見て進むと、怖さが少なくて済みました。南面と同じく融雪していたら、もっと、怖い結果があったかもしれないので、ぞっとします。結果は偶然ですが、今後気を付けます。(g)
gakukohさん初めまして
和田牧場跡地と野伏ヶ岳直下でお会いしました。
NO52の写真に私が写っています。
薙刀山へ向かわれたそうですが推高谷を渡渉せず左方へ登られたようですね。
薙刀山へ向かう一番のポイントです。
この谷を上手くに通過すれば薙刀山まで楽しく登れます(先週私は登りました)
無事に野伏ヶ岳に着かれ大パノラマが望めて良かったです。
大変な一日ご苦労さんでした。
今後、何処かの山でお会いしたら宜しくお願いします。
gandalaさん、こんばんわ!
コメントありがとうございます。
沢の対岸からこちらに渡る3人が見えたのですから、渡ればよかった。
沢渡りが危険という潜入観念があって、わたらずに行ってしまいました。
gandalaさんとは行程中何度かお会いしたですね。
今後もレコを参考にさせていただきます。よろしくお願いします。(g)
なんて言っていいのかな・・・
まだおつきあいが浅いんですから、気をつけて下さいよ。
正直技術的な事はわからないですが、teppan2013 さんの記事を、読むかぎり、当然gさんの記事でも伺えますが、萎えちゃいます。お疲れ様でした
itooさん、こんばんわ!
コメントありがとうございます。
御心配をおかけしました。
自重して行動します。
よろしくお付き合いください。(g)
ルートミスだって?
気分萎えるのは仕方ないよね「あーあー、何やってんだか〜」なんて。
GPSは絶対必要ですね。
寅も持っていながら迷っとるもんね(それも低山でよ〜 )
でもgさんには、技術と体力あるから野伏ヶ岳に登頂出来たんや。
時間的にもまだ余裕あったようで、気分的にも落ち着いて無事下山出来てよかったです。
改めて「山の怖さ」を知らされたようでした。
toradoshiさん、こんばんわ!
コメントありがとうございます。
いつもは、gpsをよく見るのですが、リスキーなところを上っていて、ずれのチェックをすることをすっかり忘れていました。気が付いたときは、戻るか行くかどっちがいいか迷うような具合で、進む方を選びました。
どんなところでも、偶然、ダメになる場合もあるので、怖いですね。
雪が溶けても滑るし、雪崩になるし、堅いとアイゼンとピッケルが利かないし、
偶々ちょうどいい雪具合で助かりました。
結果はよくても、色々このつぎに生かしたいです。(g)
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