樽前山(ナイトハイク) 7合目登山口〜外輪山一周
- GPS
- --:--
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 571m
- 下り
- 571m
コースタイム
- 山行
- 2:18
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 2:38
ただ、さすがに最初からハードな山は無理そうなので手始めに低山から始めようと思いました。
そこで以前から、夏の夜に山の頂上から空に広がる星空や街の夜景を観てみたいと思っていたこともあり、夜間登山で樽前山山頂から市街地の夜景が観られるとのことだったので、久し振りに樽前山に登ってのナイトハイクにチャレンジしようと思い立ち、それから毎日、天気予報を見てそのチャンスを伺っていたのですが、なかなか日中〜夜を通して晴天予想の日がやってきません。
それどころか一週間先を見ても雨の降る日が結構あり、天気は下り坂傾向のようです。やむを得ず星空を観るのは諦めて、とりあえず夜景だけでもと思い、雨の降らなそうな日に夜間の樽前山登山を決行することにしました。
夜間登山は、10年くらい前に富士山に登って以来です。登山する時はいつも持ち歩いてはいるものの、ほとんど使ったことのないヘッドライトと予備電池、それと念のため予備のヘッドライトと電池式ランタンを準備して持っていくことにしました。
天候 | 薄曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
この日、勤務時間終了後、直ちに勤務先を出発して樽前山の7合目登山口へと向かいました。
道中、もう間もなくしたら市街地を抜けそうな辺りで、数十m先の道路右手の草むらから突然1頭の鹿が飛び出してきて道路を駆けて横切って行きました。ある程度距離があったのでパニックになることはありませんでしたが、これから向かう樽前山周辺の道路では鹿と接触する交通事故が増えているようです。数年前の夜、知人がオートバイで支笏湖へと向かう道路上で鹿と激突して大ケガをしてしまったこともあり、車には鹿笛を装着はしているものの、本当に効果があるのかどうかは不明なので、とにかく安全運転で行くことを心掛けました。
7合目登山口の駐車場に着いたのは17時40分頃でした。
こんなに遅い時刻にここに来たことはなかったので、もしかしたら駐車している車はないかも?と思っていたのですが、案に相違して3台ほど車が停まっていました。
登山口のそばに車を停めましたが、周辺はまだまだ明るく、東山山頂方面も雲が掛かっておらず、きれいに見えました。風は思っていたより強く吹いていて、体感的には風速5〜6mと言ったところでしょうか。上の方ではもっと強い風が吹いているかもしれないと思い、ミドルレイヤーを1枚余分に持っていくことにしました。
気温は17℃。8月半ばでこの気温とは…。
東京に住んでいた学生時代も、暑さに耐えきれず夏休みに入ると間もなく帰省していたくらい、どちらかと言うと暑いのは苦手な方なので自分的には涼しくて良いのですが、それにしてもこの時期ならもう少し暖かくても良いのに…などと思いながら、登山支度を整えて17時45分に7合目登山口を出発しました。
久し振りの登山で、今日はリハビリも兼ねているので、急がずゆっくりと登ることにします。途中にある見晴台(展望台)で振り返ると、夕暮れが近づいていて日差しも弱くなり、さらに上空を雲に覆われているためか、ブルーと言うよりダークグレーに近い色の支笏湖が見えました。
登山口から35分ほどで外輪山取付の分岐に到着しました。予想どおり風は下よりも強く吹いていて、風速はおそらく10mと言ったところでしょうか。もともと気温が低いこともあり、立ち止まっていると結構寒く感じるほどでした。一瞬、このまま東山に登って日没を待とうかとも考えましたが、おそらく1時間以上は待たなければならないだろうと思われたことから、この強い風の中でそれは無理だろうと考え、外輪山を一周することにして、西山方向へと歩みを進めました。
やがて、樽前山神社の奥宮が見えてきました。明らかに日差しは弱まってきているものの、まだこの時点では周囲もそこそこ明るく、風が強いのを除けば特に不安要素はありませんでした。
神社の奥宮にお賽銭を上げてお参りをしてから、暗くなるのに備えてヘッドライトを装着しました。遠く苫小牧の市街地方面を望むと、薄っすらですが早々と点灯している街の灯りが見えました。
さらに進んで行くと登山道は一旦下りとなってから、やがて上りへと転じ、19時過ぎに西山尾根の取付分岐に到着です。辺りは急激に暗くなってきていて、途中でヘッドライトを点灯させましたが、もうすでにヘッドライトなしでは登山道を進むのは難しくなっていました。
振り返って苫小牧方面を見ると、夜景がかなり明るく見えました。
急速に暗さが増してきて、かなり道も見えずらくなっていきました。
傾斜もあり、滑りやすい軽石質の火山灰の積った登山道で転倒したりしないように気を付けながら月も星も出ていない強い風の吹く闇の中を、クマ除け用の鈴を鳴らして一人黙々と歩いて行きます。
当たり前のことですが、登山開始からここまで人には誰にも会っていませんでした。また、西山尾根の取付分岐から先は、苫小牧方面の市街地の灯りも溶岩ドームの陰になってしまい、山の東側よりもいっそう暗さが増しているように感じられました。
歩きながら、ふと、進行方向の右手に闇の中にうっすらと浮かんでいるそびえ立つ溶岩ドームを見上げると、それまで日中に何度も見ているはずなのに気が付かなかった、数mはありそうな岩塔が山頂付近に立っていました。しかも左右に2か所です。
まるで、角のある鬼の首に見え、そう思うと何だか妙に不安になりました。
すぐに溶岩ドームから目を逸らして反対方向を見ると、暗闇の中に風不死岳のシルエットが浮かんでいました。もうこの時点ではかなりマイナス思考になっていたようで、「風不死岳?…なんで山の名前に死と言う文字がついているのだろう?そう言えば、過去に風不死岳で山菜採りに来た人が羆に襲われて死亡した事件もあったなぁ…。」などと思い始めていました。強い風の吹く、無人の荒野の暗闇の中でヘッドライトの灯りだけを頼りに歩き続けていて疲労感が増しているせいなのか、不安は増していきます。
さらに、以前読んだ「山怪」や「山のミステリー」などに掲載されていた幾つかの少々怖い逸話が思い起こされ、確かこんな闇の中では後ろを振り返ったりしてはいけないんだよなぁ…などと思いつつ、ふと、先ほど霊験あらたかなる樽前山神社奥宮をお参りしたことを思い出しました。「そうだ。今の自分には神様が付いているからきっと大丈夫。ちゃんとお賽銭も上げたし。100円だけだけど。」そう思うと何だか少し安心しました。思い切って後ろを振り返ると暗闇の中にぼおっと西山のシルエットがかすかに見えました。もちろん鬼火も飛んでいませんでした。もっとも、仮に物の怪の類が後ろを付いてきていたとしても暗過ぎて見えなかったことと思いますが。
やがて、分岐の標識が現れました。特に疑問を持つことなく、そのまま左方向に進んで行きましたが、3分くらい経った頃、あまりに下りが続いていることに違和感を感じました。これはもしかしたら道を間違ったかもしれないと思い、こんな時の鉄則に従って元の道を辿ることにしました。
すると、先ほど通り過ぎた分岐の標識に到着しましたが、よく見ると三叉路になっていて、西山方向から来た場合、東山に行くのには右に行かなければならないのに左に行ってしまった凡ミスでした。
改めて、正しい登山道を歩き始めますが、稜線上は相変わらず10m程度の風が吹き続けていて、東山山頂と思われる山影は随分と遠く上の方に見えました。
やがて進行方向には苫小牧、左手には千歳、後方左手には恵庭〜札幌方面の各市街地と思われる夜景が見えてきました。さらに左手手前側には狭く暗めながらも支笏温泉の市街地と思われる灯りが灯っていました。試しにカメラで夜景を撮ろうとチャレンジしてみましたが、あまりに暗過ぎて超スローシャッターとなり、どうしても手振れが出てしまって写真を撮ることは諦めざるを得ませんでした。
歩き続けてようやく東山山頂に到着しましたが、やはり風が強く、ゆっくりする間もなく7合目登山口を目指して下り始めます。
ようやく登山口に到着すると、まだ3台ほど駐車していました。どうやら、今夜は車中で仮眠をとって明日の早朝にご来光を拝みに行こうとする登山者たちのようです。
少なくともここは人間界なのだと感じ、ホッとしました。車中泊の人たちを起こさないようになるべく音を立てないようにして自分の車に向かい、帰路では再び鹿の飛び出しに注意しながら走行して、自宅へと向かいました。
それにしても、およそ10年近く前に購入したLED式のヘッドライトは電池交換もしていないのにも関わらず全く支障なく使えました。さすがパナソニック製だと思いました。
また、今度、樽前山神社奥宮をお参りする時は、お賽銭は200円以上にしようと思いました。
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