吾妻の中央分水嶺 土湯峠〜1283m標高点(雪崩に巻き込まれ雪の中に埋まる)
- GPS
- 03:40
- 距離
- 6.1km
- 登り
- 275m
- 下り
- 282m
コースタイム
- 山行
- 3:05
- 休憩
- 3:20
- 合計
- 6:25
今回も誰とも会わずトレースはなかった.
天候 | 霧時々雪のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
土湯峠まで除雪されていた.ただし通行止で車では入れない. スノーシューも持っていたが,雪面は比較的固く登山靴で雪上を歩く.大部分の分水嶺は広い緩斜面だが,所々東側に雪庇もある. 途中で雪庇を踏み抜き雪崩とともに滑落した.自力で脱出後,雪に埋まった沢に沿って歩き林道をラッセルして車まで戻った. |
写真
感想
この山行は雪崩の恐ろしさを教えてもらったこと,死を覚悟したということで私の人生の中でも特に記憶に残っている.樹木の近くを歩いていたのだが,周囲の雪庇ととともに落下し雪崩を起こしながら約100mの標高差を一瞬にして滑落した.気が付いた時には頭だけ出して雪に埋もれていた.帽子や手袋,ストック,サングラスなどは全て雪崩で消失していた.両足と右手は深く埋もれていたので全く動かず左腕も動かせなかった.どうしようもないので死を覚悟するようになっていたが,左手首と手は動かせて周囲に空間があることに気づいた.そして雪面から約30cm程度の深さだとわかったので素手でゆっくり上に向かって掘り進めた.約2時間かけて雪面から指がでた.その後,1時間かけて体を掘り出した.雪から出て助かったと思った途端に急に寒気が襲ってきて全ての衣類を着込み予備の手袋や帽子,眼鏡を出した.雪に埋まった沢を歩き林道をラッセルして車についた時に喜びが込み上げてきた.
帰宅して身体中に打撲による痛みがあったが,雪崩に巻き込まれ途中木をなぎ倒して滑落していたのにも関わらず大きなものに激突しなかったこと,頭だけ埋もれなかったこと,左手だけ動かせてそれが雪面から一番近かったことなど今回の滑落は生還できたと言う意味では奇跡に近い.しかし,この後,事故の代償がじわじわやってきて次第に左の視力が低下し2回の緊急手術をすることになる.網膜,黄斑部が傷ついたようだ.幸い失明は取り止めたが,今でも視野に違和感がある.
この山行後から雪庇には慎重すぎるほど気をつけるようになった.今までに山で滑落して骨折を2回しているが,今回の出来事は死を覚悟したということで一番記憶に残る体験だった.雪庇や雪崩に関しての知識はそれなりに持っていたつもりだったが,経験してみないとわからないものだと思う.
その後,雪崩現場や消失したストックやサングラスなどが気になりだした.4月29日に雪崩現場に行こうとしたが,雪解けで沢の水量が多く近づけず対岸の尾根から望んだだけだった.6月8日に今度は膝まである長靴を履いて沢伝いに雪崩現場に行った.埋もれた場所にはまだ雪が残っており,その上に帽子や手袋,サングラス,ストックなどが散乱していた.一つ一つ状況を確認し当時を思い出しながら全て回収した.
この記録は2017年に公開.
ここから北に続く中央分水嶺山行:
吾妻の中央分水嶺 1283m標高点〜相ノ峰〜景場平
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1326475.html
ここから南に続く中央分水嶺山行:
吾妻と那須を結ぶ中央分水嶺 土湯峠〜鬼面山〜箕輪山
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1326585.html
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