北アメリカ、セコイア、シェファード峠 Shepherd pass to Williamson Bowl
- GPS
- 56:00
- 距離
- 31.2km
- 登り
- 3,365m
- 下り
- 3,367m
コースタイム
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 6:00
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 7:30
- 山行
- 3:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:40
天候 | 晴れ、曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
shepherd passは季節によって、急勾配の残雪を横切ることがある。 |
写真
感想
今年は夏休みをとりそこなったので、レイバーデーウィークエンドで最も混む週末だったが、火曜日に休みをとって、思い立ってMt. Williamsonに行くことにした。Mt. Williamson(4383m)はMt. Whitneyに次いで高い山だ。マンザナール日系人収容所の写真の背景にいつも写っている山、と言った方が通りがいいかもしれない。Shepherd passまでは1800mの登りがあるので、入山者は少なくレンジャーステーションで当日の入山割り当てを受け取ることができた。一番人気のMt. Whitneyは朝開所を待っていた登山客でも(十人ほど)でも最初の五人ほどでなくなり、明日の割り当て分の配布時間11時にまたきてくれ、といわれていた。一番乗りを目指して早く着いても、8時の開所時に、待っている人全員に対しくじで受付順番を決めるので、8時直前に来るのがオススメである。
1日目
トレールヘッドまで未舗装の道路をしばらく行き、運良く空いたスペースに駐車できた。いままでは、できるだけ車で高度を稼げるトレールを選んでいたので、麓から登るのは初めてだ。トレールヘッド海抜 1930mキャンプ地 3150m.9時30分出発。頭を空っぽにして、足を前に出す。このトレールは不思議なことに隣の沢からsaddle鞍部を越えてShepherd creakの流れる谷に入る。鞍部まで3時間、キャンプ場までさらに3時間。6時間でついた。
キャンプ場でパルスオキシメータで%pSO2 を測ったところ80、一過性に70まで不定期に下がり、安定しない。睡眠中は%pSO2 68ー70まで下がった。高山病の症状が全くないのがむしろ気味悪かった。
2日目
きょうはMt. Williamsonへのデイハイク。キャンプ場に昨日行ってきたというパーティーがいたので聞くと、往復12時間かかってとても疲れた、とのこと。すれ違った登山者からもMt. Williamson登山路の情報を仕入れる。Mt. Williamsonまでは、Shepherd pass からは登山道がついていないので、生情報はありがたかった。軽装なのでShepherd passまで1時間半ほど、峠の向こうにはなだらかで広い草もあまり生えていない高原のなかをトレールがつづいている。私はそこからトレールは離れる。残念なことにiphoneの電池が切れ、核心部の写真が取れなかった。まずは、Mt. Williamson下のカールのWilliamson Bowlと呼ばれる場所を目指す。そこまでは、木が全くない砂利、下草も生えていないので、歩きやすいといえば歩きやすい。2−4mの巨岩のゴーロになり、かつ意外とアップダウンがある。霧が出たら迷いそうだし、後述の雷でもきたら逃げようがない場所だった。意外と時間がかかり、峠から2時間ほどでWilliamson Bowlについた。さていよいよ山頂へ直登、という段になり、急に雲が現れみるみる積雲の厚みが増してきた。11時でこの雲量は嫌な感じだ。ここから山頂まで1−2時間、雷の安全地帯のShepherd pass下まで3時間、疲労で1時間余分に見ると、6時間は雷フリーである必要がある。しばらく様子を見ていたが、雲が無くなる気配どころか厚みが増してきたので、引き返すことにする。途中、やっぱり行けばよかったかな、などとも思ったが、途中で視界が広がると、空いっぱいに雲が広がってきていて、自分を納得させるのに一役買った。キャンプ地では、連休も終わりなので宿泊者は私一人だけだった。それでも若者2パーティーが入山してきた。Shepherd峠でキャンプするそうだ。夕食後のんびりしていると、鹿の親子連れ3頭がテントのそばまでやってきた。目もあったのに全く逃げなかった。平和でいい。夜半、雨がぱらついたが朝方には乾いていた。下山後確認したところ、当日現地で雷注意報が出ていたそうで、もう一度自分を納得させる材料になった。
3800mあたりの行動中の%pSO2 70−75。意外と足は違和感なく動いた。帰りは落胆したせいか、疲労からか%pSO2 65−70。急登で息を整える必要がある場面もあったが%pSO2 の変化は特に無し。Shepherd pass休憩中は%pSO2 70。過換気するとすぐに90まで上がった。それでシャキッとするかというと全くそのようなことはなく、自覚できる変化は全くなかった。その晩9時%pSO2 75、12時%pSO2 85、起床時には90まで上がって、ようやく”体が高度に慣れた”ようだった。自覚できる変化は何もないのが玉に瑕だった。
3日目
ちかくのBishopという町のパン屋がおいしく、この辺に来た時にいつも寄っているが、人気があって昼は混むので、昼前につけるように早めに出発する。体が高度に慣れて足が軽くなったかというと、そんなことはなく疲労が溜まり始めたのか、登りがむしろ辛かった。9時半に駐車場に着いた。下の砂漠は殺人的な暑さかと心配したが、24度でそれほどでもなかった。着替えて、車に乗り込み、Bishopに向かった。
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数年前、Mt. Whitneyに行った時(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-681115.html)は生まれて初めて高山病になり、今後のためにとパルスオキシメータを購入したが、肝心の山行時にいつも忘れてしまっていた。今回直前に思い出し持ってこれた。Mt. Williamson(4383m)でデータが取れなかったのは残念だったが、いいおもちゃだった。今回のデータは、53歳男、n=1なので一般化できるかわからないが、色々興味深い動向で、いろいろ示唆に富んでいた。
住んでいるところは海抜70mなので、今回の反応は高度に対する初期反応といえるだろう。行動中は%pSO2 が比較的高値を保っていたが、むしろ安静時に%pSO2が低下した。睡眠時%pSO2 68−70は、思わず何回も測り直したし、自覚症状がないことがむしろ、不気味だった。過呼吸で%pSO2 90をすぐに回復したので、この低酸素は肺機能によるものでなく呼吸中枢が平地の設定のままであると考えられた。次の晩は寝ているあいだに%pSO2 90になり、ようやく呼吸中枢の設定が当該高度に再設定され、またそれにともなう酸塩基均衡が追いついたということなのだろう。
高所順応とは別物として、よく体が高度に慣れる、という言葉を聞くが、それがどういうことを意味するのか全くイメージできなかった。今回、私の体はという限定で、呼吸中枢が高度に反応するまでかかる時間、と言い換えることができそうだ。呼吸中枢亢進による換気量増加に伴う酸塩基均衡の変化を補正するのに腎機能は必須だし、それを円滑にするのに尿量は必要だから、特に入山日の水分補給は大切だろう。たしかに以前のMt. Whitneyで高山病になった時は、給水予定地の水が枯れていて、わたしは脱水状態だった。また、頭痛以外に水様便になり、さらに酸塩基均衡が補正されることが困難な状態になっていた。下痢のせいで5日間も高山病の症状が続いたのだろう。そんなことを考えたところでウェブを検索したら、日本登山医学会のページで、高山病予防のためには水分補給が大切で、下痢を放置しないことと、きちんと説明されていた(http://www.jsmmed.org/info/pg51.html )。
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