雪の大見湿原へ☆リハビリ・スノーシュー・ハイク
- GPS
- 02:19
- 距離
- 3.2km
- 登り
- 32m
- 下り
- 20m
コースタイム
- 山行
- 2:19
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:19
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪の雪原であり、一般登山道なし |
写真
感想
この日、天気予報では曇りで午後からは雨の予報であるが、朝は青空が広がり陽光が降り注いでいる。雨が降り出すまでは少し時間がありそうだ。前日、平地を歩くことが出来たことに気をよくして、いよいよ山の中の平坦なところを歩いてみようと、前日ひ引き続き、R367を北上する。大原の辺りは前日よりも更に積雪が少なくなったように思われる。
当初、針畑川上流の生杉から林道歩きをする計画だったのだが、気が変わって大原の少し北で左折して、R477へと入る。百井峠までは酷道の評判に違わぬ急坂の細い道が続くが、道路上には雪が全くないので通行には問題がない。峠を越えて百井の集落に入ると途端に積雪で真っ白である。百井の集落でR477を右折して県道に入ると、この辺りからは流石に道路上には雪が残ってはいるものの、意外にも大見集落まで除雪がされている。
大見の集落では北の尾越方面への分岐のところに一台の軽自動車が停められている。今は廃村の筈であるが、かつての集落の住人の方なのだろう。集落の手前の道が広くなった場所に車を停めて準備をしていると、すぐに先程の軽自動車が通り過ぎていった。
集落の手前に広がる湿原では白く霜化粧された樹々が美しい。折しも青空が広がりあたりに陽が差し込むと、陽光が樹の色を塗り替えたかのようにみるみるうちに樹々の霜化粧が消えてゆくのだった。陽がさす前に樹々の写真を撮っておかなかったことを後悔するが、この一瞬の変化をどうして予想できようか。
集落から先、滝谷山の方面へと至る林道には車の轍がついているが、車幅からすると車高の高い軽自動車に思われる。四駆でない限り乗り入れるのは到底困難だろう。車の轍を追って林道を歩き始めるが、湿原に入るべく、すぐに林道を右折することになる。林道の上でスノーシューを装着すると湿原から流れ出る小さな川に架けられた橋を渡り、湿原へと入ってゆく。
車を停めたところ場所からすぐに雪で覆われた湿原に入れるというのはなんとも有り難いところである。ここが京都市内から1時間とかからない場所であるということを忘れそうである。
湿原の右手(北側)には斜面に沿って夏道があるのだが、湿原の中を自由に闊歩することが出来るのはさすがに雪の季節ならではの贅沢といえよう。雪に覆われた湿原は一見、単なる雪原にも見えるが一様に平らな訳ではなく、それなりの凹凸がある。湿原の中を流れるせせらぎが複雑な迷路のような溝を刻み、随所に雪の中に小さな水溜りもみられる。これらの水が雪の上に刻み込む複雑な紋様が他ならぬこの場所が湿原であることを静かに物語る。
春は陽気に溢れ、秋には寂寥感が支配していたこの大見湿原であるが、雪のこの季節、景色の中から感情に訴えるものは絶え間なく流れてゆく小さなせせらぎの無常感のみのように思われる。
多くのせせらぎは渡るには問題がないほど細いものであるが、わずかな下りや登りでもまだかなりの難儀を伴う。骨折した膝蓋骨のある患側の足に力が入らないので、登りは健側の足に頼らざるを得ない。一方、下りは患側の脚を十分に曲げることが出来ないため、健側の脚から踏み出すことが出来ない。
健側の脚がスロープの柔らかい新雪の中にスノーシューがズブズブと沈み込んでいった瞬間、患側の脚には痛みが走り、途端に雪の中に倒れ込む。一度、雪の上に倒れ込むと起き上がるのも容易ではない。家内の助けを借りて何とか起き上がるのだった。
湿原は西に向かって扇状の形状をしており、小野谷峠に向かって奥に進むにつれ両側の山稜が迫ってくる。雪のない季節にはこの奥から猿橋峠にむかう辺りが最も美しいように思う。ふと気がつくと小野谷峠への分岐にまで来ていた。もう一つは猿橋峠を示しているのだろうが、かつてそこに記された文字は今や判読不能である。
少し小野谷峠の方に向かって歩いてみるが、少しでも先へと進んでみたいという欲求といい加減にして引き返すべきだという理性の抑制が葛藤を繰り返すことになる。GPSを確認すると小野谷峠までわずかに100m程の距離であり、普段であれば数分もかからずに通過するところだが、まだ階段すら登れない状況ではやはり坂道を歩くのは無理だろう。諦めて引き返すことにする。
帰りは夏道が無難だろうと雪に埋もれた夏道の上を歩いてみるが、斜面をトラバース気味に歩くことになるので、やはり湿原の方が歩きやすい。雪の上につけてきたトレースを辿って湿原の入り口に向かう。調子よく歩いているつもりが、健側の右脚が雪に沈むと次の一歩が出せずに何度も立ち止まることになる。果たしてこのまま歩けなくなったら・・・という心配がよぎるが、その度に膝は何とか機嫌をなおして動き出してくれるのだった。
湿原の入り口のあたりの広々とした光景を再び目にするとようやく一安心。この日は家内が家で作ってくれたサンドイッチと唐揚の弁当で休憩。折しも我々の心情を反映するかのように低い雲が切れて、空にはいわし雲を湛えた青空が一瞬、広がる。雲から零れ落ちた柔らかい光が湿原の雪の凹凸につける淡いコントラスがなんとも目に心地よかった。
車に戻り、百井の集落から百井峠に向かうと滝谷山の電波塔の上部はすっかりなくなり、基部の脚が骨折したかのように倒れ、無惨な姿を晒していた。この塔の名残りを目にするのもこれが最後かもしれない。
百井峠を越えて鞍馬に出ると、膝の快復を祈念しつつ、久しぶりの温泉に浸かるのだった。
コメント
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じっとして居られないお方なんですね〜 大丈夫でしたか。
大見湿原へは積雪期に行ったことないです。大見の集落まで車で入れたんですね。集落用に除雪もされているとのこと。もっと天気がいいと綺麗なんでしょうね。
春には、その小川でアマゴを見掛け、ちょっとした感動がありました。
杉ノ峠近くの警察庁鞍馬無線中継所鉄塔は、撤去工事が始まっているって聞いておりましたが、最下部を残すだけになったようですね。ランドマーク的な存在だったようで惜しまれる記述も多いようですね。
ののさん コメント有難うございます。
前日に琵琶湖の湖畔を少し歩けたのに気をよくして、雪の雪原に踏み込んでみたのですが、今回は少し苦労しました。
それにしても市内から1時間もかからずにこんなに美しい雪原を歩けるなんて、京都に住んでいてよかったと思います。普段は通過点になってしまうのですが、ここだけを目的に訪れるとあらためてこの湿原のよさを感じます。
晴れていれば美しいと思いますが、曇りもそれはそれで写真では全く表現できませんが、白とグレーの淡いコントラストの魅力があると思います。
春の季節もとてもいいですよね。秋も素晴らしいと思います。しかし夏はヒルの天国。
あの電波塔は警察庁のものだったんですね。かなりの勢いで取り壊されているようですね。遠くからでも北山の山座を同定するためのメルクマーレでしたから、これがなくなると山座の同定も難しくなりそうです。
yamaneko0922さん、yamaizuさん、こんばんは。
骨折とは、災難に遭ってしまいましたね。
10年以上前ですが、僕も暗い中を早足ぐらいで進んでいて躓き、右ひじを剥離骨折した事があります。
もうあんな思いはしたくないので、山行でも安全第一と思って行動しているはずですが、これがなかなか難しい。
ギプスって、そんなに短い期間で外してしまうものなんですか?
動きや負荷が大きい箇所だけに、厳重に固定しておく必要がありそうなイメージですが。
リハビリって、もっと回復してからするもののような気がするけど、きっと気のせいでしょう?
足尾谷での負傷後もそうでしたが、動かずにはいられないタイプなようですし、とにかく無理のない範囲で歩くようにして下さいね。
早く治るように願っています。
雪の大見湿原でのスノーシュー歩き、楽しまれたようですね。
痛みも伴いつつのようですが?
僕も先月に初めて積雪期に歩きましたが、疲れていたのと時間が心配なのとで、あまり雰囲気に浸る事はできませんでした。
花脊の鉄塔、悲しい姿になっていましたね。
山を歩いている際、その姿を見ると、少し元気をもらっていたような感覚があります。
なくなってしまうのは、本当にさびしいですね。
コメント有難うございます。
右肘の剥離骨折も日常生活はかなり不便なことになったのではないでしょうか?
膝蓋骨というのも普段、何のためにあるのかよくわからないような骨でありながら、膝を曲げることが出来ず、階段の登り降りが出来なくなるという状態になり、平地は問題なく歩けるのですが、登山となると途端に難しくなります。とはいえ、今週の初めには登ることは出来るようになったのですが、階段の下りが非常に難しいです。
ギプスの代わりに膝を伸展位で固定するための装具というのがあって、普段をこれをつけています。
しかし、ずっと装着していると関節も固まり、既に患側の大腿の筋肉が反対側に比べて相当に落ちてきてしまいました。
大見湿原を歩く時は勿論、外してみたのですが、やはりこの時は湿原の平なところを歩くのが精一杯でした。普段は痛みはすっかりひいているのですが、レコに書いたように健側の足で踏み抜いてしまった瞬間は相当な痛みが走ってしまいました。
それにしてもv-gさんが書かれているように、写真では伝わらない空気感がある‥その通りだと思います。
もう少し歩ければ、尾越か滝谷山の方まで行ってみたいのですが、まだしばらくは難しいと思います。次にここを訪れる時には花背の鉄塔もなくなってしまっているのでしょうね。
ハードなリハビリをされてますね
負傷中でも山に行かずにはいられないようで
お気持ちお察しいたします・・・
奥様が一緒に行ってくださる方でよかったですね!
ご無理なさらず楽しんでくださいね〜
まだ山といえるような山には行けておりませんが、少しづつリハビリを重ねております。
平地と登りはほぼ問題ないのですが、下りがかなり慎重にならざるを得ない状況です。復帰まで、もう少しだろうと思います。
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