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Yamareco

記録ID: 1736844
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無雪期ピークハント/縦走
東北

二ツ箭山

2010年11月22日(月) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
4.6km
登り
531m
下り
430m
天候 曇り
過去天気図(気象庁) 2010年11月の天気図
アクセス

感想

福島遠征二日目は、いわき市からほど近い二ツ箭山に登ります。
本日の天気予報は午後から崩れるという予報。
早め早めの行動を心がけたいところです。

今回は根本登山口から山頂を目指します。
根本登山口は国道399号沿いにあり、大きな看板もあるので迷うことはないでしょう。近年作られたという駐車場はとても広く、乗用車なら30台くらいは駐車可能。
新しく綺麗なトイレも設置されており、登山者にとってありがたいです。

しかし、福島県は山の整備に力を入れていますよね。
有名な山はもちろん、地域の比較的マイナーな山ですら標識・駐車場・トイレなど設備が充実しています。

実はここの登山口は駐車場から少し離れているので、集落の中を通り抜け登山口へ向かいます。
幼稚園へ登園する子どもや、ゴミ出しの主婦の方々と挨拶を交わしながら歩きますが、なんか違和感が…(^^;
もともと登山口側に駐車場があったようですが、訪れる人が増え手狭になったので現在の場所に移転したようです。

登山道に入ると、すぐに昼尚暗い森の中へ…。
木と木の間に注連縄が張ってあり、里と山を隔てています。

まもなく御滝に到着します。
周りの木々は紅葉の盛りを過ぎてしまっていましたが、良いタイミングで訪れれば
ここは絶好のビューポイントでしょうね。

ところで…登山道が見あたらないのですが…。
道は御滝の前でパッタリ途切れ、あたりを見回しても道の続きが見あたりません。
いきなり迷ったか?とツートンと二人しばしウロウロ…。

すると目の前の滝の脇、ほとんど垂直にも見える岩の上から一本のロープが下がっているのを見つけました。
最初は注連縄とか、神事にまつわる装飾品かと思ったのですが、ロープの脇に鎖が設置されているのを見て確信。
ここから登れってことか…。

それにしてもこれは展開が急すぎやしませんか?
ここまで遊歩道然とした道で導いておいて、いきなり岩のぼりをしろとは…。
本当にここが登山道なのか、俄には信じがたいものがありましたが他に道らしい物もないので意を決して鎖とロープに取り付きます。

身の軽いツートンはスルスルと登っていきますが身の重いちゃってぃは這いずるように、岩を抱え込むように、ジリジリと登っていきます。

ふぅぅぅ! やっと登った orz
登山開始15分で、いきなり二ツ箭山の洗礼を受けました。
うーん、こんな道が続くなら身が持たないぞ…。

岩のぼりはここで終わりのようですが、沢登りはまだまだ続きます。
…ていうか「沢沿いのコース」って紹介されてますが、これは「沢歩き」なんでは?(^^;
沢に踏み跡がついてるっていう感じで、とても道には見えないし…。

全体的にしっとりと湿った沢底の岩は、びっくりするくらい良く滑ります。
そ〜っと足を置いても、体重をかけた瞬間にずるん!
即座に転落・滑落して大けが…というような場面ではないですが、
ゴツゴツした岩に尻を打ち付けるのも勘弁ってな感じです。

要所要所に金具やロープ、鎖が設置されていますが、それとて完全に信頼がおけないというか微妙に使いづらいというか、とにかくどこに足をかけても滑るので一瞬たりとも気が抜けません。
おかげで足下ばかり見て歩き、この区間の景色の記憶があまりありません(^^;

やっとこさ〆張場と呼ばれる地点までやってきました。
おじさんはなんかもう疲れちゃったよ…。

〆張り場は二ツ箭山の登山道における一大ジャンクションとなっています。
写真撮影位置から見て右折すると月山新道経由、山頂方面行き。
直進するとさらに沢登りをして修験場を経由して男体山・女体山の直下行き。
左折すると尾根道経由、男体山・女体山行き…となります。

とりあえず、これ以上滑りやすい沢筋を歩くのはごめんなので、ガイドブック通り左折して、尾根道を目指したいと思います。
…あ、ちょっと休ませて…。緊張の連続で心臓がハカハカしてきた…(^^;

〆張場から尾根コースに向かうには、まず「超」が付く急斜面を登っていかなければなりません。
それでも沢底のいつ滑って転ぶかわからん道よりマシだ…と思い登っていきます。

んが!
なにやら物騒な看板が…
道標とかは景観にとけ込む自然なスタイルで作られているのに、この看板だけこんなに目立つように作られていると言うことは本当に危険なんだな…。

そして「滑り岩」と呼ばれている苔生した一枚岩が現れました。
ただでさえ滑りやすい岩場なのに、厚く積もった落ち葉がなお一層状況を悪化させています。
ここでは四点確保で制止している状態からスリップして膝を打ちましたからね〜。

滑りやすい沢底を避けて登ってきたというのにこの仕打ち…。
二ツ箭山はほんまに恐ろしい山やでー。

どうにかこうにか滑り岩を通過。
しかし、まだまだ急傾斜が続きます。

ようやく急傾斜を上り詰め、尾根に出ますがまだまだ油断できません。
ここで初めて下界の眺望を得られるのですが、下からガスがわき上がってきているのが見えました。
もしかしたら意外に早く雨が降り始めるのかも知れません。
こんな岩場だらけのコースで雨に降られた日には…。
休憩もそこそこに先を急ぎます。

尾根筋コースには「一般コース」と「岩場コース」があり岩場コースはその名の通り、尾根から男体山、女体山と岩山伝いに進むコース。
一般コースは、その岩場の足下をトラバースしていくコース。

岩場コースの方が眺望も良く、二ツ箭山を登る醍醐味が味わえるとは思うのですが、やはりそれなりに危険でリスクを伴うようです。
トラバースするコースに「一般」と名付けるようですから、
やはり自信がない人は岩場を避けて通るのが懸命なのでしょう。

やがて道は沢筋直登コースと合流し、男体山と女体山の足下に至ります。
そしたらコレですよ。

ででん!
30mの鎖場!

ガイドブックなんかで存在は知ってましたが、こいつは…。
ロッククライミングなんてやったことのない私には垂直の壁に見えるのですが…。
いや〜、登れる気がしないな…。

ふと足下を見ると真新しいケルンが積んでありました。
別に道迷いするような場所で無し、事故でもあったか?
ゾクリ…と背筋に冷たいモノが走ります。霊的な意味ではなく。
(帰ってから調べたら、本当に今年の夏に死亡事故があったもよう…。)

一瞬、引き返そうかな〜という気分にもなりましたが、引き返すにしろ今度はあの滑り岩や沢底を「下らなければならない」わけで、それはそれでとても危険な気がします。なんか詰んだというか、追いつめられた気分…。

とりあえず、鎖とかロープから手を離さなければ落ちることはあるまいと言い聞かせ、意を決して岩に取り付きます。
ところが、手掛け場、足場になりそうな岩の突起部やくぼみに大量の落ち葉が詰まっています。
落ち葉の下がどうなっているか分からないので、安易に体重を掛けたくないのですが、落ち葉を払うためには、どちらか片方の手を鎖から離さなければならない…。

いやぁぁっぁ! おっかねぇぇぇ!!!

…というわけで、このように情けない姿になりながらも必死に落ち葉を掻き落とし一歩一歩登っていきます。
3分の2くらい登ったあたりが一番怖かったですかね。ワンスリップ即死…という高さですから…。
それをすぎると若干斜度が緩くなるため、怖さは和らぎます。
正直、生きた心地がしませんでした。苦手だなぁ…こういう場所。

上にたどり着いても、今度はツートンの事が心配で気が気ではありません。
万が一の事があっても、この鎖場を下って救助しに行くことができるかどうか自信がありませんし。

しかし、心配とは裏腹に、ツートンはわりと簡単な顔をして登ってきました…。
いや、無事に登ってきてくれて良かったんですが、なんだろう、この敗北感は…。
急斜面になればなるほど、私とツートンのスペックの差が大きくなるようです。

で、必死の思いで登ってきた女体山ではありますが…
ガスガス!
本来は眺望良し!のはずですが、な〜んにも見えません。

まぁ…、高度感が失われて、無駄な恐怖を感じずに済む…という利点はありますが、やはり景色が見えないのは残念きわまりないですね…。

さて、こうなっては長居する理由はどこにもありません。
雨が降る前に山頂を踏んで、とっとと下山しましょう。

女体山から尾根伝いに東方向へと進みます。
道はやがて樹林帯へと入り、月山方面から来る道とぶつかります。

その交差点にある道標ですが…
あれ? 二ツ箭山って名前がどこにもないぞ???
あ、いや、ありました。
マジックで書き足されています(^^;
しかし不親切な看板だなぁ…。書き足される前は、混乱した人が続出したことでしょう。

山頂に向かうメインルートのはずなのに、何故か藪っぽくなる登山道…。
それもそのはず、山頂はまったく眺望はなく、
薄暗い林の中に山頂を示すプレートが設置されているだけの場所でした。

ま、一応記念写真を…。
本当は女体山からのパノラマをバックに記念撮影したかったんですが…。

山頂からは月山を経由して下山します。
道は穏やかな土の路面となり、安心して歩くことができます。
いやはや、登りに使ったルートとはまったく様相が異なりますね。
とても同じ山とは思えません。

月山に到着。
祠がありますので、無事に下山できるようにお祈りしておきます。
登りの恐怖が心に新しいため、わりと真剣に祈りました(笑

月山付近からは、男体山・女体山の岩峰がよく見えます。
こうやって見ると、よくあんなところに登ったモノだと我ながら感心してしまいます。

月山直下では月山登山口方面へ向かう道と、月山新道が分岐しています。
一応どちらの道も標識がついているのですが、月山登山口方面への道が太く新道は一見してどこかわからないような感じなので、根本登山口に戻りたい場合は見落としに注意です。

月山新道に入ると、急傾斜の下りとなります。
また岩がごろごろと転がる道になりました。
沢コース程ではないですが、注意しながら下ります。
ここでは、落ち葉の下に埋もれた木の根がトラップになっていました。

月山新道は〆張場へと続いていますが、中間付近から直接根本登山口へ向かう道が分岐しています。
〆張場まで降りてしまうと、またあの滑りやすい沢歩きをしなければならないので
ここは左折、直接下山コースをたどります。

落葉樹の林を抜け薄暗い針葉樹の森に入ると、間もなく今朝通った分岐点へと出ます。これでぐるっと一周してきた形です。
いや〜、生還できました!!
良かった良かった!!!

二ツ箭山は1000mに満たない山で里山に分類される山なのでしょうが、油断できない山だと感じました。
特に鎖場は今まで経験してきた中で一番恐怖を感じました。
ちゃってぃ的には最怖鎖場認定です。
いや…しかし、岩場・鎖場といっても里山だしたいしたこと無かろうとタカをくくっていましたが…
恐れ入ったよ二ツ箭山! オレの完敗だ!!
山頂に立つだけなら月山登山口から登ればわりと楽に登れそうなので初心者や岩・沢に自信がない人はそちらから登るのを強くお薦めいたします。

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