日本海への山旅(最終日) 常神半島でゴール
- GPS
- --:--
- 距離
- 19.9km
- 登り
- 1,288m
- 下り
- 1,292m
コースタイム
- 山行
- 9:52
- 休憩
- 0:22
- 合計
- 10:14
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
日向漁港から梅丈岳に向かう登山道の表示が地形図にはあるが、入ってすぐに海岸の崖が崩落して道は消滅している。 足元の地面も土がやわらかく不安定でかなり危険。 直下の波打ち際には遊歩道があるので、落石を引き起こさないよう慎重に進む。 崩落個所を過ぎれば登山道の痕跡は残っているので辿って歩くことは可能。 判別のつかないところは地形からのルーファイが必要。 梅丈岳山頂は公園になっている。(入園料800円) その先岬までの尾根はかなりはっきりルートを辿れる。 赤テープも新しく巻かれているので歩く人はいるのだろう。 (今回は誰にも出会わなかったが) ただし尾根の分岐が分かりにくくて下る方向を間違える危険はある。 要所でのコンパスチェックが必須。 あと、地元の人に聞くと熊はいるそうで、注意はした方がよさそう。 |
その他周辺情報 | 常神には民宿が多数あり、ちゃんと調べればこの時期でも一晩くらい滞在できたのだろうが、サイトから探し切れずに敦賀まで行って泊まった。 |
写真
装備
個人装備 |
レインウェア上下
救急薬品
ナイフ
非常食
携帯電話
帽子
トレッキングポール
タオル
ティッシュ
水
カメラ
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感想
大津市から山を繋いで繋いで足かけ三年、14回目の今回でやっと日本海までルートが伸びることになる(予定)
前回の到達点から何としてでも常神岬までたどり着こうとやってきたのはJR気山駅。
ここから歩き始めれば、必ず前回歩いたルートと交差するので都合がいい。
駅前に駐車スペースが見つからずに、やむなく近辺の路上(駐禁ではないところ)に停めて、まだ日の射さない湖畔を歩き出す。
ほとんど海抜0mに近い平坦な地形を進み、早瀬の運河に出ると、ここで若狭の海とご対面。
漁港の朝の景色を後に、その先の集落、日向漁港の運河を渡ったところから山道が始まる。
地形図ではここから梅丈岳まで登山道の表示があるので、ちょっと安心しながら起点の建物に向かった。
近づくと、その建物は廃業したホテルで、回り込むと通行止めのようなロープが張ってある。
この先のどこかで斜面の崩落があるのかと予想するが、ここはちょっと無理して行けるところまでと進むことにする。
歩き出してすぐにそのロープの理由が分かった。
結構な急斜面を海面から50mほどのトラバース道が伸びるが、その斜面がいくつもの崩落跡をむき出しにしている。
地面はやわらかい土がズルズル滑って安定せず、体を支えるのに一苦労。
下を見ると、波打ち際の遊歩道を歩いている人も見える。
(下も通行止めだったが・・・)
石を落とさないように気を付けながら、自分も落ちないよう最大限の注意を払ってこの斜面を通過した。
地形図の点線から大きく外れないよう身体をフルに使って斜面を移動する。
どうにか危険個所を通過し、樹林帯の中を横切って進む。
歩く人は当然わずかなのだろう、踏み跡と言える痕跡はあったりなかったり、等高線だけが頼りのルートファインディングが続く。
おまけに左右から延びる木の枝や倒木にさんざん悩まされながら、やっとのことで目安のポイントに着いた。
三方五湖から常神半島への観光道路、「レインボーライン」と出合う。
ここまでの道のりで、この岬を今日中に歩き切れるのか不安になり始めていたので、こんな人工物でも正直ちょっとほっとしてしまう。
そのすぐ先には、今日の最初のピーク、梅丈岳が待っていた。
ロープウェイやリフトがあり、登山者は見かけない。
歩いて登るルートを見つけようと眺めていたら係員の男性に声をかけられた。
曰く、山頂は有料の公園になっていて、例え歩いて登られても800円の入園料はいただいてます、とのこと。
伊吹山や富士山のような入山料なら何回でも払うけれど、遊園地では入る意味はないかとここは素通りに決める。
その係員の情報で、岬へ向かう道はまだ残っていること、またクマはここにはいるので、注意することなど、いくつかアドバイスをいただき、熊鈴を一応セットして尾根に入った。
取っ掛かりの崖に散々悩まされた今回のルート、ここからの後半は登山道の表示もない。
でもいざ入ってみると案ずるより・・・で尾根道は拍子抜けするほど快適に歩けた。
赤テープも所々新しいものが見つかったりして、現在も少しずつメンテナンスされている気配。
ただ小ピークを越えて尾根の分岐があると、地形図やコンパスの情報と、目に入る地形の情報を合わせながら下る尾根を判別しなければならない。
過去の経験から学習したつもりの自分なのだが、それを分かってチェックしているつもりで今回は三度間違えた。
たとえミスの発見が早かったとしても、数十mの登り返しは一気に体力を持って行かれる。
小さいミスを重ねながらも、今回の素晴らしいコンディションの天気や体調に助けられ、設定した各ポイントを通過して岬に向かう。
岬の先端で波打ち際の岩から足を水につけてゴールにしようとイメージしていたので、最後の急斜面を張り切って下る。
ただここでも下る方向を若干間違えて登り返し、正しい尾根筋を下ったのが本日3度目のルートミス。
いくらでもあったはずの時間の余裕がいつの間にか頭から消え去り、時間に追われるときの身体の重さを感じだしていた。
サックをデポし、スポーツ飲料とスマホだけを持って再び海面を目指す。
ところが岬の先端へは岩の断崖絶壁が落ち込んでいて、素手で太刀打ちできる余地などなかった。
残された時間で登り返し、隣のピークだけ踏んだら常神の集落に下りようと体力をかき集める気分で登り始めた。
隣のピークへはちゃんと登山道があるようで、その道に出たところに「灯台まで450m」の道標が立っていた。
今回赤テープ以外で初めて人が作ったものを見つけた気分。
灯台は2階建ての小屋のようなかわいい規模で、その立地(標高239m)に助けられて役目を果たしているようだ。
波打ち際には立てなかったが、この灯台にたどり着けたことで、この旅のゴールとしていいんじゃないか。
そこから下った常神の集落は、GWならではの非日常の賑わいと、路地に入ると包まれる静かなたたずまいとが混在した不思議な空気が流れ、半日でも港に座っていられる居心地の良さを醸し出している。
通りがかりの小中学生たちは知らないおじさんにも気持ちのいい挨拶をプレゼントしてくれ、体内時計の針を止めてしまいたくなる。
平成29年4月から足掛け3年、計14回目を重ねた山旅は一つの区切りをつけることができた。
歩行距離はレコのルート表示基準で300km弱。
車でのアプローチだと、チェーンのように毎回輪を描くようなルートになるのでどうしても距離が伸びる。
毎回重ねるルートミスや効率の悪さを思い返しても、とても他人に自慢できるものじゃあない。
でも、自分でも今回何かができたような気はしている。
時間はかかったけれど、やれた感はちょっとあって、次に何かをやってみようと思えているのも今回の成果かもしれない。
GWに誰も歩いていない山、ひょっとするとすごい贅沢な時間を過ごしたのかもしれない。
コメント
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monsieurさん完歩おめでとうございます。
素晴らしいこだわりコースの完歩で本当によく歩かれたと思います。
近隣に住む私でも真似出来ません。
誰も目指さないような困難な目標を立ててやりきることは、なかなか出来ることではありません。
今後の投稿も楽しみにしてます。
milukuさん、こんにちは。
「誰も目指さないような」というところが自分らしさかなと思っています。
ただ、山ってのはどこまで歩いても、そのちょっと先が見てみたくなりませんか
だから今回の山旅でも、毎回続きを歩くことが楽しくて
今年のシーズンは、北穂と剱岳を歩いてみたいと思っています。
よろしければ、また覗いてみてくださいな
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