月山(東補陀落)


- GPS
- 06:10
- 距離
- 8.2km
- 登り
- 627m
- 下り
- 626m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
補陀落(ふだらく)というのは、観音が住むところ。観音とは観世音菩薩。観世音菩薩とは衆生の声を聴き、その求めに応じて救いの手を差しのべる慈悲深い菩薩、と辞書には有る。月山には、東補陀落と西補陀落の二つの補陀落が有り、東補陀落には御浜という池と石塔がある。西補陀落は雨告山(あまもりやま)にあるという。もともとの西補陀落は水害にあって雨告山に移されたらしい。そこにも行ってみたい気はあるが、東補陀落のような石塔や池は無く、耳目を引くような物も無いようなので機会があればということで割愛する。
10日未明自宅出発。順調に進み月山ビジターセンターに着いたのはいいが、月山8合目まで全面通行止めの看板が出ていた。九州ナンバーの二人パーティが朝食の準備をしていたので聞いてみると、路面全体にシート張りがしてあり、下まで崩れていて完全に不通状態だとのこと。通れないとしても、行けなかったという状況写真くらいは撮っておこうと、柵の脇を通り抜けて行って見ると確かに完全に不通だ。もうすぐ雪が降るし、2、3年は無理かも。あ〜あ、最悪。
取りあえず、地元の人を見つけて情報収集し、作戦を練ろうと駐車場を出ると小さな看板があって、全面通行止めの脇に「迂回路有り」の文字。おいおいこんなのありですか? 普通、看板は進行方向に面して立てるでしょう。看板に正対して見えるように。それに迂回路有りと書いてありながら案内図も無い。取りあえず周知しましたという責任逃れとしか思えないような看板だ。といっても始まらない。さて、どうしたものかと考えていると、軽トラックのおじさんがやって来た。
勇躍して声を掛けると「入口の前を通るからついて来い」との有り難いお言葉。軽トラだから身が軽い。離されたらおしまいだ、と必死に追いかける。角を曲がって車が停まった。「ここから先一本道だから真っ直ぐ行けば良い」と言ってUターンして行った。停まって声を掛けるだけで分かるのに、何と親切なことか。月山八合目まで一度走ったことは有るが、ずいぶん前の事で何も覚えていなかった。覚えていたのは、難なく月山八合目まで走ったという事だけであった。それがこの体たらく。まったく情けない。
駐車場は、ガラガラだった。ヤマレコで東補陀落へはロープを潜ると読んでいたので直ぐに表れたロープを潜る。方向は間違っていない。道は掘れてはいるが草も刈り払われていてしっかりした道だ。ところが次第に方向が左手へと向かいだす。崖の端から御浜へと下って行くのだから明らかな間違い。戻って東方向へ進むとそれらしい踏み跡があり、間違いなく道の痕跡が表れた。歩くのがためらわれるような湿地帯の道だ。そこを過ぎると普通の山道となる。
右手に深く抉られたような地形が広がる。実際に真新しい崩れた崖の源頭を歩くところもある。その端が剣ヶ峰でそこから下って行く。右手に月山、左手には鳥海山。前面下には御浜池が見えた。その左手には東補陀落の石塔が光る。ここからが本番だ。その前に休憩。一息入れる。何気に降り口を覗いてみると「垂直じゃね~」と思ってしまった。ここが剣ヶ峰か。ロープが数本有るが道は垂直だ。これはこの先の悪路を表しているようで暗たんたる思いになる。しかし、よくよく見ると鉄製の梯子があった。鉄の錆色が土の色に同化していて気付かなかったのだ。これはいわゆるカウンターパンチだ。聖地は一日にしてならずという教えなのであろう。
道は浮石等もあり、決して歩きやすくは無いが、有り難いことに要所、要所にはロープが張ってある。数種類の花が咲いているが、名前はリンドウ位しか知らない。そして石塔の下に出る。青空にすっくと立つ二つの石塔。道は見つけられなかったが、藪を掻き分けて近くまで行ってみる。見上げる石塔は青空に突き刺さるかのような躍動感が有る。いい光景だ。ザイルパートナーがいれば、私にも登れるかもしれないと思った。もし登れたら気持ちいいだろうなあ。しかし、「聖地」にボルトなどを打つわけにはいかないだろうから登攀は夢の夢である。
ここからも相変わらずの道が続いた。まだですか、と言いたくなるが、我慢の歩きを続けて御浜に出る。静かだ。物音ひとつしない。それにさざ波ひとつない。静寂そのものである。池は山間で良く見る溜池のようでもある。西側は、黄土色をした溜池の土手のような形状にそっくりなのだ。水位の上下動により草が繁茂できないのであろう。20分休んで往路を戻る。
剣ヶ峰を下るときには登りは大変だろうと思ったが、二回位休んだだけで思ったより楽に登り返すことは出来た。しかし、谷の底近くから登り返すのは、なかなか骨の折れることである。火山砕屑物は侵食を受けやすいので谷も深くなるのであろう。剣ヶ峰を登り切ると後は厳しいところは無い。色付いた月山を眺めながらのんびり歩き月山八合目に戻る。
道路崩壊で一時はどうなることかと思ったが、地元の方に助けられて順調に山行は終わりを迎えた。親切なおじさんに助けられたことや出だしの道間違いも一興で、思い出深い山行になることは間違いない。いい山行である。
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