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記録ID: 2085689
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ハイキング
京都・北摂

【京都北山】満樹峠(万寿峠)のお地蔵さん

2019年11月02日(土) [日帰り]
 - 拍手
GPS
--:--
距離
6.4km
登り
486m
下り
480m

コースタイム

日帰り
山行
4:20
休憩
0:00
合計
4:20
9:00
30
スタート地点
9:30
9:30
140
11:50
11:50
30
12:20
12:20
20
12:40
12:20
40
小峠
13:00
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2019年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
・満樹峠を上賀茂側(東側)に10mほど下りたところの北側に一段高くなった箇所に石仏を2体見つけました。石仏の他にも,台座とみられる石材が3つと,用途不明の円形の石材が1つあり。拝まれなくなってからかなり時間が経過しているようで,2体とも倒れており,1体は半分土に埋まった状態,もう1体も枯葉をかぶって木の根が張っている状態でした。
・満樹峠に直登する谷は,もともと上賀茂側から満樹峠を越えて雲ケ畑に越える古道が通っていたと言われていますが,古い道形が残っているのは,小峠に登る登山道から別れてから100mほどと,峠の手前の50m位だけで,他はほとんど道が消えていました。藪に覆われた区間が多く,昨年の台風の影響と思われる倒木も谷をふさいでいるため、歩きにくいです。
山幸橋付近の京都一周トレイル登山口から入山し,20分ほどで小峠に向かう谷と満樹峠に向かう谷の出合に到着。登山道は左手の小峠方面についているが,今回は,満樹峠越えの古道を探索するのが目的の一つのため,登山道を外れ,右手の谷に入る。出合からいきなり荒れている…。
2019年11月02日 09:33撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 9:33
山幸橋付近の京都一周トレイル登山口から入山し,20分ほどで小峠に向かう谷と満樹峠に向かう谷の出合に到着。登山道は左手の小峠方面についているが,今回は,満樹峠越えの古道を探索するのが目的の一つのため,登山道を外れ,右手の谷に入る。出合からいきなり荒れている…。
写真ではわかりにくいと思うが,谷の右岸側に明瞭な道形が続いている。長い年月を多くの人に歩かれた古道に独特の,深く彫り込まれた道形である。
2019年11月02日 09:36撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 9:36
写真ではわかりにくいと思うが,谷の右岸側に明瞭な道形が続いている。長い年月を多くの人に歩かれた古道に独特の,深く彫り込まれた道形である。
少し進むと,大規模な倒木箇所に出た。昨年の台風の痕跡と思われる。古道は倒木の下に続いているのだが,残念ながら直進は不可能。左岸側に沢を渡り返したりしながら進んでいく。
2019年11月02日 09:38撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 9:38
少し進むと,大規模な倒木箇所に出た。昨年の台風の痕跡と思われる。古道は倒木の下に続いているのだが,残念ながら直進は不可能。左岸側に沢を渡り返したりしながら進んでいく。
倒木箇所を抜けてから両岸の斜面を上り下りして古道を探したが,道跡は忽然と消えてしまった。途中から谷の両岸の斜面が少し険しくなってくるため,道形が残りにくく,自然消滅してしまったものと思われる。しかも急に藪がひどくなってきた。わずかな獣道らしき踏み跡を辿って進んでいく。
2019年11月02日 09:45撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 9:45
倒木箇所を抜けてから両岸の斜面を上り下りして古道を探したが,道跡は忽然と消えてしまった。途中から谷の両岸の斜面が少し険しくなってくるため,道形が残りにくく,自然消滅してしまったものと思われる。しかも急に藪がひどくなってきた。わずかな獣道らしき踏み跡を辿って進んでいく。
予想外に難渋する道行だが,時折,沢中に小滝が落ちていて目を楽しませる。
2019年11月02日 09:46撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 9:46
予想外に難渋する道行だが,時折,沢中に小滝が落ちていて目を楽しませる。
とにかく藪が濃い。「北山の峠」で金久氏が満樹峠の上賀茂側の荒れようを嘆いていたが,現在でも状況は変わっていないようだ。当然,道形らしきものは見当たらない。ところどころ古いテープが残っているのを参考に、すこしでも歩きやすい斜面をつないで,藪をかき分けながら登っていく。
2019年11月02日 10:05撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:05
とにかく藪が濃い。「北山の峠」で金久氏が満樹峠の上賀茂側の荒れようを嘆いていたが,現在でも状況は変わっていないようだ。当然,道形らしきものは見当たらない。ところどころ古いテープが残っているのを参考に、すこしでも歩きやすい斜面をつないで,藪をかき分けながら登っていく。
満樹峠に近づくとようやく藪が切れ,歩きやすくなった。すると,左岸側に比較的明瞭な道形が見つかった。恐らく古い峠道と思われる。
2019年11月02日 10:26撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:26
満樹峠に近づくとようやく藪が切れ,歩きやすくなった。すると,左岸側に比較的明瞭な道形が見つかった。恐らく古い峠道と思われる。
古道は峠の直前で1回だけつづら折れとなっていた。なかなか心憎い演出である。(写真はつづら折れ部分を上から見下ろしたところ)
2019年11月02日 10:27撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:27
古道は峠の直前で1回だけつづら折れとなっていた。なかなか心憎い演出である。(写真はつづら折れ部分を上から見下ろしたところ)
満樹峠に到着。峠道は深い窪みとなって尾根をまたいでいる。古い峠だけが持つ,美しい掘り込みだ。
2019年11月02日 10:28撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
11/2 10:28
満樹峠に到着。峠道は深い窪みとなって尾根をまたいでいる。古い峠だけが持つ,美しい掘り込みだ。
満樹峠のプレートたち。
さて,今回の目的であるお地蔵さん探しにとりかかる。確か少し東側に降りたところにあったような…。落ち葉をかき分け,持参したシャベルで土を払いながら探すが,見つからない。斜面が崩れたりして,深く埋まってしまったのだろうか…初対面してからすぐに再訪しなかったことを後悔しながら探し続けること10分ほど。ふと顔を上げると…。
2019年11月02日 10:29撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:29
満樹峠のプレートたち。
さて,今回の目的であるお地蔵さん探しにとりかかる。確か少し東側に降りたところにあったような…。落ち葉をかき分け,持参したシャベルで土を払いながら探すが,見つからない。斜面が崩れたりして,深く埋まってしまったのだろうか…初対面してからすぐに再訪しなかったことを後悔しながら探し続けること10分ほど。ふと顔を上げると…。
あった!
お地蔵さんは,道から3mほど小高くなった小さな台地上の地形の上に倒れていた。少し高い場所にあったことをすっかり忘れていた。下ばかり見ながら探していたら,見つからないわけだ…。
2019年11月02日 10:32撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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11/2 10:32
あった!
お地蔵さんは,道から3mほど小高くなった小さな台地上の地形の上に倒れていた。少し高い場所にあったことをすっかり忘れていた。下ばかり見ながら探していたら,見つからないわけだ…。
1体目のお地蔵様。両手で印を結んで結跏趺坐しているので,お地蔵様というより,阿弥陀様かもしれないが…。枯葉をかぶっていたので,払ってから手を合わせ,撮影。地面に倒れて背面は埋まったようになっており,下部には木の根がしっかり張ってしまっている。人に拝まれなくなってから,相当の年月が経過していることを偲ばせる。
2019年11月02日 10:33撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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11/2 10:33
1体目のお地蔵様。両手で印を結んで結跏趺坐しているので,お地蔵様というより,阿弥陀様かもしれないが…。枯葉をかぶっていたので,払ってから手を合わせ,撮影。地面に倒れて背面は埋まったようになっており,下部には木の根がしっかり張ってしまっている。人に拝まれなくなってから,相当の年月が経過していることを偲ばせる。
お地蔵さん自体の風化も激しく,目鼻立ちはもう分からなくなってしまっており,両手もわずかに印を結んでいることがわかる程度。相当な昔に彫られた石仏であると思われる。
2019年11月02日 10:37撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:37
お地蔵さん自体の風化も激しく,目鼻立ちはもう分からなくなってしまっており,両手もわずかに印を結んでいることがわかる程度。相当な昔に彫られた石仏であると思われる。
2体目のお地蔵様。1体目の石仏よりも少し上に離れて倒れている。上半身が土に埋まってしまっているため,慎重に土を払っていく。
2019年11月02日 10:34撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:34
2体目のお地蔵様。1体目の石仏よりも少し上に離れて倒れている。上半身が土に埋まってしまっているため,慎重に土を払っていく。
土を払い終えたところ。このお地蔵さまは,右手に錫杖のようなものを持っており,左手は印?を結んでいるようだ。錫杖を持っているので,こちらは多分お地蔵様だろう。
2019年11月02日 10:36撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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11/2 10:36
土を払い終えたところ。このお地蔵さまは,右手に錫杖のようなものを持っており,左手は印?を結んでいるようだ。錫杖を持っているので,こちらは多分お地蔵様だろう。
2体のお地蔵さんの他にも,周辺には台座らしきものがいくつか転がっている。これは,横倒しになってしまっているが,窪みの部分に何かを乗せていた台座なのではないかと思われる。前面の部分に何か文字が彫られている可能性もあったため,起こしてみようとしたが,斜面が不安定で転げ落ちそうなため自粛し,そのままにした。
2019年11月02日 10:37撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:37
2体のお地蔵さんの他にも,周辺には台座らしきものがいくつか転がっている。これは,横倒しになってしまっているが,窪みの部分に何かを乗せていた台座なのではないかと思われる。前面の部分に何か文字が彫られている可能性もあったため,起こしてみようとしたが,斜面が不安定で転げ落ちそうなため自粛し,そのままにした。
1体目の石仏の下にも,台座らしきものがある。大半が埋まってしまっており,全体像はわからないのだが,3つのくぼみが彫られている。
2019年11月02日 10:37撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:37
1体目の石仏の下にも,台座らしきものがある。大半が埋まってしまっており,全体像はわからないのだが,3つのくぼみが彫られている。
そしてこれ。これが一番謎であった。もともとは円形だったと思うのだが,半分に割れてしまっている。石仏の台座だろうか,それとも五輪塔や宝篋印塔のようなものの部材だろうか。
2019年11月02日 10:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:48
そしてこれ。これが一番謎であった。もともとは円形だったと思うのだが,半分に割れてしまっている。石仏の台座だろうか,それとも五輪塔や宝篋印塔のようなものの部材だろうか。
裏返したところ。
2019年11月02日 10:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:48
裏返したところ。
横から見たところ。
2019年11月02日 10:49撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:49
横から見たところ。
それからこんなものも。2体目の石仏の横に埋まっている四角い石。かなり深く埋まってしまっているようだ。台座か,それとも3体目の石仏か…。
2019年11月02日 10:56撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:56
それからこんなものも。2体目の石仏の横に埋まっている四角い石。かなり深く埋まってしまっているようだ。台座か,それとも3体目の石仏か…。
お地蔵さんのある個所を少し引いて眺めたところ。
2019年11月02日 10:40撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 10:40
お地蔵さんのある個所を少し引いて眺めたところ。
峠の東側(上賀茂側)から,峠を撮影したところ。右手の赤い丸印の箇所にお地蔵さんがある。
こうしてみると,上賀茂側から登ってきて,ちょうど正面の位置にお地蔵さんが鎮座しているわけだ。やはり,満樹峠はあくまで上賀茂と雲ケ畑をつなぐための峠だったのだということが良くわかる。現在,満樹峠を上賀茂と雲ケ畑の行き来に使う人はほとんどおらず,小峠と十三石山を結ぶ登山道がメインになってしまっているが,その現役の登山道からでは,お地蔵さんを目視することは地形上難しい。
2019年11月02日 10:46撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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11/2 10:46
峠の東側(上賀茂側)から,峠を撮影したところ。右手の赤い丸印の箇所にお地蔵さんがある。
こうしてみると,上賀茂側から登ってきて,ちょうど正面の位置にお地蔵さんが鎮座しているわけだ。やはり,満樹峠はあくまで上賀茂と雲ケ畑をつなぐための峠だったのだということが良くわかる。現在,満樹峠を上賀茂と雲ケ畑の行き来に使う人はほとんどおらず,小峠と十三石山を結ぶ登山道がメインになってしまっているが,その現役の登山道からでは,お地蔵さんを目視することは地形上難しい。
初めは,お地蔵さんを完全に掘り起こして,2体並べて立てようと思っていたのだが,こうして枯葉の中に安らかに眠るように横たわっているお地蔵さんを見ているうちに,このままでもいいのではないかという気がしてきた。仏像を持ち上げるという行為自体,少し気が引けることに加え,もしかしたらお地蔵さんは,古くからの峠道を行き来する人が絶え,峠を見守る重責から解放されたのを確認したのち,自ら望んで横になり休んでいるのかもしれない。やはりこのままにしておこう。最後に合掌して,その場を立ち去った。
2019年11月02日 11:12撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 11:12
初めは,お地蔵さんを完全に掘り起こして,2体並べて立てようと思っていたのだが,こうして枯葉の中に安らかに眠るように横たわっているお地蔵さんを見ているうちに,このままでもいいのではないかという気がしてきた。仏像を持ち上げるという行為自体,少し気が引けることに加え,もしかしたらお地蔵さんは,古くからの峠道を行き来する人が絶え,峠を見守る重責から解放されたのを確認したのち,自ら望んで横になり休んでいるのかもしれない。やはりこのままにしておこう。最後に合掌して,その場を立ち去った。
せっかくなので満樹峠から西側(雲ケ畑側)にも少し降りてみた。倒木などで少し荒れているものの,登ってきた東側よりもきれいに道形が残っており,古い峠道の貫禄を感じさせる。早刈谷の瀬音が聞こえてきたあたりで引き返し,峠に戻る。
2019年11月02日 11:23撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 11:23
せっかくなので満樹峠から西側(雲ケ畑側)にも少し降りてみた。倒木などで少し荒れているものの,登ってきた東側よりもきれいに道形が残っており,古い峠道の貫禄を感じさせる。早刈谷の瀬音が聞こえてきたあたりで引き返し,峠に戻る。
せっかくなので,十三石山にも登っておこう。
毎度思うのだが,満樹峠から十三石山に登る道も,立派な窪みを持っており,最近できた登山道という感じではなく,古道の趣がある気がする。雲ケ畑に抜ける古道は,満樹峠から早刈谷に降りるルートだけでなく,そのまま尾根沿いに雲ケ畑に至るルートもあったのではないだろうか。
2019年11月02日 11:49撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 11:49
せっかくなので,十三石山にも登っておこう。
毎度思うのだが,満樹峠から十三石山に登る道も,立派な窪みを持っており,最近できた登山道という感じではなく,古道の趣がある気がする。雲ケ畑に抜ける古道は,満樹峠から早刈谷に降りるルートだけでなく,そのまま尾根沿いに雲ケ畑に至るルートもあったのではないだろうか。
樹林に囲まれ,静かな十三石山の山頂。
2019年11月02日 11:51撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
11/2 11:51
樹林に囲まれ,静かな十三石山の山頂。
木々の間から,ちらりと京都市街が見えた。
あんまり木漏れ日が気持ちよいので,腰を落ち着けてテルモスに入れてきた紅茶と羊羹でおやつにしていたら,思ったより長居してしまった。
2019年11月02日 11:51撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 11:51
木々の間から,ちらりと京都市街が見えた。
あんまり木漏れ日が気持ちよいので,腰を落ち着けてテルモスに入れてきた紅茶と羊羹でおやつにしていたら,思ったより長居してしまった。
何という花だろう?
2019年11月02日 12:20撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 12:20
何という花だろう?
帰りはさすがに藪に埋もれた旧道を下る気になれないため,正規の登山道沿いに小峠経由で帰る。小峠近くの「展望台」と名のついた尾根の肩から,京都市街のすばらしい眺めを得ることができた。
2019年11月02日 12:29撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
11/2 12:29
帰りはさすがに藪に埋もれた旧道を下る気になれないため,正規の登山道沿いに小峠経由で帰る。小峠近くの「展望台」と名のついた尾根の肩から,京都市街のすばらしい眺めを得ることができた。

感想

 3,4年前のある日,運動がてら自宅近くの十三石山の登山道をジョギングしていたところ,満樹峠で立ち止まって休んでいた時に,峠の付近に明らかに人の手で加工された石が転がっているのに気が付いた。何かの台座のような…。よく見ると周囲の落ち葉の間に同じような石が覗いていたため,落ち葉を払ってみると,驚いたことに半ば地面に埋もれるように横たわった姿の石仏が現れた。しかも2体。しかし,その時は天気が悪く,しかも後に予定も詰まっていてすぐに家に帰らなければならず,予期せぬお地蔵さんの出現に軽い驚きを覚えながらも,周囲をよく調べもせずに,急ぎ足で山道を下ってしまったのだった。
 それ以来,満樹峠で見かけたお地蔵さんのことが気になり,満樹峠のお地蔵さんについて記述された書籍やネット記録がないかどうか時々調べていたのだが,そのような記述は見つけることができなかった。
 ここまで記録が見当たらないと,あの日自分が見たお地蔵さんは見間違えだったのでは…と思えてきて,もう一度現地を訪れて確かめねば,と思いつつも,かなりの年月が流れてしまった。やっと今日,満樹峠越えの古道探索も兼ねて,お地蔵さん発掘のためにシャベル(雪山用のペラペラのやつですが…)とタワシまで携えて,満樹峠に再訪することができた。
 お地蔵さんが峠道から少し高いところにあったことを失念していたため,見つけるまで少し時間がかかってしまったが,やはりお地蔵さんは存在していた。あの日見た通り,半ば土と枯葉に埋もれて横たわったままで,やはりお地蔵さんを拝む人はいないようであった。初めは,お地蔵さんを掘り起こして,ちゃんと立たせてあげたいと思っていたのだが,お地蔵さんを眺めているうちに,お地蔵さんは休みたくて自分で横になっているのではないか,無理に立たせたら逆に怒られるんじゃないかという気がしてきて,結局,落ち葉と表面の土を払ってきれいにするだけにしておいた。そう思ってしまうくらい,木漏れ日の中,落ち葉に埋もれて眠るように横たわるお地蔵さんは平穏そのもので,通る人もまれな静かな峠にふさわしいお姿であった。
※ 初めて見つけたような書き方をしてしまいましたが,もしこのお地蔵さんの存在が周知の事実でしたら,すみません…(^^;

<満樹峠について>
 満樹峠は,今でこそ尾根沿いに小峠から十三石山に至る登山道が通過する中間点のような位置づけになってしまっているが,古くは上賀茂と雲ケ畑を結ぶ主要な道が通る峠だったそうです(現在,雲ケ畑までは鴨川沿いに車道が通じているが,この川沿いの道ができたのは江戸時代後期のことで,車が通るほど拡幅されてメインルートとなったのはさらに後のことらしい。)。さらに,この峠は雲ケ畑を越えて若狭に至る丹波街道にも組み込まれていたそうで,それなりに通行量の多い重要な峠であったことがうかがえます。そう考えると,周辺の峠でも夜泣峠,薬師峠,祖父谷峠など,石仏が安置されている峠が多い中,この峠に石仏(しかも2体も,立派な台座?付きで)があるのは,むしろ自然なことのように思えます。(満樹峠の来歴に関する上記の情報は,金久昌業著「北山の峠」の受け売りです。)

 

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コメント

hillwandererさん おはようございます
満寿峠への谷道(近道と思い時々利用していた)、元々荒れていたのに更に荒れたようですね。もう余り入らない方が良いのかも知れませんね。情報有り難うございます。

ところで31番の花は千振の花です。山に行くと時々見かけます。

投稿後、気になって満寿峠の件で私の記録を見直してみました。2016年3月、残念ながら地蔵の写真は無く当時気が付かなかったと思います。しかし台座の写真は残っていたのでそれなりに近くまで行ったと思います。今度行く事があれば見に行きたいと思います。
2019/11/3 8:54
Re: hillwandererさん おはようございます
おはようございます。花の名前、教えていただきありがとうございます!花の名前はあまり詳しくなくて…(^^; 勉強になりました。
満樹峠への谷道、歩かれていたんですね。確かに、満樹峠や十三石山に行くには一番効率的ですよね。谷筋は藪と倒木で歩きにくいのですが、すこし高いところの樹林帯を巻くようにしていけば、まだ登路として使えそうな感じでした。
お地蔵さんについては、yjin様と同じく、私も初め台座の存在に気がついた感じでした。お地蔵さんの素朴さに比べると変に立派な台座で、本来の用途が気になるところです。コメントいただきありがとうございました。
2019/11/3 11:59
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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