将棋頭山・小黒川


- GPS
- 32:00
- 距離
- 6.3km
- 登り
- 694m
- 下り
- 688m
コースタイム
10月27日信州大小屋(7:10)→小黒川2150付近で左岸夏道の尾根へ(10:30)→夏道 (11:00)引き返し→信州大小屋(14:30)
天候 | はれのち雪のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2002年10月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
今年の夏の沢はスッポ抜けてしまった。初夏に板取に通った後、仕事やインド旅行、中国出張から帰ったら、もう紅葉さえ里に下りてきていた。この夏も称名滝始め充実のビッグフォールクライミングをこなしてきた美濃の松原君、タジキスタンでの仕事帰りの伊那谷の杉山君とうちのカメとで、今年最後の沢登りを企画する。僕の気分はまだ夏からの切り替わりが出来ていなかった。以前、鈴鹿あたりでは正月に沢登りしてなんとかなったので、雪が降っても大丈夫という感じだったが、中央アルプス標高2000mはやはり甘くはなかった。 一日目 小黒川林道は伊那谷からも急激に高度を上げる。終点付近は鮮やかなカラマツの黄葉の中。小黒川は杉山君ら信州大の農学部林学科の演習林の中を流れ下るので、林道終点より徒歩10分ほどの小屋を使わせてもらう。ダルマの薪ストーブのある、簡素で清潔な小屋だ。寒気が入り込み冷たい雨が降る。こんな夜に屋根のある小屋にいるのは幸せな気分だ。夕方雨の中を学生が登ってきた。もう一軒ある上の小屋へ登ると行って過ぎていった。メガネの奥の目が優しいワンゲル部員風。やはり杉山君の知り合いで、愛称は「青春野郎」に決定。 二日目 翌朝は月明かりに起き、寒い空は雨上がりで遠くまで澄んでいた。山の端に朝日が当たり好天を知らせる。昨夜と同じメニューのキムチ味うどんをたいらげ、のんびり小屋掃除をして出発。水は冷たい。最初の核心は三段目にチョックストーンのある三段滝。下からは二段しか見えない。右岸少し戻ったところから巻く。踏み跡有り。チョックは高巻き途中から見える。続く滝はどれも快適に登れるか小さく巻けるものばかり。一つ、カメにお助けひもを垂らす滝4m滝有り。ここで少々シャワーを浴びる。 どうも細かい白いものが降ると思っていたらこれが雪のようだと変わってきた。小滝にかかった倒木にはツララが見られるようになり、見上げると源頭の森は樹氷のように白い。腹が減ったので腰を下ろしたら急に体が寒くなってきた。雪はいつしか大粒、濡れた足の指先はしびれ、濡れた軍手も脱いだ方がましなぐらい冷たい。そして一面が白いツブツブに覆われた雪景色に。これ以上足を冷たい水に浸すのがイヤになり、適当なところで左岸のルンゼを登り、尾根上の夏道に逃げようと言うことに決定。土の上をスピード出して駆け上がって、20分以上経ってやっと足の感覚が戻ってきた。 2300mあたりの夏道に出た。演習林内なので木にかけてあった温度計は氷点下2度。2000mを下ったあたりでもう一件の演習林小屋があり、石油ストーブで暖をとる。昨日雨の中を調査に登っていった、農学部の青春野郎はこのあたりで調査しているのだろう。下の小屋への途中、理学部の学生に会った。一人無人の山で野外調査をする学生が手作りの樹木成長記憶リングを回収していた。愛想のないところが学生らしい。 伊那谷を見下ろし、遠く50キロかなたの浅間山の山肌までくっきり見えた。対岸、南アルプス山麓の建物がはっきり見える。今日の澄んだ空気は抜群だ。しかし2500m以上は寒気の雪雲がまとわりついている。今日から冬という変わり目に来てしまったようだ。黄色いカラマツの森を抜け、下山すると、人気のそば屋はもう品切れで、温泉に浸かった後に伊那名物の豊原食堂でローメンを食べる。初めて挑戦のまっちゃんとカメはウゲゲーという表情。僕は持ち込みの納豆をかけて新境地の味付けにする。相変わらず酔っぱらいオヤジで熱気ムンムンの食堂は寒い屋外から入ると、なんだか上富良野駅前の大衆食堂を思い出す風情。 将棋頭山は踏めなかったが、またくればいい。杉山君のフィールドで快適な小屋が三件もある裏庭みたいな所だ。日本で最高の標高差の演習林らしいが近所にあんな山を持っていて、うらやましい環境だ。 |
写真
感想
今年の夏の沢はスッポ抜けてしまった。初夏に板取に通った後、仕事やインド旅行、中国出張から帰ったら、もう紅葉さえ里に下りてきていた。この夏も称名滝始め充実のビッグフォールクライミングをこなしてきた美濃の松原君、タジキスタンでの仕事帰りの伊那谷の杉山君とうちのカメとで、今年最後の沢登りを企画する。僕の気分はまだ夏からの切り替わりが出来ていなかった。以前、鈴鹿あたりでは正月に沢登りしてなんとかなったので、雪が降っても大丈夫という感じだったが、中央アルプス標高2000mはやはり甘くはなかった。
一日目
小黒川林道は伊那谷からも急激に高度を上げる。終点付近は鮮やかなカラマツの黄葉の中。小黒川は杉山君ら信州大の農学部林学科の演習林の中を流れ下るので、林道終点より徒歩10分ほどの小屋を使わせてもらう。ダルマの薪ストーブのある、簡素で清潔な小屋だ。寒気が入り込み冷たい雨が降る。こんな夜に屋根のある小屋にいるのは幸せな気分だ。夕方雨の中を学生が登ってきた。もう一軒ある上の小屋へ登ると行って過ぎていった。メガネの奥の目が優しいワンゲル部員風。やはり杉山君の知り合いで、愛称は「青春野郎」に決定。
二日目
翌朝は月明かりに起き、寒い空は雨上がりで遠くまで澄んでいた。山の端に朝日が当たり好天を知らせる。昨夜と同じメニューのキムチ味うどんをたいらげ、のんびり小屋掃除をして出発。水は冷たい。最初の核心は三段目にチョックストーンのある三段滝。下からは二段しか見えない。右岸少し戻ったところから巻く。踏み跡有り。チョックは高巻き途中から見える。続く滝はどれも快適に登れるか小さく巻けるものばかり。一つ、カメにお助けひもを垂らす滝4m滝有り。ここで少々シャワーを浴びる。
どうも細かい白いものが降ると思っていたらこれが雪のようだと変わってきた。小滝にかかった倒木にはツララが見られるようになり、見上げると源頭の森は樹氷のように白い。腹が減ったので腰を下ろしたら急に体が寒くなってきた。雪はいつしか大粒、濡れた足の指先はしびれ、濡れた軍手も脱いだ方がましなぐらい冷たい。そして一面が白いツブツブに覆われた雪景色に。これ以上足を冷たい水に浸すのがイヤになり、適当なところで左岸のルンゼを登り、尾根上の夏道に逃げようと言うことに決定。土の上をスピード出して駆け上がって、20分以上経ってやっと足の感覚が戻ってきた。
2300mあたりの夏道に出た。演習林内なので木にかけてあった温度計は氷点下2度。2000mを下ったあたりでもう一件の演習林小屋があり、石油ストーブで暖をとる。昨日雨の中を調査に登っていった、農学部の青春野郎はこのあたりで調査しているのだろう。下の小屋への途中、理学部の学生に会った。一人無人の山で野外調査をする学生が手作りの樹木成長記憶リングを回収していた。愛想のないところが学生らしい。
伊那谷を見下ろし、遠く50キロかなたの浅間山の山肌までくっきり見えた。対岸、南アルプス山麓の建物がはっきり見える。今日の澄んだ空気は抜群だ。しかし2500m以上は寒気の雪雲がまとわりついている。今日から冬という変わり目に来てしまったようだ。黄色いカラマツの森を抜け、下山すると、人気のそば屋はもう品切れで、温泉に浸かった後に伊那名物の豊原食堂でローメンを食べる。初めて挑戦のまっちゃんとカメはウゲゲーという表情。僕は持ち込みの納豆をかけて新境地の味付けにする。相変わらず酔っぱらいオヤジで熱気ムンムンの食堂は寒い屋外から入ると、なんだか上富良野駅前の大衆食堂を思い出す風情。
将棋頭山は踏めなかったが、またくればいい。杉山君のフィールドで快適な小屋が三件もある裏庭みたいな所だ。日本で最高の標高差の演習林らしいが近所にあんな山を持っていて、うらやましい環境だ。
10/27 小屋発(720)標高2100m付近(1030)左岸尾根登山道(1100)小屋着(1400)
昨冬の穂高バイトで御一緒した杉山氏と、米山夫妻との山行。氏にとっては庭同然の山域にて、彼の先導で秋色の沢を歩く。標高を上げるにつれ季節は進み、雪が舞い、この谷で一番大きいという15m程の滝を見上げて尾根に逃げた。
以前より下半部のくねりが気に掛かっていた小黒川であったがその実、大味で降雪による中途敗退で山頂無し、また内容も乏しく述べるべき言葉もない。花崗岩主体の印象明るい他の中アの谷と比べ、水成岩が混じったこの谷は名の由来通りか暗い印象を受けた。帰宅後の「線」も中途半端なままだ。安温泉はまだしものこと、安飯ローメンで締まりもいと悪し。
分水嶺を南へと押し下げている隣の奈良井川と絡め、またいつか再訪したい。
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10/27 小屋発(720)標高2100m付近(1030)左岸尾根登山道(1100)小屋着(1400)
昨冬の穂高バイトで御一緒した杉山氏と、米山夫妻との山行。氏にとっては庭同然の山域にて、彼の先導で秋色の沢を歩く。標高を上げるにつれ季節は進み、雪が舞い、この谷で一番大きいという15m程の滝を見上げて尾根に逃げた。
以前より下半部のくねりが気に掛かっていた小黒川であったがその実、大味で降雪による中途敗退で山頂無し、また内容も乏しく述べるべき言葉もない。花崗岩主体の印象明るい他の中アの谷と比べ、水成岩が混じったこの谷は名の由来通りか暗い印象を受けた。帰宅後の「線」も中途半端なままだ。安温泉はまだしものこと、安飯ローメンで締まりもいと悪し。
分水嶺を南へと押し下げている隣の奈良井川と絡め、またいつか再訪したい。
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