御正体山 やはり尊い山と言わねばならぬのが現状
- GPS
- 07:08
- 距離
- 20.6km
- 登り
- 1,174m
- 下り
- 1,249m
コースタイム
- 山行
- 5:48
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 7:08
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
感想
下界では‘不急不要な外出を控えるように’とお達しが出ているようですが、人のいない山上なら独断と偏見で問題無かろうと(公共交通機関の利用は?)、またまた郡内地方に出掛けてしまいました。
今回は御正体山。現在では日本二百名山、山梨百名山、都留市二十一秀峰などの肩書はありますが、その歴史は富士山遥拝の山、地場産業の養蚕の神の山、‘即身仏’が祀られていた山など厚い信仰に包まれています。明治時代に廃仏毀釈の波にさらされて殆ど痕跡が残っていない現状らしいのですが、果たしてそうなのか実際に登って確かめて来ました。
電車を乗り継ぎ、富士急行線東桂駅へ。今週から休校実施のはずなのだが、制服姿の高校生が大勢乗り込んでくる。駅から歩き始めると、登校する小学生たちとすれ違う。都留市の自治体判断なのかと思われるが、違和感だらけの東京とは違って日常が維持されているようである。
駅からはひたすら車道歩き。山奥に向かっているはずなのだが、トラックも含めて意外と交通量がある。
1時間ほど歩いて人の気配がようやく無くなり始めた頃、御正体神社の鳥居前に着く。石段を上がると、境内にはわずかな石造物と寂れた感の社殿。参拝して暫く辺りを回っていると、石灯籠に見慣れぬ文字を発見。ネット検索してみると、どうやら阿比留文字という神代文字の一種であるらしい。初めて見るタイプの遺物をしばし観察。
神社を後にして40分ほど更に歩くと、虹の木橋のたもとにある池の平登山口に着く。ここから2004年に皇太子殿下(今上天皇)御登頂との由。‘プリンスルート’とも呼ばれているようで、なんだか箔が付いている感じである。
しばらくは林道歩き。やがて沢沿いのゴロゴロした道に入り、何度か渡渉する。‘龍の口’という水場の辺りから急登が始まり、あまりに斜度がキツいので階段がついている。これはプリンス対応の賜物なのか。あえぎながら登り続けてふと振り返ると富士山の姿が見えている。それに後押しされるように高度上げを頑張ると、やがて上人堂跡に出る。
この開けた平坦地は富士山を対面して望める絶好地である。江戸時代末期、此処で妙心上人という僧が入定して‘即身仏’になり、御堂が建立されて祀られていた。地面には建物の礎石であろう石が規則的に並び、背後には座禅岩という巨岩も鎮座していて、いくつかの石仏と新しい遺跡碑と共に往時を偲ばせる。
そこから更に登り上げると文台山分岐にたどり着いて、やっと急登が終わる。ここも尾根上の開けた場所で、富士山はもちろんのこと、近くには杓子山や三ツ峠山、遠くには白い南アルプスや八ヶ岳の山並が見渡せる。
分岐からはクルッと時計回りの方向での尾根歩き。多少のアップダウンはあるが、今までの急登を思えばどうということもない。途中で展望台(とはいえ先ほどの分岐より視界は悪い)や峰宮跡(後継の?小さな石祠がある)を通り、岩場がちな場所も越えて、雪がまばらに残る最後の登りにとりつく。
木立に囲まれた山頂に到着。先客の方がいたので少し言葉を交わすが、先に隧道方面に降りられる。ポツンと独り残された山頂はとても静かで平穏な雰囲気。御正体権現を祀るという祠に参拝し、軽めの昼食を取り、眺望も無いのでゴロンとベンチに横たわり青空をボンヤリと眺める。と、頭上に不思議な形をした雲が流れてくる。まるで大きな羽を広げた鳥(鳳凰!)が現れたようで、やはり信仰の山なんだなぁと一人悦に入る。
名残惜しくも下山を始める。峰宮跡まで戻り、来た道と反対の北側へ急降下する。こちらのキツい斜度の対策にはトラロープが長々と張られていて、滑らないように気をつけながら下る。半分ほど降ったところで、呆気なく舗装された林道に出てしまい、後は問題なく道沿いに歩いていくだけ。やがて御正体入口の登山口を抜けて、県道24号(意外と交通量多い)を経由して谷村町へ。
とりあえずゴールは市街地の真ん中にある長安寺という楼門が目立つお寺。この近くにある手打ちうどん屋はとうに営業終了だったのが少し残念。
久しぶりの20キロ越えの山行ながら、半分以上は舗装道路歩きでした。これまで御正体山を敬遠していた理由がこのアプローチの長さだったのですが(タクシー使うとか手段は有りますが)今回思い切って歩いてみて、周りの状況が刻々と変わる様が楽しく感じられたり、神社であった意外な発見にも繋がったりして、なかなか良かったです。
それにしても遺構が殆ど残っていないにも関わらず、昔の信仰の面影が伝わってくるような不思議な山でした。
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