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Yamareco

記録ID: 2328078
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アルパインクライミング
谷川・武尊

【過去レコ】谷川岳一ノ倉沢衝立岩雲稜第1ルート

1980年07月26日(土) [日帰り]
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コースタイム

一ノ倉沢出合〜テールリッジ〜衝立岩アンザイレンテラス〜雲稜第1ルート登攀〜衝立の頭〜北稜懸垂下降〜一ノ倉沢出合:もう記録がないので不明です。
天候 曇り
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
ハーケンは抜けやすい。特に洞窟ハングが危なく、乗越で抜けました!
いたるところが危険個所で宙吊りに注意です!
新版日本の岩場より (山と渓谷社刊 昭和52年発行)衝立岩雲稜第1 ルート図
2020年05月03日 17:28撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 17:28
新版日本の岩場より (山と渓谷社刊 昭和52年発行)衝立岩雲稜第1 ルート図
2ピッチ目 第1ハング下を登攀中のNさん
つるべ登攀でトップを交代しながら登って行く。
2020年05月03日 14:25撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 14:25
2ピッチ目 第1ハング下を登攀中のNさん
つるべ登攀でトップを交代しながら登って行く。
2ピッチ目 第1ハング乗越中。3mの張り出しです。
2020年05月03日 14:25撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 14:25
2ピッチ目 第1ハング乗越中。3mの張り出しです。
2ピッチ目 第1ハング乗越しました。
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2ピッチ目 第1ハング乗越しました。
3ピッチ目 当方3ピッチ目トップで登って、次にNさんが登っています。その下に単独者がいます。
3ピッチ目 当方3ピッチ目トップで登って、次にNさんが登っています。その下に単独者がいます。
3ピッチ目 
もの凄い高度感です!
2020年05月03日 14:28撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 14:28
3ピッチ目 
もの凄い高度感です!
ボサテラスから上はこんな感じです。
傾斜も落ちてホッとするピッチです。
小説クライマーズハイ(映画)でも冒頭であそこあそこボサテラス・・・・と言うシーンがありますね。
2020年05月03日 14:29撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 14:29
ボサテラスから上はこんな感じです。
傾斜も落ちてホッとするピッチです。
小説クライマーズハイ(映画)でも冒頭であそこあそこボサテラス・・・・と言うシーンがありますね。
洞窟ハングを乗越したNさん
ここはハーケンベタ打ちですが抜けます!
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洞窟ハングを乗越したNさん
ここはハーケンベタ打ちですが抜けます!
衝立の頭にて 当時はこんな服装で登ってました。
化繊の安モンのポロシャツですよ(笑)
2020年05月03日 14:31撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 14:31
衝立の頭にて 当時はこんな服装で登ってました。
化繊の安モンのポロシャツですよ(笑)
Nさんもいっしょ
2020年05月03日 14:31撮影 by  iPhone 8, Apple
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5/3 14:31
Nさんもいっしょ
北稜懸垂下降中 40mザイル2本で何回やったかな〜
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北稜懸垂下降中 40mザイル2本で何回やったかな〜
衝立岩にガスがかかってきてます。
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衝立岩にガスがかかってきてます。

装備

個人装備
ハーネス ヘルメット ザイル9mm×40m1本 ハーケン5本 カラビナ10枚 スリング6本 ジャンピングセット ボルト2本 アブミ3個(うち1個はテープアブミ)(以上は相棒も持参)
共同装備
ツエルトなど
備考 良かったもの:衝立の頭で飲んだビールは最高にうまかった!

感想

このルートは山を始めた頃、憧れだったところであり目標でもあった。
衝立岩には、他にもいくつものルートがあり、また登ったルートもある。
しかし、最初に人工テクニック*を駆使して登られた初登攀ルートであること、宙吊り事件と言うショッキングな出来事もあったことなど、「過去レコ」として取り上げてみました。
*埋込みボルトやアブミを駆使して登ること。

前年に考え方の相違から山岳会を辞めて、自由気ままに登っていた時期です。相棒はI山岳会のNさん。 大リーグの松井選手と同じ星稜高校の野球部出身(ピッチャー)だった人だ。

中央稜の基部(テールリッジ)で登攀準備をしていると小雨がパラついてくる。まだ衝立岩には誰も取り付いていないが、テールリッジには続々とクライマーが登ってくる。 少しぐらいの雨なら登ってしまいたい!
クライマーの数が圧倒的に多かったこの時代、一ノ倉沢の各ルートは順番待ちになってしまう盛況だったのだ。今では考えられない時代ですね。

雲稜第1ルートの取付点であるアンザイレンテラスへ向かう。
ビレー用ボルトが打ち込まれているアンザイレンテラスは狭く、先行パーティがいる場合、落石に対しては無防備なところだ。そのため最初に取り付きたいと言う気持ちは強い。
少し遅れて単独者が、同じく雲稜第1ルートを目指してやってくる。
彼の顔には見覚えがある。6月初め南稜を懸垂下降中に会った人物だ。
腕が太く、かなりトレーニングを積んでいると思われる体格だ。

1ピッチ目
私がトップですぐ左の凹角から直上する。
ここは快適な岩でフリーからA0*で2人用テラスに達する。
*ボルトやハーケンを手懸りとして登ること。
なぜ私が最初トップか? 
Nさんが2ピッチ目の第1ハングを自分でリードしたいだけなのだ(笑)
(吊るべ登攀でトップを交互に交換して登る)

2ピッチ目
Nさんトップで左上の凹角を目指し直上する。
ハング下をトラバースし、Nさんは3メートルの張り出しの第1ハングを奮闘中だ。
単独者も2人用テラスに達してきた。
彼とはNさんの奮闘中、短時間であったが谷川岳の登攀のこと、フリー化について、群馬のクライマーについて話しをした。話しをしていると衝立岩を登っていると言う緊張感はなくなり、リラックスした気分になってくる。
次は私の番だ。
第1ハング下まではスムーズにいくが、3メートルの張り出しのハングは苦しい。アブミに乗った足が、段状になったハングの壁に付くので多少助かるが、アブミテクニックの見せ所だ。
テールリッジやアンザイレンテラスからは、順番待ちのクライマー達に見られているのだ!

3ピッチ目
私がトップになり、凹角から右上気味に人工で進む。
さらに右上から第2ハングを越えるが、もの凄い高度感!
衝立岩を登っていると言う実感が得られるピッチだ。
そのため、打込み過ぎのハーケンにかかる古いシュリンゲ、これにアブミをセットし体重をかけるのは、さすがに恐かった。
3ピッチ目のNさんの下には単独者が。
彼はザイルのセンターをビレーポイントに通し、20メートルのループとし登攀している。
1回登りで終る利点はあるが、落ちたら恐い単独登攀方式だ。私は絶対にやらなかった。

4ピッチ目
Nさんトップで、人工からフリーでトラバースして凹角へ入る。
途中、外斜したバンドではピッチを区切らず第3ハングの下までザイルを伸ばす。

5ピッチ目
トップを替わり、第3ハングを越える。
ここは外開きのチムニー状になっていて、疲れも出てきて苦しい。
安全のためビレーの数を増やして、ハング上のチムニー状の岩を登れば気持ちのいいボサテラスだ。

6ピッチ目
垂壁と潅木にはさまれたピッチで傾斜は落ちる。
精神的にもホッとするピッチだ。そのためザイルはぐんぐん伸びていく。
洞窟ハング下でピッチを区切る。

7ピッチ目
洞窟ハングの乗越しから始まる。
洞窟の左からハングの庇の下をアブミトラバースしながら庇を越える。
庇を越えようとした時、不覚にもアブミをかけたハーケンが抜けた。
幸い右腕1本で体重を支えたが、大事に至らなく良かった。宙吊りでも なったら脱出が大変だったろう。

8ピッチ目
チムニー状の岩場からブッシュ混じりの易しいピッチとなる。

あとはブッシュ混じりのもろい岩場を80メートルほどで衝立ノ頭に達する。
終った!!!
念願の衝立岩雲稜第1ルートを登り終えたのだ。

ここでNさん、ビールを飲もうと言う。
えっ持ってきたの? 私のザックを指差し、あるよ。
ホントにザックからビールが出てくる!!!

まさか衝立ノ頭でビールを飲めるなんて夢にも思わなかった。
でも待てよ、こんなシーンはどこかで見たような・・・・・・
そうだ、クリント イーストウッド主演の映画「アイガーサンクション」だ。
前半のコロラドかどっかの岩塔を登り終えて似たようなシーンがあった。
Nさん、それを真似たんじゃないの?
Nさん「・・・・・・・・」

下降は北稜を懸垂下降だ。
登る前はコップも*と言う話しもあったが、ビールも飲んだことだし・・・・・
*コップ状岩壁のこと

先日、本屋で「岳人」12月号の登山クロニクルを見た。(2010年)
そこには衝立岩雲稜第1ルートを登った記録が載っていた。
今の雲稜第1ルートは、支点の悪さと岩の崩壊が激しく、敬遠されているとのことだった。
支点が抜け、敗退の記録も目立つと言う。
衝立の他のルートも、ダイレクトカンテを除いて、登った話しは少ないと言う。

私が登った30年前とは、随分と変わってしまったものだ。
支点の悪さと岩の崩壊が激しいのは、30年と言う時間経過があるのだろうか。
ボルトひとつとっても、30年間同じ強度を保つのは不可能だろう。

何か寂しい気がしてならない。
衝立岩と言う岩壁が、敬遠されていると言う現実。
昔の一ノ倉沢と衝立岩の賑わいを知っている人間としては寂しい。
もう、あの賑わいは2度と戻ってこないだろう!

こちらもご覧ください!
https://ameblo.jp/enduro804/entry-12501388283.html

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