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Yamareco

記録ID: 246626
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無雪期ピークハント/縦走
八幡平・岩手山・秋田駒

焼石岳(過去山行)

1993年10月23日(土) 〜 1993年10月24日(日)
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GPS
26:30
距離
20.3km
登り
1,463m
下り
1,621m

コースタイム

10/23 中沼登山口08:00→銀明水10:30→泉水沼12:00→焼石岳→泉水沼12:45→15:00金明水小屋
10/24 金明水小屋05:00→経塚山0:730→10:30夏油温泉
天候 曇り
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
中沼登山口
焼石岳山頂
焼石の山々

感想

過去の山行記録です。

東北の冬は早い。10月下旬、水沢の駅に着いた時、もう、冬の足音が聞こえて来るようであった。
バスが来るまで、駅の外で寂しく待つ。バスは登山口のはるか手前迄しか行かない。
バスを降り一人トボトボ歩いていると、後ろからワゴン車が止まってくれた。乗ってけとのこと、しかも林道の奥深く、中沼登山口まで送ってくれるとのことである。すっかり嬉しくなって話しをいろいろと聞くとキノコ狩りの人達であった。
歩くと3時間、それが車だと約30分で中沼登山口に着く。再びお礼を言って出発した。天気はどうも怪しい。今にも泣き出しそうな気配であった。
1時間余りで中沼に着いた。前にはたおやかな山々が見える。「多分、あれが焼石岳だろうな」と思いつつ、沼のほとりで少し休む。するとどうだろう、そらがもう我慢できませんとばかり雨を降らせてきた。休憩もそこそこに歩き始める。上沼と続き、きっと晴れていたら紅葉で綺麗だろうなと思うところが続く。やがてつぶ沼コースと合流して銀明水小屋に着いた。
車のおかげで思わぬゲインが出来たものの、身体の調子は今ひとつ。銀明水迄もコースタイムぎりぎりといったところ。ひょっとするという淡い想いを抱きつつも身体はいうがきかない。銀明水から上は、高山帯を様してきた。姥石平の分岐に着いた時は身体はへとへとであった。仕方なく、ここに荷物を置き空身で山頂に行く。
山頂はガスが巻き寒くてとても長い時間いれるところではなかった。そうそうに山頂を降り、姥石平で荷物を拾い、金明水に向かった。
この時点で淡い想いを諦めた。それは一日で焼石を駆け抜けるというものであった。
こうなると気楽である。休みながら牧歌的な山なみを楽しみながら歩く。
金明水に着いたのは日もまだ高い3時過ぎであった。
金明水小屋に着いた頃から陽が差しはじめ秋の夕暮れを楽しみながら、夜のとばりが降り出してきた。

黄昏れがもう終わろうとする頃、小屋をたたく音がした。小屋には自分一人しかおらず、誰かがこんなぎりぎりの時間に小屋に着いたんだと思い、「どうぞ」と声をかけた。続いてガラガラと扉が開いた。でも誰も入って来ない。
思いきって、ライトを手に外に出てみたが、誰もいなかった…。
一瞬、恐怖につつまれたが、外はかなり風が強くどうやら風の悪戯らしい。
ホッと一安心して小屋に戻って行った。

次の日、何と冬は息吹を山に吹き付けていた。雪が降っていたのである。今日は下山するだけで良かったと思い歩き出した。
しかし、それだけでは済まなかった。
金明水小屋よりいくつかの低い山を超え、経塚山の按部に差しかかった時、今まで弱かった風がまるで台風のように強烈に吹き付けた。それは立つことも出来ないようなものであった。10メートル進むのに一分もかかる。そんな風であった。
どうなってしまうのだろう。そんな思いと同時にとにかく前に進むしかない。あの経塚山さえ越えれば風はきっと弱くなるはずだという信念で一歩一歩進んでいった。
もはや歩くというよりほふく前進に近いものだった。経塚山頂上の手前に至ってはあまりの烈風に登山道を避けてトラバースさえした。
やっとの思いで経塚山を超えた。予想は的中した。あれほど強かった風が嘘のように静まり、山はまた穏やかな表情を見せていた。
後は夏油温泉に向けて下山して行った。

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