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Yamareco

記録ID: 265804
全員に公開
講習/トレーニング
八幡平・岩手山・秋田駒

雪崩講習会(ビーコン専科)

2013年01月26日(土) 〜 2013年01月27日(日)
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pomchan4 その他8人

コースタイム

26日13:00〜17:00 盛岡市内にて座学
27日 8:30〜15:00 八幡平ビジターセンター裏にて実技
天候 曇り
過去天気図(気象庁) 2013年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
27日は、国道282号、県道23号とも、きれいに除雪されておりました。
コース状況/
危険箇所等
※今冬、八幡平ビジターセンター隣接の産直松っちゃん市場の飲食スペースは休業だそうです。

※八幡平ビジターセンターのトイレは朝9時から使用可能です。
朝早くトイレを利用したい場合は、ビジターセンターから県道45号線を国道282号方面に進み、右側に立派できれいなトイレがあります。
【座学】パルスとその発信間隔の話し…複数台あっても、ズレていれば、発信間隔内にパルス数個があって、それぞれ受信できるが、パルスが重なると探しにくくなるので、パルス自体の発信時間も短くなっているのだそうです。
2013年01月26日 14:45撮影 by  iPhone 4S, Apple
1/26 14:45
【座学】パルスとその発信間隔の話し…複数台あっても、ズレていれば、発信間隔内にパルス数個があって、それぞれ受信できるが、パルスが重なると探しにくくなるので、パルス自体の発信時間も短くなっているのだそうです。
【座学】これが、翌日には実技で実感できました。
実際の埋まっている深さは、深くなればなるほど、受信側に表示される値とはかけ離れる…。
2013年01月26日 15:01撮影 by  iPhone 4S, Apple
1/26 15:01
【座学】これが、翌日には実技で実感できました。
実際の埋まっている深さは、深くなればなるほど、受信側に表示される値とはかけ離れる…。
【座学】左が人数が多ければ力を発揮する、電波を無視して捜索するローラー捜索方。
右は、少人数の場合、電波に乗って捜索するために、まずは電波をキャッチするためにくまなく雪崩面を捜索するジグザグ捜索方。
2013年01月26日 16:00撮影 by  iPhone 4S, Apple
1/26 16:00
【座学】左が人数が多ければ力を発揮する、電波を無視して捜索するローラー捜索方。
右は、少人数の場合、電波に乗って捜索するために、まずは電波をキャッチするためにくまなく雪崩面を捜索するジグザグ捜索方。
【実技】それぞれのマイ・ビーコンでクロス法を実践、目印をつけてピンポイントを確定。
ただ、実際には、ここら辺が怪しいとなったらピンポイント確定をせずにゾンデ棒でチェック、ヒットがなければさらに雪面を掘り下げてクロスチェックをしてゾンデ…となるそうです。
2013年01月27日 10:09撮影 by  DMC-TZ7, Panasonic
1/27 10:09
【実技】それぞれのマイ・ビーコンでクロス法を実践、目印をつけてピンポイントを確定。
ただ、実際には、ここら辺が怪しいとなったらピンポイント確定をせずにゾンデ棒でチェック、ヒットがなければさらに雪面を掘り下げてクロスチェックをしてゾンデ…となるそうです。
【実技】深く埋まった設定で、ビーコン探索。受信する数値が、浅く埋まったときとはかなり違うので、そのことを知っていないと迷走してしまう。
しっかり見つけて、ゾンデでチェック、V字コンベアで掘り出し。
2013年01月27日 11:51撮影 by  DMC-TZ7, Panasonic
1/27 11:51
【実技】深く埋まった設定で、ビーコン探索。受信する数値が、浅く埋まったときとはかなり違うので、そのことを知っていないと迷走してしまう。
しっかり見つけて、ゾンデでチェック、V字コンベアで掘り出し。
【実技】前日の講義であった、深さによる受信数値のズレを、それぞれのマイ・ビーコンで実感。機種により多少の数値の差があったりしますが、それにしても、深さ1mで数値は3.5mと出たり。
これを知っているかいないかは、実際の探索で大きな違いになりそう。
2013年01月27日 13:21撮影 by  DMC-TZ7, Panasonic
1/27 13:21
【実技】前日の講義であった、深さによる受信数値のズレを、それぞれのマイ・ビーコンで実感。機種により多少の数値の差があったりしますが、それにしても、深さ1mで数値は3.5mと出たり。
これを知っているかいないかは、実際の探索で大きな違いになりそう。
【実技】希望の方が埋没体験。安全を考えて、足を投げ出して座る形の上に雪を積み、顔は出しています。それでも、雪の重みで息をするのも苦しく、声も小さくなっていました。
埋没体験は、顔を出して呼吸を確保していても、筋肉を傷めてカリウム血症になり急性腎不全になるなどの危険があるそうなので、素人同士では行わないほうが良いでしょう。
2013年01月27日 13:38撮影 by  DMC-TZ7, Panasonic
1/27 13:38
【実技】希望の方が埋没体験。安全を考えて、足を投げ出して座る形の上に雪を積み、顔は出しています。それでも、雪の重みで息をするのも苦しく、声も小さくなっていました。
埋没体験は、顔を出して呼吸を確保していても、筋肉を傷めてカリウム血症になり急性腎不全になるなどの危険があるそうなので、素人同士では行わないほうが良いでしょう。

感想

山を始めてから、雪崩講習会にも参加してきましたが、ビーコン専科には今回初めての参加です。これまでの初級の知識がどれだけ自分のベースになってくれているのかは疑問ですが…。まだ、里山ばかりで、ビーコンが必要な雪山には入っていないエア本格雪山の私、かなりてんぱって講習会に突入しました(^ ^;A
ちなみに、私以外の参加者は、経験十分の山スキーとスノーボーダーさんがたくさんと、厳冬期岩手山にも行かれる方でした。

以下、まとまりがなくかなり長くなりますが、自分自身のための備忘録ですので、ご容赦ください。

【座学】
・ビーコンの原理、電波の出方は磁力線と同じ。ただし、磁力線を面(りんごを縦に割った面)で理解するのではなく、立体(りんごそのもの)で理解しておくこと。

・とにかく、『早く』掘り出すことが大事。一般には15分で救出と言われているが、ヨーロッパ型(ほとんど50cm程度に埋没)では20分、カナダ型(ほとんど1〜1.5m程度に埋没)では10分が生死を分ける。日本の統計は残念ながらないが、これまでの事故の記事等からカナダ型と推測。10分で救出を目指す。
『早く掘り出す』⇒窒息死を防ぐ。
『外傷を素早く見つける』⇒外傷があると、より早く低体温症になる。

・クロスで確定したらゾンデでスパイラルでプロービングするのは、かえって埋没者の呼吸空間を潰してしまう。とくかく掘って雪面を下げる!

・素早い捜索は、生存者の救出のみならず、捜索側の二次雪崩遭難に会う危険からも時間的に守る。

・ビーコンの周波数は457Khz、+-80までは許容範囲と言われているが、現在のビーコンは+-10以内に納められていることが多い。
※ビーコンの周波数がずれていると、受信することができない=捜索できない。
 現在、周波数が数値としてわかるのは、ピープスDSPだけ。(あとで、マイ・ビーコンのMAMMUT Barryvoxの説明書を見たら、数値はわかりませんが、規格外かどうかだけはチェックできるようです)
※実際に、それぞれのマイ・ビーコンの周波数を図ってもらいました。結果は、+-0や+10、-10でした。
※講師の先生が、貴重な(?)30位ずれているビーコン、さらにもっと大幅にずれているビーコンを持ってきており、皆で受信してみました。30位なら受信できました。ただし、弱い=数値がより大きく(遠く)になる。また、大幅にズレたビーコンを受信できたのは、BCAのトラッカー(2とDTS)と、ピープス。私のBarryvoxでは拾えませんでした。

・ビーコンは携帯電話の電波や、電波塔、携帯電話受信基地等の影響を受けやすい。特にも携帯電話は、圏外になると携帯の電波を探すために出力が3倍と強くなり邪魔になる上に電池の消耗も激しくなり、いざというときの救助に使えなくなる恐れがあるので、電源OFFが基本。

・ビーコンの方向=電波の方向が、X軸、Y軸、Z軸では、それぞれ電波の出方と捉えやすさが変化する。Z軸方向(噴水型)が一番捉えにくい。

・埋没ビーコンの実際の深さと、受信の際に表示される深さには違いがある(かけ離れている)。これを理解しておかないと、いつまでも数値が小さく(2m以内とかにならず、小さくなる所を探して迷走することになる。

・電波の形は必ずしも左右対称とは限らず、個体によりどちらかに偏ったり膨れたりするものがある。

・捜索方法には個人スキルとしてのジグザグ法と、組織スキルとしてのローラー法がある。ジグザグ法は電波誘導法だが、ローラー法は電波の方向を無視した方法となる。
※ジグザグ法にしろ、ローラー法にしろ、自分のビーコンがどのくらいの距離の電波を確実に拾うかを、事前に知っておくこと。また、仲間のビーコンについても同様。それにより、ジグザグ法やローラー法の間隔の距離を決定する必要がある(説明書にある距離を鵜呑みにすると、空白が生じるおそれがある)

※※※これらが意味することは、登山前のグループテストで、発信・受信のチェックをするより前に、普段からお互いのビーコンのテスト(できればピープスで)をし、大幅に周波数がズレている、あるいは規格外の周波数になっているビーコンをチェックする必要性があります。
また、お互いの受信範囲の距離を知っておくことで、万一のとき、ローラー法なら各人の間隔をどのくらいにするべきか、個人でもジグザグ法の時の距離間隔をどのようにするべきか、決めておくことができます。


【実技】座学の内容を、実際に目で確認できる形で展開されました。
・最初に深さ方向でのビーコン位置と受信側の数値が離れていることを実演。それぞれのビーコンで確認しました。この実演は、最後にも行われました。
参加者が、TRACKER2、TRACKER DTS、PIEPS DSP、PULSE Barryvox、ORTOVOX 3+と、それぞれ違うビーコンを持っていたので、それぞれの違いもなんとなくわかり、大変参考になりました。

・発信ビーコンをY軸方向、X軸方向、Z軸方向に置き換えてみて、それぞれ電波誘導法でアプローチ。雪面に直線や弧を描くことになり、電波の出方を実感。

・クロス法でのピンポイント確定。ほとんどが3軸アンテナビーコンであったため、あまり難しさは感じませんでしたが、体ごとビーコンを振るのではなく、手だけでビーコンを振ってしまいがちになりました(そうすると上下方向に雪面との距離さができてしまうため、正確な測定にならない)。この動作は練習の必要があります。

・50cmほどに発信ビーコンを埋めての探索、ローラー法とジグザグ法。
ジグザグ法では、2個の探索、次に2個でもうち1個は周波数が少しズレて探しにくいものも探索してみました。

※ローラー法では、お互いにスピードを合わせながら動く(前後に凸凹にならない)ことが必要で、それぞれが最小値になったところで止まる(それぞれのビーコンの数値は同じではない…良く考えれば当たり前!)。さらに今回は実践初、ということで、一直線で止まったところで、一番両端が前と後をそれぞれの端に向かって進むクロス法を加え、それぞれが最小になったところで止まる、さらにそこでクロス法で位置を確認、ゾンデ棒でピンポイントを確定し、掘り出す。
このローラー法+両端からのクロス法で、素早くポイントを探せ、驚きました。

※複数埋没の時、最初のポイントで掘り出す人を残し、次へと移るのだが、左右の間隔が十分確保できる人数であればこのままローラー法で、間隔を確保できなくなった段階ではジグザク法に切り替えることになる。

※電波誘導法での周波数ズレを含んだ複数ビーコン探索の時、電波を拾いやすい法に探索に当たった全員引っ張られる、ということを実感しました。シーズン最初のビーコンチェックの必要性をとても感じました。

・深い埋没の時の探索を電波誘導法で。数値は一向に小さくならないが、その中でも最小を探し、見つけることができた。先に深さと表示数値のズレを実感できていたため、迷わなかった。


【感想】…これまで初級で、雪崩の基本知識や弱層テスト、おおまかなビーコンについてと単数の探索、レスキューについて学んできたが、今ひとつビーコン操作には自信がもてなかった。最初の2年間は講習会当日に借りた2軸アンテナのTRACKER DTSでの操作、3年目はマイ・ビーコンの3軸アンテナのPULSE Barryvoxでした。4年目の今回でようやくビーコンがどういうものなのか、納得できた感じがします。
ビーコンは、人から借りるものではなく、自分用をしっかり持っていて、その特性を理解して使いこなせる(使う機会に会わないことを願いながら!)ようにする必要を感じました。

これまでも、2軸アンテナのTRACKER DTSでピンポイント確定を素早く行う先輩に驚いてきましたが、受信範囲が狭いなど、今の3軸アンテナに比べたら探しにくい機種(あるいは古くなって劣化?)であることが分かりました。でも、その弱点を知っているからこそ、とにかく受信できる所まで素早く移動する、数値自体に囚われず、とにかく数値が小さくなるポイントを探す等でそのような素早くピンポイントに到達する技(加えてV字コンベアのシャベリングの力強さ!)を身につけていることに敬服です。


それにしても、PIEPSって高性能です(発信周波数もチェックできるなんて!)。私は良く知らずに価格と操作性とデザインからBarryvoxにしましたが、かなわない点があります(規格外が拾えないとか、ソノバデテイシ表示が良く出るとか、⇒がふらふらするとか!)。ただ、結構気に入っているので、特性を理解して仲良くなろうと思います(^ー^)
探索の習熟については、一人では練習できないことが難点ですね…。

あとは、体力をさらにつけて、ビーコンが必要な雪山に行けるようになることだなぁ。。。

【終わりに】
源太ヶ岳雪崩事故報告書 http://e-iori.sakura.ne.jp/genta/genta.html
八幡平エリア雪崩情報 http://kitatouhokunadare.blog136.fc2.com/

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コメント

モデル選びに迷っています。規格外の電波も拾ってくれるので、違う機種を持っている方も早く見つけられるのが、Tracker DTSという理解でよろしいですか?Piepsは自分から送信する周波数は表示するが、その機械のもつ規格外の電波は拾えないということでしょうか?何かオススメや、判断の目安などありましたら、教えて頂けると幸いです。また、この講習を行なっているのはどの団体でしょうか?
2018/12/19 9:58
Re: 無題
返信が遅くなってごめんなさい。
ビーコンに詳しいわけではないので…当時購入の参考にしたサイト(ショップ)を紹介します。largoというところです。バックカントリー関係の道具が揃っているところです。ビーコンの詳しい解説もあります。
http://www.largo99.com/store/backcountry/avalanche/beacon.html
講習会は、勤労者山岳連盟の山岳会に所属しているので、県連盟主催の低額講習会に参加しています。操作方法を身に染みさせるために、繰り返し参加しています。
各県の山岳会でも内部向けに開催しているようです。日本雪崩ネットワークのアバランチナイトもあるようです。参加しやすい講習会が見つかるといいですね。
2018/12/20 21:20
Re[2]: 無題
ビーコンの周波数があるのですが、規格外とは、周波数がずれている、ということです。ずれた周波数では、いざという時探して貰えませんよね( ; ; )
そこで、グループテストで周波数がずれているかどうかをチェックできる機種がある、ということです。現在発売されている物には詳しくないので、各メーカーサイトにあたってみてくださいませ。
2018/12/20 21:24
返信ありがとうございます!
規格外の電波を拾える機種があるわけでないんですね。。
Largoさんも見ておりました。
2018/12/20 21:37
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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