雪崩講習会(ビーコン専科)
コースタイム
27日 8:30〜15:00 八幡平ビジターセンター裏にて実技
天候 | 曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
※今冬、八幡平ビジターセンター隣接の産直松っちゃん市場の飲食スペースは休業だそうです。 ※八幡平ビジターセンターのトイレは朝9時から使用可能です。 朝早くトイレを利用したい場合は、ビジターセンターから県道45号線を国道282号方面に進み、右側に立派できれいなトイレがあります。 |
写真
感想
山を始めてから、雪崩講習会にも参加してきましたが、ビーコン専科には今回初めての参加です。これまでの初級の知識がどれだけ自分のベースになってくれているのかは疑問ですが…。まだ、里山ばかりで、ビーコンが必要な雪山には入っていないエア本格雪山の私、かなりてんぱって講習会に突入しました(^ ^;A
ちなみに、私以外の参加者は、経験十分の山スキーとスノーボーダーさんがたくさんと、厳冬期岩手山にも行かれる方でした。
以下、まとまりがなくかなり長くなりますが、自分自身のための備忘録ですので、ご容赦ください。
【座学】
・ビーコンの原理、電波の出方は磁力線と同じ。ただし、磁力線を面(りんごを縦に割った面)で理解するのではなく、立体(りんごそのもの)で理解しておくこと。
・とにかく、『早く』掘り出すことが大事。一般には15分で救出と言われているが、ヨーロッパ型(ほとんど50cm程度に埋没)では20分、カナダ型(ほとんど1〜1.5m程度に埋没)では10分が生死を分ける。日本の統計は残念ながらないが、これまでの事故の記事等からカナダ型と推測。10分で救出を目指す。
『早く掘り出す』⇒窒息死を防ぐ。
『外傷を素早く見つける』⇒外傷があると、より早く低体温症になる。
・クロスで確定したらゾンデでスパイラルでプロービングするのは、かえって埋没者の呼吸空間を潰してしまう。とくかく掘って雪面を下げる!
・素早い捜索は、生存者の救出のみならず、捜索側の二次雪崩遭難に会う危険からも時間的に守る。
・ビーコンの周波数は457Khz、+-80までは許容範囲と言われているが、現在のビーコンは+-10以内に納められていることが多い。
※ビーコンの周波数がずれていると、受信することができない=捜索できない。
現在、周波数が数値としてわかるのは、ピープスDSPだけ。(あとで、マイ・ビーコンのMAMMUT Barryvoxの説明書を見たら、数値はわかりませんが、規格外かどうかだけはチェックできるようです)
※実際に、それぞれのマイ・ビーコンの周波数を図ってもらいました。結果は、+-0や+10、-10でした。
※講師の先生が、貴重な(?)30位ずれているビーコン、さらにもっと大幅にずれているビーコンを持ってきており、皆で受信してみました。30位なら受信できました。ただし、弱い=数値がより大きく(遠く)になる。また、大幅にズレたビーコンを受信できたのは、BCAのトラッカー(2とDTS)と、ピープス。私のBarryvoxでは拾えませんでした。
・ビーコンは携帯電話の電波や、電波塔、携帯電話受信基地等の影響を受けやすい。特にも携帯電話は、圏外になると携帯の電波を探すために出力が3倍と強くなり邪魔になる上に電池の消耗も激しくなり、いざというときの救助に使えなくなる恐れがあるので、電源OFFが基本。
・ビーコンの方向=電波の方向が、X軸、Y軸、Z軸では、それぞれ電波の出方と捉えやすさが変化する。Z軸方向(噴水型)が一番捉えにくい。
・埋没ビーコンの実際の深さと、受信の際に表示される深さには違いがある(かけ離れている)。これを理解しておかないと、いつまでも数値が小さく(2m以内とかにならず、小さくなる所を探して迷走することになる。
・電波の形は必ずしも左右対称とは限らず、個体によりどちらかに偏ったり膨れたりするものがある。
・捜索方法には個人スキルとしてのジグザグ法と、組織スキルとしてのローラー法がある。ジグザグ法は電波誘導法だが、ローラー法は電波の方向を無視した方法となる。
※ジグザグ法にしろ、ローラー法にしろ、自分のビーコンがどのくらいの距離の電波を確実に拾うかを、事前に知っておくこと。また、仲間のビーコンについても同様。それにより、ジグザグ法やローラー法の間隔の距離を決定する必要がある(説明書にある距離を鵜呑みにすると、空白が生じるおそれがある)
※※※これらが意味することは、登山前のグループテストで、発信・受信のチェックをするより前に、普段からお互いのビーコンのテスト(できればピープスで)をし、大幅に周波数がズレている、あるいは規格外の周波数になっているビーコンをチェックする必要性があります。
また、お互いの受信範囲の距離を知っておくことで、万一のとき、ローラー法なら各人の間隔をどのくらいにするべきか、個人でもジグザグ法の時の距離間隔をどのようにするべきか、決めておくことができます。
【実技】座学の内容を、実際に目で確認できる形で展開されました。
・最初に深さ方向でのビーコン位置と受信側の数値が離れていることを実演。それぞれのビーコンで確認しました。この実演は、最後にも行われました。
参加者が、TRACKER2、TRACKER DTS、PIEPS DSP、PULSE Barryvox、ORTOVOX 3+と、それぞれ違うビーコンを持っていたので、それぞれの違いもなんとなくわかり、大変参考になりました。
・発信ビーコンをY軸方向、X軸方向、Z軸方向に置き換えてみて、それぞれ電波誘導法でアプローチ。雪面に直線や弧を描くことになり、電波の出方を実感。
・クロス法でのピンポイント確定。ほとんどが3軸アンテナビーコンであったため、あまり難しさは感じませんでしたが、体ごとビーコンを振るのではなく、手だけでビーコンを振ってしまいがちになりました(そうすると上下方向に雪面との距離さができてしまうため、正確な測定にならない)。この動作は練習の必要があります。
・50cmほどに発信ビーコンを埋めての探索、ローラー法とジグザグ法。
ジグザグ法では、2個の探索、次に2個でもうち1個は周波数が少しズレて探しにくいものも探索してみました。
※ローラー法では、お互いにスピードを合わせながら動く(前後に凸凹にならない)ことが必要で、それぞれが最小値になったところで止まる(それぞれのビーコンの数値は同じではない…良く考えれば当たり前!)。さらに今回は実践初、ということで、一直線で止まったところで、一番両端が前と後をそれぞれの端に向かって進むクロス法を加え、それぞれが最小になったところで止まる、さらにそこでクロス法で位置を確認、ゾンデ棒でピンポイントを確定し、掘り出す。
このローラー法+両端からのクロス法で、素早くポイントを探せ、驚きました。
※複数埋没の時、最初のポイントで掘り出す人を残し、次へと移るのだが、左右の間隔が十分確保できる人数であればこのままローラー法で、間隔を確保できなくなった段階ではジグザク法に切り替えることになる。
※電波誘導法での周波数ズレを含んだ複数ビーコン探索の時、電波を拾いやすい法に探索に当たった全員引っ張られる、ということを実感しました。シーズン最初のビーコンチェックの必要性をとても感じました。
・深い埋没の時の探索を電波誘導法で。数値は一向に小さくならないが、その中でも最小を探し、見つけることができた。先に深さと表示数値のズレを実感できていたため、迷わなかった。
【感想】…これまで初級で、雪崩の基本知識や弱層テスト、おおまかなビーコンについてと単数の探索、レスキューについて学んできたが、今ひとつビーコン操作には自信がもてなかった。最初の2年間は講習会当日に借りた2軸アンテナのTRACKER DTSでの操作、3年目はマイ・ビーコンの3軸アンテナのPULSE Barryvoxでした。4年目の今回でようやくビーコンがどういうものなのか、納得できた感じがします。
ビーコンは、人から借りるものではなく、自分用をしっかり持っていて、その特性を理解して使いこなせる(使う機会に会わないことを願いながら!)ようにする必要を感じました。
これまでも、2軸アンテナのTRACKER DTSでピンポイント確定を素早く行う先輩に驚いてきましたが、受信範囲が狭いなど、今の3軸アンテナに比べたら探しにくい機種(あるいは古くなって劣化?)であることが分かりました。でも、その弱点を知っているからこそ、とにかく受信できる所まで素早く移動する、数値自体に囚われず、とにかく数値が小さくなるポイントを探す等でそのような素早くピンポイントに到達する技(加えてV字コンベアのシャベリングの力強さ!)を身につけていることに敬服です。
それにしても、PIEPSって高性能です(発信周波数もチェックできるなんて!)。私は良く知らずに価格と操作性とデザインからBarryvoxにしましたが、かなわない点があります(規格外が拾えないとか、ソノバデテイシ表示が良く出るとか、⇒がふらふらするとか!)。ただ、結構気に入っているので、特性を理解して仲良くなろうと思います(^ー^)
探索の習熟については、一人では練習できないことが難点ですね…。
あとは、体力をさらにつけて、ビーコンが必要な雪山に行けるようになることだなぁ。。。
【終わりに】
源太ヶ岳雪崩事故報告書 http://e-iori.sakura.ne.jp/genta/genta.html
八幡平エリア雪崩情報 http://kitatouhokunadare.blog136.fc2.com/
返信が遅くなってごめんなさい。
ビーコンに詳しいわけではないので…当時購入の参考にしたサイト(ショップ)を紹介します。largoというところです。バックカントリー関係の道具が揃っているところです。ビーコンの詳しい解説もあります。
http://www.largo99.com/store/backcountry/avalanche/beacon.html
講習会は、勤労者山岳連盟の山岳会に所属しているので、県連盟主催の低額講習会に参加しています。操作方法を身に染みさせるために、繰り返し参加しています。
各県の山岳会でも内部向けに開催しているようです。日本雪崩ネットワークのアバランチナイトもあるようです。参加しやすい講習会が見つかるといいですね。
ビーコンの周波数があるのですが、規格外とは、周波数がずれている、ということです。ずれた周波数では、いざという時探して貰えませんよね( ; ; )
そこで、グループテストで周波数がずれているかどうかをチェックできる機種がある、ということです。現在発売されている物には詳しくないので、各メーカーサイトにあたってみてくださいませ。
規格外の電波を拾える機種があるわけでないんですね。。
Largoさんも見ておりました。
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