また山に行きたくなる。山の記録を楽しく共有できる。

Yamareco

記録ID: 2820043
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
北陸

【奥越】荒島岳(小ナベ北尾根から)

2020年12月26日(土) [日帰り]
 - 拍手
GPS
--:--
距離
6.1km
登り
1,185m
下り
1,185m

コースタイム

日帰り
山行
8:50
休憩
0:00
合計
8:50
6:20
320
仏御前の滝駐車場
11:40
11:40
40
12:20
12:20
40
13:00
13:00
130
15:10
仏御前の滝駐車場
天候 終日,雪(稜線上は吹雪でほぼホワイトアウト状態)
過去天気図(気象庁) 2020年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
国道158号線の琴洞橋の西側付近にある,仏御前の滝の散策路入り口の駐車スペースに駐車(今回は除雪されていたが,もっと雪が増えると除雪されないかも)。3〜4台程度駐車可能
コース状況/
危険箇所等
【小ナベ北尾根】
・ 荒島岳の冬季バリエーションとして時々登られている尾根。冬季は美しい雪稜となる荒島岳東稜(大ナベ・小ナベのある稜線)に直接登り上げることができる点が魅力的。東稜に出るまでかなりの急登が続くため,距離に比して意外に時間がかかる。
※ この尾根は毛尻尾根とも言うそうですが(福井岳人倶楽部「福井の雪山」),正確に言うと末端にP466mのあるほうの支尾根を毛尻尾根と言うようなので(今回は,その一本東側の支尾根を登った),この記録では小ナベ北尾根とさせていただきます。
・ 今回山行時点で,取りつき時点で30cmほど,小ナベ手前で1m以上の積雪。スノーシューで膝位のラッセルが続いた。まだ藪が埋まったばかりなので,特に下部は踏み抜きがひどい。ところどころ藪が出ているが登下降には問題ない。

【荒島岳東稜(小ナベ,大ナベ) ※新下山コースの上部と重なります。】
・既に笹薮は隠れて雪稜となっている(ただ,今回はほぼホワイトアウトで,その美しい全容は眺められず。残念…)。ここは南側に大きな雪庇が出るが,既に今回山行時点でも雪庇が成長し始めており,クラックも発見したので,あまり雪庇側に寄りすぎないように注意。
まだ暗く,雪が降り続く中,車を置いた仏御前の滝の駐車場から直接斜面に取りつく。
3
まだ暗く,雪が降り続く中,車を置いた仏御前の滝の駐車場から直接斜面に取りつく。
積雪は取りつきで30cmほどだが,登るにつれどんどん増えていく。スノーシューで膝位の沈み込みで,しかも湿雪で重いため,結構疲れる。
3
積雪は取りつきで30cmほどだが,登るにつれどんどん増えていく。スノーシューで膝位の沈み込みで,しかも湿雪で重いため,結構疲れる。
夜が明けた。昨夜から降り続く雪で美しく装飾された急登を登っていく。
3
夜が明けた。昨夜から降り続く雪で美しく装飾された急登を登っていく。
この最初の斜面はかなり急で,今日のようにラッセルがあるとなかなか効率が上がらない。しかも,まだ藪が埋まったばかりで,這い上がっては踏み抜き,また這い上がっては踏み抜きの連続で,一進一退の攻防が続く。
3
この最初の斜面はかなり急で,今日のようにラッセルがあるとなかなか効率が上がらない。しかも,まだ藪が埋まったばかりで,這い上がっては踏み抜き,また這い上がっては踏み抜きの連続で,一進一退の攻防が続く。
鉄塔を通過。というか,まだ鉄塔までしか来てないのか…。
2
鉄塔を通過。というか,まだ鉄塔までしか来てないのか…。
鉄塔付近は切り開きとなっており,穏やかな雪尾根のようになっている。
1
鉄塔付近は切り開きとなっており,穏やかな雪尾根のようになっている。
鉄塔を過ぎると,再び急登となる。
2
鉄塔を過ぎると,再び急登となる。
このあたりから新雪が増え、膝位のラッセルがひたすら続き,急登も相まってかなり大変。
4
このあたりから新雪が増え、膝位のラッセルがひたすら続き,急登も相まってかなり大変。
しかし,雰囲気の良いブナの森が続き,気分はよい。
3
しかし,雰囲気の良いブナの森が続き,気分はよい。
面白い形のコブがついたブナの大木が,雪をたっぷりまとっていた。
4
面白い形のコブがついたブナの大木が,雪をたっぷりまとっていた。
いい雰囲気の森が続く。
1
いい雰囲気の森が続く。
高度が上がってくると,次第に木々が樹氷に包まれ始める。
1
高度が上がってくると,次第に木々が樹氷に包まれ始める。
樹氷に美しく飾られたブナの大木。
5
樹氷に美しく飾られたブナの大木。
ガスの中,幻想的な白い森が続く。
1
ガスの中,幻想的な白い森が続く。
次第に樹林がなくなり,小ナベへの最後の急登となる。この辺りから風雪が強まり,稜線上の厳しさが予想されたため,一旦休憩してしっかり腹ごしらえをし,装備をチェックした。
3
次第に樹林がなくなり,小ナベへの最後の急登となる。この辺りから風雪が強まり,稜線上の厳しさが予想されたため,一旦休憩してしっかり腹ごしらえをし,装備をチェックした。
登行再開。モンスター化した木々を左右に眺めながら,強風を衝いて登っていく。
4
登行再開。モンスター化した木々を左右に眺めながら,強風を衝いて登っていく。
小ナベに到着。…が,完全に吹雪となっており,ほぼホワイトアウト状態。ここから荒島岳へと続く東稜の美しい雪稜の眺めを楽しみにしてきたのだが,残念。
2
小ナベに到着。…が,完全に吹雪となっており,ほぼホワイトアウト状態。ここから荒島岳へと続く東稜の美しい雪稜の眺めを楽しみにしてきたのだが,残念。
完全なホワイトアウトなら引き返すところだが,空と稜線の境目はなんとか見分けられるので,荒島岳に向けて西進を開始。雪がクラストし始めており沈み込みが少ないのは救いだが,どうやら既に南側に雪庇が発達し始めているようなので,慎重に進む。
3
完全なホワイトアウトなら引き返すところだが,空と稜線の境目はなんとか見分けられるので,荒島岳に向けて西進を開始。雪がクラストし始めており沈み込みが少ないのは救いだが,どうやら既に南側に雪庇が発達し始めているようなので,慎重に進む。
真横から突き刺さる氷の風が痛い。時折,立っていられないくらいの強風が吹き,そのたびに耐風姿勢をとって耐える。
2
真横から突き刺さる氷の風が痛い。時折,立っていられないくらいの強風が吹き,そのたびに耐風姿勢をとって耐える。
緩い登りが終わり,尾根が広がって雪原のようになった。この辺りが山頂っぽいが…。なにも見えませんな…。
2
緩い登りが終わり,尾根が広がって雪原のようになった。この辺りが山頂っぽいが…。なにも見えませんな…。
と,突然,風雪の中からぬっと氷のオブジェが出現。これは…山頂の標識だ。荒島岳山頂に到着。
勝原から誰か登ってきているかな,と思っていたのだが,今日は誰も登っていないらしく,ノートレースだった(もしくは風でトレースが消されたか?)。
6
と,突然,風雪の中からぬっと氷のオブジェが出現。これは…山頂の標識だ。荒島岳山頂に到着。
勝原から誰か登ってきているかな,と思っていたのだが,今日は誰も登っていないらしく,ノートレースだった(もしくは風でトレースが消されたか?)。
氷を取り除くと,このとおり。エビのしっぽ,50cmくらいありそう。
7
氷を取り除くと,このとおり。エビのしっぽ,50cmくらいありそう。
何の写真か極めて分かりにくいと思いますが(風雪がひどいのと、レンズが凍って写真が撮りにくい),山頂のお社です。完全にクリスタルパレスと化している。
3
何の写真か極めて分かりにくいと思いますが(風雪がひどいのと、レンズが凍って写真が撮りにくい),山頂のお社です。完全にクリスタルパレスと化している。
さて,本当は勝原ルートを下山して周回しようと思っていたのだが,このホワイトアウト状態でノートレースの尾根を下るのはリスクが高すぎると判断し,往路を忠実に引き返すことにした。あまりの風雪の激しさに,休憩も満足に取らないまま,標識をポンと一叩きして山頂を後にした。
2
さて,本当は勝原ルートを下山して周回しようと思っていたのだが,このホワイトアウト状態でノートレースの尾根を下るのはリスクが高すぎると判断し,往路を忠実に引き返すことにした。あまりの風雪の激しさに,休憩も満足に取らないまま,標識をポンと一叩きして山頂を後にした。
往路の自分のトレースは,この短時間に吹雪でほとんど消されてしまっている区間もあったため,わずかな視界と読図を頼りに慎重に進む。途中,雪庇にクラックが走っているのを発見(写真)。もうこんなに雪庇が発達しているのか…。ひぃぃ…。
4
往路の自分のトレースは,この短時間に吹雪でほとんど消されてしまっている区間もあったため,わずかな視界と読図を頼りに慎重に進む。途中,雪庇にクラックが走っているのを発見(写真)。もうこんなに雪庇が発達しているのか…。ひぃぃ…。
やっと樹林帯まで下ってきた。風雪も弱まり,ここからは自分のトレースがはっきり残っている。一安心。
1
やっと樹林帯まで下ってきた。風雪も弱まり,ここからは自分のトレースがはっきり残っている。一安心。
久しぶりにザックを下ろして,温かい紅茶を飲んで休憩。やっぱり森はいいな,と思ってしまう。
2
久しぶりにザックを下ろして,温かい紅茶を飲んで休憩。やっぱり森はいいな,と思ってしまう。
先ほどの吹雪の稜線が嘘のような,凍り付いた静寂の森を下っていく。
1
先ほどの吹雪の稜線が嘘のような,凍り付いた静寂の森を下っていく。
と,下部まで下ってくると,ガスが晴れてきた。もっと早く晴れてほしかったな…。小黒見山や仏原山など,打波川流域の山々が見える。
3
と,下部まで下ってくると,ガスが晴れてきた。もっと早く晴れてほしかったな…。小黒見山や仏原山など,打波川流域の山々が見える。
あれは六呂師のほうだろうか。
4
あれは六呂師のほうだろうか。
長い急な尾根を新雪を跳ね散らしてスノーシューで駆け下り,車の裏にドンピシャで降りてきた。
帰路,車を走らせながら荒島岳のほうをちらりと振り返ったが,他の山々が雲の間から顔をのぞかせ始める中,荒島岳は深いガスに包まれたままだった。
3
長い急な尾根を新雪を跳ね散らしてスノーシューで駆け下り,車の裏にドンピシャで降りてきた。
帰路,車を走らせながら荒島岳のほうをちらりと振り返ったが,他の山々が雲の間から顔をのぞかせ始める中,荒島岳は深いガスに包まれたままだった。

装備

備考 ・現時点では雪が柔らかいため,アイゼン・ピッケルは不要。

感想

 昨年の夏に鳴ザコから荒島岳に登った際,大ナベ・小ナベのたおやかな笹の稜線を見て,冬にこの稜線を歩いたらきっと綺麗だろうな,と想像していた。そこで今回,この大ナベ・小ナベのある荒島岳東稜に直接登り上げることができる小ナベ北尾根にルートを取ってみた。
 結局,稜線上は猛烈な吹雪で,見たいと願っていた美しい雪稜を眺めることはできなかったが,既に稜線上は完全な冬の姿で,天候に恵まれさえすれば,素晴らしい雪稜漫歩が楽しめそうだった。寡雪だった昨年は厳冬期の山でも晴ればかりで,冬らしくないと嘆いていたのに,今季のように毎週吹雪ばかりに当たると,ちょっとくらい晴れてくれたらいいのにと思ってしまう。人間は勝手なものだ。しかしこの季節であれば,これが本来の山の姿なのだろう。大いに降って,たっぷり雪を蓄えてもらいたい。
 山行に向けて車を走らせる早朝の道が雪道だと,わくわくする。取りつきから新雪があると,もっとわくわくする。年末年始も,強い冬型で大雪の予報。雪が増えれば増えるほど,考えられるルートも増えていく。もちろん,コロナの動向に留意し,感染対策をしっかり取らないといけないが…。
 

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:1245人

コメント

この天候の中での登頂!✨ さすがです
hillwandererさん,こんにちは (^^)
旧ユーザ名は sosu2011 です。先日,ユーザ名を変更しました。

この天候の中で登頂されるとは,さすがです 👏
荒島岳では,今年の2月,前日に積もった雪のために私は撤退してしまいました 💦
日頃の山行も凄いなと思いながらレコを拝見していますが,今回は撤退経験のある山だったので,コメントさせていただきました🙂
登山道がないところを,GPSを頼りに道迷いもせずに登られていることに感心しています。今回も登山道がなく凄いです。これでステキな景色が望めれば最高の登山になっていたことでしょう。
今シーズンは,雪山が楽しめそうなので,今後のレコを楽しみにしています😊
お疲れさまでした ♫〜

〔追記〕
登山道のない所を進まれているので,てっきりGPSと思ってしまって失礼しました。
私はGPSのおかげで随分と救われているので,もしこれがなければ登れていないことが多いと思います。GPSを使わずに登られていること,ますます尊敬です。凄いです。
これからも楽しい山行を!
2020/12/27 12:48
Re: この天候の中での登頂!✨ さすがです
sosu2011さん,もといyonayo3-2021さん,こんばんは。コメントをいただき,ありがとうございます。
yonayoさんの2月の荒島岳の記録も拝見させていただきました。長丁場の中出ルートから挑戦されていて,すごいですね。積雪が少ないときのほうが,藪が中途半端に出てしまって大変だと思います。先日の奥三方山も,同じような難しいコンディションで見事登頂されていましたね。
今回は天気が悪くてちょっと残念でしたが,これはこれで冬山らしくて良かったです。実は私,GPSは使っておらず地図・コンパスの旧式人間なので,今回のようにホワイトアウトになるとかなり慎重になります(今回は地形が単純だったので進みましたが…勝原ルートへの周回は自重しました)。荒島岳はいろんな面白いルートが取れるので,いい山ですね。
今シーズンは雪がさらに多くなりそうで,楽しみですね。yonayoさんも良い山行を!
2020/12/27 21:36
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

雪山ハイキング 北陸 [日帰り]
荒島岳の仏原ダムコース(積雪期)
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
4/5
体力レベル
3/5

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら