米子大瀑布〜日本の滝100選 YONAKO DAIBAKUFU 周遊
- GPS
- 01:57
- 距離
- 3.6km
- 登り
- 390m
- 下り
- 383m
コースタイム
【実働】1時間30分
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
林道は幅が狭いため、普通車より大きい車はジャンボタクシーを除き通行できない。 また、紅葉シーズン(10月)の土日休日は一般車両通行止めとなり、湯っ蔵んど発着のシャトル便(有料)かタクシーを利用することになる。 積雪期には完全に通行止めとなる。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
周回コースの一部に高低差160mくらいの急坂はあるが悪い道ではなく、天気がまずまずなら運動靴で充分な遊歩道。のんびり歩いても一周2時間弱といったところ。 駐車場と旧米子硫黄鉱山跡地にトイレがある。 |
写真
感想
米子大瀑布とは、四阿山北側の懸崖にかかる二つの滝(根子岳を水源とする不動滝と、四阿山を水源とする権現滝)の総称である。日本の滝100選に数えられ、周辺は信州屈指の紅葉の名所として有名だが、自分はまだ訪れたことがなかった。今年も紅葉の時期は過ぎてしまったが、昨日・今日と午後から須坂市での所用という機会を得たので、昨日の破風岳に続き初めて足を伸ばしてみることにした。
須坂市オフィシャルWEBサイトによると、今年の紅葉は、10月4日紅葉開始/10月8日紅葉八分/10月11日紅葉見頃/10月25日紅葉終盤 ということで、周辺はもうすっかり初冬の趣である。駐車場へは一番乗りだったが、徹夜明けのためちょっと車中で仮眠している間に他の車が結構やってきていた。散策客の他にザイルを取り出して何やら準備に忙しい集団もいる。岩場の多い一帯なのでロッククライミングの訓練でもするのだろうか。
予定より寝すぎたと思いつつも遊歩道という気楽さもあり、のんびりと10時近くになってやっとスタートする。空は一面曇ってはいるが、雨が降りそうな気配はない。
すぐに熊野権現の小さなお社前を通り、続いて赤い橋で最初の沢を渡るとまもなく周回コースの分岐点がある。右は米子川の渓谷に沿って進み、まずは不動滝と権現滝を間近に見るコース、左は一気に高台に登り、先に二つの滝の揃い踏みを展望するコースである。どっちに行くかは好みだが、順当に見れば右に行って反時計回りに巡るのが順コースと言っていいだろう。
順コースを行くとまもなく雨宿岩という、三角錐が逆さに突き刺さったような巨岩の前を通る。この先の第一休憩所から米子不動尊奥之院までの600mの間には、第二・第三と200m区切りで休憩ポイントが設けられており、いかにもゆっくり行きなさいと呼びかけられているようである。ほぼ落葉し切った樹木の間から見る米子川は岩ゴロで小滝の連続する渓流美を見せるが、少なくとも二ヶ所に砂防用の堰堤が認められたのは風情に欠けてちょっと残念である。
第三休憩所付近では不動滝の落下の様を初めて見ることができ、その流れが米子川本流に合流する。近くには"清水の不動尊"という炎を背負った豪胆な不動明王の像が立っている。米子大瀑布は観光の名勝であるとともに、古代からの信仰・修験の地でもある。現在でも夏には不動滝に打たれに来る行者がいるらしい。
第三休憩所を過ぎて階段をひと登りすると旅館・滝山館の玄関前に至り、その向かいに米子不動尊奥之院が建っている。正式には"米子瀧山不動寺(よなこたきさんふどうじ)奥之院"といい、夏の間(6月14日から9月14日まで)だけ下の里堂からご本尊の分身が運ばれてきて鎮座しているとのことだが、今は向かいの滝山館とともにひっそりとしている。
奥之院から右へ回り込むと、小さなお堂の前を過ぎ、不動滝と権現滝の分岐点に来る。右へ行けばすぐ不動滝の真下に至る。不動滝は落差85m、途中の壁面に水が当って広がり女性的な観のある滝である。滝つぼはなく、流れはそのまますぐに渓流となって下っている。今は季節的に水は少ないのだろうが、これくらいの水量で夏ならば打たれてみたい気がしないでもない。
分岐に戻り、次は落差75mの権現滝のビューポイントに来る。この滝の直下まで行く道はない。正面から見ると、岩壁の形や水の流れ方などが、同じ日本の滝100選の妙高・苗名滝によく似た感じがする。不動滝に比べると直線的で男性的なイメージがあり、二滝合わせて夫婦滝とされているのもよくわかる。
権現滝を後にしてわずかな急坂を下ると、一つ東隣の沢にかかる"だいこくばし"を渡り、旧米子硫黄鉱山跡地へと向かう。鉱山跡地の台地はこれまでのコースの途中からも木々の間から周囲との色合いや形状が場違いな感じに見えていて、最初は土砂崩れの復旧工事でもしているのかと気になっていた。その大きな台地全体が一個集落ともいえる鉱山跡地なのだと知るのは、鉱山跡現地の案内板を見てからである。
台地へ向かう緩い坂の途中から振り返ると、不動滝と権現滝が二つ揃って一望できる。不動滝の右(北側)に続く懸崖にも岩肌が縦の帯状に黒くなっている部分が見える。そこがそうなのか位置はよくわからないが、あとで調べたところでは、その辺りに落差90mもある"黒滝"という幻の滝があるらしい。大雨の後などには出現するのだろうか。また、不動滝は別名"白龍の瀧"、権現滝は別名"黒龍の瀧"、二つ合わせて"双龍の瀧"とも言うらしい。
やがて"日本の滝100選の地 米子大瀑布"の大きな標柱のある記念写真ポイントを通り、旧鉱山跡の台地上に至る。昭和35年の閉山まで、この台地には硫黄精錬所をはじめ、学校や共同浴場などがあり、鉱山従業員とその家族が最盛期には1,500人も住んでいたというのだから、かなり広い。見上げると黄色っぽい地肌が露出した硫黄の採掘跡なども見られ、改めてここが四阿山から草津白根へと続く火山地帯の中であることを気づかされる。
先ほど滝山館脇に通ずる索道の下を通ってきたが、これも鉱山時代に使われていたもののようだ。鉱山跡地には営林署専用道路が通じているので、もしかしたら滝山館や奥之院への物資運搬用に今も使われているのかも知れない。が、他に今あるものといえば、閉山後に建てられたトイレくらいのものである。
鉱山跡からは遊歩道コースとは反対方向に根子岳や浦倉山への登山道が通じている。登山ルートが向かっている谷は両側が峻険であり、いかにも難儀しそうな感じがする。
営林署専用道路に入るとまもなく駐車場へ向かう遊歩道の分岐に来るが、ここでいったん遊歩道を離れ、そのまま道路を奇妙滝へと向かう。奇妙滝は米子大瀑布には入れてもらえないようだが、落差60mという立派な滝である。すぐに鳥居のある滝入口に至り、滝つぼへと向かう。途中、場所によって水底が赤茶けていたり、黄色っぽい帯ができていたりしている所があり、鉄分を多く含む水流と、硫黄分を含む水流と、水質の違う水流が流れ込んでいることが窺える。奇妙滝は黒くでこぼことした岩肌に水流が当ってしぶきを広げ、感じとしては不動滝に近い。
分岐に引き返し遊歩道コースに戻るとすぐ、米子大瀑布を見下ろす小さな尾根上の標高1,480mにある東屋に着く。ここは鉱山跡下と同じく立派な標柱がある記念写真ポイントだ。鉱山跡下より滝からの距離は離れるが、自分としてはアングル的にこちらの方が好きである。鉱山跡の台地では、駐車場で見たザイル持ちの集団が集まってミーティングでもしているようである。
ここからは約160mくらいの高低差を一気に下り、周回コースの分岐点に戻り着く。折り返しを繰り返しながらの下りなのでそう辛いことはない。
11時45分に駐車場まで戻ってきたが、仕事の時間までまだ少し余裕があるので、帰りに米子不動尊の里堂(米子不動尊本坊米子瀧山不動寺)に寄ってみた。こじんまりとはしているが、あちこちと非常に手入れが行き届いてきれいな境内が印象的だった。このときは参拝客はいなかったが、日本三大不動尊の一つであり、「困ったときは米子のお不動さん」と言われ、全国広く信仰を集めているそうだ。
ちなみに三大不動尊の残り二つは、千葉県の成田不動尊と新潟県の菅谷不動尊とのこと(三大不動尊といわれるところは東京の目黒不動尊など他にもいろいろ存在し、諸説がある)。元々は三つの不動尊のご本尊であるそれぞれの不動明王が、弘法大師が一本の欅から彫った一刀三礼のものであるということから"日本三体不動尊"と呼ばれていたのだが、成田さんがやたら大きくなったことで他の二つも合わせて"三大不動尊"に転じたということらしい。"三大"といってもストレートに規模を表している訳ではないのだ。
何でも「正月詣りは近郷では現世利益信仰の米子不動尊に詣でてから極楽浄土信仰の善光寺に詣でるのが慣わし」とのこと。来る新年はそのように詣でてみようか。
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