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Yamareco

記録ID: 3123019
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九州・沖縄

【過去レコ】沖縄本島徒歩の旅 辺戸岬→平和祈念公園

1988年07月30日(土) 〜 1988年08月06日(土)
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GPS
568:00
距離
146km
登り
952m
下り
881m
天候 晴れ
アクセス
利用交通機関:
バス タクシー
羽田から国内線利用

7/30 秩父=羽田=那覇
7/31 那覇=辺戸岬=国頭村奥間  25キロ
8/1 奥間=名護市幸喜   32キロ
8/2 幸喜=仲泊 23キロ
8/3 仲泊=与那原町 32キロ 
8/4 与那原=平和祈念公園 28キロ
8/5 那覇
8/6 那覇=羽田=秩父
※キロ数が歩いた距離です。
コース状況/
危険箇所等
前半は国道58号線、後半は国道329号線を歩きました。
交通量多いので車には注意。
その他周辺情報 民宿に泊まりながら旅をした。
ビーチリゾートで、美味しいもの食べてリラックスするなら、断然リゾートホテルでしょう。しかし、歩いて旅してましたので、安いし、シャワー浴びれればよいので、国道沿いの民宿でした。
手書き地図です
辺戸岬にて、ここから歩きの旅スタートです。
辺戸岬にて、ここから歩きの旅スタートです。
かき氷屋さんで休憩。
かき氷屋さんで休憩。
南部はヤシ並木を歩いた。
南部はヤシ並木を歩いた。

装備

個人装備
Tシャツ ズボン 雨具 日よけ帽子 サブザック 行動食 地図(地形図) コンパス 計画書 保険証 時計 ツェルト カメラ
備考 ツエルトを持っていきましたが、設営したのは初日だけでした。靴づれがひどく、シャワーも浴びたかったため、以後は民宿泊まりです。

感想

 5月29日の事である。丹沢中川川悪沢F2で滑落。右膝蓋骨(いわゆる膝の皿)を骨折し、そのまま松田の病院に担ぎ込まれた。一緒に登った友人や家族、会社の人達に多大な迷惑をかけてしまった。しかし、筋肉による引っ張り方向と平行する割れ方が幸いし、2週間後、晴れて退院となった。
 松田の病院を退院後、通院した秩父市立病院の先生が山に行って良いと言うまで長く感じた。そんな中、かねてからやってみたかった沖縄徒歩の旅を計画。沖縄へ行き汗だくで歩こう。サトウキビ畑やサンゴ礁の海岸線を歩く。北の辺戸岬から、南の荒崎までの距離を計測したところ、道のりで147キロ。1日30キロとして5日で歩ける計算をした。骨折して丸2ケ月、痛みは無くなり、びっこも引かなくなり、歩く事に自信も出てきた。もし膝が痛み出したら、バスを使うという条件付きで家を後にした。
 結果的にほぼ計画通りで、以下の行動となった。

7/30 秩父=羽田=那覇(民宿みなと荘)
7/31 那覇=辺戸岬=国頭村奥間(ツエルト) 25キロ
8/1 奥間=名護市幸喜(民宿幸喜)  32キロ(辺戸岬から57キロ)
8/2 幸喜=仲泊(民宿南国) 23キロ(辺戸岬から80キロ)
8/3 仲泊=与那原町(民宿月の海) 32キロ(辺戸岬から112キロ)
8/4 与那原=平和祈念堂(糸満市内のホテル)28キロ(辺戸岬から140キロ)
8/5 糸満
8/6 那覇=羽田=秩父
※距離の記載がある日が徒歩旅行の日。5日で合計140キロでした。

 7月30日
 梅雨の開けない東京を後にし、暑い那覇空港に降り立った。随分遠いところに来てしまった感じだった。宿の予約はこの日だけしておいた。那覇市の海に近いみなと荘(現存)である。人の良い叔父さんが出てきた。夕食後居間でTVを見ていたら、叔父さんが一升瓶を抱えて横にデンと座った。焼酎泡盛である。「飲むか?」と言う。嬉しくなって、注がれるがままに飲んでしまった。お茶割がいけるそうです。本土復帰前の話をしてくれていたが、残念な事に、酔っぱらってしまい余り覚えていない。ただ、叔父さんが寝込んでしまい、家の人を呼びに行ったのを覚えている。
 
 7月31日
 路線バスで最北端の辺戸岬(へどみさき)へと向かう。沖縄に来る前、調べものをしていて、沖縄に電車が無い事を初めて知る。よって辺戸岬へのアクセスもバスとなる。そして5日かけて、足で糸満へ帰って来る計画である。途中、辺士名(へんとな)にて、バスの接続が悪かった。戦没者の供養に来たという九州のお坊さんと丁度居合わせたので、タクシーで相乗りし、辺戸岬を目指した。辺戸岬着。お坊さんと暫く話をし、12時過ぎ辺戸岬を後にした。少し歩いて振り返り、ニ度と来る事はないだろうと思い、風の強い草原をしっかりと見届ける。西海岸を南下。エメラルドブルーの海を見、波の音を聞きながら歩く。この上ない贅沢な気分だった。いかにも南国といった家々が点々としている。独特の屋根瓦や、魔よけの獅子が大口をあけて睨んでいた。20キロほど南下し奥間(おくま)ビーチにツエルトを張る計画であったが、マリンルック一色のビーチにツエルトを張るとひんしゅくを買うのは見え見えで、もう少し歩く事にした。それにアタックザックに麦わら帽子という場違いな恰好でよわりました。ハブ出ないでよと思いながら、小さな砂浜にツエルトを張った。
 歩行距離25キロ

 8月1日
 目を覚ますと太陽が出ていた。ツエルトをたたみ、再び国道58号線を歩きだす。早くも靴づれになった。途中道にも迷い、猛烈にバテてしまった。山岳部の先輩は、ヨーロッパアルプスだというのに、まったく俺はこんなところで何をしているんだろうと、少々投げやりになった。炎天下の暑さに、靴づれでなかなか思いように進まなかった。夕方、名護市幸喜(なごしこうき)に着く。全行程をツエルトで済まそうと考えていたが、一風呂あび、靴づれの足をマッサージしたいので、以後民宿泊まりとなった。市民ビーチの民宿幸喜に泊まる。天井をイモリが這っていたが、清々しい宿でした。
 歩行距離32キロ(辺戸岬から57キロ)

 8月2日
 50分歩き10分休む。50分で約4キロ進む。これを一日何度も繰り返す。歩き出すと靴づれの足が痛いが、10分もすると歩く意識が無くても足が動く様になる。こうなると楽だ。美しい海に目が行き、遠い山々に思いが走る。幌尻を目指した友達は今どこだろう?
 時々、追い抜いていく車から「がんばれー」と声がかかる。そんな時は手を上げて答えた。疲労の色が出てきたので、今日は早じまいとした。恩納村仲泊(おんなそんなかどまり)の民宿南国に宿を取った。シャワーを浴び海に出てみた。右にムーンビーチが見え、白いホテルが幾つか見えた。砂をすくってみたが、星の砂ではない。本島では星の砂はあまり見られないという。砂浜に腰を下すが、一人旅はやはりさみしい。こんな時、つくづく横に彼女でも居ればなと思った。宿に帰り、コインクーラーに100円を入れ、大の字になった。
 歩行距離23キロ(辺戸岬から80キロ)

 8月3日
 東シナ海と国道58号に別れをつげ、一気に太平洋側の石川に出る。このあたり嘉手納飛行場に近く、米軍のジェット機が爆音とともに飛んできていた。子供のころプラモデルで作ったような飛行機である。昨日、TVのニュースでは、恩納村キャンプハンセンの米軍演習を取り上げていたが、そこに向かっていたのだろうか?それと国道58号では時々だったが、国道329号では米軍のジープが多かった。アーミーカラーの車幅の広い車なのですぐそれとわかる。わがもの顔で走っている。ここは日本だそ。
 50分歩き、へとへとになって休むところを探している時、かき氷屋はありがたい。100円で山盛りだ。プレハブの店だが、人の良い叔母さん達が多い。
 与那原(よなばる)の民宿月の海に宿を取った。お世辞にも綺麗とは言えない宿だった。今日は、途中町中でお婆さんと話をする事もあったが、沖縄弁で何を言っているか、殆どわからなかった。
 歩行距離32キロ(辺戸岬から112キロ)

 8月4日
 与那原から糸満までの直線距離は大した事無いが、知念半島の海岸線を歩くと30キロにもなる。朝、宿を出る時、麦茶の凍らせたのを持たせてくれた。宿代2000円だったが、商売抜きの親切が有難たかった。途中、佐敷町(さしきちょう)の雑貨屋で山好きな叔母さんが居たので1時間も立ち話をした事や、朝の出発が遅れた事もあり、のんびりしすぎた。玉城村(たむぐすくそん)あたりで又バテはじめ、屋根のあるバス停で大の字になった。喉も乾いており、ジュースを3本も立て続けに飲んでしまう。疲れたがもう少しだからと思いザックを背負う。子供たちが近寄ってきて、「おじちゃん、どこ行くの?」と聞く。「糸満だよ」おじちゃんと呼ばれたのは、この時が初めてでした。
 平和祈念公園まで来た。旅のゴールはここにする事にした。ひめゆりの塔まであと3キロ、最南端の荒崎まで7キロほどであったが、ほぼ南まで来たという満足感があった。第一、靴ズレがひどく、もう歩けない状況だった。タクシーを呼んで、糸満のホテルに向かった、くたくただった。
 歩行距離28キロ(辺戸岬から140キロ)

 8月5日
 糸満市内のホテル。ホテルで宿の主人から糸満沖合の無人島に行くので一緒にいきますか?という話をもらった。丁度ホテルに泊まっていた若者一人と自分を乗せて、船で渡ってくれた。何という島か、島の名前は忘れてしまったが、綺麗な海にミサイルの薬莢のようなものが沈んでいた。

 8月6日
 国内線で羽田に戻った。

 終戦から43年。本土復帰から16年。自分は戦争を知らない。でも本島南部の戦争の傷跡は生々しく感じた。今、日本は平和であると思う。こんな旅ができるのも平和であるからだ。今回はいろいろ考えさせられた旅だった。それと骨折から2ケ月でよく歩き通せたなと、自分でも思った。若さだと感じた。

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