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Yamareco

記録ID: 314220
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積雪期ピークハント/縦走
ヨーロッパ

モンブラン(グーテルート、ガイド登山)

2013年06月24日(月) 〜 2013年06月25日(火)
 - 拍手
yhr7 その他1人
GPS
32:00
距離
17.4km
登り
2,804m
下り
3,105m

コースタイム

【1日目(6/24)】
 9:28 ニ・デーグルの一つ手前の駅(2,100mくらい)
 10:10 ニ・デーグル駅(2,372m)
 12:16〜13:45 テートルース小屋(3,167m)昼食
 15:50 グーテ小屋(3,817m)宿泊

【2日目(6/25)】
 2:35 グーテ小屋(3,817m)
 4:38〜5:00 バロ避難小屋(4,362m)休憩
 6:33〜6:40 モンブラン山頂(4,810m)
 7:21〜7:27 バロ避難小屋(4,362m)休憩
 8:30〜9:30 グーテ小屋(3,817m)休憩
 10:55〜12:15 テートルース小屋(3,167m)昼食
 12:46 ニ・デーグル駅(2,372m)
 13:31 ベルビュー駅(1,794m)
天候 1日目:雪のち曇
2日目:快晴
過去天気図(気象庁) 2013年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
往:宿近くでガイドの車にピックアップしてもらう。(7:00)
  サン・ジェルヴェ・レ・バンからモンブラントラムウェイでニ・デーグルより1つ手前の駅へ。(8:00発)
復:ベルビュー駅からサン・ジェルヴェ・レ・バンへモンブラントラムウェイ。
  そこからシャモニーまでバス。
※通常のアクセスはシャモニー→(バス)→レズーシュ→(ロープウェイ)→ベルビュー→(モンブラントラムウェイ)→ニ・デーグルだが、レズーシュからのロープウェイは運休中(レストランの火事でケーブルが影響を受けたとか)。モンブラン鉄道は8:00発ともう一本夕方のみニ・デーグルの一つ手前まで行くが、他の時間帯はさらに一つ手前のベルビューまでしか行かない。シャモニー〜サン・ジェルヴェ・レ・バン区間は鉄道路線があるがこれも運休中。
コース状況/
危険箇所等
今回のモンブラン登山のためにネットで情報収集を試みたが、あまり知りたい情報が得られなかったので今回分かったことをまとめておきます。

【ルート選択】
 シャモニーから一般的なのは、グーテルートとコスミックルート。グーテルートの方が簡単。イッテQでイモトが登ったのはコスミックルート。登山シーズンは6月中旬〜9月中旬。グーテルートは6〜7月に登ると良い。まだ雪が多いため、ルート上最危険箇所の大クーロワールで落石が少ないため。8月以降は危険度が格段に上がる。コスミックルートは6〜7月前半くらいは雪の状態が悪いため、シーズン後半の方が登りやすい。
【登頂確率】
 モンブランの登頂確率は2〜3割程度と言われている。ガイドに聞くと、昨シーズンは30回くらいトライして成功は10回だけと。ただし、撤退の理由はほとんど天気が悪いことと、コスミックルートで雪の状態が悪かったため。グーテルートの場合、バロ避難小屋より上の稜線上の暴風が問題。今回の登山でも風が相当強く何度か飛ばされそうになったが、これはまだ弱い方だと言われた。つまりガイド登山の場合、多少の技術とある程度の体力、根性があれば、一番の問題は天候。
 ちなみに、7〜8月はグーテルートに人が殺到するため、小屋も大変なことになるしガイドもあまり好きじゃないと。
【ガイド】
 僕は今回始めてガイドを利用したが、理由は自分の技術が足りないことと、ヨーロッパの山の勝手が全く分からないため。他にもガイド登山はたくさんいたが、利用していない人も多い。ほとんどはパーティを組んでいるが、まれに単独の人もいた。ただ、素人目にも明らかに未熟な技術の人もかなりいた。最危険箇所の大クーロワールのトラバースに何分も留まっていたり、グーテ小屋への岩場(ミックス)の登下降でやたらと苦労している人、氷河地帯でアンザイレンはしているものの距離が異様に短い人など、かなりビックリするような人たちもいる。ガイドは的確なアドバイスと道具の正確な使い方、ルートの取り方等も教えてくれるので、とても勉強になるし心強い。
 ヨーロッパのガイド登山は休憩が無いとか歩くのが早すぎるとか言われているが、おそらく人によるのだと思う。ゆっくり歩いているガイドもいるし、客の力量にある程度は合わせていると思う。ただし、日本の山とは環境が全然違うし、危険箇所では絶対に休憩を取ることは無い。僕のガイドは非常に歩くのが早く、先行者はどんどん追い越し続け、一人にも追い越されることは無かった。もっとも僕は絶対に「Wait.」とは言わなかったし、休憩するかと聞かれても「No.」としか答えなかったからかもしれないが。結局最初から最後まで結構ペースは早く、ガイドもこのペースにはかなり満足していたが、僕も普段の登山では基本的に休憩は取らないし、スピード登山をしていることが多いので、全く苦痛には思わなかった。
 ガイドはインターネットか電話でも手配出来るらしいが、僕は現地で手配した。シャモニー駅から目の前のメインストリートを真っすぐ5分くらい歩くと、ガイド組合に着く。夕方しかオフィスは開いていないが、その場で手配できた。6/17にガイド組合に行き、6/23トレーニング、6/24,25クライミングを手配できたが、7月以降は客が多過ぎて厳しいかもしれない。
【山小屋】
 グーテルートの場合、宿泊はグーテ小屋が最適。今回の宿泊客は最大定員の60人だったが、小屋が小さいためかなり多く感じる。これが、夏場シーズンになると100人まで宿泊させるため、予約してあるにも関わらず、食堂のテーブルの上とか下で寝ることになるらしい。今回はみんなベッドで寝れたようだが、いわゆる1畳に2人という狭さで、さらに夜中出発に備えて早く寝ようとしたが、最初は欧米人のおしゃべりがうるさ過ぎ、その後は隣の日本人の年配の方のイビキが強烈過ぎて、結局全く眠ることはできなかった。
 ところが、グーテ小屋があまりに小さく設備がヒドすぎるため、ついに新グーテ小屋が建設され、来週あたりから移行するとのこと。そしてグーテ小屋は撤去されると。定員は百数十人に増えるそうだ。
【道の状況】
 今回のルートは、まだ時期が早いのと先週ずっと天気が悪かったため、雪がとても多かった。おかげで、大クーロワールは比較的安全だった。ただし、落石がゼロというわけではなく、上から落ちてきた石が雪で止まっていたりした。グーテ小屋以降はすぐに先行者を追い越してトップになり、ガイドがトレースを付けながら進んで行ったためちょっと疲れた。天気は良かったが、バロ避難小屋以降は予想通り暴風。下りは豊富な雪のおかげで、直線的なルートでがんがん下りて来れて早かった。さらに、テートルース→ニ・デーグル駅は少し歩いてはシリセード(というかただ座って滑っているだけ)を繰り返して、異様に早く楽に下りられた。
雪が降る中出発
ニ・デーグルはすでに真っ白
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ニ・デーグルはすでに真っ白
テートルース小屋のスパゲッティ。コーヒーや紅茶は茶碗で飲む。
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テートルース小屋のスパゲッティ。コーヒーや紅茶は茶碗で飲む。
大クーロワール
グーテ小屋下の岩稜帯の途中。唯一の休憩5分。
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グーテ小屋下の岩稜帯の途中。唯一の休憩5分。
レスキューヘリ登場。岩稜帯途中で6人パーティの一人が動けなくなったらしい。ヘリからドクターが吊るされて上陸を試みるが、風が強過ぎて失敗。何度もトライしていたが、無理だったよう。
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レスキューヘリ登場。岩稜帯途中で6人パーティの一人が動けなくなったらしい。ヘリからドクターが吊るされて上陸を試みるが、風が強過ぎて失敗。何度もトライしていたが、無理だったよう。
グーテ小屋
夕食。まずはスープ。意外と美味しい。
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夕食。まずはスープ。意外と美味しい。
そして肉!!ボリューム満点で夜中に備える。
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そして肉!!ボリューム満点で夜中に備える。
寝床。一番端の良いポジションだったのに、結局一睡もできず・・・
5
寝床。一番端の良いポジションだったのに、結局一睡もできず・・・
新グーテ小屋。近代的でデカい。
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新グーテ小屋。近代的でデカい。
夕焼け。すでに21時半。
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夕焼け。すでに21時半。
途中で日の出を迎える
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途中で日の出を迎える
近そうで遠い。そして風が強い。
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近そうで遠い。そして風が強い。
モンブラン制覇!!
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モンブラン制覇!!
遠くにマッターホルンとモンテローザも見えた
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遠くにマッターホルンとモンテローザも見えた
一気に下ってモンブランを振り返る
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一気に下ってモンブランを振り返る
グーテ小屋まで下りてくると、ようやくミディ針峰と同じくらい
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グーテ小屋まで下りてくると、ようやくミディ針峰と同じくらい
テートルース小屋で昼食。今日もスパゲッティ。
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テートルース小屋で昼食。今日もスパゲッティ。
ニ・デーグルからさらに2駅下って、完結。
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ニ・デーグルからさらに2駅下って、完結。

感想

 アルプス最高峰モンブラン4,810m。登りたいと思い始めてから10年経って、ついにこの時が来た。バックパッカーの旅をすること、そして山に登ること、そのために4年間働いた会社を辞めた。というより、自分の中では4年間ちゃんと働いてお金を貯めて、旅に出るということは決めていた。4月から旅に出て、いろいろな国を回りながら、ネパールではエベレスト街道トレッキングをし、一番重要と位置づけていたモンブラン登山を成功できた。今はとにかく最高としか言いようのない気分。ガイドがみんなそうなのかは分からないが、とても良い人で当然技術は確かで本当に良かった。こういうガイドは凄いと思う。
 前日は久しぶりに興奮でほとんど寝られず、さらに山小屋では一睡もすることができなかったにも関わらず、不思議なくらい体のコンディションは良かった。2ヶ月前のエベレスト街道の効果がまだ残っていたのかもしれないが、全く高山病にならず、頭痛とは無縁で異常に呼吸が早くなることもなく早いペースで歩き続けることが出来た。さすがに下山途中から睡眠不足による気持ち悪さが出てきたが、無事最後までちゃんと完結できた。とにかく、人生で一番素晴らしい登山だった。
 今は少し燃え尽きた感じなので、数日シャモニーをブラブラしてからツェルマットに向かう。またそのときに山への情熱が上がってきたら、どっかに登ろうと思う。

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コメント

すばらしいです。
Yhr7さん、
モンブラン、サミットおめでとうございます!
目的をもって準備して、行動され、
それを実現されたことは、すばらしいことだと思いました。

多分、私は7/19に例の山にチャレンジしますが、
天候などもあり、どうなるか判りません。

この山の挑戦は、ほとんどツェルマットのアルピンセンター
のガイドにより挑戦するのが一般的ですが、
今回は、貴殿と同じく、シャモニーガイドとともに挑戦します。
彼らのほとんどが、ENSAの卒業生でレベルが高いです。

成功の如何にかかわらず、レポートしたいと思います。

クマ
P.S 例のお山、貴殿もどうでしょうか? 多分、ツェルマットに着いたら、登りたくなりますよ。きっと・・・
2013/6/27 15:47
クマさん、ありがとうございます。
シャモニーガイドとも登れるとは知りませんでした。
やっぱ目の前にすると登りたくなりますかねー?
モンブラン下山後にガイドにも勧められましたけど、技術が・・・
モンテローザかどっかは挑戦しようと思います。
2013/6/27 19:00
来週から行ってきます
yhr7さん、はじめまして。

貴重な情報ありがとうございます。たいへん参考になりました。また、このレコから計画書を作成させていただきました。
ありがとうございました。
2013/7/19 11:45
プロフィール画像
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