栗代川大崩沢コルの沢遡行・関ノ沢川宇洞沢下降
静岡県
tamoshima
chelsea620
kumassiy
体力度について
- GPS
- 28:40
- 距離
- 28.9km
- 登り
- 3,252m
- 下り
- 3,386m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 8:15
- 休憩
- 2:02
- 合計
- 10:17
| 天候 | 1日目：晴れのち曇り、2日目：晴れ→雨→曇り、3日目：晴れ時々曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2021年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
○アプローチ ・取水堰までは割と平凡らしいので、今回は栗代林道から入渓した。途中、林道に格子状の柵があるが、その先は崩壊しているので柵の手前の仮設階段から巻く方が良い。 ・取水堰へと続く巡視路は明瞭で分かりやすい。 ○栗代川本流遡行 ・取水堰は右凹角から直登できる(��)。 ・最初のゴルジュである八丁暗見の箱淵は、土砂の堆積具合で難易度が大きく変わるようだが、今回はそれなりに難しかった。岩はツルツルでへつりは困難だし、表層の流れは強く泳いでも進まないため、潜って下層の流れの緩いところを泳いで突破した。 ・曲り淵に難所はなかった。 ・板屋沢出合の下流の2段6m滝は直登している記録もあるが、今回の水量では厳しく、左岸から巻いた。右岸からも巻けそう。 ・竜言淵の美しい5mスライダー状滝は、左から小さく巻くと容易だが、右のスラブを登ると面白い。また、滝滑りも楽しめる。 ・3mCS多条滝はどこからでも登れそうだがフリーで登ろうとすると結構難しい（右岸、左岸をへつって登れる）。中央の岩でショルダーすれば楽だと思う。 ・竜神の瀬戸は、左岸から60mほどの滝が入ってからが核心。まずは流れの強そうな1mCS滝があるが、側壁にホールドが豊富なのでへつり泳ぎで突破できる。あえて左岸をトラバースしても突破可能(V＋)で、面白い。 ・続く4m斜瀑、3m滝はラバーソールならフリクションばっちりで容易。 ・この沢最大の難所である3mCS滝は、水流横断して左から登る記録を見かけるが、今回のように増水していると厳しい。横断しなくても、CSの右の水流沿いに登れる(IV)。また、右壁を直登することもできたがかなり難しい(VI)。右壁を人工登攀している記録もある。 ・正面から立派な滝が入るカーブを左に曲がると長い淵があるが、流れはさほど急ではないし、その先の滝も容易。これを越えると竜神の瀬戸は終了。 ・その先は長いゴーロとなり、シュウモト沢出合までは幕営適地が至る所にある。 ・倉沢橋まではゴーロが続く。倉沢橋から廃林道で下山する記録もあるが、極めて荒廃しており危険な上、時間がかかるらしい。 ・倉沢橋のすぐ上にある5m滝は水流右をシャワークライミングできるが上部でホールドが乏しくそれなりに難しい(IV+)。巻きも結構悪いらしい。 ○大崩沢コルの沢遡行 ・大崩沢に入ると殆どゴーロで、コルの沢出合に至る。 ・コルの沢出合でコルの沢は殆ど伏流しているが、沢に入ってガレゴーロを登れば水は復活する。 ・3段25m滝は右からさほど労せず巻ける。無理して小さく巻こうとしない方が良い。 ・23m滝は右から容易に巻けたが、左からも巻けそうだった。 ・以降は小滝のみで、倒木の多い急なルンゼ状の沢を登っていく。途中1700m二俣を右に入った方が、詰めあがる標高は低くて済む。 ○宇洞沢下降 ・1330m二俣までは、懸垂下降、クライムダウン、小さい巻きを組み合わせ、さほど難しくなく下れる。クライムダウンは�掘楪�度の物があるので慣れていない者にはロープを出した方が良い。 ・1330mから傾斜の寝ている滝を2つ下るとゴルジュとなる。ここで降ってきていた雨による増水もあり、沢通しの下降は難しそうに見えたので今回は大高巻した。ゴルジュ内は不明。大高巻は藪のきつい場所もあり大変で、最後に懸垂下降1回で3段15m滝の下に出た。遡行の場合もこのゴルジュが難所となりそうである。 ・そこからしばらくはゴーロで、1100m附近右岸に、この辺では貴重な幕営適地がある。 ・ゴーロが終わるとまた滝場となるが、7m滝、14m滝共に、高度感はあるもののクライムダウンできる。 ・次のゴルジュにある18mCS滝は、上流の8m斜滝とまとめて左岸から巻き、最後は空中懸垂。30mロープ2本でぎりぎりだった。遡行の場合はこの滝の巻きが大変そうである。 ・以降は容易な小滝のみで出合に至る。この辺りには釣師も入る。 ○関の沢川下降以降 ・ほとんどは河原だが、所々にゴルジュがある。泳ぎを厭わずに下降するなら特に難所はない。彦次の瀬戸は埋まっており、歩ける。 ・関の沢川出合の対岸の尾根には薄いが踏み跡とマーキングがあり、それに従えば難なく車道に出る。この区間ヤマビル多し。 |
| その他周辺情報 | ・ヤマビルを多少見かけた。被害なし。 ・接岨峡温泉会館は閉館。接岨峡温泉駅の銭湯は入れる(600円)。露天風呂は温めで長湯に適する。 ・宇洞沢を宇洞河内とする記録もある。 【他の記録】 ○栗代川は記録多数 ○大崩沢：登山大系9以外に見つからず ○宇洞沢 ・名古屋ACC1回目：http://nagoya-acc.moo.jp/kiroku/2009/090711udo/index.html ・名古屋ACC2回目：https://adenylic44.rssing.com/chan-20772165/latest.php ○関の沢川：記録多数 ○似た経路の記録 ・栗代川〜大無間山〜関の沢川 4days（静岡労山） https://morisshi.dreamlog.jp/archives/84066072.html http://blog.livedoor.jp/toshizo1211/archives/52582018.html |
写真
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装備
| 備考 | ラバーソール適 |
|---|
感想
【計画の経緯】
この4連休、当初は川内の沢へ行こうと思っていたが、微妙な天気。仕方がないので大峰まで大転進しようかと思ったが、直前になり、南ア深南部でもよさそうということになり、ゴルジュで有名なので一度は行こうと思っていた栗代川へ行くことに。
荒廃した林道も歩きたくなければ長い詰めもしたくなかったのと、関の沢川・宇洞沢がそれなりに面白そうということで、このルートに決定。
【記録】
○アプローチ
車デポ地で3人合流し、1台車を置いてtamoshima車で栗代林道へ向かう。しかし東からアプローチしたところ、バリケードがあって通行止。仕方ないので県道へ向かうが、こちらはなんと時間帯通行止で、2時間近く待たないと入れないらしい。それは困るので、またバリケードに戻り、通行止め区間が通れる可能性に賭けてみることに。結果、道は荒れていたものの栗代林道入口まで何とか辿り着けた。その先の林道にも車で入れたが、念のため駐車は林道入口にしておいた。道路状況のせいで、まだ歩き始めてもないのになんだか精神的に疲れた。
林道を歩き始めてそんなにしないうちに車は通れない場所が出てくるが、一応復旧工事中だった。それを越えて進むと広い転回場があって、その先で二度と撤去する気のなさそうな柵がある。この柵を越えると林道は完全に抜けていて、大高巻。これは割と危険な高巻きだったが、後で気付いたことには、ちゃんと整備された巻き道が上方に付けられていた。
この高巻きをこなすと林道は平穏を取り戻すが、もう何十年も車は入っていない雰囲気。暑い暑いと思いながらだらだら歩いていくと、記録で読んだ廃車体が2台出てきて、程なくして取水堰へ降りる道が分岐。こちらへ入る。この先の林道が、きっと噂に聞く悪絶な廃道なのだろう。
取水堰への巡視路は比較的よく整備されていて、問題なく入渓。漸く体を冷やせる。
○遡行1日目
入渓してすぐに結構水量多いなと思ったが、取水堰に至ってその懸念は的中。増水時の遡行記録とされているファイントラックの記録(下記)より明らかに多い。不安になる。
https://www.finetrack.com/funtotrack/post-39419/
が、堰堤は意外と容易であっさり直登。程なくして側壁が立ってきて八丁暗見と呼ばれるところか。箱淵らしきところが出てくると、浅くて簡単に通過している記録もあるが、そうはいかない。本気で泳いだり側壁から飛び込んだりしてもうまくいかず、最後の手段として潜水したら表水よりも流速が遅く、突破成功。結局、3日間で一番てこずったのはここだった。後続はロープに引かれて楽々突破。
暫くの凡流を経て曲り淵、ツル天に至るが、わざわざ名前がついている割には大したことがなく、あっさり通過。また凡流を経て龍言淵となるが、あまりゴルジュっぽくはない。割合スムーズに来ていたので、ここの5mスライダー状滝を滑って遊んだりしたが、怖がりのkumassiyが超躊躇した上で結局滑らなかったのを大嗤いした。
龍言淵が終わるとすぐに核心と言われる龍神ノ瀬戸。ここは確かに見事なゴルジュで、しかもほどほどに難しいところもあり、素晴らしい。ラバーソールがよく効くおかげで厳しそうなところも見た目ほどではなく、全ての滝と淵をフリーで突破。楽しい所だった。増水していたのかもしれないが、問題はなくて良かった。
龍神ノ瀬戸を抜けると長いゴーロで、飽きる。広河原が終わるシュウモト沢出合で幕営適地を見つけ、遡行終了。
○遡行2日目
しばらくゴーロを進むと倉沢橋。確かに傾いて架かっている。その先すぐにある5m滝は、近づいて見ると登れそうなので、tamoshimaフリーソロ。kumassiyはお助け紐で登り、chelseaは巻き。倉沢で面白かったのは確かここだけで、だらだら登ってコルの沢出合。
コルの沢出合は伏流していたが、少し進むと水が出てきて、20m超の滝が2つ。残念ながらどちらも登れず、巻き終えると水量も減って倒木が多く、雑然とした感じに。結構急で面倒な詰めをこなして稜線へ。
○下降1日目
稜線を少し下ってから沢に下る。急だが大した障害はなく、懸垂下降と巻きとクライムダウンを組み合わせて順調に下っていく。しかし、1330m二俣から少し進んだところで、ゴルジュ状の地形内に多くの面倒そうな滝があるのが見え、しかも雨もザーザー降ってきたので、大高巻を決断。意外にも笹藪が酷くて難儀した上、沢に戻るところで斜面が急になり懸垂下降までさせられたが、無事連瀑帯を巻き終えた。
時間も結構かかっており、そろそろ幕営地を見つけないとやばいと思い始めた頃、好都合にも幕営適地発見。古い瓶などもあり、昔から利用されている所のようである。いつしか雨もやみ、無事焚き火もできたので、良かった。
○下降2日目
山行3日目は沢下降のみ。2日目まででここまで来ていれば割と早めに下山できそうなので、心は軽い。沢下降を再開すると、結構大きいのに快適にクライムダウンできる滝が出てきて、結構爽快。立派な18m滝は懸垂下降で下り、その後もゴルジュ状を下っていくと、右岸から不動沢が出合う。以降は滝も少なくなり、問題なく堰の沢川本流へ。
関の沢川には釣り人がいて、こんなところにわざわざ入ってくるんだなぁと感心。どこからか、歩いて来られる径路があるのだろう。枝沢の立派な滝を眺めながら平凡な川を下っていくと、彦次の瀬戸と呼ばれるゴルジュ。側壁はかなり立派だが浅く、歩いて通過。程なくして取水堰。
ここで脱渓もできるようだが、時間に余裕はあるし、沢から上がっても暑いだけなので、下降を続行。渓相は変わらず、長い河原歩きの合間に所々に立派なゴルジュがある程度。飽きてきた頃、最後に水路橋、次いで鉄道の橋をくぐると、遂に大井川本流に合流。やりきった。
大井川を適当に渡り、向いの尾根を見ると、読み通り釣師の踏み跡がある。これを辿れば、車が置いてあるカーブはすぐだった。
【総評・感想】
遡行については、栗代川の竜神の瀬戸は素晴らしかったが、ゴーロ歩きが長くて詰めも面倒という印象も残った。下降した宇洞沢は滝が多く、結構手応えがあったが、関の沢川本流が冗長。
全体的に河原歩きが多いのは仕方ないのだろうが、もっと変化に富む沢を求めたいものである。とはいえ、名渓と言われる栗代川を含む3日間の山行を狙い通りのルートでやり遂げたので達成感はあった。
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