栗駒 新湯沢下降 ドゾウ沢遡行
mooree
- GPS
- 06:39
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 760m
- 下り
- 780m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 5:54
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 6:37
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2021年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
現在、いわかがみ平までの道路が落石の為9月24日まで通行止めになっています。世界谷地の方を回る迂回路がありますので、現地の看板等で確認してください。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
入渓地点だが、最初の予定では、駒の湯温泉の林道を使ってドゾウ沢と新湯沢の出合いから入渓するつもりだったが、駒の湯温泉が休業の為か林道も通行止めになっていた。なので裏掛コースから入渓。 新湯沢下降 裏掛コースの登山口からスタートして新湯沢に入渓。新湯沢を下降する。 たまに小滝があるくらいでほとんどゴーロなので下降は易しい。 600m付近でドゾウ沢と出合う。 ドゾウ沢遡行 2008年の岩手宮城内陸地震の影響で崩落箇所が目立つが、沢が埋まって通れないような箇所はないし、土砂や落石で水が塞き止められてる箇所もない。 ただ、ほぼ全域に渡って両岸が崩落しているので、今にも崩れて来そうな大岩が絶え間なくある。休憩する場所もよく選ぶ必要がある。 何ヵ所か落石で沢が埋まってる箇所があり、大岩の隙間から水流が滝になって流れている。岩を乗り越えて進む事は出来るが、大きい岩でも動くので注意しながら進む。 840m付近にドゾウ滝20m。 この沢最大の滝で迫力あるかっこいい滝である。 直登するなら右岸の岩場からだろうが、取り付きのボロボロ壁がやっかいそう。ここは確保が必要なので左岸から巻いた。巻きは15分程でコンパクトに落ち口に抜けられた。 ドゾウ滝の上からは赤茶色のナメや小滝が続き、先に見える稜線の景観も素晴らしく遡行してて実に気持ちがいい。小滝もいい間隔で現れ、ホールドが脆い一個の滝を除いてほとんど登る事が出来る。 最後の詰めは、1170m二俣は右、1200m三俣は中俣へ進むと沢筋が細くなってくるが、水流を忠実に詰めると藪漕ぎなしで裏掛けコースの登山道にぶつかる。 下山は裏掛けコースを60分程。 |
写真
遡行したドゾウ沢を見下ろします。こう見ると土石流が通った痕がわかりますね。もしかして地震前は側壁が高いゴルジュだったのでしょうか。
5
感想
ご存知の方は多くいると思うが、2008年の6月に岩手県内陸南部を震源とした最大震度6強の大地震が発生。
岩手宮城内陸地震とされたこの地震は、発生地域が山間部であったため、至る所で大規模な土砂崩れを引き起こした。
当時は私はまだ登山を始める前であったが、新聞の見出しやテレビニュースで山の半分が大きく抉り取られてる映像を見て驚愕したのを今でも覚えている。
広範囲で発生した土砂崩れは、今もなお大きな爪痕を残して、「〜崩れ」として名所になっている場所もある。
その中でも、甚大な被害をもたらしたのが、今回遡行したドゾウ沢である。
源頭部で発生した土砂崩れは、そのまま土石流となりドゾウ沢を一気に流れ落ちて駒の湯を直撃。尊い命がいくつも奪われた。
その後登山をするようになり栗駒山を何度も登ってきた。一般登山道にも被害があったと思うが、関係者の方々の懸命な整備のおかげで今は何不自由なく歩く事が出来るようになり、多くの登山者を迎え入れている。
裏掛けコースからはドゾウ沢源頭部の崩落箇所を間近で見る事が出来るが、沢登りをするようになり、この土石流を発生させたドゾウ沢を歩いてみたいと思っていた。
記録を探してみたが、何故か地震前の記録は一件も見つけられなかった。
地震後に一件だけ、いつも参考にさせていただいてる方の記録を見つけて拝見すると、沢登りは出来そうである事がわかり、ますます行きたい気持ちが大きくなった。
前置きが長くなってしまったが、実際遡行してみた感想は、地震の影響はいまだに残っており、自然の脅威を感じずにはいられなかった。両岸壁は、かなり高い位置まで削られており、巨大な岩が今にも落ちてきそうで恐怖を感じる。
以前のドゾウ沢の渓相を知らないのでなんとも言えないが、おそらくまるで違う沢に変貌してるんじゃないかと思った。
しかし、確実に沢としては機能しており、草木も生え、長い年月をかけて再生していると感じる。
沢登りとしての遡行価値だが、崩落箇所が多数あり、安全性においてはオススメは出来ない。だが、ドゾウ滝をはじめ、赤茶色のナメや小滝群、何より稜線まで見渡せる開放的な景観は本当に素晴らしいと思う。
栗駒山の素晴らしさをこのドゾウ沢で充分感じる事が出来た。
余談だが、栗駒山には地震の影響を受けた沢がもう一本ある。かつて岩手の葛根田川に並ぶとされた東北の名渓、産女川である。
こちらは残念ながら土砂崩れで沢の大半が埋まってしまい、以前の入渓地点からは遡行する事は出来なくなってしまった。
ドゾウ沢は源頭部からの土石流で一気に流れ落ちたので、沢としての機能はまた再生出来たのであろう。
産女川は、崩れた山肌が横から一気に産女川に流れ込んだので、沢を埋め水流を塞き止めてしまったのだろうか。産女川の中流部には、流れ込んだ土砂や落石が至る所で沢を埋めていて、その土砂と土砂の間に行き場を無くした水がプールのように貯まっているらしい。
ただ産女川の上流部だけは奇跡的に被害を受けなかったらしく、そこだけを遡行したり下降してる記録を何件か拝見した。
ここも近い将来、必ず訪れたいと思っている。
山の弱点は谷である。その弱点が自然によって形を変えていくのはしょうがないかもしれないし、それが本来の自然の在り方かもしれない。今回、沢登りを通して、その本来の自然を少しでも感じる事が出来てよかったと思っている。
これからも、まだ知らない栗駒山の魅力を感じる登山をやっていきたいと思う。
そして、あと2週間もすれば、今年もまた栗駒山が一番輝く季節がやってくるだろう。
長々と書いてしまいました。最後まで読んでいただいてありがとうございます。
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