記録ID: 38856
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ハイキング
中国
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)37・日本海、ひたすら〜1(天の橋立)
2006年10月19日(木) 〜
2006年10月21日(土)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 85.6km
- 登り
- 618m
- 下り
- 610m
コースタイム
10/19 三松海岸ー舞鶴大観音
10/20 舞鶴大観音ー由良ー栗田ー越浜(おっぱま)
10/21 越浜ー宮津ー天の橋立ー岩滝
10/20 舞鶴大観音ー由良ー栗田ー越浜(おっぱま)
10/21 越浜ー宮津ー天の橋立ー岩滝
過去天気図(気象庁) | 2006年10月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
10/19 目が覚めてみると砂まみれになっている。だらしない性格が災いして、砂浜に寝るといつもこうなってしまうのだ。昨夜の残りのホルモン味噌煮で朝食。朝っぱらからホルモンかよ、なんて言われそうだが、僕はわりと平気な方である。カレーだろうがトンカツだろうが、あれば食う。 海岸線を北側に回り込んで国道を迂回することにする。先日の老紳士によれば「あまり見るべきものはない」とのことだったが、まあ、見るべきものなんてなくてもいいだろう。ちなみに件の紳士のお勧めルートは青葉山の懐深くに鎮座する松尾寺を経由するというもの。しかし民家の裏庭を抜けていくやうな行程であり、地形図がないと物悲しい結果になりそうだったので今回は敬遠。 海沿いをしばらく行くと難波江の砂浜へ出る。ここも綺麗な砂浜ではあるが、「おまいらあんまりマナー悪いと閉鎖しちゃうぞ」みたいな、鬱陶しい文面の看板が立っていて興醒めである。夏場の利用客のマナーが余程なってないのかもしれない。 ここを過ぎると道は山の中へ分け入っていく。小さい集落を一つ越えていくと“五色公園”とやらへの分岐の看板。一度海の方へ下って行かねばならないようだが、ちょっと覗いてみることにする。せっかく来たので何か一つぐらい見所があったほうが、あとあと何かと便利だろう。しかし行ってみて分かったのだが、この公園は別に見所となるようなモノでもなかった。一応アスレチック施設などがあるが、水道もトイレもない。これじゃ利用者はこまるだろう。というか、誰もいないな。じいさんが二人芝刈り機でブンブンやっているくらいだ。こういう施設の予算ってのはやはり原発がらみのアレコレをドウコウして引っ張ってくるものなんだろうか。一時間ほど無駄足を踏んで峠に戻ってくる。 キリンレモンをやけくそ気味に一気飲みして、トボトボと峠を下って行く。やがて道は朝来の工業地帯に入って行く。海沿いは工場と自衛隊の施設で殺伐とした感じだ。先日の老紳士の言う通り、松尾の境内を抜けていくルートにトライした方がよかったかもしれない。地元の人の言うことは素直に聞くものだ。 舞鶴の港で一時間ほど黄昏てから出発。西舞鶴へは海沿いの道をまわってみる。夕暮れ頃ようやく西舞鶴港へ到着。“ラーメン一丁”とかいうマッチョな感じのラーメン屋の前を通りすぎるとき、ニンニクの効いたまことマッチョな香りが漂ってくる。一度素通りして、やや躊躇したあと、踵を返して暖簾をくぐる。僕はどうもラーメン屋ってものに弱い。京都の名店「天下一品」に似てデロデロとしたスープのまことマッチョな味わいである。好き嫌いの分かれそうな味だ。京都の人ってはんなりしてる印象あるけど、案外マッチョな人たちなのかもしれない。 酒屋さんで焼酎とガスボンベを買って、「とれとれセンター」という変な名前の道の駅に行く。今夜の寝床として期待していたのだが、大きい通りに面していてなんとも落ち着かない。もう日も沈んでしまったし、今更新しい寝床を探すのも嫌なので、隅っこの方のベンチで先程買ったお酒など舐めて様子を伺ってみる。そのうちロシア人っぽいマッチョマンが集ってきて酒盛りが始まる。多分、港に出入りの船乗りだろう。さすがに物騒な感じがするので場所を移動することにする。さひわひにして荷物はまだ広げていない。まあ、こういうところで無理やり野宿してちょっとしたトラブルに巻き込まれたりすると、旅行記は俄然面白くなって来たりするのかも知れないけど、僕は別に面白い旅行記なんて書きたくない。 たいした当てもなく真っ暗な道を歩いて行く。こんなナイトハイクも最近では慣れてしまった。そのうち適当な四阿でも見つかるだろう。郊外に出るに連れ、街灯は減り道幅は狭くなっていく。港が近いせいか夜になっても車の通りが多い。峠に近付くにつれ、夜間の歩行は危険に思えてくる。峠の向こうに行けば開けた土地もありそうなのだが。こまったな、どこで寝ようか。左手には温泉付きのホテルが煌々とネオンを光らせている。むーん、泊まってしまいたい。ふと見上げると、ホテルの脇には巨大なくゎんのん様が屹立していらっしゃる。その足元には好ましい感じの四阿が。これはホテルのオーナーが温泉で一山当てて、信心から建立したものらしい。「夢にくゎんのん様が現れて、その教えの通りに掘ったところ温泉が出て、商売繁盛。その恩返しに巨大くゎんのん像を建立するに至った。」というやうな、有難くもいかがわしい案内板があった。そういうことなら一晩恩恵を被ったところでバチはあたるまい。10円ほどお賽銭を奮発して、今夜の安全をお祈りしておく。くゎんのん様は四方からライトアップされて、有難くもいかがわしく、宵闇の中で不気味に金色に光り輝いておられた。ありがたや、だいくゎんのん。 10/20 さて、くゎんのん様のご威光に守られて、お巡りにも襲われることなく無事に朝を迎える。このくゎんのん様は僕の中では、「芦別大観音」「釜石大観音」に並んで日本三大観音に数えられるに至っている。 昨夜断念した峠道は、日中通っても危ないぐらい狭い。チャリに乗った女子校生などが元気に通りすぎて行くが傍目にも危なっかしい。ま、他人事ではないがな。 峠を抜けて由良川沿いを海へと向かう。この川にはかなり風流な橋が架かっている。橋マニアには垂涎のスポットを提供しているのではあるまいか。 河口の町、由良には「白嶺」という地酒の酒蔵がある。見学出来るらしいので行ってみる。ひじょーに小ぢんまりとした街並みの中に、ポツ然とした感じでそれはある。なかなか好印象。ドラえもんみたいなおばちゃんが丁寧に案内してくれる。蔵付き酵母のことなど、色々教えてくれたのだが、みーんな忘れてしまった。売店で試飲が出来るというので行ってみる。ちょっとステキな感じのおねいさんが相手をしてくれる。折角なんで片っ端から飲んでみる。たいした量ではないのだが、結構効いてしまった。利き酒ってのは不思議と悪酔いするものである。何だか、言ってることもぽやーっとしてきて、味の違いなんて分からなくなってくる。そろそろ引き上げ時だ。昨日焼酎を買ったばかりだが、手ぶらで帰るのもアレなので、「酒呑童子」という銘柄の小瓶を一本買ってゆく。重荷を背負うと足取りも覚束ない。なんたる態だ。 由良浜でカリントウ齧りながら酔醒まし。昼酒ってのはなんでこう、酔い口が重たいのかね。由良浜は静かで良い所である。近くに温泉宿があったので、日帰り入浴を試みるも、「まだ沸いてない」とかって断られた。まあ、だったらいいか。この砂浜で寝てしまっても良かったが、もう少し歩いてみる。栗田(くんだ)という所もきれいな砂浜が続いているが、ここはやたらと民家が砂浜近くまでせり出している。あれではまるでひとんちの裏庭みたいだ。野宿なんてするにはアレな感じ。このまま先に進んで宮津あたりで陽が暮れてしまうと、また面倒なことになりそうだし、さてどうしたものか。 というわけで北へ突き出した小さな半島(栗田半島)を廻って歩いてみることにする。海洋センターの手前を左に折れて半島の向こう側へ出ると、人気のない静かな砂浜を見つける。ちょっと赤味がかった粒の大きな砂の浜である。迷わず野営地に決定。近所の農家で水道を借りて戻ってくると、砂浜では高校生が乳繰り合っている。若いってのはいいもんだね。 テントを立ててしばらくすると、大量の海ダンゴがどこからか湧いてくる。海ダンゴというのは砂浜でよく見かけるダンゴ虫風の生き物。名前が分からないので、「海ダンゴ」とか「海ワラジ」とかって呼ぶことにしている。ザックに集ってるのは、どうやら染み込んだ汗を舐めているようなのだ。焚き火のまわりにもいっぱい集まってくる。こぼした食べ物などに群がっている様はかなりマヌケだ。 10/21 風が強い。海はギンギラと飴色に光っている。どうやらこの辺は「島陰」というところに程近い「おっぱま」というところらしい。仲々のネーミングセンスとみたね。宮津へ向けて栗田半島をぐるりと一周してみる。島陰から先は三陸を思わせる、誰もいない海沿いの道。半島を西側までたどると、はるか海の向こうには、名にし負う天の橋立。海上には何やら巨大な船が浮かんでいて、四方からアームを伸ばして何かやっている。みうらじゅん氏描く、「俺の蟹工船」みたいな感じだ。 宮津には昼頃到着。ちょっと寄り道のつもりが随分時間がかかってしまった。宮津は活気があって楽しげな雰囲気を持った町ではあったが、折り入って用もないので素通り。天の橋立へ向かう。小橋立の運河の入り口あたりでフィルムが切れたので取り替えていると、例の蟹工船から土砂を満載にした小舟が来て、狭い運河に突っ込んで行く。かなりのスピードで波しぶきをあげて通り過ぎる様は圧巻だ。慌ててフィルムを装填して激写。橋立名物の回転式の橋はこの船が通る度に回転するようである。これも激写。 念のため文殊堂にも寄ってみるが、文殊見れず。仕方なく「あたまがよくなりますよーに。」とかお祈りしてとっとと引き返す。 さてここからがいよいよ天の橋立縦走の本格的な入り口である。僕は十年ほど前に一度天の橋立を訪れたことがある。台風一過の海岸には人影もなく、至って物静かな印象であった。しかし、今再び訪れてみると、そんな物静かな印象は一切ない。土曜ということもあるが、沢山の人達が橋立縦走に精を出している。松川浦を通った時も思ったのだが、この手の地形ってのは歩いてみても今ひとつピンとこないものである。確かに右も左も海だってのは分かるのだが、だから何?って気がしてしまうのだ。飛行機から見たらだいぶ印象違うんだと思う。せめて船だな。何にしても、こんなデカい荷物を背負って来るべき所ではない。一応一通り歩いてみて満足しておいた。 後は概ね内海沿いの道を歩いて行く。対岸には橋立の松林が見えている。「おお、橋立が見えるよ。」などと殊更に自分に言い聞かせてみるも、今ひとつピンとこない。今夜の寝床に目星をつけておいてから岩滝クアハウスという名前の温泉に行ってみる。名前からして情緒的な湯は期待できないが、最後に湯を使ってからかれこれ6日ほど経つので贅沢も言っていられまい。行ってみると案の定、ここは温泉と言うよりは、温水プールなどを備えた総合スポーツ施設という感じのところである。かなり立派な建物だ。まあ、この際なんでもいいか。 湯上がり、Star-River氏に電話してみる。Star-River氏は北大ワンゲルのOBである。ここ数日、何度も電話しているのだが、一向に繋がらない。事によったら公衆電話からの着信など拒否する設定になっているのかもしれない。僕のやうにケータイも持たずにウロウロしてる輩は、公衆電話からしか連絡出来ないので、たまに「なんだあの変な着信は?」などとバカにされたりする。しかもその公衆電話も極端に数が減っている。コンビニなどでテレホンカードを所望すると気の毒そうな顔で断られたりする。恐ろしい世の中だ。まあ、Star-River氏となぜ連絡がとれないのかは不明。かれこれ一週間に渡って、折に触れ、接触を試みてきたのだが。まあ、連絡が付かないなら仕方ない。ちゃんと野営地の目星はつけておいたし。休憩室でしばしうだうだしていくことにする。“暮らしの手帳”があったのでぱらぱらと読んでみる。ついこの間、ラジヲのゲストで編集の方が出ていて、興味を惹かれたのである。しっかりとした編集方針を持って雑誌作りをしている様子だった。確かに結構面白い。“暮らしの手帳”ってどこにでもありそうな雑誌だが、読むのは今回が初めて。結局二時間近く読みふけってしまった。 さて8時も30分ほど廻ろうかという頃、ようやく重い腰を上げて温泉をあとにする。途中、ヤマザキストアで半額のおにぎりなど買い出して、先程目星をつけておいた場所へ。内海沿いのちょっとした砂地である。焚き火の出来そうなマキもゴロゴロしているが、時間も遅いし、ぴょんぴょん虫はピョンピョンと鬱陶しいし、オニギリ食って、ギョニッキーで軽く一杯やって、さっさと寝てしまう。 |
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