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記録ID: 40202
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ハイキング
中国

トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)44・日本海、ひたすら〜8(浜田にて、冷たい雨が)

2006年11月10日(金) 〜 2006年11月14日(火)
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GPS
104:00
距離
75.3km
登り
806m
下り
807m

コースタイム

11/10 波子ー浜田ー西浜田
11/11 停滞
11/12 西浜田ー折居ー三隅ー鵜の鼻
11/13 鵜の鼻ー益田ー田万川ー瀬越海岸
過去天気図(気象庁) 2006年11月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
11/10
 急に気温が上がったせいか、どうも不安定な天気だ。スタスタと、よく整備された道を歩くこと3時間ほど、お昼前には浜田の町に到着。浜田は山陰の海沿いの町の中では比較的大きい町なのではないかという気がする。今日はゆっくり買い物でもしてみるつもりである。駅にはザックの入るような大きなロッカーがないので、くゎんこう案内所に荷物を預けて町に繰り出してみる。しかし駅前のアーケード街は寝静まっとるな。どうしちゃったんだろう、もうお昼だよぉ。
 靴の踵がだいぶ不自然な角度で削れてきていい加減痛い。思えば函館を出て以来、ここまで4ヶ月ほどこの靴を履き続けている。サイズの合っていない靴で初めはどうなることかと思ったのだが、中敷きを調整したりして何とかここまで来た。かなり足にも馴染んでいるが、完全に足裏の骨格の形にへこんでしまって、ソールに穴が開きそうだ。流石に限界だろう。という訳でここらで新調してみようかと思ったのだが、あっという間にアーケードの端まで来てしまった。それらしい靴屋が見当たらない。もっとも安売りの量販店みたいなのは、駅前よりはむしろ郊外にあるのかもしれない。なんてったって車社会だからね。斯くなる上はこのボロ靴で本州走破と洒落やうか?
 文房具屋もあまりしゅっとしたのがない。僕は写真を撮りながら簡単なログを付けている。枚数が多いので、データを残して置かないと後々整理が大変だろう。出来る限り場所と日付、使用レンズ、露出なんかのデータを残すことにしている。我ながら見上げた配慮である。このデータを残すために、僕は地質屋が使うレベルブックという奴を使っている。緑色で一冊200円くらいのアレである。写真用に専用のものがあるのかもしれないが、レベルブックでも十分使える。左ページに数値、右ページにコメントを記入しておく訳だ。表紙が固いので机がなくても書きやすい。このレベルブックはモールスキンのノートほどレアではないが、それなりにちゃんとした文具屋でないと売っていない。浜田の駅前商店街はその点でも残念な結果に終わった。まあ、ないなら仕方ないな。
 ネットカフェがあったのでシケこんで見る。各地にメールなど送信した後、うかつに“デス・ノート”など読み始めたら、ひとしきりハマってしまった。仲々理屈っぽいマンガである。物語内で決めたルールに矛盾しない様に細心の注意を払いながら進んでいるような印象を受ける。物語の矛盾などというものは“バック・トゥ・ザ・フューチャー”みたいに大っぴらに無視すると案外気にならないものだと思うのだが。所詮絵空事な訳だし。話が理屈っぽくなったあたりで、面倒臭くなって店を出る。ああ、いい感じで日が暮れそうだ。
 王将があったんで晩飯は餃子にする。俺様もすっかり王将が板に付いて来たものよ。ここの王将はちょっとファミレスみたいな外観で小奇麗な店舗である。メニューは同じようなものだが、なんか味気ないやうな気がする。綺麗な王将は既に王将ですらないな。どーでもいいか。
 夜の町をフラフラと、浜田を後に当てもない。西浜田の漁港の外れに丁度良い公園を見付けて野営。浜田海上保安部のすぐそばである。町は寝静まっている割に人の通りが多くて、案外落ち着かない。まあ、文句は言えないけど。

11/11
 なんてことかしら。みんな「愛はいつしか冷たい雨に変わる」なんて言うれけど、そんなバカな!って思ってた。でも今日がその冷たい雨降りの日なのね・・・。
などと“Here's That Rainy Day”を口遊みつつ、テントの外を眺めて見る。そこには、あの、十一月の冷たい雨。ちょっと歩いてみようという気がしない。
 低気圧はまだ大して発達していないのに風が強い。山陰は思いのほか気圧の谷の影響を早く受けるようだ。札幌で天気を読むのとはだいぶ雰囲気が違う。慣れないと気圧配置から天気を読むのも難しそうだ。
 そんな訳で思い掛けず停滞ということになってしまた。そうと分かっていれば、昨日のうちにもっと進んでおいても良かったかもしれない。今日はまだ天気は保つと思っていたのだが。どうせ何処かで休養は必要なわけだし、雨の日は寝てればいいんじゃない?この時季、無理するとまた風邪とか引くし。などとあれこれの言い訳を頭上に浮かべて弄びながらゴロゴロと朝寝。
 昼から小止みを突いて買い物へ。漁港に沿ってちょっとした商店街が続いている。ほうれん草、豚肉、プチトマト、銀杏などを買う。酒屋で日本酒も購入。商店街の外れに何ともイカした食堂がある。いかにも漁師が集っていそうな店構えだ。ラーメンののぼりにつられてフラフラと暖簾を潜る。果たして店内には漁師と覚しき常連客が一杯。みんなお酒のコップを片手に、ラーメンを啜っている。僕もラーメンを注文。今日は冷えるからね。チャーシューの代わりにハムが乗ってるやうなアレだったけど、必要以上に美味く感じた。
 日暮れ前から早々に飯の支度にかかる。食事というか、つまみだな。銀杏はから煎りして、ほうれん草と豚肉とプチトマトは蒸し焼きにする。お酒は熱燗で。今日はおあつらえ向きに土曜日である。こんな冷たい雨降りの日は熱燗でしょう。アヴァンティでも聴きながら。
 
 匂いにつられてノラ猫が一匹やってくる。お酒飲みつつ、おすそ分け。一方的に与え、一方的に受け取る。対等ではあるが一方通行の関係。
「可笑しいわよね?愛が雨降りに変わるなんて。
 でも、今日が、その、冷たい雨降りの日なのだわ。」
などと猫を相手に愛について語ってみる。慣れない熱燗なんて試みたもので、酔い口がどうもキテレツだ。
 
11/12
 朝のうち、しつこく雨がパラついていやがる。風が冷たい。取り敢えず荷物をまとめて、四阿の下で一服。さひわひ大した雨ではなく、ぼんやりしているうちにすぐ止んだ。念のため雨具を着込んで出発。
 折居の海岸は綺麗なところだ。海上には“高島”という離れ小島。わりと近くに見える。踏切を謎に激写してみたり。三隅の道の駅にも寄り道。特に何をするでもなくぼんやりしていると、天気予報がはじまった。早くも正午である。
 軽い峠を越えて三隅へ。三隅中央公園という所で“三隅フェスティバル”とかゆう催しをやっているようだ。念のため覗いてみることにする。まあ、あまり過度の期待は出来ないがな。川沿いの道を歩いているとガードマンがいて、公園の方へ車を誘導している。仲々盛大にやっているようだ。急な坂道を登りきると公園に到着。沢山の出店や、フリーマーケットが並んでいる。公園の裏手に学校があるせいか、中学生が沢山戯れている。折角来たのだが素通り。
 裏口の方から出て、海の方を目指すのだが、何処を歩いているのかよく分からなくなる。困ったな。「海、こっち。」みたいな看板くらい出しておいてくれても良さそうなものだが?そうこうするうちに9号線に戻って来てしまう。なんてことだ。こうなってくると、意地でも海に出ないと気が済まなくなってくるから不思議だ。怪しげな裏道を再び右手へと入って、山の中の静かな道を辿って行くと程なくして海に出る。すぐ近くに赤と白の縞模様の大きな煙突が立っている。発電所だろうか。恐ろしく寂れたところだ。発電所なんてあることからも分かるように、別に風光明媚ってわけでもない。道端にテトラポットが並べられている。テトラポット工場なのだ。置いてある道具から察するに、テトラポットというのはたい焼きみたいに作るらしい。型枠の中にコンクリートを流し込んで、テキトーな頃合いでパカッと型枠を外すとテトラポットの一丁上がり。たぶんそんな風にして作ってるんじゃないだろうか。しかしよくもまあ、キレイに型枠が外れるものだ。くっつかない様に油とか敷くんだろうか。
 味わい深い岡見の町を抜けて再び9号線へ。結局何の意味があったんだ?分からん。荒磯温泉に行って見る。急な坂道を下った海岸近くに宿があって、上から見るとなんともおよろしい風情を湛えている。これはいい湯が期待出来そうだ。しかし行ってみると、何としたことか断られた。
「申し訳ございません。日帰り入浴は2時までとなっております。」
だってさ。何さ、気取ってんじゃないわよ。などと愚痴ってみても埒も開かず、さっさと引き返す。しかし何だって「入浴は2時まで」なんていう縛りがあるんだろう?さっぱり分からんな。
 鎌手で買い物して津田の漁港へ。野営地として期待していたのだが、余りにも民家が近いっす。
通報されてもつまらないのでもう少し先へ進んでみる。そろそろ日暮れも近いし、早いとこ寝床を定めたい所だ。いい加減足の裏が痛い。使い古した靴はそこが抜けかけているのだ。やはり新しいのを買ったほうがいいのかもしれない。
 道端の墓地で水を汲んで、裏道をしばらく行くとちっぽけな漁港に出た。鵜の鼻というところだろうか。防波堤の隅っこで野営。
 
11/13
 気温は大して下がっていないハズなのだが、結構寒かった。堤防の上だったからだろうか。コンクリートだしな。そんなわけで、ちょっと早起きしてみる。船着き場では朝っぱらから高校生がイチャついてやがる。早く学校行きなさいね。
 港のすぐ裏手の斜面を登ると古墳がある。鵜の鼻古墳群である。それほど大きなものではないが、林の中の至る所に洞窟があって、入り口が石で組み上げられている。何も知らない子供が秘密基地とかにしちゃいそうなものである。僕は別に考古学などに格別の興味を持っているわけではないが、得も言われぬ感銘に打たれた。やっぱ墓は古墳にかぎるな。
 チェーンの外れたチャリを直そうとしている子供の姿など見やりつつ、益田の町へ向かう。この辺の子供は朝っぱらから何をやってるんだろうね。
 はるかに益田の町を眺めながら、海沿いの裏道をゆく。高津川が渡れなかったので9号線へ戻り始めると、時ならぬ便意に襲われる。あたりにはトイレを借りれそうな所とてなく、事態は緊迫の様相を呈し始める。僕だって出来れば、他人の家の玄関を叩いて用便を申し出るやうな失態は避けたいのだ。ザックを背負っていると悲しいことになりそうだったので、適当な空き地に荷物を置いて町の方へ行ってみる。ローソンの青いくゎんばんを見付けて慌てて駆け込む。辛うじて最悪の事態は避けられた。ザックの所へ戻る道すがら、古本屋を見付けて入ってみる。結構大きな店だが、古くさい本しか置いていない。“ポラーノの広場”と遠藤周作の“沈黙”など購入してみる。この間ラジヲ深夜便で“沈黙”の朗読などやっていた。宣教師が踏み絵を踏むシーンである。それでなんとなく興味を惹かれたのだ。これからひと月も経てば訪れるであろう長崎地方の予習として読んでおいても面白いかもしれない。遠藤周作なんて読むのはいつ以来だろうか。中学生の頃は“狐狸庵閑話”などを喜んで読んでいたものだが。 
 益田の町を抜けていくと、茫々たる海沿いの一本道と化す。持石の海岸である。このへんの浜は砂浜というよりはゴロゴロとした砂利の浜である。寂しげな佇まいの海岸である。
 緩い峠を越えて田万川へ。温泉があるようなので行ってみるも玄関には例の“休館日”の看板が。なんだってんだろうね。昨日といい、温泉に嫌われとるな。一度国道に戻って晩の買い物。魚コーナーにはカワハギが並んでいる。この辺の名産なのかもしれない。萩が近いだけに。美味いんだよな、カワハギ。肝とか。とは思ったが買わなかった。じゃあ、何を買ったのかと言えば、忘れた。田万川の河口のちょっとした小尾根みたいのを越えていくと瀬越の海岸。こじんまりとしていて隠れ家的な風情が好印象な砂浜である。テントを立てているとパラパラと小雨。
 
函館で買った靴もボロボロに。
このまま本州走破なるか?
函館で買った靴もボロボロに。
このまま本州走破なるか?
鵜の鼻古墳群。
瀬越の海岸は
隠れ家的な風情がステキ。
瀬越の海岸は
隠れ家的な風情がステキ。
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