DolomiteトレッキングVol.4 オーストリア Großglocknerへの日帰り小旅行の巻
- GPS
- 16:00
- 距離
- 7.9km
- 登り
- 1,536m
- 下り
- 1,522m
天候 | 曇り・小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
ドロミテ滞在3日目。今日は、前日の予報によると、あまり良い天気にはならないとの事。
しかし、旅行前に行く事に決めていた山の一つ、オーストリアのGroßglocknerまで行けばドロミテ地方の悪天候から逃れ・・・・・られればいいなぁ。
Großglockner(グロースグロックナー)は標高が3798m。オーストリア最高峰の山だ。
この山にはロープウェーもあるという事だし、更には日本ではほとんどない氷河も見れるという。わずか一日の小旅行だけど、ドイツ語圏であるオーストリアの雰囲気を感じに行くのも悪くない。
また、移動は当然車を使うわけだから、オーストリアへ行くという事は即ち陸路で国境を越えるということであり、島国日本に住む自分としては実に特異で貴重な体験ができるという訳で、旅行前からこの“越境”はとても楽しみにしていた事の一つだった。もし、国境の検問でパスポートの提示を命じられたらという事も想定し、念のためザックの中にパスポートを忍ばせてホテルを出発した。何だかドキドキするなぁ〜。
朝は、まだ暗いうちに起床し、車に乗り込んだのが6時20分。
運転していると腹が減ってきたので、日本から持ってきたお菓子や山で食べるための行動食などを口に入れながら車を走らせていた。8時頃にならないと、すなわちオーストリアに入ってからでないと開いている店もないだろうから、それまでの繋ぎとしてそれらを食べ、腹を誤魔化していた。
本当は、前日のうちにスーパーでパンなどを買っておけば良かったのだが、昨日走った道にはそういった店が一切存在しておらず、正確に言えば、あるにはあったのだが、閉店が19時の個人商店のような店だったり、土産屋の店の一部をカフェとして営業しているところでペットボトルの飲み物が並べられている程度の店しかなく、コンビニは勿論のこと、生鮮食材が売られているようなスーパーマーケットや日用品などの店はコルティナを離れるとほぼ皆無と言えるほどで、この時ばかりは、地元に住む人の不便さが伝わってくるようであった。
不便というのとは少し違うかもしれないが、イタリアの山道は車で走るとちょっと怖い。
まず、ガードレールがない。
山道の9割以上は確実にない。あるのは、街中の交通量の多い所のみ。別に、ガードレールに接触したりするような危ない運転をしている訳ではないのだが、やはり潜在的な安心感が違う。
更に言えば、街灯もない。
山奥へ入る道は勿論、隣町まで通じている道ですらそこへ一歩踏み出せば、即真っ暗闇の中。夜、下り坂でちょっと調子に乗ってスピードを出そうものなら暗闇の先は一瞬であの世と化すこととなる。
また、ドロミテに来てしばらくは、山道を走っていると日本では感じられない妙な感覚にずっと付きまとわれているような気がしていた。
最初は、右側走行&左ハンドルに慣れない事による違和感のせいだと思っていたのだが、3日くらい経ってその妙な感覚の謎が解けた。
なんと、カーブの正面にミラーがないのだ。
山道なので当然、いろは坂のようなクネクネした道なのだが、日本だとカーブに差し掛かる前にミラーを見て対向車の有無を確認することができるが、こっちではそれが出来ず、カーブを曲がる時に常に行っていた“何か”が抜けていて、それが妙な感覚として自分の中にずっとあったのだ。
もっと言ってしまえば、イタリア人は車の運転が荒い。
センターラインなぞあってないようなものと言わんばかりに堂々と道の真ん中を走る。対向車が見えて初めてぶつからないように車を寄せるが、人によってはそのアクションが遅く、こっちがブレーキをかけないと接触してしまいそうになることも何度かあった。
また、自転車大国イタリアと言うだけあって、競技用のロードレーサーで走っている人が多い。
山道なので直線が短い道ばかりであるためになかなか追い越すことができず、自分の車の後ろには後方から来た車に追いつかれてしまう事が多々あったのだが、彼らは全く躊躇うことなく車と自転車をまとめて一気に追い越し抜き去ってしまう。彼らは対向車が来ることなど頭の片隅にも入れていないようだ。
そうこうしているうちに、国境の手前までやってきた。
まず車を降りて国境の写真を撮る。再び車に乗り込んで、いざオーストリアへ!
・・・・・車に乗り込んで1分もしないうちに向こう側へ来てしまった。検問所はあるものの、人っ子一人おらず華麗にスルー!
このやり場のないテンションの上がりっぷりは一体どうすれば・・・・・
旅行前から楽しみにしていたのに、これはもう笑うしかなかった。
帰国後に聞いた話だが、EU圏内は車だろうと飛行機だろうと国境は自由に行き来できるとの事。それを早く言ってくれぃ。
気持ちを切り替え、再びGroßglocknerへ向けて車を走らせる。
国境の手前辺りから険しい山々が影を潜め、オーストリアに入ったばかりのうちは緩やかな丘陵地帯の中をのんびりと進んでいたため、空は朝から曇り空だったものの非常に気持ちよく走る事が出来た。
街中を抜けて、しばらく走ると途中で前方に滝が見えたので寄ってみることにした。
車を降りて20分ほどで滝の展望台に着くことができる、ちょっとした寄り道が楽しい。地元の子供にジロジロと顔を見られながら滝の写真を何枚も撮った。
更に車を走らせ、道路標識のような案内板を頼りに標高を上げてゆくと、Heilingenblutという町に出た。
登山用品店に入ったりしながら町の奥へと進むとロープウェー乗り場に辿り着いたので、迷わずチケットを買いロープウェーに乗り込んだ。
空は依然として曇っており時たま小雨がパラつく事もあったが、ここまで来てロープウェーに乗らずに帰れるものかという思いが強く取り敢えず頂上まで来たものの、やはり周囲の山々も雲に隠れており、Großglocknerの雄姿をこの目に収めることは叶わなかった。仕方ないので、山頂周辺をぶらりと散策した後再びロープウェーで引き返して降りてきてしまった。
街に降りてきて食事をしていると、またもや小雨がパラついてきたが頭が濡れるほどではなかった。食事を終え、再び車に乗り込んで更に山奥へと進む。
Großglocknerの核心部へは料金所で通行料を払わないといけないらしく、仕方なく33ユーロ支払って先へ進んだ。
ところが、ここでアクシデント発生!
ガソリンがあと残り1目盛りにまで減ってきていることに気が付いた。
もし、料金所を通過する前に気が付いていれば、引き返してガソリンを入れてからここまで戻って来ただろうが、既に通行料を払いゲートを通過してしまっていたため、ガソリンスタンドに一旦戻ってしまえばGroßglocknerに行くためにもう一回33ユーロを払わなくてはならなくなる。
ガス欠のリスクを冒してGroßglocknerへ行こうか、それとも大事を取って引き返すか、車を停めてしばらく考えたが、やはり異国の見知らぬ土地で車が動かなくなっては困るので戻ることにした。
今日は天気も良くないし、山は逃げない。生きていればまたいつかここに来れるかもしれないと思いUターンしてゲートを通過し、Heilingenblutの更に下まで降りてきた所でようやくガソリンスタンドにありついた。走っている間は、いつガス欠になるかと気が気でなく、心臓バクバクさせながら走っていた。
それにしても、山道ばかりを走っていたとはいえ、予想外にガソリンの減りが激しかった。
今日の出発前はガソリンの目盛りが12のうちの5目盛り残っていたので余裕でイタリアまで戻って来れるだろうと思っていたが、往路の途中でまさか4目盛りも消費してしまうというのは全くの想定外。最初の2日間で7目盛り分を消費した計算だから、残り5目盛りあれば十分だと思っていた。というか、1日で3も4も目盛りが減る時点で、燃費が悪い印象は初日から持っていたのだが、まさかここまでガソリンを食うとは・・・
もう、一生ヒュンダイの車には乗らねぇ!とかブツブツ言ってても仕方ないので、気持ちを切り替えて翌日に備えて朝食のパンや行動食を買おうとスーパーに行って買い出しをしてからイタリアに戻った。ショッピングモールに入る時に接触事故を起こしそうになったのは内緒。
後から思い返せば、ガソリンを給油するためにゲートを出る際、料金所の係の人と交渉すれば再度通行料を支払わなくても通してくれたかもしれなかったのでちょっと後悔もしたが、イタリアに戻ってから郊外のスポーツ用品店でLa SportivaのTシャツを買うことができたので、自分が下した行動が正しかったと自分に言い聞かせた。もしGroßglocknerへ行ってたとしたら確実に閉店時間を過ぎていたと思う。
明日はこのイタリア旅行最大のハイライト、Piz Boèに登るのだ。
昨日のマルモラーダと今日のオーストリアでは、車やロープウェーばかりでほとんど歩いてなかったので、明日はようやく本気の登山が出来る。
天気予報を見ると、明日から帰国日までの2日間は共に晴れ予報。気合を入れて今日よりも早く起きるため、部屋に戻ってすぐにシャワーを浴びて入念にストレッチをし、ベッドに潜り込んだ。
つづく
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