網引湿原〜小野アルプス
- GPS
- 03:58
- 距離
- 14.8km
- 登り
- 826m
- 下り
- 823m
コースタイム
- 山行
- 3:21
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 3:58
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
下山は |
コース状況/ 危険箇所等 |
網引湿原と福甸峠の間の尾根は濃密な藪であり歩行困難 |
その他周辺情報 | http://www.yupika.com |
写真
感想
加古川の西側で加古川市と小野市の市境に連なる小野アルプスを縦走したいと思っていたのだが、この小野アルプスの西側の起点となる宮山の近くには網引湿原があるので、湿原にトキソウが咲く季節に・・・と思っていた。この縦走の魅力の一つは東側の下山した場所に温泉がある点であるが、コロナ禍で昨年、一昨年と温泉が休業していたのであった。しばらく前から営業が再開されていたので、午後に訪れることにする。
この日は天気予報では一日中晴天の予報ではあったが、空気は重苦しいまでに蒸し暑く、遠くまで霞んでいるようだ。姫路から出発する加古川線のホームには車両が入線する前から多くの人で溢れていた。高校生と思われる学生が多いのは試験期間中なのだろうか。一両編成のワンマン列車が入線すると車内はほぼ満員状態となった。
粟生の駅で北条鉄道に乗り換えると、長閑な田園風景の中を一両編成のワンマン列車は進んでゆく。車内の座席はほぼ埋まっていたが、網引の駅で下車したのは私1人のみであった。網引の駅の駅前には見事な大銀杏の樹がある。その下には太平洋戦争末期に起こった痛ましい鉄道事故のことを記した案内板があった。
海軍の新鋭の戦闘機「紫電改」が試験運転中に墜落し、不時着を試みた際に後輪で旧国鉄北条鉄道の線路を捻じ曲げてしまい、そこに通りがかった満員の乗客を乗せた列車が脱線し、乗客12名が死亡、62名が重軽傷を追う大惨事となったらしい。
線路の周りは大金鶏菊の黄色い花が多く咲いている。一見、美しい光景だが、この黄色い秋桜に似た花を咲かせる花は非常に繁殖力の強い外来種で瞬く間に他の植物の生育場所を奪ってしまうらしい。
万願寺川を渡り県道を南下するとまもなく網引湿原の案内が現れる。湿原の入口には真新しい瀟洒な小屋があり、何かと思えばバイオトイレであった。入口の駐車場には二台の車が停められていた。
しばらくは自然林の樹林の中の遊歩道を歩く。湿原の手前には小さな小川が流れている。この小川で「靴の裏を洗って下う」らしい。右手に第一湿原が現れるが、ここには花は全く咲いていない。さらに先に進むと右手に大きな池が現れる。池の奥に第二、第三湿原と呼ばれる湿原が広がっているが、湿原に入った途端に多数のピンク色の花が目に入る。
トキソウの季節には少し早いかと心配していたが、少なくとも相当な数をが咲いている。湿原は尾根に囲まれた広い谷に広がっており、周囲から隔絶された別世界の感がある。
湿原の奥にも防獣柵のフェンスがあるので、フェンスを開けてその奥に進む。周辺はヒノキの植林になっているようだ。湿原の南側の尾根を目指して林の中を進む。次第に周囲は低木が繁茂する藪となるので、水は流れていないが谷を進む。
国土地理院の地図では尾根には破線が記されているので、尾根に乗れば多少は踏み跡らしきものでもあるのではないかと期待していたが、その期待は見事に裏切られる。どちらを向いても低木の濃厚な藪が広がっている。おまけに藪の中には頻繁に棘のあるイバラが頻繁に現れる。
尾根の南東に樹木のない箇所があり展望が大きく広がる。地図上は福甸峠までわずかな距離ではあるが、わずか10mを進むのも困難な状況だ。残念ながらここで引き返すことにする。
湿原の入口まで引き返すと西側の県道に出て、福甸峠まで車道を歩く。道の両側に樹木が生い茂り、鬱蒼とした福甸峠に到着したのは既に16時近くになっていた。いよいよ登山道に入ると早速にも最初のピーク宮山にかけて急登が始まる。それよりも良好に整備された道はなんと歩き易いことか、とその快適さに安堵する。
距離が短いのですぐにピークに到着する。山頂の東側に展望が広がり、次のピーク岩山が目に入る。岩山は文字通り、岩場が多く、その都度、好展望が広がる。次のピークに登り返すと西紅山とある。台地状の山頂部を東側に回り込んだところにあるようだ。見晴らしの良い岩稜を進むと、山頂部から南に向かって下降する岩尾根が目に入る。
見晴らしは良さそうだが、斜度がかなりきつい。遠目にはまるで滑り台だ。まさかとは思ったが、やはりルートを確認するとどうやらこの尾根を下降することになるらしい。慎重に足場を選んで下降してゆく。この日はそれなりにグリップの効くSolomonのトレラン・シューズを履いていたので良かったが、グリップの効かない靴ではここは大変だろう。岩場をおよそ1/3ほど下降したところで右側に迂回路があることに気がつくが、このスリリングな下降はこの小野アルプスにおける核心部であり醍醐味でもあるだろう。
次のピークは惣山であり、この小野アルプスの最高地点らしいが、標高は198.9mと200mにわずかに届かない。山頂は樹林に囲まれた地味な場所であるが、北に向かって「展望台→」という案内標がある。時間は16時半を過ぎたところだが、温泉のゆぴかまで4.8kmという案内標もあるので、ゆぴかに18時までには到着出来るだろうと読み、展望台に向かうことにする。
なだらか尾根を北上するとすぐに両側に展望が広がる岩場となり、西側には辿ってきた紅山の滑り台のような岩尾根が見える。東側にはこれから辿る稜線の彼方に大きな電波塔が見える。このあたりを小野見山というらしいが、山というほどの隆起はない。樹林の先には展望台が設けられており、眼下に小野の見晴らしが広がっている。
樹林の中を東に向かうとアンテナ山の山名標がある。ピークの東側には小さなアンテナがあり、山名の由来となっているのだろう。次の総山を越えて鞍部に下降すると車道が越えている。アザメ峠と呼ばれるところらしい。小さな祠にはお地蔵様が祀られていた。
ここから東は樹高の高い自然林が広がり、林床には丈の低い笹が繁茂している。網引湿原のあたりは蒸し暑い空気が漂っていたが、樹林の中は涼しい風が吹いているのが有難い。植木山、安場山、愛宕山と小さなピークが連続するが、いずれも樹林の中だ。
大きな電波塔のある前山に至ると久しぶりに南側に展望が広がる。最後のピーク高山からは遊歩道を下降してすぐに「ゆぴか」に到着する。
加古川線はこの時間帯は1時間に1本しか列車がなく、18時19分の列車を逃すと次の便まで1時間以上待つことになるので、何とか市場にはこの時間までには到着したいと思っていたが、折角なので短い時間に温泉に浸かることにする。
温泉に入ろうとすると驚いたことに右肘の周辺に無数の赤い丘疹があり、さらに前腕にかけてもいくつもの斑点が生じている。歩いている最中に肘のあたりが妙なチクチクとした感じがあるとは思っていたが、どうやら藪を漕いでいる間に袖口から小さな虫が入り込んだのだろう。丘疹の多さからするとダニの類のようだ。
温泉はいくつもの露天風呂があり、短時間で出てしまうのが勿体無いところだった。駅に向かうと列車の予定時刻のわずか前に到着することが出来るが、ダイヤが乱れており予定の列車は5分遅れで到着する。列車が加古川にかかる橋梁を渡ると川面には夕陽が綺麗に映っていた。
コメント
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網引湿原から小野アルプスをつなげて歩かれるとはビックリです笑
トキソウ、もう咲いてるんですね🎵
実は網引湿原と小野アルプスを組み合わせる山行の計画はかなり以前から温めていたのでした。いざ実行しようとすると地図では近いのですが、現実はそう生易しいものではありませんでした。急がば回れとはよく言ったものです。
網引湿原のトキソウのシーズンは6月に入ってからなのでしょうが、少しは咲いているかなと思って訪れたら、以外にも多く咲いていてビックリでした。
ここの下降は短い区間ですが、まさに小野アルプスの核心部でしょう。
しかし、今回の山行の核心部は何といっても、撤退した網引湿原から福甸峠への藪漕ぎでした。
京都に帰ってから何十箇所もダニと思しき虫に刺されていることに気がつき、その後数日間が大変でした。
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