【奥美濃】あの日見た滝を探して(道谷の「オホタルビの滝」探索)
- GPS
- --:--
- 距離
- 2.9km
- 登り
- 301m
- 下り
- 361m
コースタイム
- 山行
- 2:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:40
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
林道から道谷へは急斜面ではあるが割とどこからでも下降できる。道谷の本流は穏やかで特に苦労するところはないが(連続する堰堤が面倒なくらい),今回探索した680m二俣の左俣の20m滝と,本流の650m付近にある5m滝は両岸とも険しいので注意。巻く場合は,両方とも左岸を巻くことができる。 |
写真
装備
備考 | 赤谷と同じく,道谷もヌメリが強いので,足元はフェルトの沢足袋又は沢靴がよい。 |
---|
感想
熱が出ると風邪やコロナより先にSFTS(重症熱性血小板減少症候群,つまるところマダニ感染症)への感染をつい疑ってしまう,そんな奥美濃の藪山ファンの皆様こんにちは。今回は道谷源流で滝の探索です。
昨年の12月,初雪の降る釈迦嶺東尾根からの帰途,寒さに震えながら既に冬季閉鎖となった林道塚線をとぼとぼ歩いていると,眼下の道谷からやけに耳につく滝らしき水音がしたので目を凝らすと,藪の隙間から大きめの滝が落ちているのが目に入った。その滝は,道谷の本流(標高680m二俣のいずれか。どちらかというと左俣)に掛かっているように見え,穏やかなはずの道谷にあんな滝があるなんて,とちょっと驚いた。それ以来,この滝のことが心に引っかかっていた。奥美濃周辺の滝を知悉されている,あのもんりさんも「気になる」とおっしゃるこの滝(らしきもの)。これはやはり現地に赴いて実在を確かめなければ。
実は,この滝(らしきもの)については,今回の山行前からちょっとした予想を立てていた。奥美濃の古典である森本次男著「樹林の山旅」(昭和15年)の書中,「天魚の渓谷(釈迦嶺を廻る谷々)」の章で,森本は赤谷を遡行後,ウソ越から道谷へと下降しているが,その中で「オホタルビの滝」という滝が出てくるのである。以下引用。
「谷(道谷)におりてすぐに瀧に達する。相當な瀧だが,水量が少ないのと倒木が瀧の真中に立つてゐるので,瀧の左側を水に濡れながら下降することが出来る。この瀧をオホタルビの瀧といつた。」(「樹林の山旅」より引用)
つまり,あの日見た滝は,森本が道谷源流で見たというこの「オホタルビの滝」に当たるのではないか,ということだ。しかし,同書を普通に読めば,森本はウソ越から直接道谷に下ったわけで,「オホタルビの滝」は道谷の標高680m二俣の「右俣」にあると考えるのが自然である。しかし,林道から遠望した際には,滝(らしきもの)は同二俣の「左俣」に掛かっているように見えたので,この点がちょっと引っかかっていた。とにかく,現地で確かめよう。
結果,やはり昨年12月に目撃した滝は,標高680m二俣の左俣に存在していた。落差20mを越えると思われるなかなか立派な斜滝で,水量は少ないものの,予想以上の高さにちょっと驚いてしまった。滝の実在が確認できたのは良かったのだが,問題はもう一つの課題,「オホタルビの滝」はどこにあるのか,ということである。上述したとおり,森本がウソ越から下降してきたと思われるのは,普通に考えれば同二俣の「右俣」なので,今回「左俣」で見つかった20m斜滝とは別に,右俣に「オホタルビの滝」に当たる滝があることになる。そう考えて,今回の山行でも,ウソ越から右俣を下降してみたのだが…。
しかし,期待に反して,右俣には滝は全くなく,二俣を過ぎてさらに本流を下ったところに5mほどの滝が一つあるだけだった。この5m滝が「オホタルビの滝」に当たる可能性ももちろんあるが,それにしては,滝の規模が小さすぎる気がする。「樹林の山旅」では,「オホタルビの滝」は「相當(相当)な瀧」と表現されており,そもそも「オホタルビ」という名前自体も「オホ」は「大(オオ)」,「タルビ」は「滝」を表す「タル,タルミ」,つまり「大滝」という意味のネーミングと思われ,5m程度の滝がそのような大層な表現を冠されることには違和感がある。また,同書の中では,「滝の左側を水に濡れながら下降できる」と書いてあるが,問題の5m滝はほぼ直瀑で,(倒木があったとしても)滝身をクライムダウンすることはかなり難しいように感じられる(実際,今回の山行でも,懸垂下降しようか迷ったくらいだった。結局左岸を大きめに巻き下ったが)。
そう考えると,同二俣の左俣で見つけた20m滝のほうが,滝の規模としても,滝の形状としても,「相当な滝」である「オホタルビの滝」にふさわしいように感じられるのだが…。この20m滝は3段構成の斜滝で比較的ホールドもあるので,倒木があればクライムダウンも可能なように思える(灌木が豊富な左岸斜面を絡めばより簡単な下降になる)。
ここからは私の夢想なので,話半分に聞いて(読んで)いただきたいのだが,もしこの左俣の20m滝が「オホタルビの滝」だとすると,森本は「樹林の山旅」の中で,ウソ越ではなく,ウソ越の一つ南隣の鞍部を越えた可能性が出てくる。つまり,赤谷の最後の詰めで,赤谷源流のナレ又谷ではなく,その一つ手前の左岸枝谷を詰めたかもしれないのだ。
こうなると,森本先生が赤谷からウソ越への詰めを間違えた,ということになるわけで…。ちょっと失礼な憶測かもしれない。オホタルビの滝の位置についてご存じの方がおられましたら,是非ご教示を。5mのほうがやっぱりオホタルビだったら,先生にあやまらなきゃなぁ。
※ 写真欄の最後で,滝の位置と森本大先生の山行ルートを地形図に落としていますので,併せてご参照ください。
【余談】
山行後,久しぶりに徳山会館に寄って調べ物をしていたら,先々週の山行で探索したベロリ穴の位置がある本に記載されているのを発見! しかも,民話や伝承の内容から素直に位置を予想していた自分にとっては「そりゃ反則だよ」という位置でした。こりゃ再探索だな。乞うご期待!(誰も期待してないから…)
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
めちゃくちゃ期待していましたよ〜
こんな、源流だっんですねー
意外です
対岸の大滝も今シーズン中でしょうか!?
歩き始めのドキドキが伝わります
いやいや、きっと下調べ中から、楽しみは始まっていますよね!
こんばんは! やっと行けました…。本当はもっと早く行きたかったんですが、塚林道がずっと通行止めで二の足を踏んでました。道谷へ下降していく時のドキドキ感がたまりませんでした(笑)
対岸の気になる谷(赤谷源流)、ネットで調べたらtsutomuさんが既に登られてるんですね〜。tsutomuさんは左俣に入られてますが、右俣も遠目には岩々して見えたので、もしかしたらそちらに入るかもしれません。
これからの季節は、道路の冬季通行止めとの戦いですね!
https://ameblo.jp/pangani/entry-12677822920.html
当たっていても、違っていても、なぜか、ごめんなさい
という気分です
なんと〜、右俣はもんりさんが入られてたとは…。さすがです!
やっぱり滝があるんですね。赤谷の本流遡行ってウソ越で終了してしまうことがほとんどなんですが、稜線まで詰め上げたほうが絶対楽しそうだな〜と、思ったりしました。
素晴らしい記録を読ませていただきありがとうございました!
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する