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記録ID: 5037715
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雪山ハイキング
北陸

【越美】雪の夜叉ヶ池と,幻の「古池」散策

2022年12月29日(木) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
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GPS
--:--
距離
16.3km
登り
1,129m
下り
1,130m

コースタイム

日帰り
山行
8:50
休憩
0:00
合計
8:50
7:00
120
広野ダム
9:00
140
11:20
10
11:30
60
12:30
100
古池
14:10
100
15:50
広野ダム
天候 朝方みぞれ,のち雪(標高800m以上は風雪強し)
過去天気図(気象庁) 2022年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
広野ダムに駐車。ダム管理棟の前まではほぼ常時除雪されている。ダム外周道路及び岩谷林道は当然のことながら冬季閉鎖中で雪に埋もれている。
コース状況/
危険箇所等
・広野ダムで積雪約40cm,岩谷林道の奥(夜叉ヶ池登山口)で積雪約70cm。ルート上の藪はほとんど埋まっており,灌木が多少出ている区間はあるものの,歩行には全く問題ない。雪は意外に締まっており,沈み込みはスノーシューで足首〜スネ程度で大したことはないが,重い湿雪のため結構疲れる。
・今回のルートには大きな危険個所はないが,夜叉ヶ池〜夜叉丸の稜線は痩せており特に南東側(岐阜県側)の夜叉壁が切れ落ちているため,北西側(福井県側)の斜面から巻いて通過したほうが安全。
・今回散策した夜叉ヶ池から古池にかけての緩傾斜帯は,複雑に波打つような地形に立派なブナの森が広がっており,なかなか良いところ。積雪期に夜叉ヶ池を訪れた際は,併せて散歩してみると良い時間が過ごせると思います。
今回散策した「古池」の位置を地形図に落としてみました。この周辺には他にも池がありそうな地形がいくつかあり,特に「古池」の南東側にそれらしき空間がある。(クリックで拡大できます。)
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今回散策した「古池」の位置を地形図に落としてみました。この周辺には他にも池がありそうな地形がいくつかあり,特に「古池」の南東側にそれらしき空間がある。(クリックで拡大できます。)
すっかり雪景色となった広野ダムから歩き出す。到着時にはダムの奥に越美国境の山々が見えていたが,支度を終えて歩き出すころにはみぞれ交じりの雪が降り始め,稜線は分厚い雪雲に隠れてしまった。
すっかり雪景色となった広野ダムから歩き出す。到着時にはダムの奥に越美国境の山々が見えていたが,支度を終えて歩き出すころにはみぞれ交じりの雪が降り始め,稜線は分厚い雪雲に隠れてしまった。
雪に埋もれたノートレースの岩谷林道を2時間ほど歩き,夜叉ヶ池登山口に到着。この鳥居も,厳冬期には腰をかがめないとくぐれないくらいの積雪となる。
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雪に埋もれたノートレースの岩谷林道を2時間ほど歩き,夜叉ヶ池登山口に到着。この鳥居も,厳冬期には腰をかがめないとくぐれないくらいの積雪となる。
この小橋,雪が多い時期は1m以上の雪がのっかって恐怖の一本橋となるが,今の時期はまだ普通に渡れる。
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この小橋,雪が多い時期は1m以上の雪がのっかって恐怖の一本橋となるが,今の時期はまだ普通に渡れる。
無雪期の登山道は山腹をかなり長くトラバースしてから尾根に取りつくが,既に藪は雪の下でどこでも歩けるため,適当な尾根をすぐに直登。
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無雪期の登山道は山腹をかなり長くトラバースしてから尾根に取りつくが,既に藪は雪の下でどこでも歩けるため,適当な尾根をすぐに直登。
高度を上げるにつれ風雪が強まる中,白く凍り付いたブナの森を黙々と登っていく。
高度を上げるにつれ風雪が強まる中,白く凍り付いたブナの森を黙々と登っていく。
いちおう,夜叉丸にも登頂。(一番高いところは雪庇の上になっている可能性があるため,その手前を仮の山頂とした。)
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いちおう,夜叉丸にも登頂。(一番高いところは雪庇の上になっている可能性があるため,その手前を仮の山頂とした。)
そして,雪に埋もれた夜叉ヶ池。
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そして,雪に埋もれた夜叉ヶ池。
風雪が強く何が何だか分からないと思うので,池の真ん中と思しき地点にストックを立ててみた(これでも分かりにくいか。)。
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風雪が強く何が何だか分からないと思うので,池の真ん中と思しき地点にストックを立ててみた(これでも分かりにくいか。)。
広い雪原となった池を横断。
広い雪原となった池を横断。
夜叉丸方面。
池の周囲の木々は分厚い氷雪に覆われている。
池の周囲の木々は分厚い氷雪に覆われている。
今日は,夜叉ヶ池の北東側に帯状に広がっている緩傾斜帯を散歩してみる。なかなか立派なブナの森が出迎えてくれた。
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今日は,夜叉ヶ池の北東側に帯状に広がっている緩傾斜帯を散歩してみる。なかなか立派なブナの森が出迎えてくれた。
夜叉ヶ池を見下ろす。
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夜叉ヶ池を見下ろす。
これは良い森。
凍り付いた巨木たち。
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凍り付いた巨木たち。
風雪にうなる白亜の森。
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風雪にうなる白亜の森。
おや? 奥に小広い空間が見えてきた。
おや? 奥に小広い空間が見えてきた。
森の中に,突然ぽっかりと不思議な雪原が現れた。(写真欄No1の地形図に,「ここにも池?」と記載した箇所)
森の中に,突然ぽっかりと不思議な雪原が現れた。(写真欄No1の地形図に,「ここにも池?」と記載した箇所)
浅い窪地となっているので,もしかしたらここにも池があるかもしれない。
浅い窪地となっているので,もしかしたらここにも池があるかもしれない。
周囲の木々は氷雪の怪物のようになっている。
周囲の木々は氷雪の怪物のようになっている。
美しくも不気味な異形の木々を見上げながら歩く。
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美しくも不気味な異形の木々を見上げながら歩く。
おや,ここも池がありそうだなぁ。
おや,ここも池がありそうだなぁ。
この周辺,本当に大きなブナが多い。主稜線から少し外れたところに,こんなに美しい森があったなんて。
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この周辺,本当に大きなブナが多い。主稜線から少し外れたところに,こんなに美しい森があったなんて。
そして,地形図で最も気になっていた箇所に近づいた。幻の池,「古池」があるとされている箇所だ。けっこう深い窪地になっている様子だが…
そして,地形図で最も気になっていた箇所に近づいた。幻の池,「古池」があるとされている箇所だ。けっこう深い窪地になっている様子だが…
ああっ!
あああっ!(うるさいよ)
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あああっ!(うるさいよ)
こっ,これは!
まごうかたなき水面! なんと,雪原の端っこに,雪に埋もれかけた黒い水面が覗いていた。ここには確かに池が存在している。間違いない,ここが「古池」だ。
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まごうかたなき水面! なんと,雪原の端っこに,雪に埋もれかけた黒い水面が覗いていた。ここには確かに池が存在している。間違いない,ここが「古池」だ。
周囲は,かなり広い雪原となっている。おそらく,この下に池が埋まっているのだろう。やや細長いが,面積的には夜叉ヶ池に匹敵しそうな印象。
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周囲は,かなり広い雪原となっている。おそらく,この下に池が埋まっているのだろう。やや細長いが,面積的には夜叉ヶ池に匹敵しそうな印象。
吹雪が強まって写真が見にくく申し訳ないが,しばらく古池と思しき雪原を歩き回ってみた。夜叉ヶ池のさらに奥地,深いブナの森に隠された不思議な空間。
吹雪が強まって写真が見にくく申し訳ないが,しばらく古池と思しき雪原を歩き回ってみた。夜叉ヶ池のさらに奥地,深いブナの森に隠された不思議な空間。
書籍では,古池は水が少なく,ほぼ湿地のようになっていると書かれていたが,この時期でも一部水面が覗いているくらいだから,例えば雪解けの時期なんかであれば,ある程度の水量を湛えているのではないだろうか。また無雪期に来てみたいなぁ(かなりの藪漕ぎになるそうだが)。
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書籍では,古池は水が少なく,ほぼ湿地のようになっていると書かれていたが,この時期でも一部水面が覗いているくらいだから,例えば雪解けの時期なんかであれば,ある程度の水量を湛えているのではないだろうか。また無雪期に来てみたいなぁ(かなりの藪漕ぎになるそうだが)。
そのうち本格的に降雪が強まって来た。そろそろ戻らないと,登りのトレースが消えてしまいそうだ。名残惜しいが,古池とお別れして下山開始。
そのうち本格的に降雪が強まって来た。そろそろ戻らないと,登りのトレースが消えてしまいそうだ。名残惜しいが,古池とお別れして下山開始。
夜叉ヶ池を再度横断。
夜叉ヶ池を再度横断。
夜叉ヶ池から斜面をトラバースして,自分の登りトレースを無事キャッチ。吹雪の森を下山していく。
夜叉ヶ池から斜面をトラバースして,自分の登りトレースを無事キャッチ。吹雪の森を下山していく。
ある程度高度を落とすと,急にガスが切れ,下界の風景が。
ある程度高度を落とすと,急にガスが切れ,下界の風景が。
振り返ると,霧氷に包まれた夜叉丸が,一瞬だけ姿を見せてくれた。
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振り返ると,霧氷に包まれた夜叉丸が,一瞬だけ姿を見せてくれた。
登山口に戻ってきました。といっても,まだ2時間の林道歩きが残ってますが…。
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登山口に戻ってきました。といっても,まだ2時間の林道歩きが残ってますが…。

装備

備考 スノーシュー使用。この時期は雪が柔らかいため,アイゼン・ピッケルは不要。

感想

 今回の山行もばっちり冬型気圧配置,荒天の日に当たってしまった。視界がなくても行動可能な樹林帯の山を彷徨おうと思い,もうとっくに雪に埋もれているであろう夜叉ヶ池を訪ねてみた。夜叉ヶ池の北東側には,小さな緩傾斜帯が帯状に広がっており,どんなところだろうと前々から気になっていたので,併せて散歩してみることにした。
 ところで,夜叉ヶ池の奥にもう一つ池があることは,あまり知られていないのではないだろうか。「古池」と呼ばれるこの池は,ちょうどこの夜叉ヶ池の北東側に広がる緩傾斜帯の中央付近に存在するとされている(写真欄No1の地形図参照)。「秘境・奥美濃の山旅」(芝村文治編,ナカニシヤ書店,昭和47年刊)の中に比較的詳しい記述があり,それによると,古くは尺羅池と呼ばれ,長さ一丁,幅三十間,落葉うず高く水面に積もり,中央に十坪足らずの水を見るばかり,とのことで,ほとんど湿地のような様相を呈しているようだ。無雪期は深い藪に閉ざされているこの幻の池を訪れてみたいというのも,今回の散策の目的だった。
 夜叉ヶ池の北東側の緩傾斜帯は,予想以上に良いところだった。穏やかに波打つような地形にブナの巨木が立ち並び,なかなかの森が広がっていた。そしてその森のところどころに,ぽっかりと不思議な円い雪原が点在していて,件の「古池」以外にも,いくつか小さな池が存在していそうな気配が感じられた(もしくは,小規模なヌタ場に近いものかもしれないが)。三周ヶ岳に向かう主稜線から少し外れたところに,こんなに心惹かれる空間があったなんて,この稜線を何度か歩きながらも,これまで全く気付かなかった。積雪期に夜叉ヶ池を訪れる際は,この緩傾斜帯も併せて散歩すれば,なかなか良い時間が過ごせると思う。
 そして,「古池」は確かに存在していた。驚いたことに,この時期だというのに,雪に埋もれかけながらも,紛うかたなき黒々とした水面が一部覗いていた。上述したように,この池は半ば湿地のような状態らしいが,時期によってはある程度の水量を湛えていることもあるのかもしれない。今度は雪が解け,ブナが芽吹くころに,笹藪を漕いで再訪してみたい。

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コメント

こんにちは〜hillwandererさん。
べろり穴と言い、この古池と言い、探検的wanderingはとても楽しいですね。
いつもいつも、引きずり込まれるように読んでいますよ。
「秘境・奥美濃の山旅」は、我が家の蔵書と同じ、S.47.6.1.の初版でしたよ〜。三周ヶ岳の108ページ、hillwandererさんの引用と同じ文がありましたが、当時は、体力もバリバリでしたが、きっと関心外だったのでしょう、読んだ記憶がありません。いまとなっては、関心があってももう行けません。
hillwandererさんの紀行文が、楽しみです。
もしかしたら、近辺のいずれの山域も、ササが枯れるか消滅しているので、この辺りも同様の現象がおきているのかも・・・と思ったりするのですが、どうなんでしょうね。
2022/12/30 11:02
floatcloudさん
こんにちは〜。登山は週末の探検だと個人的には思っています。昔の本を読んでいると面白い発見があったりして、それを元に山に登ったりすると結構楽しいですよね。
確かに、奥美濃や越美のあたりも、ササが薄くなってきている印象がありますね。シカの食害なんだと思いますが、歩きやすくなるのはありがたいですが植生的にはちょっと心配ですね。古池も案外簡単に行けてしまったりして…。
良いお年をお迎えください〜😊
2022/12/31 16:51
プロフィール画像
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