カナダ・Mt. Forbes 3,612 m・バンフ
- GPS
- 104:00
- 距離
- 52.1km
- 登り
- 2,751m
- 下り
- 2,742m
コースタイム
11:35 Parking
17:30 Camp1
10/16
09:30 Camp1
16:00 Base Camp
10/17
05:30 Base Camp
11:30 Mt. Forbes取付きにて撤退判断
12:50 無名?峰登頂
15:00 Base Camp
10/18
10:00 Base Camp
16:00 Camp2
10/19
07:30 Camp2
12:00 Parking
過去天気図(気象庁) | 2014年10月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
ここまで登山学校で学んだことの集大成として、バンフ国立公園にある11,000ft峰であるMt. Forbesに行ってきました。英語で「Expedition」、日本語で言うと「遠征」でしょうか。アプローチの長い、人里離れたエリアに入って、アルパインをする。最終的にはカナダだけでなく外国などでも同じような形態で、自分たちでも「遠征」が行えるように、そういう位置づけで設定されたプログラムです。
結果から先に言うと、「雪崩の危険性が高い」というガイドの判断により、山頂に立つことはできませんでした。今回、元々は、ジャスパー国立公園にあるMt. Brazeau,
3,470 mに登る予定でしたが、許可が下りず、急きょForbesへ変更になりました。3,612 mある立派なピークで、初登は、James Outramなどによって1902年になされ(南西稜)ていますが、我々は、西稜(II/III)からピークを目指します。
メンバーが12名、ガイドが2名なので、登攀のないルート、となる。目標となる山の設定は、ガイドが予め行い、それもほぼ当日になってから知らされたので、事前情報はほとんどありませんでした。地図と簡単なルート説明だけ渡されます。山行中、重要な判断を最終的にはガイドが行うので、そこまで自律した「遠征」という感じはなく「少しだけの自治」といった雰囲気でした。
食料の準備は、前日にヤムナスカの事務所でメンバーがそれぞれ行いましたが、すでにあるフリーズドライのメニューの中から好きなものを選ぶだけなので、カロリー計算など複雑なことは一切ありません。荷物は出発直前に測ったところ、私のザックが27kg、軽い人で24kg、重い人で32kgありました。ルートの全長は、だいたい55km、標高差は、登山開始地点から山頂までが約2150mです。
日数は、5日間あり、1、2日目がアプローチ、3日目がアタック、4、5日目が下山ということになります。アプローチは片道20km程度なので、一日で行ってしまうことも可能なのですが、カナダ人がのんびりだからか、ルートの状態が良くないからか、わかりませんが、とにかく二日間たっぷり使ってアプローチ(下山も)しました。
以下、簡単に時系列で起こったことを書いていきます。
10/15、1日目 (行動時間約6時間)
Saskatchewan River Crossing付近の駐車場より正午前にスタート。国立公園のキャンプして一であるGlacier Lakeまで難なく辿り着く。Glacier Riverの徒渉は、奥に行くほど底が深くなり、大変になる、という事前情報あったため、Glacier Lakeを過ぎて少し行ったところで徒渉し、中洲にCamp1を設置。森林限界以下のため、立木にロープを通し、Bear Hang(熊の手が届かないように食料を吊るすこと)を設置し、就寝。
10/16、2日目 (行動時間約6.5時間)
この日もアプローチだけなので、のんびり出発する。中洲からそのまま右岸の湿地帯を進み、Southeast Lyell Glacier直下の池まで進む。ここで徒渉のために持ってきたスニーカーをデポした者もいた。そこから南南東の方角へ沢を登る。右岸から左岸への徒渉は何箇所か可能な場所がある。Mons Glacierへ至る岩稜帯の登り、トラバースも立木のあるラインを行くだけなので、わかりやすいと言える。一旦ラテラルモレーンの上を歩き、再度岩稜帯に入る。Mons Glacierへの最後のトラバースはややわかりにくいかも知れない。ベースキャンプは、Mons Glacier手前の池があるエリアに設置した。アタック開始時間などを決め、早めに就寝。
10/17、3日目 (行動時間約9.5時間)
氷河に取り付く頃朝陽が出るよう、設定した時間通りに出発。氷河下部のモレーン帯はルートファインディングがややわかりにくい。暗いと少し苦労するかもしれない。氷河取付き時点で7時半頃だったので、だいたい計算通りのペースで進む。氷河下部はクレバスもなく、難しいところはないが、中間部にクレバスがあり、ルートファインディングを要する。上部は完全に雪に埋まっており、時折踏み抜くと下にクレバスがある。氷河に入ってからは終始ロープを結び合って行動した。
Mt. Forbesの斜面が見え、ようやく取り付くが、先行するガイド二名が雪面のチェックを行ったところ、40cmくらいの積雪の下に弱層があり、雪崩リスクが高い、とされ、撤退判断となった。代わりに近くにある別の小ピークを目指そう、という案が提示される。他のメンバーがすんなりと代替案に従う中、私だけなかなか乗り気になれなかった。単純に目標の切り替えがそんなに早くできなかったのだ。が、他の皆は行く気なので、大人しく従う。
小ピークへ向かう中、天気は次第に荒れ模様に。ピーク手前のコーナーでは20メートルくらいの風を感じた。山頂で写真を撮って、下山を開始(12:50)。
モレーン帯で下山路を誤るが、そのまま通過し、ベースキャンプへ戻る。出発時、疲労からキャンプに残っていた一人のメンバーと合流。翌朝の出発時間をメンバー、ガイド間で取り決め、就寝。就寝前、人生で初めてwag bag(携帯トイレ)を使用する。
10/18、4日目 (行動時間約6時間)
おなじみののんびり出発となる。岩稜帯の下山で行きと違う道を選択してしまい、ロープを補助的に使用してダウンクライムする箇所があったが、それ以外は問題なく通過。Glacier Riverの通過は、早めに行い、トレイルに合流した。「胸まである」とガイドに書かれている徒渉は、おそらく雪解け時期の話で、今回はヒザ下くらで済んだ。薄いトレイルをそのまま進み、1日目のキャンプより数キロ手前、大きいガレ場が見える場所でテントを設置。Bear Hangをセットし、就寝。
10/19、5日目 (行動時間約4.5時間)
「昨日は間違いなく一日で帰れたな」と思いながらテントをたたむ。遠征中、テントは基本3人一組で、我々は私を含む日本人が二名とノルウェイ人一名のテントだった。軍隊出身のノルウェイ人・トムは、ただ一人30キロ超の荷物を担ぎ、常に行動が早く、体力も人一倍あった。
最終日は二組に分かれ行動。最初のグループに入ったが、徒渉箇所でミスを犯し、二つ目のグループに抜かされた。その後は、先行グループのペースが速く、疲れるので、後のグループに入り、のんびり(といっても早歩きで)下山した。
国際ガイドのGrant 50歳?は、20代の若いメンバーにも全く引けを取らないペースで、終始歩き続けた。若いころノルディックの選手で、高難度ミックス・ルートを登っていたトップ・アスリートの姿が垣間見える。駐車場に着いて、二回分の携帯トイレを廃棄すると、心も身体も軽くなり、岐路に着いた。
動画です↓
コメント
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ライト・エクスペディションですね
衣食住の全てを自分たちで賄いながら、手つかずの自然と対峙するのは、究極のレジャーですね!
それにしても、荷が重い、、、30kgも背負ってひょいひょい歩くノルウエーのお友達は、きっと北欧人特有の体の大きさと日本人とは異なる骨格や筋力の持ち主なのでしょうね。
幕営自炊アイスで20kg。私にはそれが限界になりました。
ロブソンの時、携帯トイレを使いましたが、カナダの物は優れものですね。数個購入して、高速渋滞用に孫のところにあげたら、大変役に立ったと喜ばれました。
また、雪ブロックを切り出して風防兼目隠しの壁を作り、ちゃんと段差を切り出して様式トイレを作り上げたのに感心したことを思いだしました。
トレイルヘッドに設置してあった回収ボックスや、回収のシステム整備など、日本はまだまだ学ぶ事大です。
日本では、早池峰山が、携帯トイレの販売と携帯トイレブースの設置を始めましたが、回収のシステムが完備されておらず、公衆トイレや最寄り駅のトイレに置き去りにされています。自分の物とはいえ、ザックに入れて新幹線帰宅では嫌われてしまいますよね
mizuki
mizukiさん、
やはり単純なフィジカルの強さで言うと、日本人は劣りますよね。
ノルウェイの彼は、軍隊で鍛えあげたのか筋骨隆々としていて、
押しても引いてもびくともしませんね。
ボッカなら(相撲も)勝てないなぁ、という感じですw
ロブソンで携帯トイレ使ったんですね!
南壁のForster Hutには、一応トイレらしきものがありましたが、
下は穴を掘っただけのものでした。
もしかしたら、携帯トイレの使用を前提としていたのかも知れません。。。
>高速渋滞用に孫のところにあげたら、大変役に立ったと喜ばれました。
お孫さん、よく渋滞に巻き込まれるんですね。
日本の渋滞を思い出しました。
>雪ブロックを切り出して風防兼目隠しの壁を作り、
>ちゃんと段差を切り出して様式トイレを作り上げたのに感心した
和式トイレですが、うちの山岳会にもそういう人いますよ〜
トイレ作り、こだわる人はこだわりますよね
>回収のシステム整備など、日本はまだまだ学ぶ事大です。
そうかもしれませんね。
早池峰山の話は聞いたことがあります。
どこの国でも自分の排泄物は持ち歩きたくないですよね。
破裂しないか不安、というのもありますが、重いですもんね。。。
今回は、ガイド会社の方針で、みんなしっかりと持たされましたよ。
ですが、ガイドも嫌そうでした。
個人での山に入っているときは埋めているんじゃないか、とも思いました。
実際、そういう風に教えている本も多いです
(水場から60mtr話して、土を30cm以上掘ってなど、と細かく書いてあります)。
携帯トイレ、浸透度という面では、日本もカナダも課題がありそうですね。
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