【南紀】黒蔵谷周辺のマイナー沢2題（大塔川・大谷と黒蔵谷の出谷）
hillwanderer
- GPS
- --:--
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 633m
- 下り
- 627m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 9:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 9:40
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2023年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
【大谷（大塔川左岸支流）】 ・ 大谷は，有名な黒蔵谷の一つ下流側にある谷。それなりの規模があり，奥の二俣の手前に滝記号まであるため，今回気になって入渓してみた。結果，大半は雑然とした植林に覆われた凡流であったが，滝記号の箇所には15m〜20mほどの規模の美しい直瀑があり，それ以降は5m前後の滝が結構出てくる。総評としては凡谷といわざるを得ないが，後半の頑張りはさすがこの流域の谷，といったところ。なお，滝記号の大滝は両岸がかなり立っており，今回は左岸から高巻いたが，びっくりするくらいの大高巻きとなり結構苦労した。このあたりもさすが大塔川，と言う印象。 【出谷（黒蔵谷の枝谷）】 ・ 出谷は，有名な黒蔵谷の枝谷。周回に使いにくい立地条件のためか，ネット上の記録があまりない（ちゅきさんの記録くらい？）。一昔前のガイド本（「関西周辺の谷」昭和55年刊）には，50mの大滝が2つもあると記されており，そうだとしたら黒蔵谷の本流の黒蔵滝（カンタロウ滝）よりもよっぽどすごいことになるので，今回下降してみた。結果，本当にビッグスケールな滝が目白押しでした。右俣入ってすぐのところにある多段斜滝は，本当に50m以上あると思う。一方，下流から2番目の大滝（「関西周辺の谷」で50mと書かれている滝）は，実際は30mくらいだと思う。ただ，見栄えのする立派な滝なので，大きく見えるのはうなずける。 ・ この谷の滝は，巻き道に古いテープやトラロープが残っている箇所が多く，それほど難しくない。例外として，前述の下流から2番目の大滝（30m滝）は，急斜面の大高巻きとなり，シダの藪もひどく，結構苦労する（今回は左岸巻きしたが，右岸のほうが簡単なのかな？）。また，黒蔵谷との出合にある10mほどの滝は，黒蔵谷を50mほど戻ったところに古いトラロープが残る浅い谷状地形があり，そこから容易に巻ける。 【黒蔵谷本流（出谷との出合から下流の区間。下の廊下）】 ・ 前回来た時よりもだいぶ減水していた（今後の台風で状況が一変すると思うが）。やはり今回のような下降のほうが容易で，巻きは一切なく，淵に飛び込んで流されていくだけでクリアできる感じ。 |
写真
それなりの釜もある。しかし，これって滝記号の滝なのかな？（あまりに単調な谷だったので地図読みが難しく，この時点で現在地に確信が持てていなかった）
1
さて，この大滝を巻かなければいけないのだが…。それまでの凡流から一転，両岸はかなり屹立しており，今回は左岸から巻いたが，思った以上の大高巻きとなってびっくりした。緩やかに蛇行する川に似合わない地形の突発的な険しさも，この山域の特徴だ。
地形が緩くなってからも滝が出てくるあたり，この山域の谷としての面目躍如といったところか。（だったら最初からもう少し頑張ってくれよ，と思わないこともないが…）
1
写真には写っていないが，この上にさらに2段ほど斜滝が続いている。全長50mは越えているだろう。なめらかに流れる水紋の美しさも申し分ない。しばらく見入ってしまった。
1
滝下に降り立った。20〜30mくらいの，これもまた美しい滝だった。本当にこの辺りの谷は，何でこんな谷にこんな滝が？っていう滝がバンバン出てくるなぁ。
3
左岸から巻いていくが，急斜面でなかなか下降に移れないうえ，シダの繁茂がものすごく，結構大変な巻き下りとなった。笹の藪には慣れてるけど，シダの藪とは，さすが南紀！
実際は50mはなさそうで，おそらく30m台くらいだと思うが，この滝のどっしりとした貫禄が実際の高さ以上にこの滝を大きく見せている。黒蔵谷本流の黒蔵滝（カンタロウ滝）にも伍する迫力の滝だ。
1
鮎返滝の手前で小さなコルを目指して斜面を少し登ると，見覚えのあるこの看板。ここから鮎返滝を巻く。（トラロープやピンクテープも追加されており，分かりやすくなっていた）
装備
| 備考 | ・フェルトソール沢足袋使用。ナメ床の区間にぬめりが強い箇所があるので，フェルトソールのほうが安心して歩けるように感じた。 ・40mロープ携行（不使用） |
|---|
感想
2年前に黒蔵谷を遡行した際，地形図を見てちょっと気になっていた谷に入ってみようと思って，先週に引き続き南紀訪問。
まず大谷。この谷は有名な黒蔵谷と尾根をひとつ隔てて下流側にある谷なのだが，持ち合わせの書籍にもネット上にも全く情報がない。奥の二俣の手前に滝記号まであって，結構気になる谷なんだけど…。
記録未見の谷には，大きく分けて2つの可能性があり，�｜韻砲匹Δ靴茲Δ發覆に淬�なので記録が残されていないだけの場合，�∨榲�に誰も入っていない未知の谷である場合 のどちらかなのだが，偉大なる先人たちにより主だった谷は軒並み遡行され尽くしてしまった紀伊山地のこと，�，硫椎柔�が限りなく高いと思いつつも，「分かり切った名渓よりも，未知の凡谷のほうがずっと楽しい（こともある）」といういつものドグマで自分を奮い立たせ，貴重な盆休みを一日棒に振るリスクも顧みず入渓。
それから出谷。こちらは黒蔵谷の枝谷で，一昔前のガイド本（「関西周辺の谷」）には遡行図まで載っているので未知の谷でも何でもない。だが不思議なことに，ネット上に記録が見つからない…と思いきや，調べ直したらちゅきさんが入られてました。さすが！ しかし「関西周辺の谷」には50mの大滝が2本もあると記載されており，それって黒蔵谷の本流よりすごいけど，ホンマ？ ということで下降路として組み入れてみた。
結果，大谷は中盤までは植林の凡流で，植林は別にいいんだけど本当に凡流で，面白くない。映画に例えれば，「開始10分にして大半の観客が帰り始めるレベル」という由々しき事態である。まあ言ってみれば「賭け」に負けたわけだが，それでも滝記号の箇所にはしっかり15〜20m級の美しい直瀑が存在し，それ以降は3〜5mほどの滝が結構出てきて，さすがこの山域の谷にふさわしい頑張りを最後に見せてくれたという感じ。そんなに頑張れるならもっと最初から頑張ってほしかったと思わなくもないが，谷にそんなことを言っても仕方がない。
一方，出谷は，中庄谷先生の記述を一瞬でも疑って申し訳ございませんでしたというくらい，谷の規模に不釣り合いなほどのビッグスケールな滝が本当にバンバン出てきて驚いた。右俣入ってすぐの斜滝は実際に50m以上ありそうだし，下流から2番目の大滝は50mは多分ないにしても堂々たる貫禄の滝で，大杉谷の大杉滝に匹敵するというのも頷かれる（大杉滝見たことないけど。一昨年，台風直撃で逃げ帰ったせい…）。
今回の山行でも思ったが，南紀の谷はなんだか不思議なところだと思う。山の標高は1000mもないのに（今回の山行の最高標高点は，何と500m。大文字山と同じくらいって，どういうこと？），どこにこんなに溜め込んでるんですかっていうくらい水が豊富で，連日の猛暑でいい加減渇水しているはずの今回でさえ溢れんばかりの水量で，本当に驚いた。低い標高と緩やかに蛇行する谷からは想像できないくらいの側壁の険しさもそうだし，ササの代わりにシダの藪漕ぎになるところもそうだ。圧倒的な降水量の成せる業なのだろうと思うが，面白い山域だ。と，黒蔵谷の下の廊下をぷかぷか流れ下りながら思った。
※ 2021年8月に黒蔵谷本流を遡行した時の記録はこちら
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3429456.html
こっそり拍手
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
この山行記録の写真
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する