水根沢 (崩落地のみ巻き/林道木橋まで)
- GPS
- 05:55
- 距離
- 5.8km
- 登り
- 448m
- 下り
- 434m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・水量: 大増水!(わーい!) ・他パーティ: 沢内で2PT(2人,3人) ・参考遡行図: 「東京起点 沢登りルート 120」P.42-43 (初級/1級上/Ⅲ) 初心者を連れていける日帰り沢を探し、当初は谷川・白毛門沢へ行く予定だったが、午後早めからの雷雨予報だったため回避し、午後遅めの雷雨予報だった奥多摩は水根沢へ。 CLは1年振り3度目の水根沢の遡行。今年春に起きた崩落地の実地調査も兼ねた形。 予定では2人の初心者を連れて行く予定だったが、朝急遽1人のみとなった。沢は2回目のフレッシュなメンバー。 奥多摩は15時から雷雨の予報だったので、そこまでに下山する予定で、計画ではCo.1070の二俣までのロング行程としていたが、増水処理や、崩落地の巻きなどで時間を使った結果、林道木橋までの遡行となった。 朝、駐車場に向かう途中、車で御岳橋を通った際から多摩川はかなり増水していたので、もしかして……と思って入渓してみると、やはり大増水。増水の水根沢といえば我々沢ヤにはご褒美。事前に調べた直近の降水量からは増水を想定していなかったので、サプライズとなった。増水していること以外は特に危険に感じた箇所などはなし。 ■Co.660 崩壊地点について 増水も重なり、崩壊地点は本当に酷い状態で、手前のツッパリ滝に近づくのすら怖い状況だったが、右岸にある元高巻き用の踏み跡まで足を踏み入れて写真や動画を撮影して、実地調査ができた。 なお、増水していなければ水流を強引に進むこともできそうだが(最近の記録だとそれが多い)、相当にハイリスクだと思う。このあと半円ノ滝でお会いした方に伺ったところ、2週間前に来たときよりも今日は崩壊地点に詰まっている土砂や木が酷いことになっているとのことだったので、崩壊は現在進行形で進んでいるようだ。 巻きは(GPS参照)、崩壊地点から100mほど戻ったところの左岸尾根より、林道登山道までロープなど使うことなく(傾斜がそこまで強くなく、木の根など豊富)、比較的簡単にあがれる。とはいえ水根沢に連れてくるレベルの初心者にはしんどいかもしれない……。 なお、当尾根よりもう少し小さく巻けるかと思い、尾根中腹からトラバースを試みたが、土砂ザレ+脆い岩盤となり、フォローには難しく感じたようで、途中で止めて素直に登山道まであがることにした。 登山道にあがり、200mほど上流へ歩くとロープがかかっているカーブから下に見える尾根が非常に緩やかかつ踏み跡が明瞭で、地形図を見ても沢筋まで降りれそうだったので、そちらから降りると、崩壊地点+その先のスラブ滝をきれいに巻いた上に出ることができた。ロープなども必要なく、これは今後、崩壊地点を巻く定番ルートになると思う。 なお、このあと半円ノ滝でお会いした3人組パーティは半円ノ滝の上まで登山道で巻いたようで、上流から下降してこられた。 |
その他周辺情報 | ラストコンビニ: セブンイレブン 奥多摩古里店 下山後温泉:もえぎの湯 |
写真
装備
個人装備 |
グローブ
雨具
着替え
昼食x1
行動食x4
非常食x1
飲み物
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット/常備薬
保険証
スマホ(兼GPS)
時計
タオル
ハーネス
ヘルメット
ビレイ機
ロックカラビナ
セルフビレイコード(PAS)
参考遡行図
地形図
バイル
サングラス
|
---|---|
共同装備 |
ロープ(8mm30m)
スリング(120x2/240x1)
クイックドロー
カム(#.75/#.5)=未使用
アッセンダー
レスキューセット(プーリー/マイクロトラクション)
ハーケン数枚=未使用
特小無線機2台
ナイフ
ツェルト
衛星SOS発信機(inReach Mini2)
ハンドアッセンダー=未使用
|
感想
崩壊地点の360度映像:
1年に1回きている水根沢は今年で3回目。これまでの2回は水量が少なく平凡だったが、ついに噂に聞く「増水している水根沢」に来ることができた!
そんなこんなで、もう水根沢は増水なしでは考えられない身体にさせられてしまいました……もうめっちゃくちゃ楽しかったw
沢2回目のフォローは「え、聞いてたんと違う」と最初はビビっていたが、すぐに慣れてくれて、最後はかなり楽しんでくれていたようで何より。身体の小さいフォローは半円ノ滝では増水した水流に容赦なく弾き飛ばされてしまって巻きとなったが、失敗から色んな気付きを得たようで、帰りの車では反省会がだいぶ盛り上がったw
フォローはクライミング力があるので、多少の増水でも水線をガッツリ登攀力で突破&マントルを返してくれていたが、クライミング力がないメンバーだけで増水時に入るのは危険だろう…というか地味に突破できない滝が多くて撤退になりそう。
繰り返しになるが、水流に押し返される中でのクライミングという、ジムではトレーニングできない状況下での気付きはかなりフォローにとって良い経験値になったと思う。沢ならではの魅力でもあるし、これからも沢を賢く楽しんでほしい!
あまり増水を想定していなかったこともあり、僕自身もサプライズ的にかなり楽しめたので本当に楽しい山行になった。
雷雨も計画通りきちんと回避できたし、もう100点満点のベストパフォーマンスだったと思う。おつかれさまでした!
ダイジェスト動画: https://twitter.com/yaklimber/status/1693207643995947418
「いつでも帰れる。」
帰りの車の中で聞いたこの言葉を常に忘れないようにしようと思った。
今回自分は2度目の沢で未だ右も左も分からないまま、初心者向けの定番とされるこの水根沢に連れてきていただいた。今回の山行は自分にとっては信じられないほど多くのことを学ばせてくれる、素晴らしい体験となった。
最も印象に残っているのは半円の滝での滑落である。ここは平水時にはウォータースライダーとして楽しまれるような滝であると聞いていたが、滑落した際に自分はこの箇所で溺れかけた。
帰宅後に動画を確認してみたところ、滑落後、滝壺に急速に引き戻されており、恐らく左岸付近に滝壺へと引き込む反転流が生じているように思われることがわかった(また幾度も沈みかけてはザックによって浮上を繰り返していたところみるに、水中へ引き込む流れもあったのではないかと推測している。)
事前に調べていた幾つかの山行記録にはそのような事故リスクの記載はなく(もちろん調査不足である可能性の方が大きい。それもまた自分の未熟さである)、今回のような増水時特有の現象に思われる。沢は時機によって非常に変化の激しい場所であり、他人の記録に頼ることと同等以上に、現場をよく己の目で観察し、隠れたリスクへと注意を払うことが大切であると身をもって学ぶこととなった。
そしてそれは単に慎重に振る舞うだけでなく、何が起きるかを想像することが大切な事であると言うことを学んだ。「滑落しても深い釜ゆえに大丈夫そうだが、危険な水流はないか。」「このルートは一見楽に進めそうだが、ホールドは最後まで続くのか。」「仮に手詰まりになったとき、そのルートを逆に辿って戻れるのか。」「予想外の事案で遡行が遅れたり難しくなったとき、どこでエスケープできるのか。」様々なことに意識を常に向けなければ沢登りという過酷な山行におけるリーダーは務まらないのだと心底感じた。
今回の遡行においてリーチの加減で難しくなる箇所(および水流が非常に強くなり、足を踏み込むのが困難な箇所)が右岸側に集中して存在していて、三箇所ほどCLに助けてもらったのだが、自分がCLだった場合そこで手詰まりになる訳にはいかず、別のムーブやルートを探すために戻らなければならない。ギリギリの中で進むと戻ることはできず、自分の力でコントロールできるルートを見定め、進退を途中で判断できると確信できるように経験を積まなければならない。
「いつでも帰れる。」自分にとっても、この一言は山行における大切なこと全てを言い表しているように思えた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する