【南紀】黒蔵谷支流・高山谷の左岸点線路探索,そして水遊び

- GPS
- --:--
- 距離
- 10.8km
- 登り
- 1,212m
- 下り
- 1,204m
コースタイム
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 4:40
- 合計
- 9:40
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
黒蔵谷の支流をつないで周回するつもりが,あろうことか沢足袋を忘れたため,アプローチに使うつもりだった高山谷左岸の点線路(大瀬集落と高山谷を結んでいる点線路)の下見だけに切り替えました。あと高山谷で水遊び。 【大瀬集落と高山谷を結ぶ点線路】 ・ 四村川沿いにある大瀬集落から南へ尾根を越え,黒蔵谷支流の高山谷の中流左岸(二俣より少し下流のところ)に降りている点線路が地形図に記されている。おそらく,かつて大瀬集落の人々が高山谷流域に山仕事に入る際に使っていた仕事道だと思われるが,近年,この仕事道を辿った記録は見つからない(見落としがあったらすみません)。もしこの仕事道が現役で使えるのであれば,高山谷をからめた周回沢登りや高山谷からのエスケープが容易になるので,今回辿ってみた。 ・ 大瀬集落から稜線までは,道がほぼ点線路のとおりによく残っている。時々使われているようでマーキングもあり。ただし,この道を辿る際の最大の注意点として,稜線上の林道が延伸されていて高い擁壁が作られてしまっており,地形図のとおりに直接高山谷に乗り越すことができない(特に,何も知らずに高山谷から上がってきた場合はこの断崖のごとき擁壁を見て驚愕すると思われる)。稜線の林道を少し南に歩き,擁壁が途切れたところから点線路の通っている鞍部へ迂回する必要がある(稜線上は踏み跡&マーキングあり)。 ・ 稜線から高山谷に降りる区間は,ところどころそれらしい道形は残っているものの,ほぼ消失してしまっており忠実に辿ることは困難。むしろこの点線路がついている枝谷の谷底をそのまま歩いたほうが早いと思う(特に悪場はない)。 【その他】 ・ 余った時間で高山谷の右岸の尾根(野竹法師から東に伸びている尾根)も少し歩いてみましたが,P768から北に派生する尾根には植林があり,比較的はっきりした踏み跡もありました。野竹法師に登る際,または同山から下山する際に使えるかもしれません。(途中に「之より上四村」と彫られた古い石碑もあり。今では信じられないですが,昔からよく人が入っていた尾根のようです。) |
写真
「四村」は現在は存在しないが,かつては大瀬村も含む村だったので,高山谷の流域の一部は大瀬村の領分だったのかもしれない。大瀬集落から点線路がここまで続いているのもうなずける。
感想
眠い目をこすりながら夜通し車を走らせ,南紀の奥深い山中にたたずむ大瀬集落にたどり着く。そして車のリアハッチを開け,やおら山行準備を始める。車からザックを引きずり出し,沢スパッツを取り出したところで,まず軽い疑念が脳裏をよぎり,そして急に慌ただしく車中の捜索を始める。ひとしきり捜索を終えた後で,あるひとつの衝撃的な結論に達する。「沢タビ忘れた」
これから黒蔵谷の支流をからめて周回沢登りをしようとしている人間が,沢タビを家に忘れて,どうしようというのか。野球をしにグラウンドにやって来たが,バットとグローブを忘れたのと同じで,何もできない。いや,何もできないことはないが,沢タビを履かずに滝を登るのは,痛烈なライナーを素手で処理しようとするのと同じで,普通に考えて非常に危険が伴う。
そこでムリヤリ気持ちを切り替え(何もせず帰るには,あまりにも遠い距離をはるばるやって来過ぎている),今回の山行でアプローチに使うつもりだった,大瀬集落と高山谷をつなぐ点線路の下見をすることにした。この点線路は,昔のガイド本なんかには記されているのだが,近年の沢の記録でこの点線路を使っているのは見たことがない(見落としがあったらすみません)。もしこの点線路が現役で使えれば,高山谷をからめたルートのバリエーションが増えるし,エスケープもしやすくなると考えていた。
結果,大瀬集落から稜線までは点線路がほぼそのまま生きていたが,高山谷側はほぼ消失しており,完全なトレースは難しいという結論。ただ,点線路がついている高山谷の枝谷は,特に悪場のない谷なので,谷底を詰めるかたちを取ればルートとして問題はない。注意点としては,稜線上の林道が延伸されていて高い擁壁に阻まれるので,若干の迂回をする必要があること。詳しくは「コース状況」や「写真」の欄をご覧ください。
で,高山谷に降り立ったら降り立ったで,やはりちょっと眺めてすぐ帰るでは満足できず,結局4時間余りもうろついたり泳いだり昼寝したりしてしまった。たまにはこういう山中の過ごし方もいいかもしれない。
【余談: 旧大瀬集落跡と馬頭観音について】
地形図上では,今回辿った点線路の途中の山腹に数多くの家屋があるように描かれているが,この家屋は現存しておらず,おびただしい数の立派な石垣のみが残されている。現在の大瀬集落は国道の旧道沿いに存在しているが,国道ができる以前は山腹のこの場所に集落があったそうな。現在はうっそうとした植林に覆われた山腹の小さな平坦地に,かつては多くの人家が立ち並び人々の生活があったと思うと,驚きの念に打たれる。
また,この旧集落跡の近くに馬頭観音があり(社殿自体は取り壊され本尊は近隣の寺院に遷座済みだが,石仏が現存している),むかしはこの境内から三体月(熊野地方の伝説で,旧暦11月23日に三つの月が登ると言われている)を眺める風習があったそうだ。
沢登りのついでに,この点線路沿いの旧跡を訪ねて歩くのも面白いと思う。
※以下のホームページに詳しく紹介されており,とても興味深かった。
「みちとおと」本宮町大瀬 http://www.michi-oto.com/kodo-ooze/
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