山行記録: 龍ノ口山 備前国寺社古墳巡りコース

記録ID: 589223

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ハイキング

中国

龍ノ口山　備前国寺社古墳巡りコース

2015年02月15日(日) [日帰り]

岡山県

Machapuchare その他1人

体力度

日帰りが可能

体力度について

GPS: 02:33
距離: 6.4km
登り: 332m
下り: 326m

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歩くペース

標準

1.1～1.2

ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り

山行: 1:45
休憩: 0:47
合計: 2:32

距離 6.4km 登り 332m 下り 333m

13:28

0分

スタート地点(賞田廃寺跡駐車場）

13:28

13:38

10分

賞田廃寺跡

13:48

13:56

10分

唐人塚古墳

14:06

19分

日吉神社

14:25

14:30

12分

南展望広場

14:42

14:49

17分

龍ノ口山

15:06

15:15

25分

備前車塚古墳

15:40

15:48

12分

浄土寺

16:00

ゴール地点(賞田廃寺跡駐車場）

古墳時代から室町時代の吉備国＆備前国の歴史を訪ねるコース
歩行距離6.5km、歩行時間1時間45分、歩行数11,700歩

天候	晴れ
過去天気図（気象庁）	2015年02月の天気図
アクセス	利用交通機関：自家用車バスは宇野バス四御神（しのごぜ）線「脇田」停留所で下車、北へ徒歩1分。自動車は賞田（しょうだ）廃寺跡の駐車場(10台程度）を利用。アクセスを調べる my出発地登録
コース状況／危険箇所等	龍ノ口山までは概ねコース上の道は整備されており、また道標も要所々でついているので、地図に頼らなくてもほとんど大丈夫です。ただし、唐人(かろうと）塚古墳や日吉神社、毘沙門天などランドマークとなる所はアプローチする方向によっては迷うこともあります。龍ノ口からの下りコースは主要な分岐以外は道標がほとんどありません。地形図上にも道がありません。時折、歩いている所や進むべき所が尾根筋なのか谷筋なのか、正しい方角に向かって歩いているのかなど、コンパスと地図で確認しながら進む必要があります。歩いている時間自体は2時間足らずですが、短いコースながら寄り道したくなる史跡もいくつかあるので、3時間ぐらいのコースタイムを見込んでおいたほうがよいでしょう。
その他周辺情報	湯迫（ゆば）温泉平安時代、湯迫温泉は関白（藤原基房）専用の隠し湯だったようですが、鎌倉時代に俊乗坊重源上人（源平の争乱で焼失した東大寺の復興を果たした大勧進職として有名）により広く一般に開放され由緒ある温泉です。浄土寺の向かいにあり、岡山駅（西口）から送迎バスも出ているようです。

写真

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01賞田廃寺跡西塔(国史跡）
8世紀に建立され、凝灰岩の切石を使用した壇正積基壇（だんじょうづみきだん）が築かれています。これは有力寺院に採用される格式の高いもので地方では大変珍しいものです。

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02賞田廃寺跡中世本堂(国史跡）
文明8年（1476年）の建立と考えられています。建物の規模は5間×5間で幅1.5m、深さ30cmの雨(あま）落ち溝が残っており15世紀の瓦が大量に発見されました。

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03賞田廃寺跡金堂(国史跡）
金堂は本尊を安置する寺の中心となる建物で、飛鳥時代に建てられました。現存する礎石は花崗岩製で、直径50㎝高さ3㎝の円形柱座をつくり、中央にほぞ孔（あな）が設けられています。

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04アユモドキの里から龍ノ口山
賞田廃寺跡の南に“アユモドキの里”という大きな看板が掲げられていました。アユモドキとは世界で亀岡盆地と岡山県の2カ所にしか分布していない日本固有種の淡水魚です。背後に龍ノ口山が見えます。

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05古田樋尻(こたひじり）川
国の天然記念物指定のアユモドキが生息している数少ない水系のうちの一つです。他にも数多くの淡水魚(33種類）が生息し、またホタルの多い場所としても知られています。

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06唐人(かろうと）塚古墳
賞田廃寺跡の西隣に位置しています。7世紀初頭の終末期円墳で古代の有力豪族である上道氏(かみつみちうじ）の古墳と考えられています。

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07唐人塚古墳石室
両袖式の横穴式石室の規模は、全長9.1m以上、玄室長5.2m、幅2.5m前後です。恐る恐る中に入りました!(^^)!

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07唐人塚古墳石室
両袖式の横穴式石室の規模は、全長9.1m以上、玄室長5.2m、幅2.5m前後です。恐る恐る中に入りました!(^^)!

08唐人塚古墳石棺
くり抜式石棺は兵庫県の竜山石製という超ブランド品で、県下における同種の石材の石棺のうちでは最も大きいとされています。なぜ水が常に溜まっているのかは不明です(*_*)

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09日吉神社
賞田の氏神、大山咋命（おおやまくいのかみ）を祀ってあります。西(安養寺）からのアプローチだとすぐに気が付きますが、東(賞田廃寺跡）からのアプローチはスルーしがちになります。

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10毘沙門天
南展望台から少し先に宇喜多直家が建てたといわれる毘沙門天があります。1573年岡山城築城の際に、これを鬼門の護りとして建てたとされています。

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11龍(たつ）ノ口山ピーク
標高257mのピークです。山城が築かれた場所でもあるので広々としています。ピーク標や三角点より、そのすぐ右横の大きな岩（何かの遺跡？）が気になりました・・・

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12龍ノ口山ピークより北西景観
天気がいい日は山頂から岡山市街地を眼下に、遠くは児島湾や瀬戸内海を遠望することができますが、この日は旭川までの展望がやっとでした。

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13龍ノ口山頂古墳群38号墳
山頂付近にある40基の古墳（ほとんどが横穴式石室）の一つです。龍ノ口山を南東方向に150m程下った標高215m辺りにありました。古墳の上に杉が植えられていました(*_*;

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14龍ノ口山頂古墳群38号墳石室
石室(玄室）の中の底には水が溜まっていました。山頂近くで水が抜けない造りとは・・・これはもしかして剃刀の刃も通さないピラミッドよりすごいかも！

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15備前車塚(くるまづか）古墳
龍ノ口山から南東に延びた標高130mの尾根上にあり、4世紀初頭に築造されました。吉備地方では一番古く、三角縁神獣鏡（いわゆる卑弥呼の鏡）11面を含む鏡13面が出土しました。

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16伊木氏玄蕃頭幸賢之墓
延宝2年11月26日に43歳で病死し、主家池田家の安泰を願って岡山城の鬼門(丑寅の方角）にあたる竜(龍）の口山麓湯迫(ゆば）の地に埋葬されたとされています。

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17浄土寺鐘楼＆本堂＆日吉神社
浄土寺は、薬師如来を本尊とする天台宗の由緒ある古寺です。孝謙天皇の勅願により報恩大師が創建した備前四十八カ寺の一つにも数えられています。

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18旧客殿庫裏(くり）鬼瓦
天明元年と書かれていました。今から234年前、1781年の鬼瓦です。

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18旧客殿庫裏(くり）鬼瓦
天明元年と書かれていました。今から234年前、1781年の鬼瓦です。

19備前國府大湯屋址
東大寺再建の大勧進として備前国府に赴任してきた俊乗坊重源上人が、湯治施設（温泉）を開き、政務とともに医療福祉活動を実践した所として知られています。

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20浄土寺山門
この山門を起点に、北は延寿の椿や庫裏(くり）、南に備前國府大湯屋址や湯迫温泉、東に鐘楼＆本堂＆日吉神社、西に最明院や関白屋敷跡などがあります。

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21最明院
鎌倉幕府5代執権北条時頼が出家して最明寺を建立し、全国行脚の際にここ（当時は見明院）に立ち寄ったことから、最明院に名が改められたと言われています。

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22関白屋敷跡
1179年清盛の嫡男重盛が亡くなった後、重盛の知行国越前を没収したり清盛に無断で人事を行ったりしたために配流の刑となった関白藤原基房は、出家したのでこの地に居を構えることを許されました。

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23備前国庁跡
8世紀に近畿から国司が派遣され政務を行った場所（国庁）と言われています。この地域（国府市場）周辺には賞田廃寺や幡多廃寺や総社宮なども発見され、備前国の中心であったとされています。

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24幡多廃寺塔跡(国史跡）
巨石は古代寺院跡の塔心礎で、県下最大級の大きさです。心礎中央部にえぐられた六角形のくぼみは、塔の芯柱を立てたほぞあなで、その中心の深い穴は仏舎利を納めるためのものです。なお周辺は分譲地です(*_*;

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装備

個人装備	長袖シャツズボン靴下（厚手）防寒具手袋（防水加工）軍手雨具スパッツ日よけ帽子とフード雨用帽子登山靴（防水加工）靴ひも予備アタックザックザックカバー地形図コンパスファスナー付クリアーファイル筆記用具携帯時計（防水）タオルカメラ飲料水（茶）水筒（保温）非常食（栄養補助食品）スマホ（山使用可能） eTrex30（GPSナビゲーター）
備考	最近、古墳の石室の中を覗くことが多くなったので、懐中電灯を持っていくべきでした。

個人装備

長袖シャツズボン靴下（厚手）防寒具手袋（防水加工）軍手雨具スパッツ日よけ帽子とフード雨用帽子登山靴（防水加工）靴ひも予備アタックザックザックカバー地形図コンパスファスナー付クリアーファイル筆記用具携帯時計（防水）タオルカメラ飲料水（茶）水筒（保温）非常食（栄養補助食品）スマホ（山使用可能） eTrex30（GPSナビゲーター）

備考

最近、古墳の石室の中を覗くことが多くなったので、懐中電灯を持っていくべきでした。

感想

Machapuchare

今まで龍ノ口山に登るのは北側のグリーンシャワー公園からのアプローチが定石だと考えていました。ところが、南側に古墳時代から江戸時代にかけての史跡がたくさんあることを知り、今回の南からアプローチするコースとなりました。
今までの山行は天候に比較的恵まれていたこともあり、景色を楽しむためのコースを必ず採り入れていました。しかし、今日は視界が悪そうなこともあり、気象条件にあまり左右されない“歴史”をテーマにすることにしました。

地形図の龍ノ口山域を見ているとひと際目立つ史跡名「賞田廃寺跡」が掲載されており、ここが出発点となりました。他の史跡は地図にはほとんど掲載されていません。写真01から03、さらには23と24でも紹介していますように、ここから南にかけての一帯に備前国の中心があり、上道氏(かみつみちし）という有力な氏族が現れ、この地に栄華と繁栄をもたらせたことが分かります。
さらに、この史跡の南に流れる古田樋尻(こたひじり）川には30種類以上の淡水魚が生息し、世界的にも超珍しいアユモドキの生息地でもあります。なぜ、この一見小規模な水路にしか見えない川＜写真05＞に貴重な魚が居るのか、逆になぜ他の県では居なくなったのか、その謎を解くカギがこの水系にありそうです。ちなみにこの川での漁は禁止です。法的な拘束力はありませんが、2,000年7月31日付けの山陽新聞にも保護活動を宣言する旨の記事が掲載されていました。

一方、龍ノ口山は予想外の古墳の宝庫でした。唐人塚(かろうとづか）古墳＜写真06~08＞には今まで見た中でもっとも美しい石棺がありました。素材は兵庫県高砂市の竜山石を使用しており、今は宝殿石と地元では呼んでいます。この石材は比較的軟質で加工しやすく、古くは仁徳天皇陵などの石棺にも使用された超ブランド石です。そして、何よりも興味を引いたのは、石棺の中の水でした。人工的でないとすれば、なぜ石棺の中だけに水が溜まっているのか、なぜ蒸発しないのか、謎のままです。
さらに、龍ノ口山ピーク近くの龍ノ口山山頂古墳群38号墳＜写真14＞の石室内にも水が溜まっていました。石棺なら下は漏れないことは理解できますが、石室から水が漏れずに溜まっています。一枚岩なのか、水が漏れない構造なのか、はたまた湧水なのかは定かではありません。もし意図的に水の漏れない造りにしたのなら何のためなのか、その謎はますます深まるばかりです。

そして、最後のサプライズは関白（藤原基房）が住んでいた関白屋敷跡＜写真22＞です。関白という役職は天皇が成人した際に代わって政治を行う実質的な最高権力者と学習しました。それが何故に岡山に…詳細は省きますが平清盛から配流の刑で九州大宰府に左遷させられるところを備前国のこの地で出家することで同地滞在を許されたようです。また美男で恋多き人物像としても描かれており、関白屋敷史跡跡近くの案内に松殿(基房）と桜姫の由来が明記されていました。なお藤原基房は87歳の天寿を全うしたとされ、平均寿命が30歳台半ばと言われた時代に異例の長寿となりました。

今回の龍ノ口山は天気があまりよくなく、景色を重視しないコースを設定したことによる副産物（自然や史跡等）が、結果的にはこの山域の神秘性と歴史的重要価値を堪能させてくれることになりました。

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