屋久島宮之浦
天候 | 1日目:雨 2日目:雨 3日目:晴れ 4日目:晴れ 5日目:晴れ 6日目:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
写真
感想
【計画経緯】
今年は黒部横断沢タビを目標にしていたが、モチベーションと経験値不足で断念。長期の沢タビもできぬまま10月を迎えてしまった。このままではまずいと気づくも行ける山域はこの時期だと限られてくる。10月後半で長期の沢タビができる場所は屋久島しかない。屋久島に行くのだったら宮之浦川を遡行したい。滝の直登は少なく、高巻き中心のため単独でも行けると思った。屋久島は1月に35日も雨が降ると言われ、入渓のタイミングが山行の成功の賛否を占う。10月後半から11月は一年で一番雨が少ないと言われており、絶好のタイミングである。何とか宮之浦川を成功させ、今年の単独沢納めとしたい。
【行動記録】
〇1日目:鹿児島港(0830)宮之浦港(1230)屋久島総合自然公園=C1(1600)
雨の降りしきる中、屋久島入り。当初の予定では、潜水橋までの長い林道歩きをして入渓地点でビバークだったが、一向に雨のやむ気配はない。初日からずぶぬれになりながら歩くのは嫌なので屋根のありそうな公園に行くことに。雨の弱まるスキを狙って少しずつ、移動。公園内には屋根付きのスペースがあったので確保した。同時期に屋久島入りするKさんと連絡を取り、夜ご飯を一緒に食べた。初対面だったが話も弾み、楽しい時間を過ごした。
〇2日目:C1(0710)潜水橋(0950)ナベカケ谷出合
=C2(1100)
朝、起きると雨は止んでいた。今日は微妙な天気だが、明日からはしばらく晴天が続くようだ。朝食を済ませ、長い林道歩きを始める。30分ほどすると雨が降り、次第に強くなっていく。昨日の雨もあるし、増水していたら遡行は厳しくなりそうだ。今なら引き返してもう一日様子をみるのもありかも。悩みながらも一度戻ったら再び歩く気が起こりそうにないので進むことに。結局、雨に濡れるのかよ。雨の中の林道歩き程惨めなものはない。潜水橋に着くころには雨も止んでいた。潜水橋に到着も案の定、増水中。時間的にまだ早いのでとりあえず、ナベカケ谷出合付近まで行くことに。歩ける箇所が限られるものの何とか遡行可能。ナベカケ谷出合付近は平地でビバーク地点の確保も容易だ。時間もまだ早いがこれ以上進むのはリスクがあるので様子を見ることに。
〇3日目:C2(0930)マンベー淵(1100)CS10m滝(1300)竜王滝手前=C3(1350)
天気は快晴。水量も昨日ほど増水はしていない。2時間ほど様子を見た後、宮之浦川本流の遡行を開始する。マンべー淵から両岸100mを越える大ゴルジュを迎え、3つの巨岩が現れる。一つ目の巨岩は人がギリギリ通れる穴をくぐり突破。二つ目の巨岩は雨の影響で泳いだが通常は腰くらいまでで済むようだ。核心となる3つ目の巨岩。右岸のスラブを人工登攀10mで越える。取り付きには、人工登攀セットの入った袋、一ピン目のボルトにはアブミが二つかかっていた。あまりにもゲレンデ化されていてテンションが下がるが有難く利用させてもらう。左から40mの白糸の滝が落下し、チョックストーンの滝10mに突き当たる。昔の記録だとチムニーを人工登攀を交え登るようだが、左岸の草付きを利用し、草付きバンドをトラバースしながら竜王の滝下に出る。時間的に早いが今から竜王の滝の巻きは厳しいので右岸チムニーの取りつきを確認したのち、滝下でビバーク。
〇4日目:C3(0700)右岸チムニー取り付き(0730)986m支流谷(1330)1030m付近=C4(1630)
記録によると両岸から巻くことができるが最近は右岸のチムニーから登る記録が多いのでそちらを選択。取り付きから急なルンゼを空荷で登り、荷揚げをするも岩に引っ掛かり苦戦。巨大なCSが前方に見えるがそこから左側を少し登ると右岸チムニーの取りつき。ロープを結び、単独システムで登っていく。チムニー内をバックアンドフットでじわじわと登り、15mほど登ったところの灌木でピッチを切る。チムニー内をザックを背負ってユマールは大変なのでザックだけを引っ張り上げようとするも全く動かない。結局、ザックを背負ってもがきながらなんとか登り返した。ここでへとへと。木登りとCSくぐりを交えながら2ピッチでいい感じのテラスに出た。ここから急斜面を登りながら大スラブのダイクを目指すも結局尾根まで上がってしまい、大高巻きすることに。沢が右に屈曲し、漏斗の滝が現れるのだがそこも気づかずに巻いていた。ここからも巻きの連続。F22の20m滝が現れ、右岸を小さく巻こうとするもリスクのある登攀を要求され行き詰まる。少し戻ると歩きやすい個所を発見し、そこから滝上に出た。時間もいい感じで快適なビバーク地も発見。本ルートの核心を越えることができて一安心。気持ちはお腹いっぱいで小楊枝川の下降は諦めムード。明日決めよう。
〇5日目:C4(0645)二俣(1050)登山道(1230)永田岳(1300)鹿ノ沢小屋=C5(1420)
昨日までの高巻きでお腹いっぱいも怒涛の高巻きの連続。10m級の滝が連続するも直登は難しく、小さな高巻きの連続。右に100m級のスラブを見る。一旦、ゴルジュが終わるも再び高さ60mのゴルジュが現れ、大きく右岸を高巻きながらゴルジュの入口へ。次第に沢は落ち着き、癒しの渓相に変化する。最後の二俣にて30m滝を左俣にむかえるが右俣をそのまま詰めていく。滑りはあるがほとんどの滝が直登可能。次第に水量も減り、猛烈なシャクナゲゾーンが始める。今までに経験したことのないような藪地獄に悶絶すること30分で登山道に出た。正直、お腹いっぱいで小楊枝川の下降は諦めて、鹿ノ沢小屋に泊り、登山道経由で下山することに。
〇6日目:C5(0250)登山口(0850)永田バス停(0915)宮之浦港(1330)鹿児島港(1730)
フェリー発の時間から逆算していくと余裕をもって行動したいので早朝2時から下山開始。鹿ノ沢小屋から永田集落まではコースタイムは8時間。ヘッデンをつけて赤テープを頼りに歩いていくも、小雨に降られ、赤テープが要所要所でなくなり何度も道から外れるもGPSを頼りに軌道修正。一般登山道という感じではない。暗いのもあるが。へとへとになりながら、時間通りのバスに乗り、フェリーで屋久島を出た。
〇感想・総評
今年の目標の夏の黒部横断は断念し、時期的にも最適な屋久島での長期沢タビを行った。結果的に雨の影響で出発が遅れるも宮之浦川の遡行を達成することができた。その後も日程的には余裕があったが、疲れたので小楊枝川の下降は諦めることに。今後の課題である。単独になるとどうしてもやめるきっかけを随時考えてしまう。まあ、これも実力であり、いい経験だ。少しずつだが単独長期沢の経験もつむことができてきている。不完全燃焼感はあるが今後の単独山行の良い経験値になったことは間違いないはずだ。高巻きの連続とやぶ漕ぎ地獄で苦行だったにも関わらず、また来たいと思ってしまった。ただし、今度はパートナーと来たいな。まだまだ屋久島にも行きたい沢や岩が残っているので少しずつ、通っていきたいな。
そういえば、4日目でカメラにSDカードが入っていないことに気づき、携帯で写真を撮り始めた。そのため、前半の写真は皆無である。カメラの確認も大切だな。
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